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森正

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森正
1956年ごろ
基本情報
生誕 (1921-12-14) 1921年12月14日
日本の旗 日本
死没 (1987-05-04) 1987年5月4日(65歳没)
日本の旗 日本
職業 指揮者
フルート奏者

森 正(もり ただし、1921年12月14日 - 1987年5月4日)は、日本指揮者フルート奏者。日本指揮者協会設立メンバー。

概要

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初めはフルート奏者として盛んに活動、尾高尚忠フルート協奏曲の作曲を委嘱し初演するなど、吉田雅夫と並ぶ名手として知られた。その後、指揮者に転向し、東京交響楽団藤原歌劇団の指揮、京都市交響楽団常任指揮者、九州交響楽団常任指揮者、東京都交響楽団音楽監督兼常任指揮者[1]名古屋フィルハーモニー交響楽団音楽総監督・理事を経て、NHK交響楽団の正指揮者となる[2]二十世紀音楽研究所にも参画している[3]東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団永久名誉指揮者。

藤原歌劇団二期会とともに数多くのオペラ上演を行い、1957年伊庭歌劇賞大河ドラマのテーマ曲指揮や、NHK教育テレビフルート教室』講師での出演、『オーケストラがやって来た』ゲスト出演など、放送関係の仕事にも多く携わり、1980年NHK放送文化賞1984年紫綬褒章

経歴

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  • 大阪市出身。陸軍音楽隊出身の父の影響で、幼い頃からピアノを習い、童謡歌手として活動したこともあるとの事[4]で、後年「オーケストラがやって来た」第113回(1974年11月24日放送)にて「歓喜の歌」より1節、指揮をしながらその歌声を披露している。
  • 堺市立錦綾尋常小学校卒業。
  • 天王寺商業学校で音楽部に所属し最初はホルンを担当したが、3年の頃肋膜炎に罹ったことでフルートに転向。
  • 東京音楽学校(現・東京芸術大学)器楽科に入学しフルートを貫名美名彦(専門はピアノ、1889年1955年)に師事したが、貫名が森にそれ以上フルートの技術を指導することは無いとの判断により、翌年から代わりとして学校が用意したヘルムート・フェルマーによる指揮の授業を履修することになった。フェルマーには指揮のほか、ハーモニーや作曲、オーケストレーション等も学び、同校卒業後も継続して師事した。
  • 1941年、本科2年在籍時、定期演奏会でモーツァルトのフルート協奏曲第2番でソリストを担当し、翌1942年、同校卒業。フルート奏者として正式にデビュー。
  • 1943年東京放送管弦楽団に入団。
  • 東京大空襲で自宅を焼失し茅ヶ崎へ移ったのち戦後は尾高尚忠の自宅のある鎌倉へ転居。尾高、橘常定とトリオを組み演奏旅行を行うなど盛んに活動する。特に尾高とは家が近所だったために親しく、1948年にはフルート協奏曲の作曲を委嘱し同年初演。この版の初演は森正の独奏、尾高の指揮によるものであったが、初演オーケストラについては説が分かれる。鎌倉交響楽団説(名曲解説全集)と日本交響楽団説(CD解説)があり、森の記憶では日本交響楽団で、NHKのラジオだったという証言[5]もある。
  • この頃には既にフェルマーの影響等から、プロのオーケストラを指揮してみたいという思いを抱いており、斎藤秀雄の紹介で、陸軍音楽隊が解体されて結成された宮内省のブラスバンドをNHKのラジオで指揮することとなったが、リハーサルも行った前日になってNHKより「フルート奏者としては敬意を払うが、指揮者森正など聞いたことがない」という理由で突然降板させられるという悔しい経験をした(のち和解)。
  • 1948年頃、名古屋市公会堂における進駐軍のためのコンサートで、東京フィルハーモニー交響楽団との共演によるモーツァルトのフルート協奏曲第2番のソリストを担当するため現地へ出向いたところ、指揮者が遅刻。この時楽団員に東京音楽学校時代の先輩がおり、たまたま森がフェルマーの授業を取っていたことを覚えていたため急遽指名され、オットー・ニコライ作曲の「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲を指揮して思いがけず指揮者デビュー。リハーサル無しのぶっつけ本番、その上スコアも指揮棒も指揮者が持っていたため手元に無く、仕方なしに第1バイオリンのパート譜を借り、小指くらいの鉛筆を指揮棒代わりにしての演奏となったが、これがうまくいき[6]、これ以降同フィルの推薦が付いたことで転向を決意。
  • その後、齋藤秀雄に指揮法を改めて師事する傍ら、東京放送管弦楽団の同僚で、シベリア抑留より帰還した黒柳守綱らと東響室内楽団にも参加。

録音

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録音については、日本人作曲家による現代音楽を数多く初演するなどしてその録音を遺している。そのため作曲者メインのアルバムか、ソリストメインのアルバムに収録されていることがほとんどである。 大河ドラマのテーマ曲指揮やNHKのオムニバス盤も数多く存在するが、それらを除いて森個人がメインとなってるアルバムは、2020年現在、

  • チャイコフスキー:交響曲 第5番 他 (1967年6月30日東京都交響楽団ライブ)2005年07月20日発売 都響創立40周年記念シリーズ①
  • ラフマニノフ: 交響曲第2番 Op.27 (1980年6月21日名古屋フィルハーモニー交響楽団第71回定期演奏会ライブ) 2007年12月04日発売 名フィル40周年記念企画 ライヴシリーズ①

の僅か2枚のみ。

また、フルート奏者として以下のSP録音がある。

  • 弘田龍太郎靴が鳴る変奏曲 コロムビア管弦楽団 (1942年12月発売、日本コロムビア CK-4→AK-533 210008 「文部省学習指導要領準拠・標準小学校の音楽」第二集)

映像(すべてDVD)

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主な録音

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録音年 作曲者
曲目
独奏者
オーケストラ
レーベル
収録アルバム
1958年 入野義朗
シンフォニエッタ
NHK交響楽団 ナクソスジャパン
NYNN-0015(ダウンロードのみ)
1958年 武満徹
弦楽のためのレクイエム
NHK交響楽団 ナクソスジャパン
NYNN-0015(ダウンロードのみ)
1959年 伊福部昭
ヴァイオリンと管弦楽のための協奏曲風狂詩曲
小林武史
ABC交響楽団
フォンテック
FOCD-9638/9
1959年? 石井歓
シンフォニア・アイヌ
奥村淑子
東京交響楽団
東芝EMI
JSC-1011
1959年? グラズノフ
ヴァイオリン協奏曲
潮田益子
ABC交響楽団
フォンテック
FOCD-9697
1960年? 三善晃
音楽詩劇「オンデ���ーヌ」
岸田今日子、他
ラジオ管弦楽団
EMIミュージック・ジャパン
TOCE-9435
1961年 芥川也寸志
弦楽のための三楽章「トリプティーク」
東京交響楽団 東芝EMI
JSC-3006
1961年10月21日
レオンカヴァルロ
歌劇・道化師※合唱指揮
イタリア歌劇団
NHK交響楽団
藤原歌劇団他
キングレコード
KICC-55
1961年 宍戸睦郎
ピアノと打楽器群と管弦楽のためのピアノ協奏曲
田中希代子
ビューネン・グルッペ(現・東京ロイヤルフィルハーモニック)
ニッポン放送10周年記念レコード
PLP2(LP1061)※非売品
1967年 團伊玖磨
混声合唱曲「岬の墓」
東京混声合唱団
伴奏:田中瑤子
ビクター音楽産業
VDR-5080
「日本の合唱名曲選⑩」
1967年6月30日 チャイコフスキー
交響曲第5番
東京都交響楽団 フォンテック
FOCD-9237
1967年6月30日 ロッシーニ
歌劇「盗むかささぎ」序曲
東京都交響楽団 フォンテック
FOCD-9237
1967年11月29日
「現代日本の作品の夕べ」より
諸井誠
ピアノ協奏曲第1番
小林仁
NHK交響楽団
ナクソス・ジャパン
NYNG-004
1967年11月29日
「現代日本の作品の夕べ」より
武満徹
弧(アーク)第2部-テクスチュアズ
NHK交響楽団 ナクソス・ジャパン
NYNG-003
1967年11月29日
「現代日本の作品の夕べ」より
黛敏郎
オーケストラのための「呪」 (しゅ) ※初演
NHK交響楽団 ナクソス・ジャパン
NYNG-007
1967年11月29日
「現代日本の作品の夕べ」より
矢代秋雄
ピアノ協奏曲※ステージ初演
中村紘子
NHK交響楽団
ナクソス・ジャパン
NYNG-002
1968年3月 チャイコフスキー
ヴァイオリン協奏曲第2番
潮田益子
日本フィルハーモニー交響楽団
コロムビアミュージックエンタテインメント
COCQ-84494
1968年3月 バルトーク
ヴァイオリン協奏曲
潮田益子
日本フィルハーモニー交響楽団
コロムビアミュージックエンタテインメント
COCQ-84494
1968年4月15日 マスカーニ
歌劇「カヴァレリア・ルスティカーナ」間奏曲
東京都交響楽団 フォンテック
FOCD-9237
1968年4月15日 ヴォルフ=フェラーリ
歌劇「聖母の宝石」間奏曲 第1番
東京都交響楽団 フォンテック
FOCD-9237
1968年5月8日 尾高尚忠
フルート協奏曲
ジャン=ピエール・ランパル
読売日本交響楽団
日本コロムビア
COCO-73301
1968年8月26日 松村禎三
管弦楽のための前奏曲
NHK交響楽団 キングレコード
KICC-3024
1969年 冨田勲
「甲斐の軍勢~越後の雪」
(大河ドラマ“天と地と”オープニングテーマ~)
NHK交響楽団 RCA
BVCF-1525
1969年 サラサーテ
ツィゴイネルワイゼン他
海野義雄
CBS交響楽団
CBS
S61176
1969年2月7日
「民音現代作曲音楽祭」より
石井眞木
打楽器群とオーケストラのための「響層」
東京都交響楽団 ナクソス・ジャパン
NYNG-012
1970年4月7-9日 ベートーヴェン
ピアノ協奏曲全曲
ヴィルヘルム・ケンプ
NHK交響楽団
キングインターナショナル
KKC-2017~2019
1971年8月11-12日 柴田南雄
北園克衛による「三つの詩」
瀬山詠子
プロコルデ室内管弦楽団
キングインターナショナル
NKCD-6573
「諸井三郎とその門下の音楽」収録
1972年3月3日 別宮貞雄
ヴィオラ協奏曲
今井信子
NHK交響楽団
キングレコード
「現代日本の音楽8」収録
1972年3月
N響第574回、および第575回定期公演より
バッハ
ブランデンブルク協奏曲第3番
NHK交響楽団 ナクソスジャパン
NYNN-0022(ダウンロードのみ)
1972年3月
N響第574回、および第575回定期公演より
メンデルスゾーン
交響曲第3番「スコットランド」
NHK交響楽団 ナクソスジャパン
NYNN-0022(ダウンロードのみ)
1972年5月1-2日 清水脩
合唱組曲「山に祈る」
東京都交響楽団 CBSソニー
SOLL-7
1973年 間宮芳生
ピアノ協奏曲第2番
野島稔
NHK交響楽団
ANGEL
EAA-85012
1979年3月 モーツァルト
ヴァイオリン協奏曲第3番K216
中島幸子
東京都交響楽団
フォンテック
FO1983-6
「中島幸子/思い出のコンサート」収録
1980年6月21日 ラフマニノフ
交響曲第2番
名古屋フィルハーモニー交響楽団 Studio Frohla
B-2711
1981年5月28日
安川加壽子特別演奏会―第4回東京音楽芸術祭―より
モーツァルト
ピアノ協奏曲第23番
安川加壽子
NHK交響楽団
キングインターナショナル
KKC-2121
1981年5月28日
安川加壽子特別演奏会―第4回東京音楽芸術祭―より
野田暉行
ピアノ協奏曲※初演
安川加壽子
NHK交響楽団
ビクターエンタテインメント
VICC-60111
1981年5月28日
安川加壽子特別演奏会―第4回東京音楽芸術祭―より
ラヴェル
左手のためのピアノ協奏曲
安川加壽子
NHK交響楽団
ビクターエンタテインメント
VICC-60156
1983年2月12日 新実徳英
アンラサージュⅠ「混声合唱とオーケストラのために」
東京混声合唱団
東京フィルハーモニー交響楽団
フォンテック
FOCD-2513
1983年6月27日
「ドップラー メモリアルコンサート ライブ」より
フランツ・ドップラー作品集 東京フルートアンサンブルアカデミー DENON
OF-7100
1983年7月10日 広瀬量平
チェロ協奏曲「悲」
堀了介
東京フィルハーモニー交響楽団
ビクターエンタテインメント
VDC-5511
「現代日本の音楽名盤選⑪」収録
芥川也寸志
交響三章「トゥリニタ・シンフォニカ」
東京交響楽団 EMIミュージック・ジャパン
QIAG-50106
石井歓
バレエ組曲「まりも」
東京交響楽団 東芝EMI
CZ30-9009
ジャック・イベール
フルート協奏曲より第3楽章
金昌国
東京都交響楽団
フォンテック
FOCD-9170
金昌国「マイルストーン」収録
入野義朗
チェンバロ、打楽器と19の弦楽器のための音楽
NFCコンサートマスターズ ポニーキャニオン
PCCL-00585
「新日鉄コンサート ARCHIVE」収録
大木正夫
「古典彫像に寄する6つの前奏曲と終曲」から5曲
東京交響楽団 コロムビアミュージックエンタテインメント
COCQ-85274
「戦後作曲家発掘集成~TBS VINTAGE J CLASSICS 」収録
尾高尚忠
フルート小協奏曲Op.30
金昌国
NHK交響楽団
フォンテック
FOCD-9170
金昌国「マイルストーン」収録
黛敏郎
饗宴
東京交響楽団 EMIミュージック・ジャパン
TOCE-9431
黛敏郎
万葉集による交声曲 「杜」
NHK交響楽団
東京混声合唱団
東芝音工
LRS110
三善晃
ヴァイオリン協奏曲
海野義雄
NHK交響楽団
キングレコード
「現代日本の音楽7」収録
山田耕筰
交響長唄楽「鶴亀」※合唱指揮
総指揮:山田耕筰
東京交響楽団
東芝EMI
E8061
山田耕筰
歌劇「黒船」※合唱指揮
総指揮:山田耕筰
東京交響楽団
EMIミュージック・ジャパン
TOCE-9432/33
山田耕筰
交響曲「明治頌歌」
東京交響楽団 コロムビアミュージックエンタテインメント
COCQ-85274
「戦後作曲家発掘集成~TBS VINTAGE J CLASSICS 」収録
山田耕筰
おやさま・やまさきかや
伊藤京子栗本尊子立川清登
NHK交響楽団
ビクターエンタテインメント
30VP-3001
ロッシーニ
「セビリャの理髪師」~私は町の何でも屋
立川清登
東京都交響楽団
ポニーキャニオン
PCCL-00585
「新日鉄コンサート ARCHIVE」収録

その他、 東北放送開局10周年記念盤「東北の調べ」 東京交響楽団  東芝音工 ORS2
伊藤京子「魅惑のオペラ・アリア集」 東芝コンサート・オーケストラ EMIミュージック・ジャパン
江樺 オペラ・アリア集(1978年1月18-19日録音、ヴェルディ/プッチーニ/ポンキエッリ/ボーイト)名古屋フィルハーモニー交響楽団 ナクソス 8.225853(ダウンロードのみ)
宮原卓也「声の変遷」オペラアリア集 東京フィルハーモニー交響楽団 ライヴノーツ WWCC-7578
海野義雄「モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲全集」東京都交響楽団 CBS SONY:SOCZ 30~32
東京音楽大学の自主制作LPが複数種あるなど、オムニバスや未発売の音源を含めると世に出ていないものも合わせて更に膨大な録音を遺している。


脚注

[編集]
  1. ^ 東京都交響楽団創立50周年語り継ぐ都響 森正・初代音楽監督の時代
  2. ^ N響ザ・レジェンドアーカイブス 指揮者(ま行)
  3. ^ 柴田南雄「『第1回現代楽祭』白書」 (『音楽芸術』15巻11号、1957年11月、pp46-54)
  4. ^ フィルハーモニー1966年11月号 p36
  5. ^ フィルハーモニー1973年5月号 p31
  6. ^ フィルハーモニー1973年5月号 p32
  7. ^ 「新芸」とその時代(12)東京進出前夜――カラヤン初来日”. 毎日新聞 (2017年4月8日). 2021年2月12日閲覧。