大城立裕
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大城 立裕(おおしろ たつひろ、1925年9月19日 - 2020年10月27日)は、日本の小説家。
来歴
[編集]沖縄県中城村出身。1943年、上海の東亜同文書院大学に入学し[1]、1946年、敗戦により中退。高校教師を経て琉球政府、引き続き沖縄県庁の職員となり、主に経済・歴史編集畑を歩む。1967年、『カクテル・パーティー』で芥川賞を受賞し、沖縄初の芥川賞作家となる。「沖縄」の矛盾と苦しみと誇りをみつめた小説、戯曲やエッセーなど多くの作品を発表した。県の文化行政にも積極的に関わり、1983年から1986年まで沖縄県立博物館長を務めた。
受賞歴
[編集]- 1967年 『カクテル・パーティー』で芥川賞
- 1990年 紫綬褒章
- 1991年 沖縄タイムス賞
- 1993年 『日の果てから』で第21回平林たい子文学賞
- 1995年 那覇市文化功労者
- 1996年 勲四等旭日小綬章
- 1998年 琉球新報賞
- 2000年 沖縄県功労賞[4]
著書
[編集]- 『カクテル・パーティー』(文藝春秋、1967年)、のち角川文庫、理論社、新編・岩波現代文庫、2011年
- 『小説 琉球処分』(講談社、1968年、ファラオ企画、1991年)、のちケイブンシャ文庫、新編・講談社文庫、2010年
- 『白い季節』(沖縄風土記社、1968年、日本放送出版協会、1976年)
- 『現地からの報告・沖縄』(月刊ペン社、1969年)
- 『内なる沖縄 その心と文化』(読売新聞社、1972年)
- 『ぱなりぬすま幻想』(三笠書房、1972年)、のち角川文庫
- 『同化と異化のはざまで』(潮出版社、1972年)
- 『恩讐の日本』(講談社、1972年)
- 『神島』(日本放送出版協会、1974年)
- 『風の御主前 小説・岩崎卓爾伝』(日本放送出版協会、1974年)、のち角川文庫、ケイブンシャ文庫
- 『沖縄、晴れた日に ある転形期の思想』(家の光協会、1977年)
- 『まぼろしの祖国』(講談社、1978年)
- 『華々しき宴のあとに』(日本放送出版協会、1979年)
- 『沖縄歴史散歩 南海を生きたもう一つの日本史』(歴史散歩シリーズ:創元社、1980年)
- 『私の沖縄教育論』(若夏社、1980年)
- 『般若心経入門 ─自由自在に生きる266文字の知恵』(光文社 カッパ・ブックス、1981年)
- 『朝、上海に立ちつくす──小説東亜同文書院』(講談社、1983年、中公文庫、1988年)
- 『神女』(筑摩書房、1985年)
- 『花の碑』(講談社、1986年)
- 『天女死すとも』(岩波書店、1987年)
- 『休息のエネルギー―アジアのなかの沖縄』(農山漁村文化協会 人間選書、1987年)
- 『私の仏教平和論 戦争を抑止する英知をもとめて』(佼成出版社 ダルマブックス、1987年)
- 『神の魚』(新潮社、1989年)
- 『ノロエステ鉄道』(文藝春秋、1989年)
- 『沖縄演劇の魅力』(沖縄タイムス社 タイムス選書、1990年)
- 『後生(ぐしょう)からの声 短編集』(文藝春秋、1992年)
- 『琉球の英傑たち』(プレジデント社、1992年)
- 『琉球の季節に』(読売新聞社、1993年)
- 『日の果てから』(新潮社、1993年、講談社文芸文庫、2000年)
- 『さらば福州琉球館』(朝日新聞社、1994年)
- 『ハーフタイム 沖縄』(ニライ社、1994年)
- 『二十日夜』(中央公論社、1995年)
- 『かがやける荒野』(新潮社、1995年)
- 『世替りや世替りや 戯曲集』(三一書房、1997年)
- 『光源を求めて 戦後50年と私』(沖縄タイムス社、1997年)
- 『恋を売る家』(新潮社、1998年)
- 『水の盛装』(朝日新聞社、2000年)
- 『真珠(まだま)道 琉球楽劇集』(琉球新報社、2001年)
- 『大城立裕全集』(勉誠出版、2002年)- 立松和平・仲程昌徳・大野隆之・黒古一夫 編
- 全13巻組:1-7巻:長編、8-10巻:短編、11巻:戯曲・ノンフィクション、12-13巻:評論・エッセイ
- 『縁の風景 わたしの挿話たち100』(沖縄タイムス社、2007年)
- 『花の幻 琉球組踊十番』(カモミール社、2010年)
- 『普天間よ』(新潮社、2011年)
- 『真北風(まにし)が吹けば 琉球組踊続十番』(K&Kプレス、2011年)
- 『命凌じ坂 (ぬちしぬじびら) 自伝琉歌集』(沖縄タイムス社、2013年)
- 『対馬丸』(講談社文庫、2015年)
- 『レールの向こう』(新潮社、2015年、集英社文庫、2021年)
- 『あなた』(新潮社、2018年)
- 『焼け跡の高校教師』 (集英社文庫、2020年)
共編著ほか
[編集]- 悪石島:疎開船学童 死のドキュメント(嘉陽安男・船越義彰共著、文林書房、1961年、おりじん書房、1975年)
- 対馬丸(嘉陽安男・船越義彰共著、理論社、1982年、新版2005年)、改訂増補
- 沖縄の百年(全3巻、新里金福共著、琉球新報社編、太平出版社、1969年、新版1984年)
- 近代沖縄の歩み(上下)、近代沖縄の人びと
- 沖縄の伝説 日本の伝説2(星雅彦・茨木憲共著、角川書店、1976年)
- 最後の般若心経 貧しさから豊かさの超克へ(松原泰道共著、徳間書店、1987年)
- 作家論
- 里原昭『琉球弧の世界 大城立裕の文学』(法政大学出版局、1991年/本処あまみ庵、1997年)
- 『大城立裕文学アルバム』(黒古一夫編、勉誠出版、2004年)
- 武山梅乗『不穏でユーモラスなアイコンたち 大城立裕の文学と〈沖縄〉』(晶文社、2013年)
- 大野隆之『沖縄文学論 大城立裕を読み直す』(編集工房東洋企画、2016年)- 遺稿集で第1部
- 『沖縄を求めて沖縄を生きる 大城立裕追悼論集』(インパクト出版会、2022年)- 又吉栄喜・山里勝己・大城貞俊・崎浜慎編
- 黒古一夫『ヤマトを撃つ沖縄文学』(アーツアンドクラフツ、2023年)- 第1部(他は又吉栄喜・目取真俊)
出典
[編集]- ^ 岩波現代文庫「カクテルパーティ」(ISBN 9784006021894)作者紹介より
- ^ “芥川賞作家の大城立裕氏が死去 戦後沖縄の文学けん引”. 沖縄タイムス. (2020年10月27日) 2020年10月27日閲覧。
- ^ 古波蔵保好氏が死去
- ^ “大城立裕氏が死去 沖縄初の芥川賞作家 95歳 戦後史を体現、沖縄問題の根源問い続ける”. 琉球新報. (2020年10月28日) 2021年11月20日閲覧。
- ^ “第四十一回川端康成文学賞”. 新潮社. 2016年5月16日閲覧。