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ミノカサゴ属

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ミノカサゴ属
ネッタイミノカサゴ Pterois antennata
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 条鰭綱 Actinopterygii
: スズキ目 Scorpaeniformes
亜目 : カサゴ亜目Scorpaenoidei
: フサカサゴ科 Scorpaenidae
亜科 : ミノカサゴ亜科 Pteroinae
: ミノカサゴ属 ''Pterois
学名
Pterois (Oken, 1817)
英名
Lionfish
本文参照

ミノカサゴ属Pterois)は中部太平洋からインド洋サンゴ礁海域に住む有毒ので、英語では一般にlionfishと呼ばれる。赤、白、クリーム色や黒色の縞模様を持ち目を引く警告色、よく目立つ胸鰭、有毒の鰭条が特徴である[1]。10余種に分類されているが、研究が進んでいるのは、ハナミノカサゴP. milesである。観賞魚としても人気がある[1]。たいてい単独で生活している。夜行性で夜間に小型の甲殻類や小魚などを捕食し、日中は岩陰などに潜んでいる。

ごく最近、属を分割する見解が提唱された(詳しくは次節参照)。

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ハナミノカサゴ

FishBaseによれば、ミノカサゴ属には以下の12種が含まれる[2]

2023年に分子系統解析も含めた分類の見直しの結果、Dendrochirus の一部の種を含む側系統群であるとして、属を分割する見解が提唱された。その場合、上記のうち上の5種がPterois属に帰属し、ネッタイミノカサゴ以下7種はPteropterus属とされた[3][4]

生態

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背ビレと腹ビレ、尻ビレの一部に毒腺があるが、温めると毒による痛みは緩和する。

遊泳速度は遅いが、特殊な浮袋で姿勢を制御する。別種のミノカサゴ同士でもヒレを合図として使用し、群れで小魚を追い詰める狩りを行う[5]

ミノカサゴは複雑な求愛行動と交尾行動をとる。メスをめぐって、オス同士は毒針を使った戦いを行い。メスは、粘液でまとまった卵塊を2個産卵する。卵塊の粘液は水中で溶けて、卵を散布させる[6]

人間や環境へのかかわり

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漁獲が少なく未利用魚となりやすいが、食用となる[7][8]

外来種とその利用

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1980年代から、ハナミノカサゴが西大西洋からカリブ海に、インディアンライオンフィッシュ英語版P. milesが地中海に、それぞれ人為的に分布を広げ、外来種として問題になっている。頂点捕食者で手が付けられず、岩陰に隠れて捕まえるのが難しく、サンゴ礁を荒廃させることから、自律型無人潜水機[9][10][11]遠隔操作型潜水機を使った駆除が行われている[12]。ホンジュラスのロアタン海洋公園では、サメを調教して食させている[13]

食用
これらの外来種を駆逐するため、2010年に米国海洋大気庁(NOAA)は「やっつけられないなら、食べてしまおう!」というキャッチフレーズで食卓のメニューにするキャンペーンをしている[13][14]
皮革、ヒレの利用
魚皮は財布、ベルト、ハンドバッグなどに利用されている[15]。また、ヒレやトゲをアクセサリーに加工して販売も行われている[16]

関連項目

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出典・脚注

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  1. ^ a b National Geographic. “Lionfish”. 2013年12月21日閲覧。
  2. ^ Froese, Rainer, and Daniel Pauly, eds. (2012). Species of Pterois in FishBase. December 2012 version.
  3. ^ 松沼瑞樹,本村浩之(2011)ミノカサゴ亜科魚類ミズヒキミノカサゴ(新称)Pterois mombasaeの日本からの初記録および近縁種ネッタイミノカサゴP.antennataとの形態比較.魚類学雑誌58(1):27-40.
  4. ^ Chou T-K, Liu M-Y and Liao T-Y (2023) Systematics of lionfishes (Scorpaenidae: Pteroini) using molecular and morphological data. Front. Mar. Sci. 10:1109655. doi: 10.3389/fmars.2023.1109655
  5. ^ ミノカサゴがチームで狩り、ヒレで合図”. natgeo.nikkeibp.co.jp. 2024年12月15日閲覧。
  6. ^ Ruiz-Carus, Ramon; Matheson, Richard E.; Roberts, Daniel E.; Whitfield, Paula E. (2006-03-01). “The western Pacific red lionfish, Pterois volitans (Scorpaenidae), in Florida: Evidence for reproduction and parasitism in the first exotic marine fish established in state waters”. Biological Conservation 128 (3): 384–390. doi:10.1016/j.biocon.2005.10.012. ISSN 0006-3207. https://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0006320705004131. 
  7. ^ 日本放送協会 (2022年10月24日). ““未利用魚”に熱い視線 値段のつかない魚もおいしく!|おはBiz|おはよう日本|NHK”. NHK NEWS WEB. 2024年12月15日閲覧。
  8. ^ Eat lionfish? Sure, but beware of the nasty toxins” (英語). NBC News (2012年6月27日). 2024年12月15日閲覧。
  9. ^ 増殖する外来種の駆除に「海のルンバ」が大活躍”. MITテクノロジーレビュー. 2024年12月15日閲覧。
  10. ^ サンゴの天敵ミノカサゴ、駆除ロボット開発へ 「ルンバ」応用”. CNN.co.jp. 2024年12月15日閲覧。
  11. ^ US Department of Commerce, National Oceanic and Atmospheric Administration. “What is a lionfish?” (英語). oceanservice.noaa.gov. 2024年12月15日閲覧。
  12. ^ Watson, Sara Kiley (2020年1月17日). “This harpoon-throwing robot is designed to hunt destructive lionfish” (英語). Popular Science. 2024年12月15日閲覧。
  13. ^ a b 食用キャンペーン、サメで外来魚駆除”. natgeo.nikkeibp.co.jp. 2024年12月15日閲覧。
  14. ^ ""Have you seen me?" (PDF). An Integrated Assessment of the Introduction of Lionfish (Pterois volitans/miles complex) to the Western Atlantic Ocean. National Centers for Coastal Ocean Science (Report). National Oceanic and Atmospheric Administration. 3 April 2003. p. 22."
  15. ^ Luscombe, Richard (2022年6月12日). “Fish leather is here, it’s sustainable – and it’s made from invasive species to boot” (英語). The Guardian. 2024年12月15日閲覧。
  16. ^ 米澤佳代子 (2017年11月12日). “日本政府と世銀がタッグを組む「JSDFプロジェクト」! 11月15日に都内でセミナー”. ganas – 途上国・国際協力に特化したNPOメディア. 2024年12月15日閲覧。