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区裁判所

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

区裁判所(くさいばんしょ、英語: Local Court)は、戦前の日本内地において、軽微な民事刑事事件の第一審を行った裁判所。当初は1881年太政官布告に基づいて設置され治安裁判所と称した。1890年裁判所構成法により区裁判所に改称された。

概要

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裁判官1人で行う単独審であった。また、現在は法務局の所管である登記事務も行っていた。現在の簡易裁判所と似ているが、簡易裁判所は区裁判所の後身ではなく、戦後新設された裁判所とされる。

管轄

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次の事項について第一審としての裁判権を有していた。

民事

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  • 訴訟物の価額が一定額以下の民事訴訟(裁判所構成法第14条第1号)
裁判所構成法の制定当時は100円以下であった。その後の経済の発達・産業取引の進歩に伴って[1]順次裁判所構成法が改正され、200円以下(明治38年法律第67号[2])、500円以下(大正2年法律第6号[3])、1000円以下(大正14年法律第5号[4])と引き上げられた。第二次世界大戦中は、裁判所構成法戦時特例により2000円以下にまで引き上げられ、終戦後も元の額に戻されず、裁判所法の制定による区裁判所の廃止まで変更されなかった。
  • 訴訟物の価額と関係なく次に掲げる事項(裁判所構成法第14条第2号)
    1. 不動産の明渡等の請求・賃貸借に関する訴訟(イ)
    2. 不動産の境界のみに関する訴訟(ロ)
    3. 占有のみに関する訴訟(ハ)
    4. 雇用者使用者間の雇用期限が1年以下の契約に関する訴訟(ニ)
    5. 旅人と旅店、飮食店等の主人・水陸運送人との間に起こった次の事項に関する訴訟(ホ)
      • 賄料・宿料・運送料・手荷物の運送料
      • 旅人が保護のために預けた手荷物・金銭・有価物
  • 破産事件(裁判所構成法第14条の2)
裁判所構成法の制定当時は地方裁判所の管轄であったが(制定当時の裁判所構成法第28条)、1922年(大正11年)の裁判所構成法改正により区裁判所の管轄に移された(大正11年法律第53号[5])。

刑事

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  • 短期1年以上の懲役禁錮を規定していない罪で、予審を経ていない刑事訴訟。(法第16条)

 なお、この規定は度々改正されており、上記は大正11年法律第53号による改正後の規定である。

一覧

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区裁判所の一覧(昭和16年法律第69号による改正後)[6]
控訴院 地方裁判所 区裁判所
東京 東京民事
東京刑事
東京・八王子
横浜 横浜・横須賀・小田原
浦和 浦和・越ヶ谷・川越・熊谷・秩父
千葉 千葉・佐倉・一宮本郷・松戸・木更津・北条・八日市場・佐原
水戸 水戸・太田・土浦・龍ヶ崎・麻生・下妻
宇都宮 宇都宮・芳賀・大田原・栃木・足利
前橋 前橋・沼田・新田・高崎・中之條・北甘楽
静岡 静岡・沼津・吉原・下田・浜松・掛川
甲府 甲府・鰍沢・谷村
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大阪 大阪・堺・岸和田
神戸 神戸・伊丹・明石・篠山・柏原・姫路・社・龍野・豊岡・洲本
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大津 大津・水口・彦根・長浜
和歌山 和歌山・妙寺・田邊・御坊・新宮
徳島 徳島・豊岡・脇町・川島
高松 高松・丸亀・観音寺
高知 高知・須崎・安芸・中村
名古屋 名古屋 名古屋・一宮・半田・岡崎・豊橋・新城
安野津 安野津・松坂・上野・四日市・山田・木本
岐阜 岐阜・八幡・大垣・御嵩・髙山
福井 福井・武生・大���・敦賀・小浜
金沢 金沢・小松・七尾・輪島
富山 富山・魚津・高岡・出町
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松山 松山・大洲・八幡浜・西条・今治・宇和島
長崎 長崎 長崎・大村・島原・佐世保・平戸・武生水・福江・厳原
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樺太 豊原・知取・真岡

脚注

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関連項目

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