コンテンツにスキップ

ベトナム独立宣言

提供:Wikisource

全国の同胞たちよ、 全ての人はみな、平等な権利を持って造られた。創造主は誰も侵すことのできない権利を与えた。その権利には、生存権、自由権、幸福追求権を有する。

この不滅の文言は、アメリカの1766年独立宣言の中にあるものである。より広く言えば、この文言は、世界の全ての民族がみな平等に生まれ、どの民族も生存権、幸福権、自由権を持つということを意味している。

1791年のフランス革命における人間と市民の権利の宣言(※人権宣言)も、「人は生まれながら自由であり、平等な権利を有し、常に自由であり、権利について平等でなければならない」と謳っている。これは、誰も否定することはできない。

それにもかかわらず、この80年間、フランス帝国主義者どもは、自由・平等・博愛の旗を悪用し、わが国を強奪し、わが同胞を抑圧してきた。彼らの行動は、人道と正義に反するものである。

統治において彼らは、わが人民に自由・民主を寸毫たりとも与えることはなかった。

彼らは野蛮な法律を施行した。彼らは中部・南部・北部でそれぞれ異なる制度を作り、わが国家統一を妨害し、わが民族団結を妨げた。 彼らは学校よりも数多く監獄を建てた。彼らは、わが国を愛し民族を愛する人々を斬り殺した。彼らは、血の海にわが蜂起を沈めた。 彼らは言論を統制し、愚民政策を実施した。 彼らは、アヘンとアルコールを使って、わが民族を衰弱させた。 経済において、彼らはわが民族を骨の髄まで搾取し、わが民族を困窮、欠乏させ、わが国をずたずたにし、不況に導きた。 彼らは田畑を、坑道を、資源を奪いた。 彼らは紙幣の印刷や、輸出入の権利を独占した。 彼らは数百の理不尽な徴税を行い、わが民族、特に農民と商人を貧困に陥れた。 彼らはわれわれの民族資本家の台頭を許さなかった。彼らはわが労働者を情け容赦なく搾取した。

1940年の秋、連合国に対抗する拠点を更に築くため、日本のファシストがインドシナを侵略し、フランス帝国主義者どもは跪いて日本にわが国を明け渡した。そのときから、わが民族はフランスと日本という二重の枷をかけられた。そのときから、わが民族は、日増しに困窮し、貧困にあえぎた。その結果、ついに昨年末から今年の初め、クアンチから北部にかけて、200万人の同胞が餓死した。

今年の3月9日、日本はフランス軍を武装解除した(※仏印処理)。フランス帝国主義者は逃げる者もいれば、降伏する者もいた。 つまり、彼らはわが国を保護するどころか、5年の間に2回もわが国を日本に売った。 3月9日以前に、ベトミン(※ベトナム独立同盟会)は何度もフランス人に対して、日本に対抗すべく同盟しようと呼びかけた。フランス帝国主義者はこれに応じず、より一層ベトミンを迫害した。更には、敗走の際、彼らはイエンバイとカオバンで政治犯を多数虐殺した。

しかし、フランス人に対してわが同胞は依然として寛大で人道的な態度を保ちた。3月9日の変動後、ベトミンは辺境へ逃れた数多くのフランス人を助け、日本の収容所から多数のフランス人を救出し、彼らの生命と資産を保護した。

実際、1940年の秋からわが国は日本の領土となり、もはやフランスの領土ではなかった。 日本が連合国に降伏したとき、全国のわが民族は立ち上がり政権を奪取して、ベトナム民主共和国を築いた。 実際には、わが民族は、フランスの手からではなく日本の手からベトナム国を取り戻した。

フランスは逃げ、日本は降伏し、バオダイ帝は退位した。わが民族は独立したベトナム国を建設するために、100年近く帝国主義者たちと戦いた。わが民族は、何十世紀も君主制と戦い、民主共和制を築いた。

したがって、わが新ベトナム国の臨時政府は、ベトナム全国民を代表して、フランスとの関係を離脱し、フランスが署名したベトナムに関する全ての協定を破棄し、ベトナム国におけるフランスの全ての権限を破棄することを宣言する。ベトナム全国民は、フランス植民地主義者の陰謀に対抗する覚悟を固めている。

われわれは、テヘラン及びサンフランシスコの会議で民族平等の原則を認めた国際連合が、ベトナム民族の独立する権利を認めないということはあり得ないと信ずる。 ある民族がこの80年以上にわたりフランスの奴隷であることに勇敢に対抗した。ある民族が数年にわたり連合国と共にファシストに対抗した。その民族は自由を得なければならぬ! その民族は独立を得なければならぬ!

これらの理由から、わがベトナム民主共和国の臨時政府は、世界に向けて改めて宣言する。 ベトナム国は自由及び独立する権利を持ち、実際に、自由で独立した国となった。ベトナム全国民は、この自由と独立を維持するために、精神、軍隊、生命、そして財産のすべてを持つ権利を有する。

この著作物は、日本国においては日本国著作権法13条により「憲法その他の法令」は著作権の目的とならないためパブリックドメインの状態にあり、ウィキメディアサーバの所在地であるアメリカ合衆国においては米国政府、又は他国の法律、命令、布告、又は勅令等(en:w:Edict of governmentも参照)であるため、パブリックドメインの状態にあります。“Compendium of U.S. Copyright Office Practices”、第3版、2014年の第313.6(C)(2)条をご覧ください。このような文書には、"制定法、裁判の判決、行政の決定、国家の命令、又は類似する形式の政府の法令資料"が含まれます。

国際連合やその専門機関、又は米州機構が最初に発行した著作物は対象外です。前掲資料第313.6(C)(2)条及び第17章米国法典第104(b)(5)条をご覧ください。


注意: このテンプレートはアメリカ合衆国政府、日本国以外の法令に適用されます。このテンプレートの他にその著作物が属する国においてパブリックドメインであることを示す必要があります。日本国の法令は{{PD-JapanGov}}、アメリカ合衆国政府の法令は{{PD-USGov}}を使用してください。
 

原文の著作権・ライセンスは別添タグの通りですが、訳文はクリエイティブ・コモンズ 表示-継承ライセンスのもとで利用できます。追加の条件が適用される場合があります。詳細については利用規約を参照してください。