大聖寺駅
大聖寺駅(だいしょうじえき)は、石川県加賀市熊坂町にある、IRいしかわ鉄道・ハピラインふくいの駅である。石川県最西端および最南端の駅である。
大聖寺駅 | |
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駅舎(2024年3月) | |
だいしょうじ Daishōji | |
所在地 | 石川県加賀市熊坂町イ136 |
所属事業者 | |
電報略号 | タイ |
駅構造 | 地上駅 |
ホーム | 2面3線 |
乗車人員 -統計年度- |
751人/日(降車客含まず) -2021年- |
開業年月日 | 1897年(明治30年)9月20日[1][2] |
乗入路線 | |
所属路線 | ■IRいしかわ鉄道線 |
キロ程 | 0.0 km(大聖寺起点) |
(4.1 km) 加賀温泉► | |
所属路線 | ■ハピラインふくい線 |
キロ程 |
84.3 km(敦賀起点) 米原から130.2 km |
◄牛ノ谷 (5.7 km) | |
備考 |
概要
編集IRいしかわ鉄道のIRいしかわ鉄道線と、ハピラインふくいのハピラインふくい線が乗り入れている。会社境界駅であり、当駅から金沢・倶利伽羅方面がIRいしかわ鉄道線、福井・敦賀方面がハピラインふくい線となっている。当駅は両社の共同使用駅で、IRいしかわ鉄道の管轄駅である[3][4]。ハピラインふくいで唯一、石川県に所在する駅である(ただし、ハピラインふくいの管轄駅はすべて福井県に所在)。鉄道資産上は県境付近が両社の境界だが、営業上では当駅が境界で、運賃体系も変わる。
元々は両路線とも西日本旅客鉄道(JR西日本)の北陸本線であったが、2024年3月16日の北陸新幹線金沢駅 - 敦賀駅延伸開業に伴う並行在来線の経営分離により、当駅を境に金沢方はIRいしかわ鉄道、敦賀方はハピラインふくいへ承継され、駅施設もIRいしかわ鉄道へ移管された。
そのような経緯から、IRいしかわ鉄道線の金沢駅以西とハピラインふくい線の福井駅以北は現在も一体運用されており、多くの列車が相互直通運転を行っている。なお、当駅での乗務員交代は行われず、IRいしかわ鉄道またはハピラインふくいの乗務員が通しで乗務する。石川・福井県境を挟んだ2駅のうち、場内信号機がある当駅が境界駅として選ばれた[5]。
北陸本線時代は起点の米原駅から見て、石川県に入って最初の駅であり、特急停車駅だった。事務管コードは、▲541438[6]。北陸本線において金沢支社直轄となっている駅は当駅から金沢駅(2015年3月13日までは倶利伽羅駅)までの各駅で、隣の牛ノ谷駅から福井寄りは同支社福井地域鉄道部の管轄であり、当駅はその指令上の境界とされていた。
歴史
編集加賀市の中心地に建つ駅だが、北陸新幹線の金沢駅 - 敦賀駅間の開業以前のほとんどの特急は隣の加賀温泉駅に停車していた[1]。かつて当駅は加賀温泉郷への玄関口として、動橋駅とともに特急が手分けして停まっていた[1]が、1960年代末期には特急「雷鳥」「しらさぎ」が大聖寺駅と動橋駅の両駅に停車するダイヤとされていたことが特急の格やスピードアップの観点から問題視された。そこで1970年(昭和45年)10月1日に両駅の中間に位置する作見駅が加賀温泉駅と改称され加賀温泉郷の玄関口として一本化された[8]。それ以降は急行以下の列車が停車するのみとなり、1982年(昭和57年)に急行が特急に統合されて廃止されたため再び特急停車駅に返り咲いたが、JRから経営分離されるまで特急の停車は一部の列車のみとなっていた[7]。この経緯については、鉄道と政治#停車駅争奪戦・追加運動・臨時停車などを参照されたい。
年表
編集- 1897年(明治30年)9月20日:官設鉄道の福井駅 - 小松駅間延伸時に開業(一般駅)[1][2][7]。
- 1909年(明治42年)10月12日:線路名称制定、北陸本線所属駅となる。
- 1947年(昭和22年)10月26日:福井県内に昭和天皇の戦後巡幸。福井駅発、大聖寺駅着のお召し列車が運行[9]。
- 1965年(昭和40年)9月24日:みどりの窓口を設置[10]。
- 1970年(昭和45年)9月30日[要出典]:みどりの窓口の営業を終了[11]。
- 1982年(昭和57年)11月15日:貨物の取扱を廃止(旅客駅となる)[12]。
- 1985年(昭和60年)3月14日:荷物の取扱を廃止[12]。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道(JR西日本)の駅となる[12]。
- 1990年(平成2年)3月:みどりの窓口の営業を再開[13]。
- 2017年(平成29年)4月15日:ICカード「ICOCA」の利用が可能になる[14][15][16][17][18]。
- 2021年(令和3年)
- 2022年(令和4年)6月13日:駅舎を加賀市が取得し、複合施設「大聖寺ゲートウェイ」として整備[22][7][23][24][25][26]。
- 2024年(令和6年)3月16日:北陸新幹線敦賀延伸開業に伴い、IRいしかわ鉄道・ハピラインふくいの境界駅となる[5][27]。
駅構造
編集改札内は小松駅が管理する無人駅である。単式ホーム1面1線と島式ホーム1面2線、計2面3線[28]のホームを有する地上駅。駅舎は単式の1番のりば側にあり、島式の2・3番のりばへは跨線橋で連絡している。
あいの風とやま鉄道線(富山駅まで)の連絡運輸は、当駅以北が発売範囲である(一部の連絡運輸を除く)[29][30]。
2017年(平成29年)4月15日から、ICOCAおよび相互利用を行う交通系ICカードでの利用およびチャージが可能になり、2018年9月15日から福井方面にエリア拡大し、関西圏と北陸本線のICOCAエリアが繋がった[31]。ただし、JR七尾線・のと鉄道七尾線・城端線・あいの風とやま鉄道線から利用する場合、IRいしかわ鉄道線に跨っての利用可能区間は当駅以北に限られているため、福井県内へ通しての利用はできない[32][33][34][35]。
駅舎そのものは加賀市が所有している[7][36]。加賀市がJR西日本から取得したうえで賑わい創出を目指して改修を行い、カフェや高校生の自習室などを含む複合施設「大聖寺ゲートウェイ」として整備された[37][25][26][25][7][36]。
のりば
編集のりば | 路線 | 方向 | 行先 | 備考 |
---|---|---|---|---|
1 | ■IRいしかわ鉄道線 | 下り | 小松・金沢方面[38] | |
2 | 一部列車 | |||
■ハピラインふくい線 | 上り | 福井方面[38] | ||
3 |
- 列車運転指令上では、1番のりばが「下り本線」、2番のりばが「中線」、3番のりばが「上り本線」とされる。
-
改札口(2010年8月)
-
ホーム(2012年7月)
-
ホーム(2024年4月)
利用状況
編集2021年(令和3年)度の1日平均乗車人員は751人である[39]。
「石川県統計書」と「加賀市統計書」によると、近年の1日平均乗車人員は以下の通りである。
年度 | 1日平均 乗車人員 |
---|---|
1996年 | 1,437 |
1997年 | 1,372 |
1998年 | 1,347 |
1999年 | 1,310 |
2000年 | 1,283 |
2001年 | 1,239 |
2002年 | 1,214 |
2003年 | 1,182 |
2004年 | 1,143 |
2005年 | 1,105 |
2006年 | 1,070 |
2007年 | 1,058 |
2008年 | 1,047 |
2009年 | 985 |
2010年 | 942 |
2011年 | 877 |
2012年 | 881 |
2013年 | 935 |
2014年 | 923 |
2015年 | 902 |
2016年 | 904 |
2017年 | 927 |
2018年 | 916 |
2019年 | 902 |
2020年 | 744 |
2021年 | 751 |
駅周辺
編集- 加賀市役所[26]
- 加賀市民会館
- 加賀郵便局
- 大同工業本社工場
- APAホテル加賀大聖寺駅前
- 国道8号
- 国道305号(国道365号・石川県道5号福井加賀線重複)
- 石川県立大聖寺高等学校
- 石川県立大聖寺実業高等学校
バス路線
編集「大聖寺駅前」停留所にて、北鉄加賀バス(加賀営業所)の路線バスが発着する。
- 1番のりば
- 山代大聖寺線:大聖寺実業高校前
- 吉崎線:塩屋
- 温泉大聖寺線:かが交流プラザさくら
- 2番のりば
- 山代大聖寺線:山代温泉・山中温泉
- 吉崎線:加賀温泉駅
- 温泉大聖寺線:加賀温泉駅
隣の駅
編集北陸鉄道 大聖寺駅
編集大聖寺駅 | |
---|---|
だいしょうじ DAISHOJI | |
◄帝国繊維前 (1.5 km) | |
所属事業者 | 北陸鉄道 |
所属路線 | 山中線 |
キロ程 | 8.9 km(山中起点) |
開業年月日 | 1913年(大正2年)3月18日[40][41] |
廃止年月日 | 1971年(昭和46年)7月11日[42] |
備考 | 路線廃止に伴う廃駅 |
概要
編集山中線の乗換駅で、国鉄の南側に位置していた。山中線の起点駅は当駅ではなく山中駅であった。
歴史
編集駅構造
編集国鉄の駅舎・ホームとつながる跨線橋を降りたところに山中線のホームがあり、ホーム上に出札口と中間改札が設けられていたが、北陸鉄道側には独自の出入口はなかった。ホームは1面2線であったが、配線の関係で国鉄とは反対側の1線のみが使用されていた(国鉄側の1線からは直接山中方面には行けない配線になっていた)。加南線では唯一国鉄との接続線があり、直江津方で線路がつながっていた。
廃止後
編集ホームと跨線橋、山中線の線路が撤去されているが、敷地はそのまま残されて資材が置かれ、除雪用車両が留置されている。
隣の駅
編集- 北陸鉄道
- 山中線
- 帝国繊維前駅 - 大聖寺駅
脚注
編集- ^ a b c d 朝日 2012, p. 22.
- ^ a b 川島 2010, p. 58.
- ^ 福井県並行在来線対策協議会 2021, p. 17.
- ^ 「北陸新幹線の予定通り延伸で連携 石川と福井知事」『日本経済新聞』日本経済新聞社、2020年10月24日、地方経済面 北陸、8面。2024年1月15日閲覧。
- ^ a b 福井県並行在来線対策協議会 2021, p. 4.
- ^ 日本国有鉄道旅客局(1984)『鉄道・航路旅客運賃・料金算出表 昭和59年4月20日現行』。
- ^ a b c d e f 「大聖寺駅「譲って」 無人化計画のJR西に加賀市 「有人」維持へ カフェ、自習室で活気」『北國新聞』2021年7月21日。2022年4月10日閲覧。
- ^ “開業50年 加賀温泉駅沸く 出店やステージ発表 フェスタ開幕”. 北陸中日新聞Web. (2020年11月15日). オリジナルの2021年4月21日時点におけるアーカイブ。 2021年7月24日閲覧。
- ^ 原武史『昭和天皇御召列車全記録』新潮社、2016年9月30日、98頁。ISBN 978-4-10-320523-4。
- ^ 『国鉄監修 交通公社の時刻表』1965年10月号「みどりの窓口」案内②、③
- ^ 『国鉄監修 交通公社の時刻表』1970年1月号・11月号「みどりの窓口」案内
- ^ a b c 石野哲 編『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』 II(初版)、JTB、1998年10月1日、135頁。ISBN 978-4-533-02980-6。
- ^ 『JR時刻表』及び『JTB時刻表』1990年3月号・4月号「索引地図」
- ^ 『北陸線(大聖寺駅~金沢駅間)IRいしかわ鉄道線、城端線(高岡駅~新高岡駅間)4月15日ICOCAサービスご利用開始~石川と富山がICOCAで���ながる~』(PDF)(プレスリリース)西日本旅客鉄道/IRいしかわ鉄道/あいの風とやま鉄道、2017年1月31日。オリジナルの2019年5月25日時点におけるアーカイブ 。2020年2月1日閲覧。
- ^ 『交通ICカード「ICOCA」の利用範囲拡大等について』(PDF)(プレスリリース)あいの風とやま鉄道、2017年1月31日。オリジナルの2019年5月25日時点におけるアーカイブ 。2020年2月1日閲覧。
- ^ “JR西日本、ICカード「ICOCA」を金沢地区・新高岡地区へ導入”. トラベルWatch (2016年2月16日). 2021年9月21日閲覧。
- ^ “富山に続き石川も「ICOCA」エリアに 4月15日、3社相互利用開始”. 乗りものニュース (2017年2月1日). 2021年9月21日閲覧。
- ^ “金沢でイコカ利用可能に 石川、富山の19駅”. 産経フォト (2017年4月15日). 2021年9月21日閲覧。
- ^ “大聖寺駅 | 駅情報:JRおでかけネット”. 西日本旅客鉄道. 2021年9月29日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年9月29日閲覧。
- ^ a b “JR大聖寺駅 無人化に向け窓口の業務終了”. NEWS. 北陸朝日放送 (2021年9月30日). 2021年10月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年10月1日閲覧。
- ^ a b “3月で6駅無人化 七尾・北陸線 JR西、利用減少”. 北國新聞. (2021年2月27日). オリジナルの2021年2月27日時点におけるアーカイブ。 2021年4月23日閲覧。
- ^ 「無人駅舎ににぎわい拠点「大聖寺ゲートウェイ」誕生 元駅長室で仕事や学習、待合室はベーカリー」『北國新聞』北國新聞社、2022年6月12日。オリジナルの2022年6月12日時点におけるアーカイブ。2022年6月12日閲覧。
- ^ 「「大聖寺ゲートウェイ」開業 ベーカリー、テレワーク続々と 加賀市、無人駅舎を再整備」『北國新聞』北國新聞社、2022年6月14日。オリジナルの2022年6月14日時点におけるアーカイブ。2022年6月14日閲覧。
- ^ 『JR北陸本線大聖寺駅再生事業に係る公募型プロポーザルの実施について』(PDF)(プレスリリース)加賀市、2021年8月12日。オリジナルの2021年9月30日時点におけるアーカイブ 。2021年9月30日閲覧。
- ^ a b c 「大聖寺駅 来月1日無人化 JR西 切符は自動券売機のみ みどりの窓口廃止」『北國新聞』北國新聞社、2021年9月10日、朝刊、32面。
- ^ a b c “石川・加賀市、大聖寺駅にぎわい再生 駅舎に利便施設”. 日本経済新聞. (2021年8月12日) 2022年4月10日閲覧。
- ^ 「並行在来線 県民の足へ」『読売新聞』2022年4月7日、大阪朝刊 福井、24面。2022年4月10日閲覧。
- ^ 川島 2010, p. 32.
- ^ きっぷの取扱い・購入方法 アーカイブ 2020年2月26日 - ウェイバックマシン - IRいしかわ鉄道
- ^ あいの風とやま鉄道株式会社「あいの風とやま鉄道 利用者説明会」 (PDF)
- ^ “JR西日本の『ICOCA』利用エリアが一体化…山陽本線と北陸本線のエリア分断が解消 9月15日から”. Response. (2018年5月30日). 2021年7月24日閲覧。
- ^ JRおでかけネット ICOCAご利用可能エリア - 西日本旅客鉄道
- ^ ICカードについて - あいの風とやま鉄道
- ^ “富山から山口までICカードのエリア統合…JR西日本「ICOCA」大幅拡大へ”. Response. (2017年10月18日). 2021年7月24日閲覧。
- ^ “JR西日本、2021年春にICOCAエリア拡大。七尾線、和歌山県内、北近畿エリアで利用可能に。3月13日~”. トラベルWatch (2020年12月21日). 2021年9月5日閲覧。
- ^ a b “無人化された北陸本線大聖寺駅、にぎわい創出の拠点に再整備”. 鉄道ホビダス (2022年6月16日). 2024年3月16日閲覧。
- ^ “大聖寺駅再生へ本腰 加賀市補正案に1億7000万円”. 北陸中日新聞Web. (2021年7月21日) 2021年7月24日閲覧。
- ^ a b “大聖寺駅時刻表”. IRいしかわ鉄道. 2024年8月17日閲覧。
- ^ “令和4年度加賀市統計書” (PDF). 加賀市. p. 80 (2023年4月). 2023年8月18日閲覧。
- ^ a b c 朝日 2011, p. 18.
- ^ 寺田 2008, p. 163.
- ^ a b c 朝日 2011, p. 19.
- ^ 『北國新聞に見るふるさと110年(上)』北國新聞社、2003年8月5日、187頁。
参考文献
編集- 寺田裕一『私鉄の廃線跡を歩く』 III 北陸・上越・近畿編、JTBパブリッシング〈Can books ; 鉄道 78-3〉、2008年5月1日。ISBN 978-4-533-07145-4。
- 川島令三『中部ライン全線・全駅・全配線』 第5巻 米原駅 - 加賀温泉駅、講談社〈【図説】日本の鉄道〉、2010年8月20日。ISBN 978-4-06-270065-8。
- 『週刊歴史でめぐる鉄道全路線 公営鉄道・私鉄』 28 えちぜん鉄道 福井鉄道・北陸鉄道・のと鉄道、朝日新聞出版〈週刊朝日百科〉、2011年10月2日。国立国会図書館書誌ID:000011276538。
- 『週刊JR全駅・全車両基地 18 北陸本線②(森本〜米原) 越美北線』朝日新聞出版、2012年12月9日。
- 『福井県並行在来線経営計画』(PDF)福井県並行在来線対策協議会、2021年10月26日。オリジナルの2024年3月29日時点におけるアーカイブ 。2024年1月15日閲覧。
関連項目
編集外部リンク
編集- 大聖寺駅 - IRいしかわ鉄道