うつのみや百景
うつのみや百景(うつのみやひゃっけい)は、栃木県宇都宮市の魅力ある風景として宇都宮市が選定した風景(百景)[1]。宇都宮市がまちづくりを進める上で「本市の風景を再発見し、その魅力を伝え、守り育てることの大切さを市民の皆さんと考えていく契機[2]」とすべく、市民に対して百景の候補となる風景を募集し、2003年(平成15年)2月に当時の市域から100か所を選定して公表した[3][4]。
その後、平成の大合併で市域に編入した旧上河内町・河内町域からも選定を行い、2010年(平成22年)以降は110か所となっている[2]。
対象・選考基準
[編集]対象となる風景は、
- 自然
- 歴史・伝統・文化を感じさせる風景
- まちなみ
- 道路・公園・建物などを含む風景
- 生活や産業を感じさせる風景
これらの中から下記の選考基準に該当し、「市民に愛着、親しみ、誇りを感じさせる魅力的な風景」が選ばれた[2]。
- 宇都宮の自然の豊かさを感じさせるもの
- 宇都宮の古い歴史・伝統、豊かな文化を感じさせるもの
- 楽しさ、賑わいなどの活力を感じさせるもの
- 宇都宮の「顔」にふさわしいもの
- 「やすらぎ」「うるおい」を感じさせるもの
選考プロセス
[編集]宇都宮市は2001年(平成13年)6月に宇都宮大学工学部教授の藤本信義を会長とする「うつのみや百景選考委員会」を設立すると同時に、市民に対して百景の候補となる風景を募集した[6]。一部の市内小中学校からの集団応募も行われ、市立簗瀬小学校では、5年生が総合的な学習の時間に「宇都宮のいいところ」というテーマの学習を行ったため72人が応募し、市立旭中学校からも73人が集団で応募した[7]。
2002年(平成14年)5月31日に応募受付が締め切られ[7]、市は応募総数1,020件から重複分を整理した365か所を百景候補としてリストアップした[8]。同年8月に、市は自治会長など2,386人の市民に対して、百景候補から好きな風景を5つ選んでもらうアンケートを実施し、その結果を選考委員会の判断材料の1つとして提示した[8]。
同年9月26日、選考委員は第1回投票を行い、10月30日にまず53か所を選出した[9]。続いて、第1回投票で1か所も選定されなかった2地区から3か所を先に選定し、第2回投票で39か所を選出した[9]。残る5か所は年が明けた2003年(平成15年)1月29日の第3回投票で選出、百景の選定作業が終了した[9]。市は2003年(平成15年)2月に「うつのみや百景」を正式に選定・公表した[3]。
2007年(平成19年)3月31日に編入合併した旧上河内町・河内町域での選定は、2009年(平成21年)度事業として行われ、2010年(平成22年)3月に10か所を追加選定した[2]。
一覧
[編集]選定後に消滅や変更があったものについては注釈にて述べる。
番号 | 百景名称 | 地域 | 所在地 |
---|---|---|---|
1 | 清住通りの古いまちなみ | 中央・西 | 泉町ほか |
2 | オリオン通り | 江野町ほか | |
3 | ふるさと宮まつり | 大通り一丁目ほか | |
4 | 旭町の大いちょう | 中央一丁目 | |
5 | シンボルロード | 中央一丁目ほか | |
6 | ユニオン通り | 伝馬町ほか | |
7 | 二荒山神社 | 馬場通り一丁目 | |
8 | 出初式 | ||
9 | 菊水祭 | 馬場通り一丁目ほか | |
10 | バンバ通り | 馬場通り二丁目ほか | |
11 | 日野町通り | 二荒町 | |
12 | 宇都宮城址公園 | 本丸町 | |
13 | 釜川プロムナード | 曲師町ほか | |
14 | カトリック松が峰教会 | 松が峰一丁目 | |
15 | 宇都宮市保健センターからみた宮の橋 | 簗瀬・城東 | 駅前通り一丁目 |
16 | JR宇都宮駅から見た大通り | 駅前通り三丁目ほか | |
17 | 旧篠原家住宅 | 東・錦 | 今泉一丁目 |
18 | 田川の遊歩道 | 今泉二丁目ほか | |
19 | 今泉八坂神社の太々神楽 | 今泉四丁目 | |
20 | 初市 | 大通り一丁目ほか | |
21 | 桜咲く慈光寺 | 塙田一丁目 | |
22 | ポプラ並木のある遊歩道 | 市街地東部 | 今泉町 |
23 | 越戸せせらぎ通り | 越戸二丁目ほか | |
24 | スカイブリッジ遊歩道 | 宿郷三丁目ほか | |
25 | 宇都宮大学のフランス式庭園 | 峯町 | |
26 | 宇都宮駅東公園のイチョウ並木 | 元今泉五丁目 | |
27 | 宇都宮大学工学部前の桜並木 | 陽東七丁目ほか | |
28 | 聖ヨハネ教会礼拝堂 | 市街地西部 | 桜2丁目 |
29 | JRA競走馬総合研究所(旧宇都宮育成牧場)[注 1] | 下荒針町ほか | |
30 | 駒生運動公園と駒生湿地 | 鶴田町 | |
31 | 羽黒神社と雨情の石碑 | ||
32 | なかよし通り | ||
33 | 六道の古いまちなみ | 西原一丁目 | |
34 | 新川の桜並木 | 西原一丁目ほか | |
35 | 桜咲く護国神社 | 陽西町 | |
36 | 栃木県中央公園と県立博物館 | 睦町 | |
37 | 宇都宮市立図書館前のイチョウ並木 | 市街地南部 | 明保野町 |
38 | 陽南第1公園 | 大塚町 | |
39 | 宮原球場通りのナンキンハゼ並木 | 陽南一丁目 | |
40 | 戸祭台団地 | 市街地北部 | 戸祭台 |
41 | 宇都宮タワーからの眺望 | 塙田五丁目 | |
42 | 八幡山公園 | 塙田五丁目ほか | |
43 | 桜咲く蒲生神社 | 塙田五丁目 | |
44 | シダレ桜咲く祥雲寺 | 東戸祭一丁目 | |
45 | トチノキ並木のある官庁街 | 本町 | |
46 | そば畑と篠井の山なみ | 篠井 | 石那田町 |
47 | 日光街道の桜並木 | 石那田町ほか | |
48 | うつのみや平成記念子どもの森から見た田園集落 | 篠井町 | |
49 | 榛名山と田園 | 下小池町 | |
50 | 宇都宮市水道局の第6接合井 | 富屋 | 上金井町 |
51 | 智賀都神社 | 徳次郎町 | |
52 | 二宮堰と篠井富屋連峰 | 徳次郎町ほか | |
53 | 西根集落 | 徳次郎町 | |
54 | 大谷景観公園周辺の姿川と岩肌 | 城山 | 大谷町 |
55 | 大谷観音のある大���寺 | ||
56 | 大谷石が採掘された岩肌 | 大谷町ほか | |
57 | 平和観音と大谷公園 | 大谷町 | |
58 | 大谷資料館地下の採掘跡 | ||
59 | 宇都宮今市線沿線の大谷石建造物の風景 | 大谷町ほか | |
60 | 唐沢池 | 古賀志町 | |
61 | 古賀志山山頂からの眺望 | ||
62 | 宇都宮今市線から見た古賀志山 | ||
63 | 城山西小学校の孝子桜 | ||
64 | 駒生川の遊歩道ととちぎ健康の森 | 駒生町 | |
65 | 多気山持宝院と社叢 | 田下町 | |
66 | 赤川ダムと古賀志山 | 福岡町 | |
67 | 栗谷沢ダム | 国本 | 新里町 |
68 | 宇都宮市農林公園 | ||
69 | 野沢町にある竹林の風景 | 野沢町 | |
70 | 田川沿いに広がる田園と日光連山、鞍掛山などの山なみ | 豊郷 | 瓦谷町 |
71 | 豊郷台団地 | 豊郷台二丁目ほか | |
72 | うつのみや文化の森公園と宇都宮美術館 | 長岡町 | |
73 | 長岡の百穴古墳 | ||
74 | 宇都宮丘陵と田川 | 長岡町ほか | |
75 | 長岡樹林地 | 長岡町 | |
76 | 仏舎利塔周辺からみた風景 | 長岡町ほか | |
77 | 栃木県立農業大学校内にある掩体壕 | 清原 | 上籠谷町 |
78 | 清原工業団地のケヤキ並木 | 清原工業団地 | |
79 | 飛山城跡 | 竹下町 | |
80 | 飛山城跡からみた鬼怒川と日光連山 | ||
81 | 宇都宮花火大会の風景 | 道場宿町ほか | |
82 | 石井の桜づつみ | 石井・平石 | 石井町 |
83 | 鬼怒川サイクリングロードから見た鬼怒川 | 石井町ほか | |
84 | シダレ桜咲く廣琳寺 | 平出町 | |
85 | 鬼怒ふれあいビーチ[注 2] | 瑞穂野 | 上桑島町 |
86 | 桑島大橋から見た鬼怒川 | 下桑島町 | |
87 | イチョウが美しい成願寺 | 西刑部町 | |
88 | みずほの自然の森公園 | ||
89 | 聖山公園と遺跡の広場 | 姿川 | 上欠町 |
90 | 初網沼 | ||
91 | 上欠陸橋から見た田園と姿川 | 下砥上町 | |
92 | 鶴田沼 | 鶴田町 | |
93 | 栃木県子ども総合科学館 | 西川田町 | |
94 | 栃木県総合運動公園 | 西川田四丁目 | |
95 | 塚山古墳 | 西川田七丁目 | |
96 | 川田橋から見た田川と平地林 | 横川 | 川田町 |
97 | 宇都宮真岡線沿道のアカマツ林 | 下栗町 | |
98 | 田川コスモスロード | 東横田町ほか | |
99 | 雀宮東小学校から見た田園風景と筑波山 | 雀宮 | 下反町町 |
100 | 桜咲く雀宮神社 | 雀の宮一丁目 | |
101 | 梵天祭り | 上河内 | 今里町 |
102 | 羽黒山 | 今里町ほか | |
103 | 羽黒山からの眺望と羽黒山神社 | 今里町 | |
104 | ほたるの里 梵天の湯 | ||
105 | 下小倉下組大杉 | 下小倉町 | |
106 | 西組のシダレ桜 | 河内 | 上田原町 |
107 | 西下ヶ橋の谷川 | 下ヶ橋町 | |
108 | 岡本家住宅 | 下岡本町 | |
109 | 桜づつみと鬼怒グリーンパーク白沢 | 白沢町 | |
110 | 白沢宿のまちなみ |
取り組み
[編集]フォトコンテスト
[編集]宇都宮市は、うつのみや百景事業への市民の関心を高めることを狙い、百景候補の募集開始に先立つ2001年(平成13年)5月1日に、「『うつくしの宮・風景』フォトコンテスト」作品募集を開始した[11]。2002年(平成14年)1月31日に募集は締め切られ、58人122点の応募があった[11]。同年2月13日に審査を行い、最優秀賞に宇都宮市森林公園で撮影された「瞬光の森」を選出した[11]。
バスツアー
[編集]宇都宮市では、市民の参加を募り、市職員やボランティアがガイドとなって、うつのみや百景に選ばれた場所を巡る日帰りのバスツアーを開催している[12]。施設入場料と旅行傷害保険料を除いて参加費は無料で、1回のツアーで車窓見学を含め7 - 9か所程度、百景選定地を巡る[12]。
脚注
[編集]- 注釈
- 出典
- ^ 宇都宮市都市開発部都市計画課 2003, p. 1.
- ^ a b c d “うつのみや百景について”. 宇都宮市都市整備部景観みどり課都市景観グループ (2021年10月25日). 2022年1月4日閲覧。
- ^ a b 宇都宮市都市開発部都市計画課 2003, p. 1, 22.
- ^ 宇都宮市都市開発部都市計画課 2003, p. 1, 22-23.
- ^ 宇都宮市都市開発部都市計画課 2003, 表紙の裏.
- ^ 宇都宮市都市開発部都市計画課 2003, p. 25.
- ^ a b 宇都宮市都市開発部都市計画課 2003, p. 23.
- ^ a b 宇都宮市都市開発部都市計画課 2003, p. 22, 26-27.
- ^ a b c 宇都宮市都市開発部都市計画課 2003, p. 28.
- ^ “うつのみや百景(瑞穂野地域 4箇所)”. 宇都宮市都市整備部景観みどり課都市景観グループ (2019年4月1日). 2022年2月5日閲覧。
- ^ a b c 宇都宮市都市開発部都市計画課 2003, p. 24.
- ^ a b “景観まちづくり講座事例集 B-4.参加者を募集して行う”. 景観まちづくり教育ホームページ. 国土交通省都市・地域整備局公園緑地・景観課 景観・歴史文化環境整備室. 2022年1月24日閲覧。
参考文献
[編集]- 宇都宮市都市開発部都市計画課『うつのみや百景』宇都宮市、2003年2月、29頁。
関連項目
[編集]外部リンク
[編集]- うつのみや百景 - 公式サイト