ヒッポリュトス (神話)
ヒッポリュトス(古希: Ἱππόλυτος, Hippolytos, ラテン語: Hippolytus)は、ギリシア神話の登場人物である。
アテーナイ王テーセウスの息子。母はアマゾーンのヒッポリュテー、あるいは、メラニッペーかアンティオペー。
伝説
[編集]ヒッポリュトスは、森の中でアルテミスと共に、狩猟をしながら���活していた。彼はアルテミスとの恋を誇りとし他の女神をさげすんだために、アフロディーテの怒りを買うことになる。アフロディーテは彼の継母(父テーセウスの妻)パイドラーをそそのかし彼に求愛させたがヒッポリュトスはこれを拒む。継母はこれを恨んで彼の父でありアテネの国王のテーセウスに讒訴し[1](あるいは讒訴する遺書を残し)自殺した。
テーセウスはパイドラーの讒訴を真に受け、かつてポセイドーンから与えられた3つの願いを行使して、息子ヒッポリュトスを呪い死を願った。そしてその願いは聞き入れられる。ヒッポリュトスがトロイゼーンのサロニカ湾岸を戦車で走っていたとき、ポセイドーンが遣わした怪物(あるいは雄牛)が海から現れた。戦車を牽いていた馬はそれに驚き暴れ、ヒッポリュトスは戦車から落ち、暴走した馬に轢かれて死亡した。
エウリーピデースによれば、ヒッポリュトスは手綱に絡まり瀕死となりながら父テーセウスの前まで引きずられた。アルテミスが真相を話すとテーセウスは後悔してヒッポリュトスを許し、ヒッポリュトスは父の腕の中で死んだ。
アルテミスはヒッポリュトスの死を悼み、アスクレーピオスを説き伏せてヒッポリュトスを復活させた。しかし死すべき人間を復活させたことにゼウスは激怒し、アスクレーピオスを雷で打ち殺した(あるいは冥界に落とした)。
ウィルビウス
[編集]ローマ神話では、復活したヒッポリュトスはユーピテル(ギリシア神話のゼウスに相当するローマ神)の目から逃れるため、ディアーナ(アルテミスに相当するローマ神)により、ローマに近いネーミ(あるいはアリキア)にあるニンフのエーゲリアの洞窟に隠された。そして老人の姿に変えられ、森のディアーナ信仰の神ウィルビウスとなった。アリッチャの森と聖所では馬が���づいてはならない決まりになっていたが、これは馬がヒッポリュトスを殺したからにほかならない[2]。
系図
[編集]エリクトニオス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アイオロス | パンディーオーン | ゼウクシッペー | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
デーイオーン | エレクテウス | ピロメーラー | プロクネー | テーレウス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ケパロス | プロクリス | オーレイテュイア | ボレアース | ケクロプス | クスートス | クレウーサ | オルネウス | メーティオーン | クトニアー | ブーテース | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
クレオパトラー | カライス | ゼーテース | パンディーオーン | アカイオス | イオーン | ペテオース | エウパラモス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
プレークシッポス | パンディーオーン | パラース | リュコス | ニーソス | メネステウス | ペルディクス | ダイダロス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
キオネー | ポセイドーン | アイトラー | アイゲウス | メーデイア | スキュラ | エウリュノメー | タロース | イーカロス | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
エウモルポス | アンティオペー | テーセウス | パイドラー | ベレロポーン | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
ヒッポリュトス | アカマース | デーモポーン | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||