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ラテラルアーク

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
内暈外暈上部タンジェントアーク幻日とともに発生した上部ラテラルアーク(一番上)。
六角柱形氷晶内の光の経路。これを90度横にした形で浮遊しており、この図では、上部-は左から上へ、下部-は上から左へ光が通過する。

ラテラルアーク(lateral arc)とは、太陽の周りにできるのように分光した状のの帯の1つ。接線弧(せっせんこ)ともいう[1]

概要

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外接ハロタンジェントアークなどに比べて、などの以外の色が明瞭に現れることが多く、色のスペクトルがはっきりとしていて美しい。太陽高度によって形が著しく変化する。非常に珍しい現象で、1年に1度ないし数年に1回程度しか見られない。

その形状から上部ラテラルアーク(じょうぶ-, supralateral arc)と下部ラテラルアーク(かぶ-,infralateral arc)に分け、同一の現象と捉えないこともあるが、両者とも上空に漂う六角柱形の晶のうち、底面が水平方向を向いている(いわば、横倒し状態の)ものを太陽光が通過するさい屈折してできるものである。光の経路は、上部ラテラルアークの場合、六角柱の側面(四角形の面)から入って底面(六角形の面)から出る一方、下部ラテラルアークはその正反対で、六角柱の底面から入って側面から出ると考えられている。

「ラテラル(lateral)」はスペイン語で「側面、側面の」という意味がある[2]。おおむねどの太陽高度でも外暈(46度ハロ)に接する形で出現し、上部は太陽高度0° - 15°、下部は0° - 68°で外暈の側方に2点で接するため、この名が付いたと考えられる。

上部ラテラルアーク

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太陽の中心を通る水平線を引いた場合、その線より上の外暈に接するか、外暈の上に少し離れて存在する暈。また、どの太陽高度でも、アークは太陽の方向を内側にしてカーブしているのが特徴。

太陽が地平線にあるとき(太陽高度0°)は、アークと外暈の接点がちょうど地平線付近に来る。このときアークは左右2つに分かれている。また、地上からは見えないが、飛行機や高など地平線より下が見える状況ならば、太陽の中心を通る水平線の上下で対称な形のアークを見ることができる。

これより太陽高度が数°上がってくると、左右2つのアークの上端が接近してきてやがてつながるとともに、外暈とアークの接点が水平線より上に上がってくる。15°くらいになると、外暈の上部とほぼ重なり、接点は外暈の一番上に来る。

15°から27°までの間は、外暈とアークの接点は移動せず、アークの下側が徐々にせり上がってくる。27°を超えるとアークが外暈から離れ始め、32°を超えると消えて見えなくなる。約20°以上では、環天頂アークにほぼ接する。

下部ラテラルアーク

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太陽の中心を通る水平線を引いた場合、その線より下の外暈に接するか、外暈の下に少し離れて存在する暈。太陽高度50° - 60°以下では、アークは太陽を外側にしてカーブしているのが特徴。

太陽が地平線にあるときは、アークと外暈の接点がちょうど地平線に来る。このときアークは左右2つに分かれており、アークの大きさは上部ラテラルアークよりも小さいので区別できる。また、上部ラテラルアークと同じように上下対称である。

これより太陽高度が上がってくると、外暈とアークの接点が水平線より下に下がってくるが、上部ラテラルアークに比べて接近のペースは遅い。50° - 60°くらいになると、左右2つのアークの下端が接近してやがてつながり、カーブの向きが逆になる。

68°になると、外暈の下部とほぼ重なり、接点は外暈の一番下に来る。これより数°の間は、高度が上がっても接点は同じで、アークの上側が徐々に下がってくるのみである。それ以上になると、アークが外暈から離れていき、このあたりの高度では、環水平アークとの区別が難しい。

脚注

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  1. ^ 村井昭夫, 鵜山義晃『雲のカタログ 空がわかる全種分類図鑑』草思社、2011年、139頁。ISBN 978-4-7942-1823-0 
  2. ^ 大塚一樹『世界の戦術・理論がわかる!最新サッカー用語大事典』株式会社マイナビ、2014年、122ページ、ISBN 978-4-8399-5374-4

出典

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関連項目

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