生活費
生活費(せいかつひ)とは、人が生存していく上で最低限必要な経費。または、個人がその生活水準を維持するのにかかる費用。生計費ともいう。
概要
[編集]生活費の内訳は、その生活水準によって、あるいは国や地域によりさまざまであり、また個人の生活スタイルによっても大きく異なる。
主に固定費と流動費に分けられる。発展途上国では、固定費の占める割合が高く、先進国ほど低い傾向がある。
労働の対価より、生活費が上回る生活苦の状態を生活費危機という[1][2][3]。
必要最低限の最低生活費を算出する方法として、マーケットバスケット方式というのがある[4]。
固定費
[編集]生存に最低限必要なものが多く、毎月定期的に発生する費用で、年間を通じ大きな変動は少ない。食費をはじめ家賃や水道・光熱費、衣料品費、医療費、交通費などが上げられる。
流動費
[編集]住宅、自動車購入、手術など予期せぬ病気などにより一時的に発生する費用。積雪対策費など季節や時期、個人の一時的な享楽、娯楽などにより発生する費用。必要最低限なもの以外の洋服、アクセサリー類、その他の衣料品費をはじめ、おもちゃ、ゲーム、スポーツ、アクティビティなどの娯楽、旅行、交遊、知的好奇心から発する本の購入その他などにかかる費用も含まれる。
その他
[編集]家族の生活費を稼ぐ目的で、仕事が少なく貧困な地域から他の地域に一時的に移住することを出稼ぎという。日本では、古くから地方の農村を中心に行われ、一家の大黒柱である男性が冬季の農閑期を中心に農村から都会へ多く働きに出ることが多かった。近年では、海外から研修生名目で貧困国、発展途上国からその他の地域へ仕事を求め出稼ぎをするものが増大し、出稼ぎの国際化が顕著である。
生活費を稼ぐために、売春する女性も多く、特に発展途上国ではその数が多いことから社会問題になっている。これは発展途上国だけの問題ではなく、フランス在住のジャーナリストである鎌田聡江によると、フランスでは近年、女子学生が生活費を稼ぐために売春するケースが増えていることが指摘されている。かつては最低限の生活を維持するために行われていた売春が、近年では心理的な抵抗が少なくなり、贅沢をするために行われることが世界的に広がっている傾向がある。
出典
[編集]- ^ “今は「働く人々でさえ飢えている」英国のリアル”. 東洋経済オンライン (2023年2月2日). 2024年2月6日閲覧。
- ^ “「生活費危機」に悩める中央銀行”. 日本経済新聞 (2022年3月22日). 2024年2月6日閲覧。
- ^ “「生活費危機」で簡素化 参列者減、パレード短縮―英国王戴冠式:時事ドットコム”. 時事ドットコム (2023年5月6日). 2024年2月6日閲覧。
- ^ 「マーケットバスケット方式」 。
関連項目
[編集]- 消費者心理、エンゲル係数、人間貧困指数、物価、消費者物価指数、インフレーション・デフレーション、生活費指数、購買力平価説
- 貧困 - 絶対的貧困 - 相対的貧困 - ワーキングプア - 人権侵害 - 基本的人権 - 人間の安全保障
- 社会的排除 - 疎外 - 周縁化
- 社会的企業 - 社会問題
- 格差社会 - 自己責任 - 新自由主義
- 無縁社会
- 規制緩和 - 市場経済 - 情報の非対称性
- 同一労働同一賃金 - 非正規雇用
- 労働者派遣 - 派遣切り - 労働者派遣法
- 搾取 - ピンハネ
- 借地借家法 - 賃貸借契約
- 無料低額宿泊所
- 詐欺 - 偽善
- ブラック企業 - フロント企業
- 失敗国家、先進国、発展途上国、開発途上国
- 生活経済学会
- 自立・社会的支援