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元小結「舞の海」が野村証券らに損害賠償訴訟 顧客に「脱税スキーム」を紹介した責任を問う

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取材に答える舞の海氏
東洋経済の取材に答える舞の海氏。野村証券の本社会議室で「節税メリットのある事業投資」だと説明を受け、南青山FASの公認会計士からも「(税法上)問題はない」と念を押されて投資を決断した(撮影:尾形文繁)
元力士で現在はNHKの大相撲解説者として活躍する舞の海秀平氏(以下、舞の海氏)が証券業界最大手の野村証券と、監査・税務アドバイザリーの南青山FASに��し、計6453万円の損害賠償請求訴訟を起こしたことがわかった。舞の海氏に「節税になる投資」などとして事業会社の社長を紹介し、会社の経営状況や投資リスクを十分に説明せず、結果、舞の海氏に多大な損害を被らせたとしている。事業会社の社長は後に法人税法違反(脱税)で逮捕され、現在、裁判が進行中だ。

訴状や舞の海氏への取材を基に、経緯を振り返る。

舞の海氏は5年ほど前から、野村証券に投資信託など金融商品の投資に関する助言を受けていた。コロナ禍にあった2022年2月頃、舞の海氏に野村証券担当者が次のように持ち掛けた。「特別なお客様にしか伝えていない、節税になる良い投資案件があります。よかったら事業主の社長に引き合わせます」。

舞の海氏が当時を述懐する。「コロナ禍で収入が減少していて、将来に不安を覚えていた。銀行にお金を預けていても増えない。ならば運用で増やしていくしかないと、良い投資案件を探していた。そんな時に野村証券の担当者から『特別なお客様にしか伝えていない案件がある』と言われたので、話を聞いてみたいとお答えした」。

面会場所は野村証券本社

野村証券の担当者が面会場所として指定してきたのは大手町にある同社本社。2022年3月7日、舞の海氏と顧問税理士が本社ビルに赴くと会議室に通された。紹介されたのが、電気料金削減サービスを展開するBUONOの首藤弘社長と、南青山FASの公認会計士だ。首藤氏が説明したのが「節税メリットのある事業投資」だった。

スキームは次のとおりだ。まず、舞の海氏が役員を務める舞の海カンパニーがBUONO社の顧客を獲得する販売取次店となり、BUONO社の営業活動を受託する。次に、首藤氏が実質的に経営する営業代行会社NEXT INNOVATION INCに営業を再委託する。再委託料は業務委託費(外注費)として経費に計上することで、節税メリットが生まれる。NEXTが顧客を獲得すれば舞の海カンパニーに業務対価(手数料)が入る――。

説明をする際、首藤氏は業務委託費について「一括損金で大丈夫です」「南青山と作り上げた商品であり、国税庁が来ても問題はない」と強調。同席していた舞の海カンパニーの顧問税理士が「税法上、大丈夫なのか」と重ねて問うたが、南青山FASの公認会計士は「問題はない」という趣旨の返答を繰り返したという。

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