2025-02-17

anond:20250217193242

周波数多重化を使用する場合は、事前にだれがどの周波数使用するか決める必要があるのではないでしょうか?

周波数多重化(FDM)では事前に周波数を決める必要があるのか?

はい、その通りです! 周波数多重化(FDM: Frequency Division Multiplexing)を使用する場合、事前に「どの通信がどの周波数を使うか」を決める必要があります

そうしないと、異なる通信が同じ周波数を使ってしまい、「混信(干渉)」が発生してしまからです。

以下、詳しく解説します。

1. 周波数多重化(FDM)の基本原理

FDMは、1本の電線複数の異なる周波数信号を流し、それぞれを個別に送受信する技術です。

📌 例:3つの通信をFDMで同時に送る場合

[通信1] → 500Hz
[通信2] → 800Hz
[通信3] → 1000Hz

送信側は 異なる周波数信号送信 する。

受信側は フィルターを使って周波数ごとに分離 し、それぞれの通信復元する。


2. なぜ周波数を事前に決める必要があるのか?

周波数を決めずに無秩序通信を行うと、以下の問題が発生します。

(1) 周波数の重複(混信)

もし 2つの通信が同じ周波数を使うと、信号が混ざってしまい、正しく受信できなくなる。

これは「周波数の競合」と呼ばれる問題

[通信A] → 800Hz
[通信B] → 800Hz
(受信側) → 800HzにAとBの信号が混ざり、正しく判別できない


(2) ノイズ干渉

周波数が近すぎると、互いの信号干渉し、受信品質悪化する。

これを防ぐため、適切な「周波数の間隔(ガードバンド)」を設ける必要がある。

[通信A] → 500Hz
[ガードバンド](空き周波数)
[通信B] → 800Hz

ガードバンド(無信号の帯域)を入れることで、通信Aと通信Bが干渉しにくくなる。

3. どのように周波数を決めるのか?

(1) 固定割り当て方式

通信ごとに固定の周波数を割り当てる方式

事前にどの通信がどの周波数を使うかを決めておく。

[通信A] → 500Hz (専用)
[通信B] → 800Hz (専用)
[通信C] → 1000Hz(専用)

長所: 混信が発生せず、安定した通信可能

短所: 周波数が固定されるため、使っていない周波数無駄になることがある。

(2) 動的割り当て方式

必要に応じて、利用可能周波数を動的に割り当てる方式

空いている周波数リアルタイムに決めるため、効率的に利用できる。

[現在通信]
[通信A] → 500Hz
[通信B] → 800Hz
(通信Bが終了)
[新しい通信C] → 800Hz(Bが空いたので再利用

長所: 周波数効率よく使える。

短所: 送信側と受信側が「どの周波数を使うか」をリアルタイムで同期する必要がある。

(3) 周波数ホッピング方式軍事セキュリティ用)

通信中に周波数を高速で切り替える方式(例: 軍事無線Bluetooth)。

盗聴や妨害を防ぐ目的で使われる。

0.1秒ごとに使用周波数が変化

[通信A] → 500Hz → 800Hz → 1000Hz(送信側と受信側で同期)

長所: 盗聴や妨害が困難になる。

短所: 送信側と受信側が正確に同期する必要がある。

4. まとめ

周波数多重化(FDM)では、事前にどの周波数使用するか決める必要がある。

✅ 決めずに通信すると「周波数の重複(混信)」や「干渉ノイズ)」が発生する。

✅ 事前に固定する方式(固定割り当て)、空いている周波数を使う方式(動的割り当て)、通信中に周波数を変える方式周波数ホッピング)などがある。

✅ この技術は、ラジオ放送携帯電話(4G/5G)、Wi-Fiなどの現代通信にも応用されている。

マルコーニの電信でも固定割り当て方式・動的割り当て方式周波数ホッピング方式などが使われていたのですか?

電信における周波数管理(固定割り当て・動的割り当て・周波数ホッピング

電信では、基本的に「固定割り当て方式」が使われていましたが、後に「動的割り当て方式」や「周波数ホッピング方式」の概念も登場しました。

ただし、当初の電信アナログ周波数多重化(FDM)ではなく、主に時間を分ける方式(TDM)や別の回路を使う方式が主流 でした。

では、各方式がどのように電信適用されたのか、具体的に説明していきます

1. 固定割り当て方式周波数を事前に決める)

電信の初期(有線・無線電信)では、固定割り当て方式一般的でした。

(1) 有線電信モールス符号

特定電信回線電線)ごとに通信者を固定。

1本の電線は1つの通信に専用(最初は1つの通信しかできなかった)。

ロンドン - パリ線(Aさん専用)

ニューヨーク - ボストン線(Bさん専用)

(2) 無線電信マルコーニの無線

特定周波数ごとに通信を割り当てる方式(固定周波数)。

例えば、軍事通信船舶通信では、**「この周波数は〇〇船専用」**と決められていた。

500kHz → 国際緊急通信SOS

850kHz → 商業通信船舶 → 陸地)

1000kHz → 軍事専用

2. 動的割り当て方式周波数リアルタイムで決める)

送信するタイミングで、利用可能周波数(または回線)を選ぶ方式

固定割り当てでは周波数無駄になるため、効率を上げるために開発された。

(1) 有線電信での動的割り当て

回線交換」技術を使い、通信ごとに使う電線を切り替えた。

これは、後の「電話交換機」の仕組みにもつながる。

Aさんが送信しようとすると、空いている回線を選ぶ
  └ [回線1] 使用中
  └ [回線2] 空き → 使用
Bさんが次に送信 → [回線3] を使用

問題点: 繋がるまで時間がかかる(交換手が必要)。

(2) 無線電信での動的割り当て

無線通信が増えると、「周波数の混雑」が問題になった。

そこで、送信時に「空いている周波数」を探し、利用する方式が開発された。

Aさんが送信しようとする
  └ [500kHz] 使用中
  └ [850kHz] 空き → 使用
Bさんが送信 → [1000kHz] を使用

3. 周波数ホッピング方式妨害対策軍事用)

通信中に周波数を切り替える方式ランダムまたは決められたパターン)。

無線電信軍事重要視されるようになったため、敵に妨害されにくい方式として開発された。

1940年代ハリウッド女優ヘディ・ラマー」と作曲家ジョージ・アンタイル」が特許を取得し、軍事通信に応用された。

0.1秒ごとに周波数が変化
[送信側] → 500kHz → 850kHz → 1000kHz
[受信側] → 500kHz → 850kHz → 1000kHz(同期)

長所: 妨害ジャミング)を受けにくい。

短所: 送信側と受信側が同期する必要がある(技術的に難しい)。

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