ロバート・ファノ
ロバート・ファノ | |
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ロバート・ファノ(2012年、MITの教授室において) | |
生誕 |
ロベルト・マリオ・ファノ Roberto Mario Fano 1917年11月11日 イタリア王国 トリノ |
死没 |
2016年7月13日 (98歳没) アメリカ合衆国 フロリダ州ネイプルズ |
市民権 | アメリカ合衆国 |
研究分野 | 計算機科学、情報理論 |
研究機関 | マサチューセッツ工科大学 |
出身校 | マサチューセッツ工科大学 |
博士論文 | Theoretical Limitations on the Broadband Matching of Arbitrary Impedances (1947年) |
博士課程 指導教員 | アーンスト・ギルマン |
主な業績 |
シャノン・ファノ符号 Project MACの創始者 |
主な受賞歴 |
ジェームズ・H・マリガン教育メダル(1977) クロード・E・シャノン賞(1976) IEEEフェロー(1954) |
プロジェクト:人物伝 |
ロベルト・マリオ・"ロバート"・ファノ(Roberto Mario "Robert" Fano、1917年11月11日 - 2016年7月13日)は、イタリア系アメリカ人の計算機科学者で、マサチューセッツ工科大学(MIT)の電気工学と計算機科学の教授である[1]。
彼は主に、情報理論に関する研究、シャノン・ファノ符号の発明(クロード・シャノンと共に)[2]、ファノの不等式の導出などで知られる。また、ファノアルゴリズムを発明し、ファノメトリックを仮定した[3]。
生涯
[編集]ファノは、1917年にイタリアのトリノで生まれた[4][5]。ファノの父は数学者のジーノ・ファノ、兄は物理学者のウーゴ・ファノであり、いとこに物理学者のジュリオ・ラカーがいる[6]。トリノで育ち、トリノ工科大学(Politecnico di Torino)で工学を学んだ。1939年に、ベニート・ムッソリーニの下で反ユダヤ法が制定されたため、アメリカに移住した[7]。1941年にMITで電気工学の学士号を取得し、同年、MIT放射能研究所の職員となった。1947年にMITでSc.Dを取得した。指導教官はアーンスト・ギルマン���、論文のタイトルはTheoretical Limitations on the Broadband Matching of Arbitrary Impedances(任意インピーダンスの広帯域整合に関する理論的限界)だった[8]。1947年にMITの教員となった。1950年から1953年の間、MITリンカーン研究所でレーダー技術グループを率いていた[9]。
1960年代初頭にタイムシェアリングコンピュータの開発に携わり、1963年から1968年までMITのProject MACの創設ディレクターを務めた。同プロジェクトはMITコンピュータ科学・人工知能研究所に発展した[10][11]。ファノは、MIT独自の計算機科学のカリキュラムを作成する手助けもした。彼は1984年に教授を引退した[12]。
2016年7月13日に98歳で亡くなった[12]。
栄誉
[編集]1954年、「情報理論とマイクロ波フィルタの分野における貢献」でIEEEフェローに選ばれた[13]。
1973年に全米技術アカデミー、1978年に米国科学アカデミー、1958年にアメリカ芸術科学アカデミーの会員に選出された[9][14]。
1976年、情報理論の分野の業績でクロード・E・シャノン賞を受賞した[9]。
著書
[編集]情報理論における研究のほか、ファノはマイクロ波システム[15]、電磁気学、ネットワーク理論、工学教育についての書籍を出版した。彼の著書は以下の通りである。
- George L. Ragan, ed., Microwave Transmission Circuits, vol. 9 in the Radiation Laboratory Series (as co-author, 1948).
- Electromagnetic Energy Transmission and Radiation (with Lan Jen Chu and Richard B. Adler, 1960).
- Electromagnetic Fields, Energy, and Forces (with Chu and Adler, 1960).
- Transmission of Information: A Statistical Theory of Communications (1961), ISBN 978-0262561693.
出典
[編集]- ^ Markoff, John (13 March 2008). “Joseph Weizenbaum Dies; Computer Pioneer Was 85”. The New York Times: p. 22 15 August 2011閲覧。
- ^ Salomon, David (2007). Data compression: the complete reference. Springer. pp. 72–. ISBN 978-1-84628-602-5 15 August 2011閲覧。
- ^ Fano, Robert M. (April 1963). “A heuristic discussion of probabilistic decoding”. IEEE Transactions on Information Theory 9 (2): 64–73. doi:10.1109/tit.1963.1057827.
- ^ Seising, Rudolf (2007-08-08). Fuzzification of systems: the genesis of fuzzy set theory and its initial applications - developments up to the 1970s. Springer. pp. 33–. ISBN 978-3-540-71794-2 15 August 2011閲覧。
- ^ “United States Public Records Index”. FamilySearch. 9 August 2013閲覧。
- ^ The New York Times biographical service. New York Times & Arno Press. (2001). pp. 297
- ^ Morris, Errol (23 June 2011). “Did My Brother Invent E-Mail With Tom Van Vleck? (Part Five)”. Opinionator. The New York Times. 2012年3月14日閲覧。
- ^ “Theoretical Limitations on the Broadband Matching of Arbitrary Impedances - MIT Technical Report no. 41”. MIT Research Laboratory of Electronics (2 January 1948). 2013年5月18日閲覧。
- ^ a b c Lee, John A. N. (1995). International biographical dictionary of computer pioneers. Taylor & Francis US. pp. 296–. ISBN 978-1-884964-47-3 15 August 2011閲覧。
- ^ Wildes, Karl L.; Lindgren, Nilo A. (1985). A century of electrical engineering and computer science at MIT, 1882-1982. MIT Press. pp. 348–. ISBN 978-0-262-23119-0 15 August 2011閲覧。
- ^ Belzer, Jack; Holzman, Albert G.; Kent, Allen (1979-05-01). Encyclopedia of computer science and technology: Pattern recognition to reliability of computer systems. CRC Press. pp. 339–. ISBN 978-0-8247-2262-3 15 August 2011閲覧。
- ^ a b “Robert Fano, computing pioneer and founder of CSAIL, dies at 98”. MIT News Office (2016年7月15日). 2016年7月16日時点のオリジナルよりアーカイブ。2016年7月15日閲覧。
- ^ “IEEE Fellows - F”. Institute of Electrical and Electronics Engineers. 2012年3月13日閲覧。
- ^ Dates of election per the American Academy and National Academies membership lists.
- ^ Lee, Thomas H. (2004). Planar microwave engineering: a practical guide to theory, measurement, and circuits. Cambridge University Press. pp. 93–. ISBN 978-0-521-83526-8 15 August 2011閲覧。
外部リンク
[編集]- Oral history interview with Robert M. Fano 1989年4月20日、ミネソタ大学チャールズ・バベッジ研究所。ファノは、情報理論から計算機科学への移行や、高等研究計画局(ARPA)との関係について語っている。トピックとして、以下の事柄がある。マサチューセッツ工科大学(MIT)での計算機研究; ARPA情報処理技術部でのJ・C・R・リックライダーの作業; タイムシェアリングとコンピュータネットワーキングの研究; Project MAC; 計算機科学の教育; CTSSの開発; System Development Corporation(SDC); ARPANETの開発; ARPA、アメリカ国立科学財団、アメリカ海軍研究局の計算機科学の資金調達の比較。
- 1964年にファノがCTSSのデモンストレーションを行っている様子の動画 - YouTube
- ロバート・ファノ - Mathematics Genealogy Project