アルビレックス新潟のMF新井泰貴(27)がボールを刈り取り、攻撃の起点になる。今季初勝利を狙う15日のアウェー町田ゼルビア戦に向け、チームはオフ明けの11日に練習を再開させている。今季J2藤枝MYFCから完全移籍で加入した左利きのボランチは、2試合連続でフル出場中。自身初のJ1舞台でリーグのプレー強度に適応しながら、ボール奪取力、配球の良さを発揮し始めた。

 

J3からはい上がったボールハンターが、今季初勝利のキーマンに名乗りを挙げた。敵地での町田戦に向け、チームは11日に再開させた練習からガチンコモード。1対1や狭いエリアでのシュートゲームが繰り返される中、新井は対峙(たいじ)する相手にしつこく、激しく体をぶつけ、ボールを奪った。「リーグ戦の嫌な流れを払拭(ふっしょく)するためにも次の町田戦で勝ちが欲しい。流れを変える一戦にしたい」。額に流れ落ちる大粒の汗を拭いながら勝ち点3奪取を誓う。

攻守においてハードワークを惜しまず、味方の足元に正確なパスを届けるレフティーは、開幕戦から4試合に出場。派手なプレーで目立つタイプではないが、中盤の底でボールを奪う技術、シンプルな配球、戦術眼を光らせ攻守をつなぐ黒子役に徹する。しかしチームはここまで3分け2敗と苦戦。勝利に貢献できず悔しさは募る。「センターバックの前でフィルターになれれば。細かい立ち位置などを見直して失点を減らし、チームの得点力を上げたい」。勝つためにできる事は全部やる。

プロでは自らの力で生き残り、切り開いて来た。産業能率大在学中に就職活動を行い一般企業から内定を得ていたが、その後に練習参加したJ3ガイナーレ鳥取からオファーが届き、20年に「第一志望」だったJデビューを果たした。23年からはリーグカテゴリーを上げてJ2藤枝で力を伸ばし、28歳を迎えるプロ6年目の今季、J1新潟にステップアップした。

チーム加入から約3カ月。ここまでの活躍はまだ勝利に直結していないが、J1舞台への挑戦は始まったばかりだ。「試合で出る課題を練習で改善できている。もっと成長スピードを上げていきたい」。常に自身と向き合い、勝利に貢献するJ1屈指のボランチになる。【小林忠】

○…開幕直前の右足肉離れで出遅れていたFW小野裕二(32)が、11日の練習から完全合流し「選ぶのは監督だが、いつでも試合に出られる準備はしている」と町田戦での今季初出場に向けて闘志をたぎらせた。チームは開幕5戦未勝利と苦しむが、「まだ何かを失ったわけではない」とキッパリ。「早くチームに貢献したい。中央の崩しなど攻撃のバリエーションを増やしたい」と話した。