ヌマゼリ
ヌマゼリ | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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福島県中通り地方 2020年9月上旬
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分類(APG IV) | |||||||||||||||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
Sium suave Walter var. nipponicum (Maxim.) H.Hara (1952)[1] | |||||||||||||||||||||||||||||||||
シノニム | |||||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||||||||||||||
ヌマゼリ(沼芹)[5] |
ヌマゼリ(沼芹、学名: Sium suave var. nipponicum)は、セリ科ムカゴニンジン属の多年草。トウヌマゼリ Sium suave を基本種とする変種[5][6][7][8]。別名、サワゼリ(沢芹)[5]。
特徴
[編集]根は白くてひげ状になる。茎は直立し、多く分枝して、高さは60-100cmになり、緑色で中空になり、稜線がある。茎葉は互生し、葉柄があり、葉柄の基部が葉鞘になって茎を抱く。根出葉の葉柄は長い。葉は7-9個からなる奇数羽状複葉になり、小葉は狭卵形から広披針形で、長さ3-10cm、幅1-2cm、縁に鋸歯があり、側小葉に小葉柄はない。上部の茎葉はしだいに小型になり、小葉の数も少なくなる。植物体全体に無毛[5][6][7][8]。
花期は7-9月。茎頂か、分枝した先端に複散形花序をつける。花は白色の5弁花で花弁は内側に曲がる。複散形花序の下にある総苞片、小花序の下にある小総苞片は、広線形で下方に沿う。小さな三角形の萼歯片がある。雄蕊は5個、子房は下位で、花柱は2個ある。果実は長さ3-3.5mmになる楕円形または倒卵形で、分果の隆条は太く相接し、分果の断面はほぼ五角形になる。油管は10個ほどある[5][6][7][8]。
分布と生育環境
[編集]日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、低地の湿地や、池、沼、小川などの岸辺に生育する[5][6][7][8]。世界では、朝鮮半島、中国大陸(東北部)に分布する[7]。
名前の由来
[編集]和名ヌマゼリは、「沼芹」の意で、別名、サワゼリ「沢芹」ともに生育環境を表す[5]。1856年(安政3年)に出版された飯沼慾斎の『草木図説』に「サハゼリ」「ヌマゼリ」の名前がある[9]。
種小名(種形容語)suave は、「快い」「気持ちのよい」の意味。変種名 nipponicum は、「日本の」の意味[10]。
種の保全状況評価
[編集]絶滅危惧II類 (VU)(環境省レッドリスト)
(2020年、環境省)
都道府県のレッドデータ、レッドリストの選定状況は次の通り[11]。 岩手県-Aランク、宮城県-準絶滅危惧(NT)、福島県-絶滅危惧II類(VU)、茨城県-絶滅危惧II類、栃木県-要注目、群馬県-絶滅危惧IA類(CR)、埼玉県-絶滅危惧IA類(CR)、千葉県-要保護生物(C)、東京都-情報不足(DD)、神奈川県-絶滅(EX)、静岡県-絶滅危惧IB類(EN)、愛知県-絶滅(EX)、三重県-絶滅(EX)、滋賀県-分布上重要種、京都府-絶滅種、大阪府-絶滅(EX)、兵庫県- Aランク、山口県-絶滅危惧IA類(CR)、徳島県-絶滅(EX)、香川県-絶滅危惧I類(CR+EN)、愛媛県-絶滅危惧IB類(EN)、高知県-絶滅危惧IA類(CR)、長崎県-準絶滅危惧(NT)、熊本県-絶滅危惧IA類(CR)、大分県-絶滅の恐れのある地域個体群(LP)、宮崎県-絶滅危惧IA類(CR-r,g,d)、鹿児島県-絶滅危惧I類
ギャラリー
[編集]-
先端に複散形花序をつける。花は白色の5弁花で花弁は内側に曲がる。
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複散形花序の下にある総苞片、小花序の下にある小総苞片は、広線形で下方に沿う。
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茎は直立し、多く分枝して、緑色で稜線がある。
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葉柄の基部が葉鞘になって茎を抱く。葉は奇数羽状複葉になり、小葉は狭卵形から広披針形で、縁に鋸歯があり、側小葉に小葉柄はない。
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果実は楕円形または倒卵形で、分果の隆条は太く相接する。
基本種、変種
[編集]- トウヌマゼリ(唐沼芹) Sium suave Walter (1788) var. suave[12] - ヌマゼリの基本変種。茎は中空で、6-7個の稜があり、高さ60-100cmになる。小葉は7-17個あり、長さ10cm前後、幅5-15mmと細く、線形に近い披針形になり、縁の鋸歯は鋭い。ヌマゼリと比べ、萼歯片が目立たない。別名、ホソバトウヌマゼリ。本州、北海道、中国大陸の他、北半球に広く分布する[6][7][13]。
- ヒロハヌマゼリ Sium suave Walter var. ovatum (Yatabe) H.Hara (1952)[14] - トウヌマゼリの変種。小葉が広くて卵形になる。はじめ、矢田部良吉 (1891)により、Sium ovatum Yatabe、ヒロハノヌマゼリとされたもの[14][15]
脚注
[編集]- ^ ヌマゼリ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ ヌマゼリ(シノニム) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ ヌマゼリ(シノニム) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ ヌマゼリ(シノニム) 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ a b c d e f g 『新分類 牧野日本植物図鑑』p.1244
- ^ a b c d e 『原色日本植物図鑑・草本編II(改訂53刷)』p.15
- ^ a b c d e f 鈴木浩司 (2017)「セリ科」『改訂新版 日本の野生植物 5』pp.399-400
- ^ a b c d 南谷忠志 (2015)「ヌマゼリ」『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプランツ 増補改訂新版』p.224
- ^ 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(5)、コマ番号26/101、国立国会図書館デジタルコレクション-2021年9月11日閲覧
- ^ 『新分類 牧野日本植物図鑑』pp.1504, 1515
- ^ ヌマゼリ、日本のレッドデータ検索システム、2021年9月11日閲覧
- ^ トウヌマゼリ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ 『新北海道の花』p.127
- ^ a b ヒロハヌマゼリ 「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- ^ 矢田部(1891).
参考文献
[編集]- 北村四郎・村田源著『原色日本植物図鑑・草本編II(改訂53刷)』、1984年、保育社
- 梅沢俊著『新北海道の花』、2007年、北海道大学出版会
- 矢原徹一他監修『絶滅危惧植物図鑑 レッドデータプランツ 増補改訂新版』、2015年、山と溪谷社
- 牧野富太郎原著、邑田仁・米倉浩司編集『新分類 牧野日本植物図鑑』、2017年、北隆館、ISBN 9784832610514
- 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 5』、2017年、平凡社、ISBN 9784582535358
- 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名-学名インデックス」(YList)
- 日本のレッドデータ検索システム
- 飯沼慾斎 草木図説前編20巻(5)、コマ番号35/101、国立国会図書館デジタルコレクション-2021年9月11日閲覧
- 矢田部(1891) Ryokichi Yatabe「A New Japanese Sium」『植物学雑誌』第5巻第49号、日本植物学会、1891年、73-74頁、doi:10.15281/jplantres1887.5.73、ISSN 0006-808X、NAID 130004211453。