ヒツジ属
ヒツジ属 | ||||||||||||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ヒツジ Ovis aries
| ||||||||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
| ||||||||||||||||||||||||||||||
学名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Ovis Linnaeus, 1758[1] | ||||||||||||||||||||||||||||||
タイプ種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
Ovis aries Linnaeus, 1758 | ||||||||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ヒツジ属[2][3] | ||||||||||||||||||||||||||||||
種 | ||||||||||||||||||||||||||||||
ヒツジ属(ヒツジぞく、Ovis)は、偶蹄目ウシ科に含まれる属。
分布
[編集]ウシ科内では最も広域に分布する[3]。
形態
[編集]最大種はアルガリで体長オス180 - 200センチメートル、肩高オス115 - 130センチメートル、体重オス95 - 180キログラム[3][4]。[4]。メスよりもオスの方が大型になる[2]。尾は短いが[2]、家畜種はこの限りではない[3]。顎に髭状の体毛は伸長しない[3][4]。
雌雄共に角があり(ムフロンの一部個体群を除く)、多くの種で角はカーブし先端が前方や外側へ向かう[2][3]。角の断面は三角形で、角表面の皺が明瞭[3]。角の色彩は褐色[3]。眼下部に臭腺(眼下腺)がある[2][3][4]。涙骨には窪みがある[3]。上顎骨と鼻骨の間に、前顎骨が突出しない[3]。鼠蹊部(鼠蹊腺)、蹄の間(蹄間腺)に臭腺がある[2][3][4]。
メスは角がより小型で、湾曲も小さい[3]。乳頭の数は2個[2][3]。
分類
[編集]
| |||||||||||||||||||||||||||||||||
Rezaei et al.(2010)よりミトコンドリアDNAのシトクロムbの塩基配列を決定しベイズ法で推定した系統図[5] |
以下の分類・英名はムフロンとウリアルを除いてMSW3(Grabb, 2005)、和名は今泉(1988)に従う[1][3]。MSW3ではヒツジにムフロンとウリアルを亜種として含めているが、ICZN(2003)では家畜種と野生種(O. orientalis)の学名を区別しているため、この見解に従う[6]。また、Rezaei et al.(2010)の系統図の見易さを考慮して[5]、暫定的に今泉(1988)に従いウリアルを独立種として扱う[3]。ただしムフロンの分類は混乱しており、今泉(1988)ではムフロンO. musimonとアジアムフロンO. orientalisの2種とされたが[3]、Gentry et al.(2004)によるとO. musimonはO. ariesのシノニムで[7]、Groves & Grubb(2011)によるとO. orientalisは交雑種に由来する不適格名であり、O. gmeliniが有効名とされる[8]。
- Ovis ammon アルガリ Argali[4]
- Ovis aries ヒツジ
- Ovis canadensis ビッグホーン Bighorn sheep
- Ovis dalli ドールビッグホーン Dall's sheep (ビッグホーンに含む説もあり[3])
- Ovis nivicola シベリアビッグホーン Snow sheep (ビッグホーンに含む説もあり[3])
- Ovis orientalis[6] ムフロン Mouflon[4]
- Ovis vignei ウリアル Urial[3](ムフロンの亜種とする説もあり[1])
生態
[編集]高山、砂漠などに生息する[3]。繁殖期を除いて雌雄別々に生活する[2]。
人間との関係
[編集]ムフロンが家畜化され、ヒツジになったと考えられている[2][3]。
伐採や紛争などによる生息地の破壊、家畜との競合、密猟などにより生息数が減少している種もいる[4]。
画像
[編集]-
アルガリ
O. ammon -
ビッグホーン
O. canadensis -
ドールビッグホーン
O. dalli -
ムフロン
O. orientalis
参考文献
[編集]- ^ a b c Peter Grubb, "Ovis,". Mammal Species of the World, (3rd ed.), Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (ed.), Johns Hopkins University Press, 2005, pp.707-710
- ^ a b c d e f g h i j 今泉吉典監修 D.W.マクドナルド編 『動物大百科4 大型草食獣』、平凡社、1986年、147、149頁。
- ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w 今泉吉典 「ヒツジ属」『世界の動物 分類と飼育7 (偶蹄目III)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1988年、111-120頁。
- ^ a b c d e f g h 小原秀雄 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著、講談社、2000年、160-161頁。
- ^ a b Hamid Reza Rezaei, Saeid Naderi, Ioana Cristina Chintauan-Marquier, Pierre Taberlet, Amjad Tahir Virk, Hamid Reza Naghash, Delphine Rioux, Mohammad Kaboli, Francois Pompanon, "Evolution and taxonomy of the wild species of the genus Ovis (Mammalia, Artiodactyla, Bovidae)," Molecular Phylogenetics and Evolution, Volume 54, Issue 2, 2010, pp. 315-326.
- ^ a b Bulletin of Zoological Nomenclature. "International Commission on Zoological Nomenclature, Opinion 2027 (Case 3010). Usage of 17 specific names based on wild species which are predated or contemporary with those based on domestic animals (Lepidoptera, Osteichthyes, Mammalia): conserved". Bulletin of Zoological Nomenclature, Volume 60, Part 1, 2003, pp. 81-84.
- ^ Anthea Gentry, Juliet Clutton-Brock, Colin P. Groves, “The naming of wild animal species and their domestic derivatives,” Journal of Archaeological Science, Volume 31, Issue 5, Elsevier, 2004, Pages 645-651.
- ^ Colin Groves & Peter Grubb, Ungulate taxonomy The Johns Hopkins University Press, 2011, Page 234.