新幹線E7系・W7系電車
新幹線E7系・W7系電車 | |
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E7系F12編成 (新高岡駅 2015年3月14日) | |
基本情報 | |
運用者 |
東日本旅客鉄道(E7系) 西日本旅客鉄道(W7系) |
製造所 |
川崎重工業車両カンパニー 日立製作所笠戸事業所 総合車両製作所横浜事業所(E7系) 近畿車輛(W7系) |
製造年 | 2013年 - |
運用開始 | 2014年3月15日 |
投入先 | 北陸新幹線 |
主要諸元 | |
編成 | 12両編成 (10M2T) |
軌間 | 1,435 mm |
電気方式 | 交流25,000 V 50 Hz/60 Hz |
最高運転速度 |
260 km/h(高崎以西) 240 km/h(高崎以東) |
設計最高速度 | 275 km/h |
起動加速度 | 1.6 km/h/s |
編成定員 | 934→924名(普通車853→843名・グリーン車63名・グランクラス18名)[1] |
編成重量 | 540 t |
編成長 | 300.25 m |
全長 |
25,000 mm(中間車) 26,000 mm(先頭車) |
全幅 | 3,380 mm |
全高 | 3,650 mm |
車体 | アルミニウム合金(ダブルスキン構造) |
台車 |
DT211(電動車) TR7010・TR7010A(付随車) |
主電動機 | かご形三相誘導電動機MT207 |
主電動機出力 | 300 kW |
駆動方式 | WN駆動方式 |
編成出力 | 12,000 kW |
制御方式 | IGBT素子VVVFインバータ制御 |
制動装置 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重・滑走再粘着・遅れ込め制御付) |
保安装置 | DS-ATC |
備考 | 出典[2][3][4][5][6][7] |
新幹線E7系・W7系電車(しんかんせんE7けい・W7けいでんしゃ[注 1])は、東日本旅客鉄道(JR東日本)・西日本旅客鉄道(JR西日本)の新幹線車両(新幹線電車)。JR東日本所有車がE7系、JR西日本所有車がW7系とされているが、呼称以外に仕様の差異が無いことが公表されていることから本項では両車を一括して解説を行う。
概要
北陸新幹線長野 - 金沢間延伸開業に際し、JR東日本・JR西日本が共同開発・導入[12][13]した車両で、新規に設定された「かがやき」「はくたか」「つるぎ」のほか、1997年から東京 - 長野間で運転されている「あさま」で運用される[注 2]。
系列名は、JR東日本所有車はE1系以降に制定された同社の新幹線車両系列名付与方法に準じE7系、JR西日本所有車もこれに準じる形でW7系が付与された[14]。
基本仕様は、最高速度がE2系と同じ260 km/h[12][13]、編成はMT比10M2Tの12両とした上でE5系に引き続きグリーン車より上級クラスのグランクラスを導入。定員はグランクラス18名・グリーン車63名・普通車853名の計934名[12][13]だったが、荷物置き場設置に依り普通車10名減の843名、計924名に変更になった。
製造はE5系・H5系を製造した川崎重工業車両カンパニー・日立製作所笠戸事業所のほか、総合車両製作所横浜事業所がE7系のみ、近畿車輛がW7系のみを担当[15]。北陸新幹線金沢開業時点での投入予定編成数はE7系が17編成、W7系が10編成の27編成計324両であった[16][17]。
開発に至る経緯
2011年12月13日に毎日新聞が「北陸新幹線延伸開業時の車両はE2系をベースにした新型車両をJR東日本が導入する方針」と報じ[18]、翌14日には北陸地方を基幹とするメディアも一斉に報道した。2012年1月にJR西日本区間を所管する同社金沢支社長が定例会見でJR東日本との共同開発方針を言及[19]、雪害対策の必要性から開業1年前となる2013年冬シーズンに実車試験を予定しているとの趣旨を発表。同年9月4日にJR東日本・JR西日本両社で共同開発の公式発表を行った[12][13][20]。
構造
トータルデザイン
共通キーワードを”和”とし、今後首都圏と北陸新幹線沿線を結び、日本の伝統文化と未来をつなぐという意味から「”和”の未来」を車両のデザインコンセプトとした。エンツォフェラーリ・E6系のデザイナー・奥山清行の監修により[21]、川崎重工業が以下のキーワードを元にし担当した[22]。2014年10月1日に財団法人日本産業デザイン振興会の2014年度グッドデザイン賞を[23][24]、2015年5月21日に「鉄道友の会」の第58回(2015年)ブルーリボン賞をそれぞれ受賞した[8][9][25][26]。
- 『洗練』
- 日本の伝統と最新技術の融合により新たな価値を生むことで表現。
- 『ゆとり・解放感』
- 和風空間に集うことで得られる心地よさで表現。
車両外観
車体はアルミニウム合金のダブルスキン構造を採用しており、先頭車のノーズ長はE2系と同じ9.1 m である。
- JR側から川崎重工に対し「E2系とは違うイメージにして欲しい」という要望があった[27]。
- またE954形電車(FASTECH 360 S)の「ストリームライン」デザインとの類似性を指摘されることもあるが、川崎重工では「ストリームラインは日立製作所が開発したもので、それをベースにしたということはない」としている[27]。
運転台はキャノピー型であるが、これは新幹線500系電車を開発したJR西日本が共同開発したことにより実現した。
車体幅は後述する車体傾斜装置を装備していないことで3,380 mm となり、E5・H5系と比べて30 mm 広くなった。車体断面積はE2系の11 m2 よりも若干小さい10.9 m2 である。床下機器は吊り下げ式で車体と連続した形状のカバーで覆われているが、台車部分は完全には覆われておらず、下部が開放された形状である。車体連結部分では、E5・H5系で装備されていた車体間ダンパーは装備されず、外幌はE2系と同様の側縮幌を採用した。
外観デザインは高速走行するための造形と日本の伝統的な色使い、走行する沿線の風景を融合させ、スピード感と精悍さを表現した。先頭形状は環境性能を考慮した空気力学的な最適形状[注 3]にデザインされ、環境性能に考慮した造形にされた。また塗装は、車体上部色が空色、車体色がアイボリーホワイト、車体中央の帯色が銅色(カッパー)および空色である。
両先頭車となる1・12号車の両側面には「輝く未来に向かって突き進むイメージ」をコンセプトに未来への希望・日本の伝統工芸の緻密さ・速さを表現したシンボルマークが配置される[28][29][30]。
電源・制御機器
主電動機はE5系・H5系・E6系と共通する出力300kWのMT207形かご形三相誘導電動機を搭載する。制御は架線からの単相交流25 kV を降圧後に商用周波数50/60 Hz 自動切換式TM215形主変圧器で、勾配抑速ブレーキならびに定速制御機能を装備するCI23形主変換装置内蔵のコンバータにより直流へ整流した後、VVVFインバータにより三相交流へ再変換した上で行う。
編成は先頭車2両が制御付随車、中間車はすべて電動車とした10M2Tの12両編成を組成し、30‰勾配区間で2ユニットカットによる3ユニット6電動車での起動を可能とした電動車ユニットは、上述の主変換装置および主変圧器を搭載するE726形・W726形(M2)と主変換装置のみを搭載するE715形・W715形もしくはE725形・W725形(M1)で組成。E725形0番台・400番台ならびにW725形100番台・300番台にはPS208A形パンタグラフ[注 4]を搭載する。
各M2車へ給電する特高圧引通線は、設計最高速度が275km/hであることからE2系1000番台同様に車体屋根上へ露出して設置。4 - 5・6 - 7号車間屋根上では傾斜形ケーブルヘッドを介して接続する。
- 故障発生時にはここで引通をカットできる構造であり、4 - 5号車でカットすれば2 - 5号車の2ユニット[注 5]と6 - 11号車の3ユニットに、6 - 7号車でカットすれば2 - 7号車の3ユニット[注 5]と8 - 11号車の2ユニットに分割できる構造を採用。
このほか、停電時に非常ブレーキが動作するまでの空走距離短縮を図った停電検知装置を搭載。またサービス用補助電源は周波数切替に対応するため出力を周波数60Hzの三相交流440Vとし、編成間で並列運転を行うことにより冗長性を確保する[7]。
台車
油浴式潤滑ツバ付円筒コロ軸受・脱線逸脱防止用L字ガイド装着軸箱を装備する2枚支持板式軸箱支持軽量ボルスタレス台車で、電動車がDT211形、制御車は前位運転台側に北陸新幹線新規開業区間となる長野 - 金沢間で採用された貯雪式高架橋に対応するため強化型台車排障装置を装備するTR7010A形、後位連結面側にTR7010形を装着する[7]。
基礎ブレーキは、E5・H5系と同じく空圧式で電動台車がキャリパー式車輪ディスクブレーキ(各車輪1枚)、付随台車がキャリパー式車輪ディスクブレーキ(各車輪1枚)+ 車軸ディスクブレーキ(各軸1枚)を装備する。
グリーン車ならびに普通車には減衰力切換式セミアクティブサスペンションを、グランクラス車とされたE714形には空気アクチュエータ式フルアクティブサスペンションとバックアップ用のセミアクティブサスペンションを装備する。
- E714形・W714形ではフルアクティブサスペンションのシステムエラーなどによる故障時にはバックアップとしてセミアクティブサスペンションが作動する。
E5・H5系に搭載されていた車体傾斜装置は、最高速度が北陸新幹線では260 km/h、上越新幹線では240 km/hとされたため未搭載である。
車内設備
グリーン車は東京寄り車端の1か所に、普通車およびグランクラスは各車両端の2か所に客用扉・デッキを設置する。
トイレは2両に1か所の割合として奇数号車金沢・新潟寄りならびに12号車東京寄りに洋式2基・男性用小便器2基・洗面台2基の構成で設置。このうち洋式ならびに洗面台1基は女性専用とした。7・11号車には車いす対応設備ならびに多機能トイレを、7号車には加えて多機能室を設置する[5]。
車内自動放送はE7系・W7系とも共通で堺正幸によるものであるが、チャイムはE7系が上越新幹線と同一仕様、W7系が北陸新幹線開業記念ソングとして谷村新司が書き下ろした「北陸ロマン」とする相違点がある[注 6]。
照明はJR東日本の新幹線車両としては初めて全LED化を実施。普通車を含む全座席に電源コンセントを設置する[注 7]。
車内デザインは「大人の琴線に触れる『洗練さ』と心と体の『ゆとり・解放感』」を車両のトータルコンセプトとし、日本の伝統と最新技術の融合により新たな価値を生むことで『洗練さ』を、和風の空間に集うことで得られる心地よさで『ゆとり・解放感』を表現した。
またグランクラスおよびグリーン車には、シャープ・川崎重工業・デンソーが共同開発したプラズマクラスター技術をベースとした空気浄化システムを搭載する[31]。
日本国外からの乗客や、冬季におけるスキー・スノーボードなどの大きな荷物を持った乗客が増えたことを受け、11号車のグリーン車のデッキスペースと普通車の偶数号車の東京寄2席(1番D・E席)の座席を撤去して、荷物置場を設置した[32][33]。
座席
- グランクラス
- 伝統を感じる空間と先進の機能を持つシートがお互いを高めあうことで、居心地の良いゆとりある空間を表現。
- グランクラスデッキには、日本の美しい四季を表現した飾り柱を設置しており、先頭車両前方(金沢・新潟寄り)のデッキには冬、先頭車両後方(東京寄り)のデッキには春・夏・秋を表現している。
- 通路を挟んで1列+2列にシートピッチ1,300 mm で配置する。付帯設備として枕・読書灯・インアーム式テーブル・カクテルテーブル・電源コンセントを装備する[5]。
- グリーン車
- 日本の伝統的な様式美とモダンな感覚とをアレンジすることで、落ち着きや気品を表現。
- 通路を挟んで2列 + 2列にシートピッチ1,160 mm で配置する。東京駅での折り返し時間を考慮して自動回転機能を搭載する[4]。付帯設備として枕・読書灯・取っ手・背面テーブル・ドリンクホルダー・電源コンセントを装備する[5]。
- 普通車
- 通路を挟んで3列 + 2列にシートピッチ1,040 mm で配置する。グリーン車同様に自動回転機能を搭載する[4]。付帯設備として枕・取っ手・背面テーブル・ドリンクホルダー・電源コンセントを装備する[5]。
- 旅への期待やワクワク、相反するシックで大人の雰囲気を共存させることをコンセプトとし、座り心地および腰部ホールド感向上のため背面傾斜と連動して座面を斜め後ろ下方に引き込む形式のリクライニング機構を採用した[5]。
形式
中間車はいずれも電動車で4 - 9号車は奇数号車 (M1) と偶数号車 (M2) でそれぞれ1ユニット、2・3号車は1号車の、10・11号車は12号車の制御車を組み合わせたユニットとする総計5ユニットで12両編成を組成する。なお、編成記号はE7系がF編成、W7系がW編成である。
- E7系・W7系で共通の番台区分[注 9]となるのはE726形・W726形のみである。
- W7系は同一ユニット内の各形式の番台区分をユニット番号×100に統一したことから、系列内に0番台は存在しない[注 10]。
- E714形・W714形 (T'sc)
- 12号車に組成される金沢・新潟寄りグランクラス制御車。E714形は0番台、W714形は500番台に区分。
- E715形・W715形 (M1s)
- 11号車に組成されるグリーン中間電動車。主変換装置を搭載し、車椅子対応設備を設置。E715形は0番台、W715形は500番台に区分。
- E723形・W723形 (T1c)
- 1号車に組成される東京寄り普通制御車。トイレ・洗面所を設置。E723形は0番台、W723形は100番台に区分。
- E725形・W725形
- いずれも普通中間電動車。主変換装置を搭載し、トイレ・洗面所を設置。
- E725形0番台・W725形100番台 (M1)
- 3号車に組成。集電装置を屋根上に搭載する。
- E725形100番台・W725形200番台 (M1)
- 5号車に組成。
- E725形400番台・W725形300番台 (M1k)
- 7号車に組成。集電装置を屋根上に搭載するほか、車内に車椅子対応設備・多目的室・車内販売準備室を設置。
- E725形200番台・W725形400番台 (M1)
- 9号車に組成。
- E726形・W726形
- いずれも主変換装置・主変圧器を搭載する普通中間電動車。両形式とも番台区分が共通する。
- 100番台 (M2)
- 2号車に組成。
- 200番台 (M2)
- 4号車に組成。
- 300番台 (M2)
- 6号車に組成。車内に乗務員室を設置。
- 400番台 (M2)
- 8号車に組成。
- 500番台 (M2)
- 10号車に組成。
-
E714-1
(12号車) -
E715-1
(11号車) -
E726-501
(10号車) -
E725-201
(9号車) -
E726-401
(8号車) -
E725-401
(7号車) -
E726-301
(6号車) -
E725-101
(5号車) -
E726-201
(4号車) -
E725-1
(3号車) -
E726-101
(2号車) -
E723-1
(1号車)
E7系編成表
← 東京 金沢・新潟・仙台 →
| ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
号車 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
形式 | E723形 (T1c) |
E726形 (M2) |
E725形 (M1) |
E726形 (M2) |
E725形 (M1) |
E726形 (M2) |
E725形 (M1k) |
E726形 (M2) |
E725形 (M1) |
E726形 (M2) |
E715形 (M1s) |
E714形 (Tsc) |
番台区分 | 0 | 100 | 0 | 200 | 100 | 300 | 400 | 200 | 500 | 0 | 0 | |
等級 | 普通車 | グリーン車 | グランクラス | |||||||||
定員 (名) |
50 | 100→98 | 85 | 100→98 | 85 | 90→88 | 58 | 100→98 | 85 | 100→98 | 63 | 18 |
自重 (t) |
41.3 | 44.7 | 46.1 | 45.2 | 46.4 | 45.2 | 46.5 | 45.2 | 46.4 | 45.0 | 45.6 | 44.5 |
ユニット | 1ユニット | 2ユニット | 3ユニット | 4ユニット | 5ユニット |
編成番号 | 落成日 | 製造会社 | 備考 |
---|---|---|---|
F1 | 2013年11月27日[34] | 川崎重工業[34] | |
F2 | 2013年12月26日[34] | 日立製作所[34] | |
F3 | 2014年1月30日[34] | ||
F4 | 2014年2月24日[34] | 川崎重工業[34][35] | |
F5 | 2014年3月18日[34] | ||
F6 | 2014年6月2日[35] | ||
F7 | 2014年6月26日[35] | 総合車両製作所 横浜事業所[35] |
|
F8 | 2014年7月14日[35] | ||
F9 | 2014年8月27日[35] | ||
F10 | 2014年9月16日[35] | 日立製作所[35] | |
F11 | 2014年10月6日[35] | 総合車両製作所 横浜事業所[35] |
|
F12 | 2014年11月10日[35] | ||
F13 | 2014年12月19日[35] | 日立製作所[35] | |
F14 | 2015年1月19日[35] | ||
F15 | 2015年2月6日[35] | 川崎重工業[35] | |
F16 | 2015年4月8日[36] | 日立製作所 | |
F17 | 2015年3月6日[35] | 川崎重工業[35] | |
F18 | 2015年10月26日[37] | 総合車両製作所 横浜事業所[37] |
|
F19 | 2017年3月 | 川崎重工業 | |
F20 | 2018年10月 | ||
F21 | 2018年11月 | 日立製作所 | |
F22 | 2018年11月11月0 | 川崎重工業 |
W7系編成表
← 東京 金沢 →
| ||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
号車 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
形式 | W723形 (T1c) |
W726形 (M2) |
W725形 (M1) |
W726形 (M2) |
W725形 (M1) |
W726形 (M2) |
W725形 (M1k) |
W726形 (M2) |
W725形 (M1) |
W726形 (M2) |
W715形 (M1s) |
W714形 (Tsc) |
番台区分 | 100 | 200 | 300 | 400 | 500 | 500 | 500 | |||||
等級 | 普通車 | グリーン車 | グランクラス | |||||||||
定員 (名) |
50 | 100→98 | 85 | 100→98 | 85 | 90→88 | 58 | 100→98 | 85 | 100→98 | 63 | 18 |
自重 (t) |
41.3 | 44.7 | 46.1 | 45.2 | 46.4 | 45.2 | 46.5 | 45.2 | 46.4 | 45.0 | 45.6 | 44.5 |
ユニット | 1ユニット | 2ユニット | 3ユニット | 4ユニット | 5ユニット |
落成から営業運転までの経緯
落成・納入
E7系は、第1陣となるF1編成が2013年10月22日・28日の2回に分けて6両ずつ川崎重工業車両カンパニー(川崎重工業兵庫工場)から出場し船積み[41]、同月30日には仙台港で陸揚げされ新幹線総合車両センターへ陸送納入された[42]。同年11月28日には報道公開された。さらに同月30日からはF2編成の陸揚げが開始された。
一方、W7系はW1編成が2014年4月7日に川崎重工業車両カンパニーで公開[43]され、翌8日に神戸港を出港し10日に金沢港へ入港、翌11日に陸揚げされた[44]。12日未明から10・11・12号車の3両を皮切りに白山総合車両所へ3両ずつ陸送され、15日に全車の搬入が完了した[45]。同年11月15日までにW7系10編成120両がすべて納入された[46]。
試運転
E7系は当初東北新幹線仙台 - 北上間でF1編成が試運転を実施したが、2013年12月14日未明から15日にかけて長野までの入線を実施[47]。F2編成も2014年1月9日に長野新幹線車両センターへ、同月11日に東京新幹線車両センターへ回送され、同月15日から本格的な試運転が開始された[48]。また上越新幹線での試運転も同年4月15・16日に新潟新幹線車両センターへ回送されたF5編成が実施[49]したのを皮切に他編成も「あさま」運用の間合いで新潟までの試運転を実施、金沢開業後も継続して行われた。
W7系は2014年4月30日に白山総合車両所内で走行試験を実施し[50]、6月22日には白山総合車両所と併せて報道公開。8月1日からは列車走行試験を開始[51][52]。8月5日には上越妙高 - 金沢 - 白山総合車両所で試験走行、8月7日には試験走行の区間を長野まで延長した[53]。
10月23日には、長野 - 上越妙高 - 金沢 - 白山総合車両所へE7系が初入線し走行試験を同月31日まで実施した[51][52][54]。
12月8日からは金沢延伸開業前日の2015年3月13日まで、長野 - 上越妙高 - 金沢 - 白山総合車両所間でE7系・W7系を使用した車両走行試験・乗務員訓練・設備確認等の各種試運転を実施し、長野 - 上越妙高間を1日あたり最大25往復、上越妙高 - 金沢 - 白山総合車両所間を1日あたり最大14往復走行した[55][56]。
「あさま」への先行投入
2014年3月15日のダイヤ改正から、E7系3編成を使用して東京 - 長野間「あさま」7往復へ先行導入。グランクラスはシートサービスのみとした上で営業運転を開始した[57]。
以降はほぼ毎月1編成のペースで落成し、順次「あさま」運用充当のE2系を以下の日程で置換えを実施した。
E7系「あさま」先行投入列車数一覧 | |||
---|---|---|---|
置換日 | 東京 - 長野 | 東京 - 軽井沢 | 軽井沢 - 長野 |
3月14日[57] | 7往復 | ||
4月19日[58][59] | 11往復 | ||
7月5日[60][61] | 13往復 | 下り1本[注 11] | |
8月8日[60][61] | 18往復 | ||
11月8日[62][63] | 20往復 | 1往復[注 12] |
金沢延伸開業後
2014年8月27日発表の北陸新幹線金沢開業後運行計画[64][65]では、以下の列車に充当されることが明らかにされた。
- かがやき
- はくたか
- つるぎ
- あさま
2015年3月14日のダイヤ改正でこれらの運用を開始し、同時にW7系も営業運転を開始した[66][67]。
2015年秋以降にE7系・W7系をそれぞれ1編成ずつ追加することを発表[68][69]。同年12月25日にE2系を置換え完了し北陸新幹線の定期列車は全て本系列に統一された[70]。
上述したように東京 - 高崎間を除く上越・東北新幹線内では試運転実績のみで定期列車運用はないが、2016年11月7日・8日に仙台 - 金沢間で東北新幹線・北陸新幹線を直通運転する団体専用列車[71][72]にE7系が充当され、東北新幹線大宮以北では初の営業運転となった。
上越新幹線への投入(予定)
2017年4月4日付のJR東日本の定例社長会見で、2018年度より上越新幹線(東京‐新潟間)に北陸新幹線向けと同一仕様のE7系12両編成(11編成132両)を順次投入し、2020年度末までにE4系を全車置き換えて上越新幹線の車種をE7系とE2系に統一すると発表した[73]。定員の増加やグランクラスの提供、 乗り心地の向上など、車内サービスの向上を図ることを理由に挙げている。
導入に先立って、2017年9月には大宮-新潟間にて、最高速度向上の際の安全性や沿線環境対策に関する基礎データの収集を目的にパンタグラフ部分に遮音板を設置した上で速度向上試験が行われた[74][75]。
脚注
注釈
- ^ 「W7」の読みは「ダブルなな[10]」、または「ダブリューなな[11]」。
- ^ 本系列には「あさま」で運用されているE2系が、新幹線車両の平均寿命を越えて15年以上運用され続けていることから、車両更新の意味合いも含まれている。
- ^ One-motion line ワンモーションラインとネーミング。
- ^ E5系・H5系に搭載されるPS208形をベースに多分割擦り板を通常の分割擦り板へ変更。
- ^ a b 5号車は4号車から、7号車は6号車から受電するためそれぞれユニットの繋がりは切れない。
- ^ 2015年9月30日までは、他のJR西日本所属新幹線車両と同一の「いい日旅立ち・西へ」を使用。
- ^ 北陸新幹線では軽井沢 - 佐久平間・上越妙高 - 糸魚川 - 黒部宇奈月温泉間に周波数50/60 Hzの切替区間が存在するが、車内電源コンセントの周波数は60 Hzに統一される。
- ^ E5系U29編成以降ならびにH5系は、車内照明のLED化により普通車全席にコンセントを設置。
- ^ 500系など東海道・山陽・九州新幹線における番台区分とは異なる。
- ^ W7系以外の東北・上越新幹線などの車両で0番台が存在しないのは、E1系ではE153形・E158形、E2系ではE226形、E3系ではE321形(E311形からの改造車)、E4系ではE453形・E456形・E459形、E5系・H5系ではE526形・H526形、E7系ではE726形が該当。
- ^ 同列車は平日運転で土曜日ならびに一部休日を運休することから臨時列車扱いである。
- ^ 軽井沢発着列車は週末ならびに一部休日は軽井沢 - 長野間を臨時列車扱いで延長運転を実施する。
出典
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参考文献
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- 編集部「別冊付録 JR旅客会社の車両配置表/車両のデータバンク」『鉄道ファン』639号(2014年7月号)、交友社、2014年5月21日、38頁、ASIN B00JWXHOCI。
- 編集部「別冊付録 JR旅客会社の車両配置表/車両のデータバンク」『鉄道ファン』651号(2015年7月号)、交友社、2015年5月21日、36-37,46。
- 『鉄道ジャーナル』(成美堂出版)
- JR東日本 鉄道事業本部運輸車両部車両技術センター JR西日本 鉄道本部車両部車両設計室「E7系/W7系新幹線電車の概要」『鉄道ジャーナル』第569号、鉄道ジャーナル社(成美堂出版)、2014年3月、76-81頁。
外部リンク
- JR東日本
- E7系について - meets新幹線(JR東日本新幹線サイト)
- E7系 かがやき/はくたか/つるぎ/あさま - 列車案内(JR東日本公式サイト)
- JR西日本
- W7系車両について - 北陸新幹線スペシャルサイト