第16空中強襲旅団戦闘団 (イギリス軍)
第16空中強襲旅団戦闘団 | |
---|---|
創設 | 1999年9月1日 |
所属政体 | イギリス |
所属組織 | イギリス陸軍 |
部隊編制単位 | 旅団 |
兵科 | 歩兵 |
兵種/任務 | 空挺 |
人員 | 6,200人[1] |
所在地 | エセックス州 コルチェスター |
上級単位 | 野戦軍 |
戦歴 |
アフガニスタン紛争 イラク戦争 カーブル陥落 |
第16空中強襲旅団戦闘団(だい16くうちゅうきょうしゅうりょだんせんとうだん、英語: 16 Air Assault Brigade Combat Team)は、イギリス陸軍の旅団のひとつで、イギリス陸軍唯一の空中機動部隊。野戦軍隷下にあり、イングランドのエセックス州コルチェスターに団本部を置く。2021年に発表された国防計画「競争時代の国防」におけるイギリス陸軍の再編計画「未来の兵士」で、第16空中強襲旅団から改編された[2]。
概要
[編集]1998年に策定された戦略防衛見直しに基づき、1999年9月1日に第5空挺旅団と第24空挺旅団を統合して新編された[3]。
2021年に発表されたイギリス陸軍再編計画「未来の兵士」(英語: Future Soldier)に基づいて部隊改編が行われ、ロイヤル・アイリッシュ連隊第1大隊が統合されて旅団は第16空中強襲旅団戦闘団とされた[4][5][6]。
歴史
[編集]マケドニア
[編集]2001年のマケドニア紛争停戦後、北大西洋条約機構(英語: North Atlantic Treaty Organization、略称NATO)主導の欠かせない収穫作戦に参加し、民族解放軍などの武装組織の武装解除に従事した[7]。
アフガニスタン
[編集]2001年のアフガニスタン紛争後、アフガニスタンの平和維持を目的とした国際治��支援部隊(英語: International Security Assistance Force、略称ISAF)に2001年、2006年、2008年、2010年から2011年にかけて派遣された[8]。2021年のターリバーン攻勢後の首都カーブル陥落の際、イギリス国民等の避難作戦「開孔作戦」に参加し、8月13日から8月28日までの間に15,000人以上をアフガニスタン国外へ避難させた[9]。
イラク
[編集]イラク攻撃に向けた2003年2月、第1師団の一部としてクウェートに展開し、訓練を実施。3月20日の開戦後、イラク南部のルマイラ油田を占領するアメリカ海兵隊を支援して同油田を確保、油田内に設置された爆薬の撤去等を行った[10]。
旅団はその後、バスラ北部に展開して補給線防衛に使用され、3月31日にはバスラへ進軍中のイラク軍を攻撃し、T-55戦車17両、榴弾砲5門、装甲兵員輸送車7両を破壊した。4月6日のイギリス軍バスラ入城後、旧市街の掃討作戦を実施した[11]。
バスラ制圧後、旅団はマイサーン県アマーラに移り、5月1日の大規模戦闘終結宣言後に順次、帰国を開始したが、6月24日にマジャール・アル・カビールでのパトロール中、多数の暴徒による襲撃で6名が死亡し、イラク戦争での同旅団最多の戦死者を出した[12]。
編制
[編集]第16空中強襲旅団戦闘団はイングランドのエセックス州コルチェスター駐屯地に旅団戦闘団本部を置き、陸軍および空軍の人員が配置されている[1]。
主要装備は機動展開を迅速に行うため軽装備となっており、FV107 シミター偵察戦闘車、ランドローバー・ウルフ多用途車、全地形機動プラットフォーム、L118 105mm榴弾砲、FGM-148 ジャベリン対戦車ミサイル、スターストリーク近距離防空ミサイルなどを有する。航空兵力は陸軍航空隊のWAH-64攻撃ヘリコプターおよびリンクス汎用ヘリコプター、空軍のチヌークHC.6A輸送ヘリコプター、ピューマHC.2輸送ヘリコプターなどを使用するが、これらは統合ヘリコプターコマンドの指揮下となっている[13]。
- 旅団戦闘団本部(エセックス州コルチェスター駐屯地)[14][15][16][17][18]
- 落下傘連隊第2大隊[18][19]
- 落下傘連隊第3大隊[18][19]
- 落下傘連隊第4大隊[18][19]
- ロイヤル・グルカ・ライフル連隊第2大隊(ブルネイ セリア)[18]
- ロイヤル・アイリッシュ連隊第1大隊(シュロップシャー州クライヴ兵営)(2027年までに再編予定)[18]
- 第7王立落下傘騎馬砲兵連隊
- 連隊本部
- 王立落下傘騎馬砲兵I大隊 - L118[20][21]
- 王立落下傘騎馬砲兵G大隊 - L118[20][21]
- A大隊名誉砲兵中隊 - L118[22][23]
- 第23落下傘工兵連隊(サフォーク州ウッドブリッジ基地)
- 第13空中強襲支援連隊[18][19]
- 第24本部中隊
- 第47航空搬送中隊[26]
- 第15空中強襲支援中隊
- 第63空中強襲支援中隊[27]
- 第82空中強襲支援中隊
- 第8王立落下傘電子・機械技術野戦中隊
- 第16医療連隊[18][19][28]
- 第216落下傘通信中隊[30]
- パスファインダー小隊[18]
歴代旅団長
[編集]代 | 氏名 | 階級 | 在任期間 |
---|---|---|---|
第16空中強襲旅団長 | |||
1 | ピーター・ウォール Peter Wall |
准将 | 1999年 - 2000年 |
2 | バーニー・ホワイト・スポンナー Barney White-Spunner |
准将 | 2000年 - 2002年 |
3 | ジャッコ・ペイジ Jacko Page |
准将 | 2002年 - 2004年 |
4 | エド・バトラー Ed Butler |
准将 | 2004年 - 2007年 |
5 | マーク・カールトン・スミス Mark Carleton-Smith |
准将 | 2007年 - 2008年 |
6 | ジェームズ・チズウェル James Chiswell |
准将 | 2008年 - 2011年 |
7 | ジャイルズ・ヒル Giles Hill |
准将 | 2011年 - 2013年 |
8 | ニック・ボートン Nick Borton |
准将 | 2013年 - 2015年 |
9 | コリン・ウィアー Colin Weir |
准将 | 2015年 - 2017年 |
10 | ニック・ペリー Nick Perry |
准将 | 2017年 - 2019年 |
11 | ジョン・クラーク John Clark |
准将 | 2019年 - 2020年 |
12 | ジェームズ・マーティン James Martin |
准将 | 2020年 - 2021年 |
第16空中強襲旅団戦闘団長 | |||
1 | ニック・カウリー Nick Cowley |
准将 | 2021年 - |
脚注
[編集]出典
[編集]- ^ a b “16 Air Assault Brigade”. forces.net. 2019年10月2日時点のオリジナルよりアーカイブ。2019年10月2日閲覧。
- ^ Future Soldier Guide, p. 76
- ^ “16 Air Assault Brigade Combat Team”. British Army. 2023年1月1日閲覧。
- ^ “British Army units from 1945 on - Royal Irish Regiment”. british-army-units1945on.co.uk. 2021年8月13日閲覧。
- ^ British Army, August 2021 Soldier Magazine. Retrieved 13 August 2021.
- ^ “16 Air Assault Brigade Combat Team” (英語). www.army.mod.uk. 2021年10月2日閲覧。
- ^ “First British troops leave for Macedonia despite safety fears”. The Independent. (2001年8月18日). オリジナルの2022年5月1日時点におけるアーカイブ。 2018年11月18日閲覧。
- ^ “Thousands welcome 16 Air Assault Brigade home from Afghanistan”. Ministry of Defence. (2011年6月8日) 2023年1月2日閲覧。
- ^ “Colchester troops deployed to Afghanistan to rescue British nationals” (英語). Gazette. 2021年8月13日閲覧。
- ^ “British troops of 16 Air Assault Brigade fight through the smoke to secure oil fields”. The Independent. (2003年3月23日). オリジナルの2022年5月1日時点におけるアーカイブ。 2018年11月18日閲覧。
- ^ “A British Thrust in Basra, Door to Door in Baghdad, and a Deadly Mistake”. The New York Times. (2003年4月6日) 2018年11月18日閲覧。
- ^ “Men who made the ultimate sacrifice”. The Telegraph. (2003年6月26日) 2015年11月1日閲覧。
- ^ Janes Defence Weekly, 23 September 2015, Tim Ripley
- ^ British Army Review Winter 2021, p. 56.
- ^ Allwood, Greg. “Know Your Army – Weapons And Organisation” (英語). Forces Network. 2021年10月9日閲覧。
- ^ “Parachute Regiment Marks 50 Years In Aldershot” (英語). Forces Network (6 July 2019). 2021年8月31日閲覧。
- ^ “Google Earth”. earth.google.com. 2021年11月11日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j k “Future Soldier Guide”. pp. 76-77. 2022年8月28日閲覧。
- ^ a b c d e “Army, Question for Ministry of Defence — current Order of Battle by manpower and basing locations for the corps.”. United Kingdom Parliament — Written questions, answers, and statements (2018年11月22日). 2020年9月15日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年2月20日閲覧。
- ^ a b “British Army units from 1945 on - 7th Regiment RHA”. british-army-units1945on.co.uk. 2021年12月1日閲覧。
- ^ a b “Regimental Family - RA Association”. www.thegunners.org.uk. 2021年12月1日閲覧。
- ^ “Honourable Artillery Company - British Army Website”. Army.mod.uk. 2016年12月23日閲覧。
- ^ “Reservists pair with Airborne gunners - British Army Website”. British Army (2016年9月27日). 2016年12月23日閲覧。
- ^ “Information regarding locations of Army Reserve units”. What do they know? (2020年7月6日). 2020年7月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2021年3月7日閲覧。
- ^ Watson & Rinaldi, pp. 335–338. (RE Order of Battle Army 2020)
- ^ Charlotte Cross (27 January 2015). “Field Hospital 'Parachuted' into Norfolk” (英語). Forces Network. 2021年8月31日閲覧。
- ^ “Fuelling UK forecourts after Afghanistan operation for soldier Sophie” (英語). www.army.mod.uk. 2021年10月21日閲覧。
- ^ Cross, Charlotte (27 January 2015). “Field Hospital 'Parachuted' into Norfolk” (英語). Forces Network. 2021年8月31日閲覧。
- ^ “16 Medical Regiment” (英語). www.army.mod.uk. 2021年3月20日閲覧。
- ^ “IN PICTURES: Ex Mercury Dagger Puts Airborne Signallers Through Their Paces” (英語). Forces Network (23 May 2018). 2021年8月31日閲覧。
外部リンク
[編集]- 16 Air Assault Brigade Combat Team - イギリス陸軍