日本学
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日本学(にほんがく、英: Japanology、仏: japonologie、蘭: Japanologie、独: Japanologie、伊: Iamatologia、西:Japonología)は、日本文明および日本文化を幅広く研究する学術分野である。日本研究とほぼ同義。
概説
16世紀に日本にやってきたキリスト教の宣教師が見聞をまとめたことに始まり、江戸時代には歴代のオランダ商館長(カピタン)たちが研究を進めた。幕末期の1855年にはヨハン・ヨーゼフ・ホフマン教授によってオランダ・ライデン大学に最初の日本学科が設立された[1]。このころの日本学は文献学のひとつとして位置づけられていた[2]。
19世紀末には、日本の開国、世界一周旅行の始まり、欧米の植民地主義的関心、ジャポニズムの流行などにより異国趣味的な日本研究が増えたが、日清・日露戦争から第二次世界大戦にかけて日本の脅威が増すとともに軍事戦略としての日本研究が進み、アメリカでは1940年代に敵の情報分析とプロパガンダを行なう戦争情報局に日本班が設けられ多方面の学者による日本文化研究が集中的に行われた[3]。
第二次世界大戦の敗戦により海外における日本学研究は停滞するが、1968年に日本のGNPが世界第2位になり経済大国になったことから再び日本研究に関心が向けられるようになった[2]。
著名な日本学者
→「Category:日本研究者」も参照
- シャルル・アグノエル(フランス)
- ポール・アンドラー (Paul Anderer)
- ウィリアム・ジョージ・アストン(イギリス)
- セルゲイ・エリセーエフ(ロシア)
- アレックス・カー(アメリカ)
- ジョン・ガビンズ(イギリス)
- ドナルド・キーン(アメリカ)
- ウィリアム・グリフィス(アメリカ)
- エンゲルベルト・ケンペル(ドイツ)
- アーネスト・サトウ(イギリス)
- サミュエル・ロビンス・ブラウン(アメリカ)
- ジョージ・サンソム(イギリス)
- ヒダシ・ユディット(ハンガリー)
- フィリップ・フランツ・フォン・シーボルト(ドイツ)
- タイモン・スクリーチ(イギリス)
- バジル・ホール・チェンバレン(イギリス)
- カール・ツンベルク(スウェーデン)
- ウォルター・ドーナート(ドイツ)
- カール・ラートゲン(ドイツ)
- パトリック・ラフガディオ・ハーン (ギリシャ)
- ヴィェンツェスラヴァ・ハドリチコヴァー(チェコ)
- モーリス・パンゲ(フランス)
- アウグスト・プフィッツマイアー(オーストリア)
- ルイス・フロイス(ポルトガル)
- カール・フローレンス(ドイツ)
- ルース・ベネディクト(アメリカ)
- ケネス・G・ヘンシャル(ニュージーランド)
- アルジャーノン・フリーマン=ミットフォード(イギリス)
- エドウィン・O・ライシャワー(アメリカ)
- レオン・ド・ロニー(フランス)
研究機関・組織
ヨーロッパ
- ライデン大学人文学部日本学科[4](1855年、世界で最初に日本学科を設立)
- ウィーン大学東アジア研究所日本研究科[5]
- ルーヴァン・カトリック大学文学部日本研究所[6]
- ベルリン自由大学日本学科[7]
- ロンドン大学東洋アフリカ研究学院
- ケンブリッジ大学アジア・中東学部日本学科[8]
- フランス極東学院 東京と京都に支部が設置されている(#日本)。
- サラマンカ大学言語学科東アジア言語科内、日本思想
- ロシア科学アカデミー東洋学研究所日本学研究センター[9]
- 英国日本研究協会
北米
- ハーバード大学エドウィン・O・ライシャワー日本研究所[10]
- コロンビア大学ドナルド・キーン日本文化センター[11]
- カナダ日本研究学会
- The Society for Japanese Studies(アメリカ)
アジア
便宜的に日本を除く
- 淑明女子大学校 日本学科
- 東国大学校 日本学科
- 韓国放送通信大学 日本学科
- 香港中文大学 日本研究学科[12]
- 国立政治大学 現代日本研究センター(北台湾)[13]
- 国立中山大学 日本研究センター(南台湾)[14]
- 東呉大学 日本語文学科[15]
日本
- アメリカ・カナダ大学連合日本研究センター
- フランス国立極東学院東京支部[16]
- フランス国立極東学院京都支部[17]
- 国際日本文化研究センター
- 国際文化会館図書室
- ドイツ日本研究所[1] - ドイツ政府により1988年に設立
→「東洋学 § 主要な東洋学研究機関・団体」も参照
→「日本語学科 § 設置校」も参照
学術雑誌
- The Society for Japanese Studies(アメリカ)『Journal of Japanese Studies』
- 『Sino-Japanese Studies』[18]
- 『East Asian History』[19]
- 『Japan Forum』[20]
- 『Japanese Studies』[21]
- オックスフォード大学出版局『Social Science Japan Journal』
- 国立歴史民俗博物館『国立歴史民俗博物館研究報告』(日本語誌)
- 南山大学『Japanese Journal of Religious Studies』
- 上智大学『Monumenta Nipponica』
脚注
- ^ 山東 2013, pp. 95–107.
- ^ a b ヨーロッパにおける日本への「まなざし」の変遷 オランダ・ドイツの日本学講座から阿部大地、西南学院大学、2014年度研究旅行奨励制度報告書[要ページ番号]
- ^ ルース・ベネディクト、ジェフリー・ゴーラー、ヘレン・ミアーズの日本人論・日本文化論を総括する福井七子、関西大学外国語学部紀要 第7号(2012年10月)[要ページ番号]
- ^ Japanstudies - Faculteit der Geesteswetenschappen ライデン大学人文学部日本学科
- ^ ウィーン大学文化文献学部東アジア研究所日本研究科
- ^ Japanse Studies KU Leuven ルーヴァン・カトリック大学文学部日本研究所
- ^ ベルリン自由大学日本学科[リンク切れ]
- ^ Jpanese Studies[リンク切れ]
- ^ Институт Востоковедения Российской Академии Наук[リンク切れ]
- ^ Reischauer Institute of Japanese Studies ハーバード大学 ライシャワー日本研究所[リンク切れ]
- ^ The Donald Keene Center of Japanese Culture - Japanese Homepage[リンク切れ]
- ^ Department of Japanese Studies
- ^ 國立政治大學│當代日本研究中心[リンク切れ]
- ^ 国立中山大学日本研究センター
- ^ 日本語文學系
- ^ EFEO - Centres - Tokyo
- ^ EFEO - Centres - Kyoto
- ^ ウェブサイト
- ^ ウェブサイト
- ^ ウェブサイト
- ^ ウェブサイト
参考・関係文献
- 牧健二『近代における西洋人の日本歴史観』清水弘文堂書房、1969年
- 近代日本研究会編『年報・近代日本研究-10 近代日本研究の検討と課題』山川出版社、1988年
- シャロン・ミニチェロ、ジョージ・アキタ「最近のアメリカにおける日本近代史研究」
- 廖隆幹「中国における日本近代史研究の現状」
- 呉密察「台湾における日本近代史研究の成果」
- 姜昌一「韓国における日本近代史研究の動向と成果」
- イギリスにおける日本研究国際日本文化研究センター[リンク切れ]
- 村山まや子「イギリスにおける日本研究の現状 : ロンドン大学,シェフィールド大学,オックスフォード大学の日本研究機関を訪ねて(共同研究奨励金グループ活動報告書「表象としての<日本>-国際日本学の新展開-」)」『人文学研究所報』第40号、神奈川大学、2007年3月、112-114頁、ISSN 02877082、NAID 110006425422。
- 山東功『日本語の観察者たち : 宣教師からお雇い外国人まで』岩波書店〈そうだったんだ!日本語〉、2013年10月。ISBN 9784000286282。
- 小山騰 『ケンブリッジ大学図書館と近代日本研究の歩み 国学から日本学へ』勉誠出版、2017年
関連項目
- 日本、日本史、日本人、日本語、日本文化、日本文明
- 東洋学、オリエンタリズム、極東
- ジャポニスム
- 和、和風、大和
- 日本論、日本人論
- 民族学、民俗学、歴史学
- 地域研究、地誌学、地政学、人文地理学
- 日本語学、国語学
外部リンク
- ヨーロッパ日本研究会
- electronic journal of contemporary Japanese studies
- 海外の大学等と日本学・日本語講座
- 『 日本文化構造論 』 by 日本文化構造学研究会 歴史文化信仰研究部会 歴史的山岳寺院 文化財被災復興部会
- 英論文名”The Japan code ”Principle & Origin of Japanese culture by Research Center for Japanese Culture Structural Studies
- 「菊と刀」と日本人 - ウェイバックマシン(2019年1月1日アーカイブ分)
- 海外日本像集成 - 幕末・明治の外国人による日本研究書の挿絵のみを集めたもの。
- フランス人による日本論の源流をたどって京都外大付属図書館、2008年
- Kramer, Hans Martin「編集企画1:外国における日本研究事情 ドイツにおける日本学と日本研究--歴史、現状と課題」『研究室紀要』第28号、東京大学大学院教育学研究科 教育学研究室、2002年6月、79-89頁、doi:10.15083/00017575、ISSN 02857766、NAID 110000197871。
- 「国際日本研究」コンソーシアム