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2025-02-15

DTM無料拡張プラグインを使うなと言うので逆に紹介したるわ

どう考えても無料拡張プラグインを紹介してくれるDTMerの方が「カッコイイじゃねーか!」と思うので格好付けるため紹介する

Dexed

言わずと知れたYAMAHA DX7エミュレーター

世の中にはYAMAHA DX7オマージュクローンと呼ばれるシンセサイザーは多数あるけれどDexedはエミュレーターとして扱われている。

その理由YAMAHA DX7システムレベル再現することが開発目標となっており、DexedはDX7実機のSysExすらもサポートしていてDX7音色拡張ROMデータを読み込むことができる再現度が強み。

欠点は、あまりにもYAMAHA DX7へ寄り過ぎているためか内蔵エフェクターが搭載されておらず、DX7でもエフェクター接続することが当たり前に行われていたことがDexedでも踏襲され、Dexedにエフェクタープラグイン接続することが前提となってしまっている。

そもそもデジタル処理のFM音源なのでDexedはDX7の音の再現度も相当に高いが、DexedでFM音源再生すると「綺麗すぎる」「温かみがない」と評されることが有る。これはシステムレベルDX7再現したことによって現代のD/Aコンバーターオペアンプの性能が高すぎるからこそ起きる。

Vital / Vitalium

現代電子音楽シーンでウェーブテーブルシンセシス存在感否定する者なんて誰も居ない。

DTMではNative Instruments MassiveとXfer Serumが登場したことによって様々なメーカーソフトウェアウェーブテーブルシンセサイザー雨後の筍のように開発したが、Vitalはそんな雨後の筍の後発ソフトウェアウェーブテーブルシンセサイザーの中でも存在感を示すことに成功した。

一目見てわかる最大の特徴はMicrosoftメトロUIAppleフラットデザインGoogleマテリアルデザインIT界隈ではモダンUIが発展していく中、Vitalはそれらのデザインを取り込み、難解なウェーブテーブルシンセシスにわかり易さを目指している。ほとんどの操作マウスの左クリックで完結でき、右クリックの奥に大事機能が隠れていることは少なく、LFOなどをドラッグドロップできる箇所も明示され、ADSRエンベロープの動きもわかりやすい。

更に、野心的な試みはその製品展開でも行われ、Vitalソフトウェアシンセサイザー本体無料で、ウェーブテーブル音色プリセットは有料というスタンスを取った。併記されるVitaliumは、Vitalがオープンソースで開発されたことへ端を発し、オープンソース環境を維持したまま開発を継続するためVitalから派生プロジェクトとしてVitaliumが生まれた。命名からわかるようにGoogle ChromeとChromium関係に近い。

欠点はまだまだ発展途上でユーザー数でMassive(Massive X)やSerumに及ばなく、情報が少なめであることだろう。

Surge XT

元来は有償としてVember Audio名義で提供されていた。開発者DAWAbleton Liveの開発経験があり、続けて新しいDAWのBitwig Studioを立ち上げ、Bitwig Studioの開発へ集中するため開発継続は困難としてSurge XTをオープンソース化した。オープンソース化をきっかけに多数の人が開発へ携わるようになり、オープンソース化後の方が有償時よりも高機能になったという面白い経緯を持つ。

Vital / Vitaliumを知った後であるならばSurge XTの外観は一目見て古臭いことがわかるものの開発開始時期は2000年代初頭であるから仕方がない。旧来ソフトウェアシンセサイザーの外観に慣れ親しんだ者であるならばオシレーターセクション・フィルターセクション・エンベロープセクション・アンプセクションなどの位置が逆にわかやすいかも知れない。

臭い外観とは裏腹にシンセシスマルチパラダイムで、減算方式を基本としながらも多数の協力者のお陰でウェーブテーブル方式まで組み込まれた最新のものとなっており、昔懐かしいシンプル音色からColour Bassグロウサウンドのような複雑怪奇音色まで作ることが出来る。

その幅広い音色可能とする理由LFOはサブも含めて12個もあり、それら12個はエンベロープモードへ切り替えることが可能で、更にモジュレーションマトリクスなどを設定可能マクロは6個もあるなどシンセサイザーギークが非常に喜びそうな内容だ。

加えて、Surge XT Effectsとしてエフェクター部分が別個の独立とした拡張プラグインとして切り離されており、Dexedのような内蔵エフェクターを持たないソフトウェアシンセサイザー使用する際にも役立つ。

欠点はやはりその古臭い外観と、膨大な機能を搭載したことによるシステム全体の機能把握の困難さだろう。モダン操作体系に慣れている初心者若者からすると非常にとっつきにくいのも問題となる。

ADLplug / OPNplug

YAMAHAが開発したYM2612とYMF262のエミュレーターフロントエンド

YM2612はOPN2、YMF262はOPL3と表現したほうが聞き馴染みのあるかも知れない。つまり富士通FM TOWNSPC-8801SEGAメガドライブサウンドカードSound Blaster Pro2などに搭載された、いわゆる8bitサウンドFM音源エミュレーターフロントエンドだ。

なぜADLplug / OPNplugをエミュレーターフロントエンドと称するか?と言えば、実はADLplug / OPNplugはオープンソース複数存在するYM2612とYMF262のエミュレーター(ADLplug / OPNplugではコアと称する)を好みに応じて切り替えることが可能フロントエンドであるため。

エミュレーター(コア)ごとの実装の違いで微妙音色が違っており自身が求める8bitサウンドを追い込む際に、同一のユーザーインターフェースで操作できるのは非常に有り難い。

このような事が可能な8bitサウンドシンセサイザーは商用を含めても他に存在しておらず、はっきりと言ってしまえばADLplug / OPNplugがこれら8bitサウンドシンセサイザー実装実用上の頂点である

プリセットも充実しており、プリセット実在ゲームタイトルでまとめられおり「あのタイトルレーザービーム発射音や爆発音自分音楽組み込みたい」のような要望にも十分に応えられる。

欠点はやはり「綺麗すぎる」ことか。エフェクターで汚しを入れるなどして当時を再現してみたい。

OpenUTAU

UTAUと言えばYAMAHA VOCALOIDへ影響を受け開発され、今や小さいとは決して言えない規模のコミュニティ形成する一大ジャンルとして日本音楽シーンへ定着しているが、OpenUTAUはそのUTAU精神的後継シンセサイザーである

当時のVOCALOIDUTAUを知る者からすると「精神的後継とはどういうことか?」と疑問に思うだろうが、実は現在UTAU本家の開発は終了している。

そこで有志が集まり開発開始されたのがOpenUTAUであり、UTAU本家とは別体制で開発されている以上は正式な後継とは言えないので精神的後継とされている。

OpenUTAU精神的後継であるが、その機能性は本家UTAUを既に凌駕しており、現在UTAUコミュニティではこのOpenUTAUデファクトスタンダードとなり、しか対応プラットフォームWindowsのほかMacLinuxまで幅広くサポート。何ならChromeOS(Crostini)上でも動くことを筆者自身確認している。

「OpenUTAU拡張プラグインじゃないだろ!」というツッコミは聞こえない。

Odin2

モジュラー方式採用したマルチパラダイムハイブリッドシンセサイザー

コンパクトなモジュラーケースへオシレーターフィルターなどのモジュール選択して好みの音色を作っていくという方式採用しているが、Odin2のモジュラー方式限定的であり、限定的なモジュラー方式本来は難解であるはずのモジュラーシンセサイザーをスゴく容易に扱うことへ貢献している。

ライトユーザー向けのモジュラーシンセサイザーかと侮るのは早計で、オシレーターにはウェーブテーブル選択できるなどしっかりとモダン需要を抑えている上に、マニアックな部分では変調方式FMのほかPM(Phase Modulation)が存在しており開発者のこだわりを感じる。

欠点は触ってみると意外と高機能であることには気付くものの、更に突っ込んで触り続けているとVital / VitaliumやSurge XTに比肩できるほどの音作りの幅は無いことへ気付かされることだろうか。例えばJC-303のベースじゃ物足りないみたいな時にシンプルでありながら一味加えたベースサウンドをサクッと作る際に便利だろう。

この手のサウンドは高機能すぎるシンセサイザーだと出来ることが多すぎてアレもコレもとやってるうち逆に時間がかかる。ある程度高機能である程度機能が絞られたOdin2のようなシンセサイザーの方が直ぐにまとまるのだ。

Monique

ありそうで無かった一風変わったモーフィングするシンセサイザー

Moniqueは説明に難儀する。

オシレーターセクションが2つあり、それぞれのオシレーターセクションには3つのオシレーターがあるのだが、Moniqueはその2つのオシレーターセクション間をモーフィングすることが可能だ。

意味がわからいかも知れないが、これは決してDJミキサークロスフェーダーの様に2つのトラックゲインを切り替えるのではなく、オシレーターAセクションで設定した数値がオシレーターBセクションで設定した数値へモーフィングしていくのだ。

まりサイン波をノコギリ波に、ベースサウンドキックサウンドに、エレピサウンドスーパーソウにモーフィングさせることができる。説明が本当に難しい。

この説明理解した人は「もしかしてMoniqueはウェーブテーブルを作れるんじゃね?」と気付くだろう。

そうなのだ、今アナタの手持ちのウェーブテーブルに物足りなさを感じるのであればMoniqueはアナタが持つアナログシンセサイザー知識活用してウェーブテーブルを作ることができる。

Moniqueは単体ではそこまで威力を発揮するシンセサイザーではない。しかし使いどころを真に理解したとき間違いなく音作りの幅は広がっていく。

GeonKick

キックパーカッション向けサンプラーシンセサイザー

GeonKickは明らかにSonic Academy KICKシリーズクローンオマージュで使い勝手操作感の違いは多かれ少なかれあるが操作感覚としては同じ。最新版であるKICK 3に含まれ機能はないがKICKシリーズ無償代替品として非常に良い選択肢となる。

プリセットRoland TR-808風があったりと直ぐに欲しいものは揃っており、他のサンプリング音源も追加で読み込んでGeonKick上で編集することが可能なので満足感が高いだろう。

欠点GMの非サポートで、MIDIの割当はGeonKick上で自ら行わなければならず、更にその方法が非常にわかりにくいのでGMサポート存在して当たり前のユーザーからすると、GeonKickのMIDI設定がデフォルトのままDAWからGeonKickへキックMIDI送信しても音が鳴らなくて頭の中が疑問符でいっぱいになること。

Salamander Grand Piano V3

CC-BY-3.0ライセンスで配布されているSFZ形式ピアノサンプリング音源

信じられないかも知れないが、家電量販店で5〜10万円前後で売っている電子ピアノよりも高音質でサポートしている機能が非常に多い。

サンプリング元となっているピアノYAMAHA C5、音質は48kHz/24bit版と44.1kHz/16bit版が存在。ベロシティ感知範囲は16段階、サンプリングターゲットは1オクターブ中の3音(基準から前後1音はピッチシフト)、鍵盤リリース音やダンパーペダル音もサポート

かつて、ピアノの音が良い無料サンプリング音源と言えばYAMAHA S-YXG50だという記憶がある者からすると異次元の音質。 S-YXG50サイズは4MBだったがSalamander Grand Piano V3ピアノだけでWAV形式だと1GBを超えている。

欠点楽器数が多く騒がしいポップスロック電子音楽などでは気にならないがソロピアノでゆったりな曲を弾くとダンパーペダル動作時の鍵盤リリース音の動作おかしさがあること(※バグではなく仕様)。

家電量販店で5〜10万円前後で売っている電子ピアノよりも圧倒的にマシではあるが、最新のそこそこ高価な有償ピアノ音源比較してピアニッシモの様な弱い音の表現力が少々物足りないことも欠点の1つだろう。

ソフトウェアとして音質・機能性共に入門向け電子ピアノを上回ってしまっているので、YAMAHAサウンドを好むのであれば電子ピアノからMIDI接続してPCで鳴らすのも悪くはない(※電子ピアノスピーカーハードウェア一体となった設計なので必ずしもSalamander Grand Piano V3が勝るとは限らない。ただしヘッドフォン使用時は明らかに勝る)

guitarix

ギターアンプシミュレーター

guitarixの説明ギタープレイヤーには一言「KEMPERだ」で伝わる。KEMPERという説明で他に多くを語ることが逆に難しい。

ただし、元来の開発コミュニティLinux界隈でありMacやWindwosは動くには動くがLinuxよりも積極的サポートが乏しいのが少々残念。

Stochas

確率ランダマイザを備えたマニアックMIDIシーケンサー

確率MIDIトリガーするランダマイザを備えたDAWは珍しくもないが、Stochasはそれに加え、指定したMIDIトリガーへ対して別のMIDIトリガーをチェーンすることができる。

まり、例えばMIDIシーケンサー上のコード進行確率で別のコード進行へ変化させることが可能で、1小節ループでありながらも複数コード進行を持つことが出来たりするマシンライブ向きなMIDIシーケンサー

使いようによってはStochasの後段へ更にアルペジエーターを挿せば、ランダムにコード進行が変化するアルペジオを奏でることが出来るなど、知れば知るほどに可能性を感じる。

飽きさせないBGM作成するのにも役立ちそうだが、必要ない人には本当に必要ないマニアック拡張プラグインなのでココに挙げたのは本当に必要な人へ届けたいかである

そんなに褒めるなよぉ?

どうだ?なかなか良いエントリだったろ?

おいおい褒めるな、褒めるな。そんなに持ち上げたってさ俺から出せるのは無償で使えるシンセやエフェクター、DAWなどがまとめられたURLとか無償で使えるSFZ形式のサンプリング音源がまとめられたURLを貼るくらいなもんだぜ?

まぁ少しは格好付けられただろうし俺は満足して去るわ。じゃあな。

 
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