セビリア
州 | アンダルシーア州 |
---|---|
県 | セビリア県 |
面積 | 141.31 km² |
標高 | 7m |
人口 | 702,355 人 (2012年[1]) |
人口密度 | 4,970.31 人/km² |
住民呼称 | sevillano/-a |
北緯37度22分38秒 西経5度59分13秒 / 北緯37.37722度 西経5.98694度座標: 北緯37度22分38秒 西経5度59分13秒 / 北緯37.37722度 西経5.98694度
|
セビリア(Sevilla [seˈβiʎa], 現地発音 [seˈβi(ɟ)ʝa] ( 音声ファイル))は、スペイン・アンダルシア州セビリア県のムニシピオ(基礎自治体)。アンダルシア州の州都であり、セビリア県の県都である。自治体人口は約70万人(スペイン第4位)であり、セビリア都市圏の人口は約130万人である。スペイン南部の政治、経済、文化の中心地であり、観光都市である。
発音・表記
日本では、セビリア(またはセビリヤ)とする表記が一般に定着している(「セビリアの理髪師」、観光ガイドなど)が、スペイン語での発音とは異なっており[2]、よりスペイン語の発音に近い記述への試みから、セビーヤ[3]、セビージャ、セビリャ、セビーリャとも表記される。この表記の揺れは、スペイン語圏各国・各地域におけるll(エリェ)音の発音の差異[4]に、起因したものである。
英語ではSeville(「セヴィル」 太字はアクセント)、フランス語ではSéville(セヴィーユ)、イタリア語ではSiviglia(シヴィッリャ)と発音する。
スペイン語では b と v を区別せず語・文中では[β] で発音し、カタカナで表すときはバ行を使うことが普通である。しかし、英語などの発音を混在させてセヴィージャ、セヴィリアなどと誤って表記する者もいる。
地勢
グアダルキビール川沿いに位置しており[5]、大西洋からセビリアまで船舶が遡航できる。そのために港湾都市としての役割を果たし、農作物や工業製品が盛んに輸出される。近隣の都市としては、約100キロ南西のカディス、120キロ北東のコルドバが挙げられる。
歴史
古代ローマ時代には「ヒスパリス」(ラテン語: Hispalis)と呼ばれた。紀元前8世紀か紀元前9世紀にタルテソスにより支配され、のちにフェニキア人やカルタゴ人の植民都市となった。カルタゴ人は紀元前216年に都市を破壊したが、紀元前206年にスキピオが近郊にイタリカを建設し、ヒスパリスの再建を始めた。
8世紀よりイスラム勢力の支配下に入り、「イスビーリーヤ(إشبيلية; ’ishbīlīya, Isbilya)」と呼ばれるようになった。タイファ諸国の分立期にはセビリア王国が栄えたが、レコンキスタの進展により1248年にカスティーリャ王国のフェルナンド3世に征服され、以降はカスティーリャの主要都市として発展した。フェルナンド3世の息子アルフォンソ10世はセビリアをトレドと並ぶ文化の中心都市に変え、トレド翻訳学派の学者達を集めアラビア語文献をラテン語へ翻訳(後にカスティーリャ語へ転換)する文化事業を推進したが[6]、後に次男のサンチョ4世に反乱を起こされセビリアへ追放[7]、1284年に死んだ後セビリア大聖堂へ埋葬された。
イタリアのジェノヴァ商人がセビリアに拠点をおいて積極的な活動を行っており、中世より港湾都市として栄えた。当初はキリスト教徒とユダヤ教徒の共存がみられたが、14世紀半ばのペスト(黒死病)大流行の原因がユダヤ人に帰されるなど反ユダヤ主義の風潮が強まり、14世紀末にはポグロム(ユダヤ人虐殺)が起こった。この動きは他の都市にまで波及し、多くのユダヤ人が迫害を受けた。
15世紀後半、カスティーリャ王国とアラゴン王国の合併によって成立したスペイン王国は、同世紀末にレコンキスタを完了させるとともに新大陸へ船を進めた。イベリア半島西岸と航路で結ばれているセビリアは、新大陸との貿易の独占港となって繁栄を誇った。16世紀から17世紀には、セビリアはスペインでもっとも人口の多い都市となり、1649年には13万人を数えた。その年にペストが大流行し、セビリアは重要性を失い始めたが、バロック美術の中心地として重要性を保った。
19世紀のスペイン立憲革命では、セビリアは自由主義者の拠点となった。20世紀のスペイン内戦では、アフリカに近い位置にあることから早期にフランコ軍に占領された。
1992年にはセビリア万博が開催された。万博に合わせて、グアダルキビール川にはアラミロ橋が建設された。2002年には欧州理事会の会場となった。
現在セビリアは社会労働党の強固な地盤となっており、2004年の総選挙では他党を30%以上も引き離した(スペインの県都の中でもっとも高い)。
気候
セビリアは暑い夏が特徴の地中海性気候で(ケッペンの気候区分ではcsa)、ステップ気候の影響を受けている[8]。人口10万人以上の都市としては、ヨーロッパ大陸においてコルドバに次いで2番目に夏が暑い都市である。
セビリアの気候 | |||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
月 | 1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 | 年 |
平均最高気温 °C (°F) | 15.9 (60.6) |
17.9 (64.2) |
21.2 (70.2) |
22.7 (72.9) |
26.4 (79.5) |
31.0 (87.8) |
35.3 (95.5) |
35.0 (95) |
31.6 (88.9) |
25.6 (78.1) |
20.1 (68.2) |
16.6 (61.9) |
24.9 (76.8) |
日平均気温 °C (°F) | 10.6 (51.1) |
12.2 (54) |
14.7 (58.5) |
16.4 (61.5) |
19.7 (67.5) |
23.9 (75) |
27.4 (81.3) |
27.2 (81) |
24.5 (76.1) |
19.6 (67.3) |
14.8 (58.6) |
11.8 (53.2) |
18.6 (65.5) |
平均最低気温 °C (°F) | 5.2 (41.4) |
6.7 (44.1) |
8.2 (46.8) |
10.1 (50.2) |
13.1 (55.6) |
16.7 (62.1) |
19.4 (66.9) |
19.5 (67.1) |
17.5 (63.5) |
13.5 (56.3) |
9.3 (48.7) |
6.9 (44.4) |
12.7 (54.9) |
降水量 mm (inch) | 65 (2.56) |
54 (2.13) |
38 (1.5) |
57 (2.24) |
34 (1.34) |
13 (0.51) |
2 (0.08) |
6 (0.24) |
23 (0.91) |
62 (2.44) |
84 (3.31) |
95 (3.74) |
533 (20.98) |
平均降水日数 (≥1 mm) | 6 | 6 | 5 | 7 | 4 | 2 | 0 | 0 | 2 | 6 | 6 | 8 | 52 |
平均月間日照時間 | 179 | 183 | 224 | 234 | 287 | 312 | 351 | 328 | 250 | 218 | 186 | 154 | 2,898 |
出典:世界気象機関 (国際連合),[9] Agencia Estatal de Meteorología[10] |
人口
セビージャの人口推移 1900-2010 |
出典:INE(スペイン国立統計局)1900年 - 1991年[11]、1996年 - [12] |
観光
闘牛やフラメンコの本場で、スペインを代表する観光都市。セビリア大聖堂、アルカサル、インディアス古文書館は世界遺産に登録されている。旅行ガイドブック出版社のロンリープラネットによると、セビリアは2018年に最も訪れるべき都市の第一位と報じられている[13]。
- セビリア大聖堂 - 1402年に建設が始まり、16世紀に完成した。バチカンのサン・ピエトロ大聖堂を除き、カトリックの大聖堂としては世界一大きい。内部にはクリストファー・コロンブスの墓がある。
- アルカサル - スペイン王室の宮殿。イスラム時代の建築物の跡地に14世紀に建設された。ムデハル様式の代表例の一つ。
- インディアス総合古文書館
- 黄金の塔 (es)
- スペイン広場
- マエストランサ闘牛場
- タブラオでのフラメンコショー
- グアダルキビール川遊覧
- セビリアの春祭り (フェリア・デ・セビージャ)(es)
- セビーリャ美術館 (es) - スルバラン、ムリージョの作品が所蔵されている。
交通
- セビリア空港(Aeropuerto de Sevilla)は、市内から北西に約10kmのところにある。セビリア万博開催にあわせ拡張された。IATA空港コードはSVQ。
- マドリードからはコルドバを経由して高速鉄道(AVE)が通っている。
- 欧州自動車道路の幹線の1つであるE01号線の南側の起点が存在する。
教育
市内にはセビリア大学がある。
スポーツ
サッカー
いずれもリーガ・エスパニョーラ所属。
バスケットボール
- CBセビリア (CB Sevilla)
セビリア出身の著名人
- イタリカ生まれのローマ皇帝:トラヤヌス、ハドリアヌス
- キリスト教:セビリアのイシドロ、バルトロメ・デ・ラス・カサス、ルイス・ソテロ、結城了悟(ディエゴ・パチェコ/イエズス会司祭)
- 画家:ディエゴ・ベラスケス、バルトロメ・エステバン・ムリーリョ
- 文学者:グスタボ・アドルフォ・ベッケル、マテオ・アレマン、ビセンテ・アレイクサンドレ
- 歌手:ラ・ニーニャ・デ・ロス・ペイネス
- 作曲家:クリストバル・デ・モラーレス、フランシスコ・コレア・デ・アラウホ、ホアキン・トゥリーナ
- バレーボール選手:イスラエル・ロドリゲス
- その他:アントニオ・デ・ウジョーア(探検家・天文学者)
姉妹都市
フィクション中のセビリア
- セビリアはドン・ファン伝説の舞台である。
- いくつものオペラの舞台となっている。モーツァルトの『フィガロの結婚』と『ドン・ジョヴァンニ』、ロッシーニの『セビリアの理髪師』、ビゼーの『カルメン』など。
- スペイン広場は、映画『アラビアのロレンス』、『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』のロケ地となった。
脚注
- ^ “Población, superficie y densidad por municipios” (スペイン語). INE(スペイン国立統計局). 2013年9月21日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年8月6日閲覧。
- ^ ABC of Spain 「セビージャ観光のノウハウ」
- ^ スペイン政府観光局のウェブサイト(外部リンク参照)、刊行物においてはこの表記が用いられている。
- ^ Forvo Sevilla 世界各地のスペイン語話者による発音例
- ^ 川成洋『スペイン文化読本』丸善出版、2016年、175頁。ISBN 978-4-621-08995-8。
- ^ 芝修身『古都トレド 異教徒・異民族共存の街』昭和堂、2016年、P130 - P131、関哲行他『世界歴史大系 スペイン史 1 -古代~中世-』山川出版社、2008年、P168。
- ^ 小林一宏「アルフォンソ10世」『スペイン・ポルトガルを知る事典』収録、平凡社、2001年、P20 - P21。
- ^ M. Kottek; J. Grieser, C. Beck, B. Rudolf, and F. Rubel (2006). “World Map of the Köppen-Geiger climate classification updated”. Meteorol. Z. 15: 259–263. doi:10.1127/0941-2948/2006/0130 April 22, 2009閲覧。.
- ^ “World Weather Information Service - Sevilla”. Worldweather.org (2006年10月5日). 2011年4月10日閲覧。
- ^ “Valores climatológicos normales: Sevilla Aeropuerto - Agencia Estatal de Meteorología - AEMET. Gobierno de España” ( ). Aemet.es. 2011年4月10日閲覧。
- ^ Poblaciones de hecho desde 1900 hasta 1991. Cifras oficiales de los Censos respectivos.
- ^ Cifras oficiales de población resultantes de la revisión del Padrón municipal a 1 de enero.
- ^ Lonely Planet's top 10 cities to visit in 2018 CNN travel 2017年10月24日
外部リンク
- 公式
- 観光