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カーリン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
カーリン
品種 サラブレッド
性別
毛色 栗毛
生誕 2004年3月25日
Smart Strike
Sherriffs Deputy
生国 アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国
生産者 Fares Farm Inc
馬主 Jess Jackson
Padua Stable
George Bolton
Midnight Cry Stable
調教師 Steven Asmussen
競走成績
生涯成績 16戦11勝
獲得賞金 10,501,800ドル
勝ち鞍
G1 プリークネスS 2007年
G1 ジョッキークラブGC 2007年・2008年
G1 BCクラシック 2007年
G1 ドバイワールドC 2008年
G1 スティーブンフォスターH 2008年
G1 ウッドワードS 2008年
G2 アーカンソーダービー 2007年
G3 レベルS 2007年
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カーリン (Curlin) は、アメリカ合衆国競走馬種牡馬である。おもな勝ち鞍は2007年ブリーダーズカップ・クラシックプリークネスステークスジョッキークラブゴールドカップ2008年ドバイワールドカップ主戦騎手ロビー・アルバラード英語版

概要

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2007年の年明けデビューながら圧勝を重ね、急遽「ケンタッキーダービーの新星現る」と注目を集めた。2007年のアメリカクラシック路線ケンタッキーダービー3着、プリークネスステークス1着、ベルモントステークス2着と常に上位に入り、その後古馬との初対戦となったジョッキークラブゴールドカップを制し、秋の大一番ブリーダーズカップ・クラシックも制覇した。

来歴

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3歳(2007年)

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2005年9月にキーンランドセプテンバーセールにて5万7000ドルで落札され、2007年2月のデビュー戦で12馬身4分の3の圧勝で初戦を飾る。この競走を見ていた複数の馬主(パドゥア・ステーブル、ストーンストリート・ステーブルら)が、ミッドナイト・クライ・ステーブルにトレードを申し込み複数による共同所有となった。トレード価格は350万ドルと推定されている。

その後、G3のレベルステークス、G2のアーカンソーダービーを連勝した。ともに圧勝であったため、「ケンタッキーダービーの新星現る」と注目を集め、同競走の前売り最終プール1番人気に支持され、当日にも2番人気に推されたが、ストリートセンス (Street Sense) に押し切られ3着と敗れる。しかし、プリークネスステークスではそのストリートセンスを直線ゴール手前で差し切り優勝。初G1制覇となった。

二冠目を狙うカーリンは、三冠最終戦のベルモントステークスに出走。ここではストリートセンスが回避したため6対5の抜けた1番人気に推されたが、牝馬路線からこちらに回ってきたラグズトゥリッチズ (Rags to Riches) との叩き合いに敗れ、102年ぶりの大偉業を尻目に2着に終わった。

3歳クラシック以後はブリーダーズカップ・クラシックを目標に調整され、ハスケル招待ハンデキャップ3着後、古馬との初対戦となったジョッキークラブゴールドカップではローヤーロンとの一騎討ちを制して1着となる。そして迎えた10月27日、ブリーダーズカップ・クラシック。ひさびさに顔合わせとなったストリートセンスや、ジョージワシントンなどが出走してきているなか4番人気に支持され、レースでは直線逃げ粘るハードスパンをかわし4馬身半の差をつけ快勝した。勝ち時計はトラックレコードにわずか0.19秒差という優秀なものだった。

4歳(2008年)

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前年のブリーダーズカップ・クラシック制覇が評価され、2007年度のエクリプス賞年度代表馬に選ばれた。

2008年初戦はドバイワールドカップを見据えて、現地のハンデ戦に出走した。他馬とは約7キログラム差の60キログラムというハンデを背負ったが、直線であっさり抜け出すとそのまま後続に2と4分の1馬身差をつけて優勝。続く本番のドバイワールドカップでも、直線半ばで抜けだすと、あとは独走状態になり圧勝した。

帰国後は6月14日に行われたスティーブンフォスターハンデキャップに出走。4番手でレースを進め、直線半ばで先頭のアインシュタインを交わすと4と4分の1馬身差をつけて完勝した。

その勝利後、かねてより凱旋門賞への出走を検討していた陣営は、芝への適性を確かめるためカーリンを一度芝のレースへ出走させることとし、そのレースにマンノウォーステークスが選ばれた。なお、アメリカ調教馬が凱旋門賞に出走すること自体がまれであり、前年度のブリーダーズカップ・クラシック覇者となれば史上初である。しかしレースでは、スタートで出負けしたこともあり、2006年度ブリーダーズカップ・ターフの覇者であるレッドロックスをとらえきれず2馬身差の2着に敗れた。この結果により凱旋門賞への挑戦を断念、その後もダート戦線を進むことになり、ウッドウォードステークス、ジョッキークラブゴールドカップと連勝し、ジョッキークラブゴールドカップの勝利によって生涯獲得賞金でシガーを上回り北アメリカ史上最高となるとともに、北アメリカのサラブレッドとしては史上初の1000万ドルホースとなった。

10月25日、サンタアニタパーク競馬場で開催され、オールウェザーで行われたブリーダーズカップ・クラシックに出走、早めに抜け出し押し切りを狙うも後続に差されて4着に敗れた。馬主はオールウェザーにおいてカーリンが敗れたことに強い不満を抱いており、「二度とプラスチックの上では走らせない(プラスチックにはまがい物の意味がある)」と発言した。このレースを最後に現役を引退。

競走成績

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出走日 競馬場 競走名 距離 着順 騎手 着差 1着(2着)馬
2007年02月03日 ガルフストリーム 未勝利 D7f 1着 R.ベハラーノ 12 3/4馬身 (Winstrella)
2007年03月17日 オークローンパーク レベルS G3 D8.5f 1着 R.アルバラード 5 1/4馬身 (Officer Rocket)
2007年04月14日 オークローンパーク アーカンソーダービー G2 D9f 1着 R.アルバラード 10 1/2馬身 (Storm in May)
2007年05月05日 チャーチルダウンズ ケンタッキーダービー G1 D10f 3着 R.アルバラード 8馬身 Street Sense
2007年05月19日 ピムリコ プリークネスS G1 D9.5f 1着 R.アルバラード アタマ (Street Sense)
2007年06月09日 ベルモントパーク ベルモントS G1 D12f 2着 R.アルバラード アタマ Rags to Riches
2007年08月05日 モンマスパーク ハスケル招待H G1 D9f 3着 R.アルバラード 4 1/2馬身 Any Given Saturday
2007年09月30日 ベルモントパーク ジョッキークラブGC G1 D10f 1着 R.アルバラード クビ (Lawyer Ron)
2007年10月27日 モンマスパーク BCクラシック G1 D10f 1着 R.アルバラード 4 1/2馬身 (Hard Spun)
2008年02月28日 ナドアルシバ ジャガートロフィー D2000m 1着 R.アルバラード 2 1/4馬身 (Familiar Territory)
2008年03月29日 ナドアルシバ ドバイWC G1 D2000m 1着 R.アルバラード 7 3/4馬身 (Asiatic Boy)
2008年06月14日 チャーチルダウンズ スティーブンフォスターH G1 D9f 1着 R.アルバラード 4 1/4馬身 (Einstein)
2008年07月12日 ベルモントパーク マンノウォーS G1 芝11f 2着 R.アルバラード 2馬身 Red Rocks
2008年08月30日 サラトガ ウッドウォードS G1 D9f 1着 R.アルバラード 1 1/4馬身 (Past the Point)
2008年09月27日 ベルモントパーク ジョッキークラブGC G1 D10f 1着 R.アルバラード 3/4馬身 (Wanderin Boy)
2008年10月25日 サンタアニタパーク BCクラシック G1 AW10f 4着 R.アルバラード 3馬身 Raven's Pass

※Hはハンデキャップ、Sはステークス、BCはブリーダーズカップ、WCはワールドカップ、GCはゴールドカップの略。また、招待はインビテーショナルを訳して表記。

受賞歴

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  • 2007年度エクリプス賞年度代表馬、最優秀3歳牡馬
  • 2008年度エクリプス賞年度代表馬、最優秀古牡馬

種牡馬時代

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2009年よりレーンズエンドファームにて種牡馬となった。初年度の種付け料は75000ドル。2012年に初年度産駒がデビューすると、パレスマリスが翌年のベルモントステークスを制し、産駒の初重賞制覇をクラシックで達成する。2016年からHill 'n' Dale Farmsへ移動。

2019年ブリーダーズカップ・クラシックを産駒のヴィーノロッソが制し、オーサムアゲインゴーストザッパー父子以来二組目の同レース父子制覇を達成した[1]

2022年のエクリプス賞Malathaatが最優秀古馬牝馬、Elite Powerが最優秀短距離牡馬、Nestが最優秀3歳牝馬を獲得。同一産駒の3賞受賞はエクリプス賞創設以来初の快挙[2]となった。2023年もCody's Wishが年度代表馬及び最優秀古馬、Idiomaticが最優秀古馬牝馬、Elite Powerが最優秀短距離牡馬を受賞した。

2024年の種付け料の25万ドルはイントゥミスチーフガンランナーと並び北米最高額。

後継種牡馬も活躍しており、Keen Ice産駒のRich Strikeは2022年ケンタッキーダービー、Good Magic産駒のMageは2023年のケンタッキーダービー、Palace Malice産駒のジャンタルマンタル朝日杯フューチュリティステークスNHKマイルカップを制覇した。

主な産駒

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GI級競走は太字で示す

母の父としての主な産駒

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馬名の由来

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馬名は南北戦争で戦った黒人奴隷チャールズ・カーリンに由来。最初の馬主であるシャーリー・カニンガム・ジュニアが彼のひ孫だったことにちなんでいる。

血統

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カーリン血統ミスタープロスペクター系 / アウトブリード (血統表の出典)

Smart Strike
1992年 鹿毛
父の父
Mr. Prospector
1970年 鹿毛
Raise a Native Native Dancer
Raise You
Gold Digger Nashua
Sequence
父の母
Classy 'n Smart
1981年 鹿毛
Smarten Cyane
Smartaire
No Class Nodouble
Classy Quillo

Sherriff's Deputy
1994年 鹿毛
Deputy Minister
1979年 黒鹿毛
Vice Regent Northern Dancer
Victoria Regina
Mint Copy Bunty's Flight
Shakney
母の母
Barbarika
1985年 鹿毛
Bates Motel Sir Ivor
Sunday Purchase
War Exchange Wise Exchange
Jungle War F-No.19-c


脚注

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  1. ^ Eric Mitchell (2019年11月2日). “Curlin Second Classic Winner to Sire a Classic Winner”. Bloodrhorse. 2019年11月15日閲覧。
  2. ^ グリーンチャンネル「スタリオンライブラリー」#33
  3. ^ ガストリック”. JBISサーチ. 2022年11月19日閲覧。
  4. ^ エンペラーワケア”. JBISサーチ. 公益社団法人日本軽種馬協会. 2024年1月28日閲覧。

外部リンク

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