貴田みどり
きだ みどり 貴田 みどり | |
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生年月日 | 1988年5月 |
出生地 | 神奈川県 |
身長 | 158cm[1] |
職業 | 女優、ダンサー |
ジャンル | 舞台、映画、テレビドラマ |
活動期間 | 2006年 - |
主な作品 | |
『ゆずり葉-君もまた次のきみへ-』 『心の糸』 |
貴田 みどり(きだ みどり、1988年[2]〈昭和63年〉5月 - )は、日本の女優、ダンサー。神奈川県出身[2]、亜細亜大学国際関係学部卒業。聴覚障害者(ろう者)。
略歴
[編集]生後5か月のとき、心臓病の手術の後遺症により片耳の聴力を失い、難聴になる[3][4]。3歳の頃、聞こえなくても音楽を楽しんでほしいとの家族の思い、および自身も幼い頃から身体表現が大好きだったことから、クラシック・バレエを始める[4][5]。
中学2年生のとき、手話パフォーマンスなどを行うサークル「ひよこっち」のライブで、ろう者が楽しそうに手話を用いている姿を見て、自分も参加を思い立つ[6]。サークル内の共通語は手話で、ろう学校に通う友人との会話を通して自然に手話が身につく[6]。手話を用い始めてから世界が広がり、サークルの仲間と共にタイ、中国、スウェーデン、フィンランドなど日本国外のろう者と交流する[6]。
下北沢成徳高等学校2年生時の2005年(平成17年)には全日本ろうあ連盟による「第22回全国高校生の手話によるスピーチコンテスト」に出場し、ろう者として学生時代の苦難の克服の過程、ろう者と聴者の架け橋になりたいという夢を語り、2位を受賞する[6][7]。17歳のときに手話芸術団体サインアートプロジェクト・アジアン主催のミュージカル『Call Me Hero!』に、同プロジェクト代表者である大橋弘枝の学生時代役で参加し[5]、演技の道に目覚める[3]。同時期よりジャズダンス、ヒップホップと、幅広いジャンルのダンスを習得する[8]。 この高校生活中、15歳頃から次第に聴力が低下したことから[4]、手話の必要性を痛感し、手話に真剣に取り組み始める。やがて、18才で失聴する[3]。
亜細亜大学に在学中、アメリカに5ヶ月間の留学をする。帰国後、2009年(平成21年)公開の全日本ろうあ連盟結成60周年記念映画『ゆずり葉-君もまた次のきみへ-』のオーディションの話が舞い込み[2]、初オーディションで合格する[4]。この映画では、ろう者として日本で初めて薬剤師となった早瀨久美をモデルとした役を演じ、早瀨本人から演技を評価される[9]。この映画が機となり、活躍の場が広がる[2]。自身も、それまでは一般企業への就職も考えていたものの、この映画を機に女優を志す[9]。
大学卒業後、女優業を本格化する。多くの舞台作品や、NHK総合のスペシャルドラマ『心の糸』などの出演のほか、NHK Eテレ『みんなの手話』にも講師アシスタントとしてレギュラー出演する[3]。2016年(平成28年)のリオデジャネイロパラリンピックでは、聴覚障害者に向けて手話や字幕で解説を行なう、NHK初のユニバーサル放送において、手話キャスターを務める[10]。
このほか、講演やワークショップ[11][12]、全国の高校生が手話表現力を競い合う祭典「全国高校生手話パフォーマンス甲子園」の審査員など、聴覚障害に関する公的な活動にも多数取り組んでいる[8]。
親しみやすく明るい笑顔で人気を集めており[3]、女優業においては、役に合った衣装を体型に合わせて着こなすセンスも評価されている[13]。
出演
[編集]テレビドラマ
[編集]- 心の糸(2010年、NHK総合)林加奈役
その他のテレビ番組
[編集]- みんなで応援! リオパラリンピック(2016年、NHK-Eテレ)手話キャスター
- みんなの手話(2016年、NHK-Eテレ)講師アシスタント
- ろうを生きる 難聴を生きる(NHK-Eテレ)インタビュアー
- 夢みるチカラ、かなえるチカラ(BS朝日)
- 認知行動療法(放送大学)
- 錯覚の科学(放送大学)
映画
[編集]- ゆずり葉-君もまた次のきみへ-(2009年)三井尚美役
舞台
[編集]- Call Me Hero!(2005年)大橋弘枝役
- 阿国華舞台(2011年)
- 熱海殺人事件(2013年)ハナ子役
- 天使の森からの贈りもの(2015年)佐川美穂役
- 残夏-1945-(2015年)逢沢結役
脚注
[編集]- ^ “タレントプロフィール 貴田みどり”. オフィスキイワード. 2021年1月20日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年10月8日閲覧。
- ^ a b c d “わたしたちの原点”. AERA. 朝日新聞出版 (2017年). 2017年10月9日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年10月7日閲覧。
- ^ a b c d e “女優 貴田みどりさん 前編”. 公文式. p. 1 (2013年10月4日). 2017年10月8日閲覧。
- ^ a b c d 田中英代 (2016年11月1日). “無理なことはない。可能性は自分で切り開いていくもの。前編”. Media116. ゼネラルパートナーズ. 2017年10月8日閲覧。
- ^ a b “『命・生きる力』プログラム・キャスト&スタッフ”. 水戸真奈美オフィシャル・サイト (2014年10月20日). 2016年4月23日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年10月6日閲覧。
- ^ a b c d 「「自分の世界」が手話で広がった 下北沢成徳高・貴田さん、スピーチコン出場」『朝日新聞』朝日新聞社、2005年8月26日、東京朝刊、30面。
- ^ “手話パフォーマンス甲子園実行委員会企画推進会議” (PDF). 鳥取県. p. 8 (2015年). 2017年10月7日閲覧。
- ^ a b “ノンバーバル・コミュニケーション・ワークショップ”. 国際障害者年記念ナイスハート基金. 2018年9月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年10月6日閲覧。
- ^ a b 「クローズアップ ゆずり葉」『クローバー 障がい者のための就職情報誌』第19号、ジェイ・ブロード、2009年9月、58-59頁、NCID AA12577146。
- ^ “V6三宅健、NHKパラリンピックのメインパーソナリティ就任 初のユニバーサル放送も決定”. オリコンニュース. オリコン (2016年8月3日). 2017年10月2日閲覧。
- ^ 「県聴覚障害者センター20周年 記念行事に400人」『読売新聞』読売新聞社、2017年1月12日、西部朝刊、27面。
- ^ 『貴田みどりさんの講演とワークショップを開催しました。』(プレスリリース)島根県西部視聴覚障害者情報センター、2016年10月4日 。2017年10月5日閲覧。
- ^ 「特集 情報はどこから?」『季刊みみ』第123号、全日本ろうあ連盟、2009年3月15日、20頁、NCID AN10494582。