福岡弁
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福岡弁は、福岡部(かつての福岡城城下町)で話されていた方言で、「がっしゃい言葉」とも呼ばれる。2020年代現在、話者はほぼ高齢化しており、武家を先祖に持つところではしばしば使われているものの、一般的には博多弁に吸収されて使われなくなっている。
2000年前後から出版されている書籍では、博多弁の事を「福岡弁」と題している物が増えているが、厳密には両者は別の方言である。
由来
[編集]→「博多」も参照
博多湾周辺の地域(博多)の地に、江戸時代になると黒田氏が入国。博多の福崎と呼ばれる地に福岡城を築き、城下町が形成され、博多の中心地は那珂川を境に左岸が「福岡部」、右岸が「博多部」に別れ(なお、博多川と那珂川の間は「中洲」)、江戸時代までは福博の住み分けが明確であった。
「福岡弁」(がっしゃい言葉)は、この福岡部(福岡城城下町)で、福岡城勤めの福岡藩(黒田藩)武士層と家族係累が話す言葉であった。そのため、格式張った言語が特徴的である。また、藩祖の黒田孝高の出身が備前岡山と伝わる事から、岡山弁、但馬弁の影響があると言われる。
しかし、もともと話者の絶対数が少なかったうえ、昭和から平成時代の終わりまでには話者はほぼ消滅し、一部の方言研究家による文献に残るのみである。明治期以降は、博多弁が博多部を中心に福岡市とその周辺に広がった。
特徴
[編集]出典は参考文献参照。
- あんじょう
- 兄。(関西弁に言う具合良く、の意味ではない)
- うんだあ、おかしさー
- まあ、おかしいこと。
- がっしゃい
- 「来てがっしゃい」「見てがっしゃい」のように使われ、それぞれ「来て下さい」「見て下さい」の意。消滅。
- 語源は「ござらっしゃい」あるいは「御覧(ごろう)じやい」が短縮化したもの。
- (し)ない
- 「してください」の意。「おいでない」⇒いらっしゃい、おいでください、「おあがんない」⇒おあがりなさい、等。否定の意味ではない。博多弁に吸収。
- ござあ
- らっしゃる。「してござあ、しござあ、ござあ」等⇒「していらっしゃる」、「来(き)ござあ」⇒来られる。博多弁に吸収。
- ござっしゃる
- 「ござあ」の強調。「来(き)ござっしゃる」⇒お出でになる。
- しかちゅーこいとる
- 不手際な事をしている。
- しゃんしゃん
- 武家の娘。(「様々」から)
- しよんさる
- していらっしゃる。(「しよんさあ」とも)。博多弁に吸収(「しよんしゃる、しよんしゃあ」)。
- ぜー
- (終助詞)よ、だよ。(「ちぇ」とも)。博多弁に吸収(「しとるぜ、しとうぜ、しとっつぇ」等)。
- たにわくろう
- 下級武士。福岡城南西の谷筋(現在の城南区谷の周辺)に住んでいた事から。また、「わくど、わくろう」はヒキガエルの事。
- ちっと
- ちょっとは。岡山弁から(「ちったあ」とも)
- ちんちくどん
- 下級武士。沈竹(ウセンチク、蓬莱竹)を屋敷の生垣としていた事から。
- つかあさい
- (して)ください。岡山弁から。(「つかーさい」とも)
- とんとん
- 武家の息子。ボンボン。(「殿々」から)
- よこになる
- 「横になる」=横臥から、「休憩する」の意。隠喩であり本当に横臥する意ではない。博多弁に吸収。
- わくろうどん
- 下級武士。「たにわくろう」参照。
話者
[編集]全て故人
参考文献
[編集]- 「九州方言研究会会報 NO20」(2004年12月13日発行) - 杉村孝夫(福岡教育大学教育学部) [1]
- 『九州方言考―ことばの系譜』原田種夫(読売新聞社、1982年)
- 『福岡県内方言集』福岡県教育会本部(昭和50年)
- 『福岡市方言調査書』福岡縣教育會福岡市教育支會
- 『福岡城言葉<がっしゃいことば>』(窪井健二、2006年)[2]