■anond:20250217032638

電信は電線を使いますが、1本の電線でコミュニケーションできるのは1組だけと言う理解でいいですか？

電信では1本の電線で1組の通信しかできないのか？

結論から言うと、基本的には1本の電線で1組の通信しかできません。

しかし、後に技術が発展し、1本の電線を複数の通信に使う方法（多重通信）が考案されました。

以下、詳しく解説します。

1. 初期の電信：1本の電線 = 1組の通信

(1) 基本構造

モールス電信では、電流をON/OFFすることで情報を送る。

したがって、1本の電線がつながっている2地点の間でのみ通信が可能。

[送信者] ---(電線)--- [受信者]

1本の電線で1組（送信者・受信者）のみが通信可能。

(2) 1本の電線で2組以上が通信できない理由

モールス符号は ON/OFFの単純な信号 なので、複数の通信が同じ電線上にあると 「誰の信号かわからなくなる」。

例: 「SOS」と「HELLO」が同時に送られると、受信側は混ざった信号を受け取る。

[送信1] --- ... --- --- ...  (SOS)
[送信2] --- .... . .-.. .-.. --- (HELLO)
[受信側] --- ???? (混ざってしまう)

つまり、1つの電線では1組の通信しか成り立たない。

2. 複数の通信を可能にする技術（多重通信）

技術が発展し、1本の電線で複数の通信を行う方法が考案されました。

代表的な方式を3つ紹介します。

(1) シリアル通信（順番に送る）

1本の電線を複数の通信者で共有するが、交互に送信する方式。

例えば、AとB、CとDが通信するとき、時間を分けて交互に送信すれば1本の電線を共有できる。

[送信者A] --(信号)--> [受信者B]
[送信者C] --(信号)--> [受信者D]

問題点: 交互に送るため、通信速度が遅くなる。

(2) デュプレックス通信（同時送受信）

1本の電線で同時に送受信できる技術。

① シンプルデュプレックス（交互送信）

1本の電線を交互に使うことで、双方向の通信が可能になる。

例: Aが送信中はBは待機し、Bが送るときはAが待機。

A → B（送信）
A ← B（受信）
A → B（送信）

問題点: 一度に1方向しか通信できない。

② フルデュプレックス（同時送受信）

2本の電線を使うことで、同時に送受信可能。

1本を「A→B」、もう1本を「B→A」にすれば、交互に待たずに済む。

A → B （1本の電線）
B → A （もう1本の電線）

これが後の電話通信の基本形。

(3) 周波数多重化（周波数を分ける）

電信の発展により、1本の電線で異なる周波数帯（トーン）を使って複数の通信を同時に行う技術が開発された。

周波数多重化（FDM: Frequency Division Multiplexing）を使うことで、1本の電線で複数の通信が可能になった。

[送信1] → 500Hz の電信信号
[送信2] → 800Hz の電信信号
[送信3] → 1000Hz の電信信号

受信側でフィルタを使って、それぞれの周波数を分離すれば、複数の通信が同時にできる。

Permalink | 記事への反応(1) | 19:32

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