温帯夏雨気候
fa | fb | fc | fd | m | wa | wb | wc | wd | sa | sb | sc | sd | ||||||
E | 寒帯 | ET | EF | |||||||||||||||
D | 亜寒帯 | Dfa | Dfb | Dfc | Dfd | Dwa | Dwb | Dwc | Dwd | Dsa | Dsb | Dsc | Dsd | |||||
C | 温帯 | Cfa | Cfb | Cfc | Cwa | Cwb | Cwc | Csa | Csb | Csc | ||||||||
B | 乾燥帯 | BSh | BSk | BWh | BWk | |||||||||||||
A | 熱帯 | Af | Am | Aw | As |
温帯夏雨気候(おんたいかうきこう)または温帯冬季少雨気候(おんたいとうきしょううきこう)は、ケッペンの気候区分における気候区のひとつで温帯に属する。記号はCwa, Cwb, CwcでCは温帯、wは冬季乾燥(wintertrocken)を示す。温暖冬季少雨気候(おんだんとうきしょううきこう)、亜熱帯モンスーン気候(あねったいモンスーンきこう)ともいうが、冷涼な地域(Cwb、Cwc)や、Cwaでも冬季の気温が低い地域も含まれる点に注意が必要である。
アリソフの気候区分では気候帯4-4.亜熱帯東岸気候に相当する[1]。
重要な都市
Cwa 亜熱帯モンスーンまたは半湿潤気候:
- 高地: アンタナナリボ, グアダラハラ, シグアテペケ, カトマンズ, ルサカ, プレトリア
- 一般的なモンスーン: 成都, コルドバ, トクマン, ハノイ, 香港, 台北, テピック
Cwc 亜高山半湿潤気候: エル・アルト, イクチグアン, フリアカ, ランパ, ��トシ
Cwb 温暖な山岳半湿潤気候: アディスアベバ, クスコ, ワラス, ワンカヨ, ヨハネスブルグ, ラパス, メキシコ, ナイロビ, ポッソス・デ・カルダス, プエブラ, ケツァルテナンゴ, サルタ, スクレ, トルカ, 麗江
特徴
[編集]夏は降水量が多く高温湿潤となるも、冬には乾燥した気候になるのが特徴。亜寒帯との境界部を除けば冬の寒さはあまり厳しくない。また、緯度的にはサバナ気候地帯に相当するが標高が高いためにこの気候になっている地域では、夏は比較的冷涼である。
樹木は低緯度では照葉樹(雨緑林)、高緯度、高地では落葉樹、針葉樹もみられる。
条件
[編集]- 最寒月平均気温が-3℃以上18℃未満。
- 最暖月平均気温が10℃以上。
- 年平均降水量が乾燥限界以上。
- 最多雨月が夏にあり、10×最少雨月降水量<最多雨月降水量。
さらに、最暖月平均気温によっ���次の3つに分けられる。
- Cwa - 最暖月平均気温が22℃以上。
- Cwb - 最暖月平均気温が10℃以上22℃未満かつ月平均気温10℃以上の月が4か月以上。
- Cwc - 最暖月平均気温が10℃以上22℃未満かつ月平均気温10℃以上の月が3か月以下。
Cwcはアンデス山脈など、ごく限られた地域のみに点在する。
分布
[編集]分布地域
[編集]各大陸のサバナ気候及び熱帯モンスーン気候、ステップ気候(BSh)に隣接する温暖湿潤気候への移行部、またはサバナ気候地帯の緯度に相当する高地に多く分布する。他に温暖湿潤気候から亜寒帯冬季少雨気候への移行部にも分布している。
日本での分布地域
[編集]温帯夏雨気候に属する観測地点が存在するのは以下の市町村である。
この気候に属するおもな都市
[編集]熱帯モンスーン気候・サバナ気候から温暖湿潤気候の境
[編集]- 香港[3][4] - 熱帯モンスーン気候からの移行部に属する
- ハノイ(ベトナム)
- グワーハーティー(インド)[4]
- アラハバード(インド)
- プレトリア(南アフリカ)[4] - ステップ気候(BSh)からの移行部ともいえる
- コルドバ(アルゼンチン)
- 台中(中華民国)
サバナ気候地帯の緯度に相当する高原
[編集]- 昆明(中国、低緯度だが標高1892mの高原のため熱帯に入らない)[4]
- ダラット(ベトナム、低緯度だが標高1400メートルの高原のため熱帯に入らない)
- バギオ(フィリピン、低緯度だが標高約1400mの高原のため熱帯に入らない)
- アディスアベバ(エチオピア、低緯度だが標高2400mの高原のため熱帯に入らない)
- ナイロビ(ケニア、低緯度だが標高1795mの高原のため熱帯に入らない)
- アンタナナリボ(マダガスカル、低緯度だが標高1276mの高原のため熱帯に入らない)
- ハラーレ(ジンバブエ、低緯度だが標高約1600mの高原のため熱帯に入らない)
- マセル(レソト、標高1,600mの高原にある)
- メキシコシティ(メキシコ、低緯度だが標高2240mの高原のため熱帯に入らない)
- クスコ(ペルー、低緯度だが標高3399mの高原のため熱帯に入らない)[4]
- ポトシ(ボリビア、低緯度だが標高4067mの高原のため熱帯に入らない。CwcとET(ツンドラ気候)の境)
亜寒帯冬季少雨(夏雨)気候(Dw)への移行部
[編集]- ソウル(韓国、最寒月の平均気温が−2.4℃であり、気候はDwaに近い)
- 青島(中国、中緯度地方のため、冬の寒さは厳しい)[3][4]
- ラサ(中国、ステップ気候との境界地帯(年平均降水量456.9mmであり、ステップ気候との境界条件は456mm以上)、亜寒帯冬季少雨気候への移行部でもある)
気候の特徴
[編集]香港・広州など熱帯モンスーン気候またはサバナ気候 - 温暖湿潤気候への移行部では、いわゆる亜熱帯の気候を呈する事が多い。モンスーンの影響を強く受ける地域で夏は海洋からの暖かく湿った風と熱帯低気圧の影響で高温多雨となる一方、冬は大陸からの暖かく乾燥した風の影響で温暖少雨となる。
年降水量は1000 - 2000mmと多い。雨季と乾季の区別はサバナ気候のように明瞭ではなく、段階的に移り変わることが多い。また、熱帯モンスーン気候からの移行部では、乾季の降水量は極端に少なくなるものの、雨季の降水量がそれを補って余りあるほど大変多いので、年降水量は2000mm以上に達する。
低緯度では高地、中緯度では内陸部となることが多いため他の気候に比べ日較差は大きいほうである。比較的緯度が高い地域(亜寒帯冬季少雨(夏雨)気候(Dw)への移行部)では、低緯度地域に比べ冬の寒さが厳しい。
土壌と植生の特徴
[編集]農業の特徴
[編集]- アジア(華南・広東やベトナム・ミャンマー北部)では米の二期作が行われている。
- 農業の生産性が高く、米、綿花、茶、とうもろこし、小麦などの栽培が盛ん。
- 南アメリカやアフリカでは花の生産や冬の乾燥に強い芋・豆類の生産も盛ん。
脚注
[編集]参考文献
[編集]- 矢澤大二『気候地域論考―その思潮と展開―』古今書院、1989年11月20日、738pp. ISBN 4-7722-1113-6