コンテンツにスキップ

テヘラン方言

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

テヘラン方言:لهجه تهرانی, lahje-ye tehrānī)は、ペルシア語の方言のひとつで、ペルシア語の口語としてイランでもっとも有力なものである。イランの文語である標準ペルシア語と比べ、二重母音が融合して長単母音化する等の差異がある。なお、古テヘラン方言ペルシア語版とは別のものである。

発音の特徴

[編集]

標準ペルシア語の発音と比べ、テヘラン方言の発音には以下のような特徴がある。

  • 単語末にある「ان」[ɒːn]、「انه」、一部の「ام」[ɒːm]の長母音「ا」[ɒː]が、多くの場合「و」[uː]になる。
標準ペルシア語 テヘラン方言
خانه [xɒːne] خونه [xuːne]
جان [dʒɒːn] جون [dʒuːn]
آرام [ɒːrɒːm] آروم [ɒːruːm] 安らぎ
  • 「اؚ」[e]がしばしば「ی」[i]と発音される。
標準ペルシア語 テヘラン方言
شکر [ʃekær] شیکر [ʃikær] 砂糖
کشمش [keʃmeʃ] کیشمیش [kiʃmiʃ] 干しぶどう
بلیت [beliːt] بیلیت [biliːt] チケット
جگر [dʒegær] جیگر [dʒigær] 肝臓
شلنگ [ʃelaŋg] شیلنگ [ʃilaŋg] 大股
  • 単語の最後の子音がしばしば脱落する。
標準ペルシア語 テヘラン方言
او در خانه نیست [uː dær xɒːne niːst] اون خونه نیس [uːn xuːne niːs] 彼は家にいない
هنوز نرفتی [hænuːz næræftiː] هنو نرفتی [hænuː næræftiː] まだ行かない
  • 定目的格を表す「را」[rɒː]が「رو」[roː]または[oː]([iː]の後では[joː])と発音される。
標準ペルシア語 テヘラン方言
ما را ببین [mɒː rɒː bebːn] ما رو ببین [mɒː roː bebːn'] 我々を見よ
دستت را بلند کن [dæstæt rɒː bolænd kon] دستتو بلند کن [dæstætoː bolænd kon] (君の)手を上げよ
علی را ببین [æliː rɒː bebːn] علی رو ببین [æliː roː bebːn] アリーを見よ
علی‌یُ ببین [æliːjoː bebːn]
برزو را بزن [borzuː rɒː bezæn] دبرزو رو بزن [borzuː roː bezæn]
[borzuːoː bezæn]