ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル
ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル株式会社(英語: Nissan Motorsports International CO.LTD.)は、かつて存在した日産自動車の連結子会社。モータースポーツ向け自動車部品の設計・製造・販売、レースへの参戦などを行っていた。通称・愛称はニスモ (NISMO) 。
種類 | 株式会社 |
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略称 | NISMO(ニスモ) |
本社所在地 |
日本 〒230-0053 神奈川県横浜市鶴見区大黒町6番1号 |
設立 | 1984年9月17日 |
業種 | 輸送用機器 |
法人番号 | 6010701007551 |
事業内容 | モータースポーツ用部品、車両の開発、製作及び販売 |
代表者 | 片桐隆夫(代表取締役社長兼最高経営責任者) |
資本金 | 4億9,480万円 |
純利益 |
200万円 (2021年03月31日時点)[1] |
純資産 |
45億3,400万円 (2021年03月31日時点)[1] |
総資産 |
59億7,900万円 (2021年03月31日時点)[1] |
従業員数 | 194名(2015年3月時点) |
主要株主 | 日産自動車100% |
外部リンク |
www |
1984年に日産のワークス・チームのひとつである大森ワークスを母体に設立された。
2022年4月1日、株式会社オーテックジャパンと経営統合して社名を「日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社」とした[2]。以後本社はニスモ事業所に変更され、「NISMO」ブランドは継続する。
レース活動
編集元々日産社内のワークスチームが分社化するかたちで設立されているため、設立当初から積極的にレース活動を行っている。当初は追浜の総合研究所、もしくは鶴見の技術車両設計部が車両・エンジンの開発を行い、NISMOがサーキットでのオペレーションを行うという役割分担が多かったが、後にNISMO自身で開発機能も持つようになった。
過去にはル・マン24時間レースなどの海外のレースや、国内レースの全日本スポーツプロトタイプカー耐久選手権 (JSPC) 、全日本ツーリングカー選手権 (JTC/JTCC) ・全日本GT選手権 (JGTC) →SUPER GTなどに参戦。数多くのタイトルを獲得している。
- ※参戦した1985年 - 1993年まではグループA車両によるJTC、1994年 - 1997年は2,000 cc以下の4ドア車両によるJTCCである。
- 1985年
- No.23 R30スカイラインRSターボ 星野一義/近藤真彦/柳田春人/鈴木亜久里
- 1986年
- No.23 R30スカイラインRSターボ 和田孝夫/鈴木亜久里 シリーズチャンピオン獲得
- 1987年
- No.23 R31スカイラインGTS-R 星野一義/アンデルス・オロフソン/グレン・セトン
- 1988年
- No.23 R31スカイラインGTS-R 鈴木亜久里/アンデルス・オロフソン/都平健二
- 1992年
- No.55 R32スカイラインGT-R アンデルス・オロフソン/木下隆之
- 1993年
- 1994年
- 1995年
- 1996年
- No.23 P11ユニシアジェックス・プリメーラ 影山正彦
- No.32 B14ザナヴィ・サニー 本山哲
- ※本山哲はシーズン途中でNo.32 P11ザナヴィ・プリメーラ・カミノにマシンをスイッチ
- 1997年
- No.23 P11ザナヴィ・カミノ 本山哲
- 1985年
- No.29 Z31フェアレディ300ZX 神岡政夫/中原祥雅 シリーズチャンピオン獲得
1986年 - 1990年はグループC車両、1995年 - 1998年はLMGT1クラス車両、1999年はLMP1クラス車両による参戦。
- 1986年
- 1987年
- 1988年
- 1989年
- No.23 NISSAN R89C 長谷見昌弘/星野一義/鈴木利男 DNF
- No.24 NISSAN R89C ジュリアン・ベイリー/マーク・ブランデル/マーティン・ドネリー DNS
- No.25 NISSAN R89C ジェフ・ブラバム/チップ・ロビンソン/アリー・ルイエンダイク DNF
- ※NO.24、25はNMEメンテナンス
- 1990年
- No.23 NISSAN R90CP 長谷見昌弘/星野一義/鈴木利男 5位
- No.24 NISSAN R90CK ジュリアン・ベイリー/マーク・ブランデル/ジャンフランコ・ブランカテリ DNF
- No.25 NISSAN R90CK ケネス・アチソン/オリビエ・グルイヤール/マーティン・ドネリー DNS
- No.83 NISSAN R90CK ジェフ・ブラバム/チップ・ロビンソン/デレック・デイリー DNF
- No.84 NISSAN R90CK ボブ・エール/マイケル・ロー/スティーブ・ミレン 17位
- ※NO.24、25はNMEメンテナンス、No.83、84はNPTIメンテナンス
- 1995年
- 1996年
- No.22 NISMO GT-R LM 影山正彦/鈴木亜久里/近藤真彦 DNF
- No.23 NISMO GT-R LM 星野一義/鈴木利男/長谷見昌弘 15位
- 1997年
- No.21 NISSAN R390GT1 マーティン・ブランドル/ヨルグ・ミューラー/ウェイン・テイラー DNF
- No.22 NISSAN R390GT1 リカルド・パトレーゼ/エリック・ヴァン・デ・ポール/鈴木亜久里 DNF
- No.23 NISSAN R390GT1 星野一義/エリック・コマス/影山正彦 12位
- 1998年
- No.30 NISSAN R390GT1 ジョン・ニールセン/ミハエル・クルム/フランク・ラゴルス 5位
- No.31 NISSAN R390GT1 ヤン・ラマース/エリック・コマス/アンドレア・モンテルミニ 6位
- No.32 NISSAN R390GT1 星野一義/影山正彦/鈴木亜久里 3位
- No.33 NISSAN R390GT1 本山哲/黒澤琢弥/影山正美 10位
- ※NO.33はノバ・エンジニアリングメンテナンス
- 1999年
- No.21 Courage C52ニッサン ディディエ・コッタズ/マルク・ホーセンス/フレドリック・エグブロム 8位
- No.22 NISSAN R391 ミハエル・クルム/本山哲/エリック・コマス DNF
- No.23 NISSAN R391 鈴木亜久里/エリック・ヴァン・デ・ポール/影山正美 DNS
- 1991年
- No.25 R32スカイラインGT-R アンデルス・オロフソン/デビッド・ブラバム/服部尚貴 優勝
- No.46 R32スカイラインGT-R キース・オドール/木下隆之/ディアク・ショイスマン 総合6位・クラス優勝
- 1992年
- No.1 R32スカイラインGT-R 長谷見昌弘/アンデルス・オロフソン/デビッド・ブラバム DNF
主にGT500クラス(旧・GT1クラス)に参戦。2003年まではR32 - R34型スカイラインGT-Rで参戦していたが、GT-Rの販売終了に伴い、2004年よりベース車両をZ33型フェアレディZに変更している。2007年から日産勢は伝統のツインターボエンジンに別れを告げ、あらたに同社のフーガに搭載されているVK45DEエンジンを使用している。2008年からはGT-Rの復活に合わせて、再度GT-Rでの参戦を開始した。[1]
- 1993年 GT1クラス・ドライバーズ/チームタイトル獲得
- 1994年
- 1995年
- 1996年
- 1997年
- 1998年 GT500クラス・ドライバーズ/チームタイトル獲得
- 1999年 GT500クラス・ドライバーズタイトル獲得
- 2000年
- 2001年 GT500クラス・チームタイトル獲得
- 2002年
- No.22 ザナヴィ・ニスモ・GT-R 本山哲/ミハエル・クルム シリーズ8位
- No.23 カストロール・ピットワーク・GT-R 影山正美/エリック・コマス シリーズ17位
- 2003年 GT500クラス・ドライバーズ/チームタイトル獲得
- No.22 モチュール・ピットワーク・GT-R リチャード・ライアン/影山正美 シリーズ3位
- No.23 ザナヴィ・ニスモ・GT-R 本山哲/ミハエル・クルム シリーズチャンピオン
- 2004年 GT500クラス・ドライバーズ/チームタイトル獲得
- No.1 ザナヴィ・ニスモ・Z 本山哲/リチャード・ライアン シリーズチャンピオン
- NO.22 モチュール・ピットワーク・Z 影山正美/ミハエル・クルム シリーズ9位
- 2005年 GT500クラス・チームタイトル獲得
- No.1 ザナヴィ・ニスモ・Z 本山哲/リチャード・ライアン シリーズ3位
- NO.22 モチュール・ピットワーク・Z ミハエル・クルム/柳田真孝 シリーズ5位
- 2006年
- 2007年
- No.22 モチュール・オーテック・Z ミハエル・クルム/松田次生 シリーズ5位
- No.23 ザナヴィ・ニスモ・Z 本山哲/リチャード・ライアン シリーズ8位
- 2008年 GT500クラス・ドライバーズタイトル獲得
- 2009年
- No.1 モチュール・オーテック・GT-R 本山哲/ブノワ・トレルイエ シリーズ3位
- 2010年
- No.23 モチュール・オーテック・GT-R 本山哲/ブノワ・トレルイエ シリーズ7位
- 2011年
- No.23 モチュール・オーテック・GT-R 本山哲/ブノワ・トレルイエ シリーズ2位
- 2012年
- No.23 モチュール・オーテック・GT-R 本山哲/ミハエル・クルム シリーズ8位
- 2013年
- No.23 モチュール・オーテック・GT-R 柳田真孝/ロニー・クインタレッリ シリーズ6位
- 2014年 GT500・ドライバーズタイトル/チームタイトル獲得
- No.23 モチュール・オーテック・GT-R 松田次生/ロニー・クインタレッリ シリーズチャンピオン
- 2015年 GT500・ドライバーズタイトル/チームタイトル獲得
- No.1 モチュール・オーテック・GT-R 松田次生/ロニー・クインタレッリ シリーズチャンピオン
- 2016年
- No.1 モチュール・オーテック・GT-R 松田次生/ロニー・クインタレッリ シリーズ3位
- 2017年
- No.23 モチュール・オーテック・GT-R 松田次生/ロニー・クインタレッリ シリーズ2位
- 2018年
- No.23 モチュール・オーテック・GT-R 松田次生/ロニー・クインタレッリ シリーズ8位
- 2019年
- No.23 モチュール・オーテック・GT-R 松田次生/ロニー・クインタレッリ シリーズ3位
- 2020年
- No.23 モチュール・オーテック・GT-R 松田次生/ロニー・クインタレッリ シリーズ6位
- 2021年
- No.23 モチュール・オーテック・GT-R 松田次生/ロニー・クインタレッリ シリーズ9位
- 2022年
- No.3 クラフトスポーツ・モチュール・Z 千代勝正/高星明誠
- No.23 モチュール・オーテック・Z 松田次生/ロニー・クインタレッリ
-
2019年マシン
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2014年マシン
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2011年マシン
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2007年マシン(23号車)
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2003年マシン(23号車)
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1999年マシン(1号車)
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1998年マシン(22号車)
NISMOロードカー
編集ニスモはレースでの経験・技術を活かした市販車用のパーツ類も製造・販売している。またそれらを利用して車両トータルのチューンアップを施したコンプリートカーも販売している。
2013年からは、親会社である日産との協業で「ニスモ・ブランド拡大戦略」を発表した。これまでの「メーカー直系のサード・パーティ」から「日産本体の正式なサブブランド」として位置づけを変更。ニスモの高性能を日産純正品質で保証したモデルとして開発し、順次各モデルに展開している。販売戦略も、日本国内の強化とともに本格的グローバル展開を図っている。
また2013年6月には、F1のウィリアムズチームの関連会社であるウイリアムズ・アドバンスド・エンジニアリングとの提携を発表した。2014年より順次日産車ベースの高性能市販車を共同開発・リリースしていくとしている[3]。
2017年5月には、コンプリートカーの企画開発を、オーテックジャパンに新設した「ニスモカーズ事業部」に統合。マーケティング機能も備え、国内外のグローバル戦略の拠点となる。また、このことを機としてオーテックジャパンが毎年主催している「AOG湘南里帰りミーティング」の参加資格として、NISMOのロードカーも認められることになった。
NISMOバーションとしてロードカーを足回りや内外装、マフラー、アルミホイールのほか、グレードによっては吸排気系、コンピュータ、ECUにまで手が加えられ販売されている。オーテック事業所が一貫して架装を手掛ける。GT-R、フェアレディZ、ジューク、ノート、マーチ、リーフ、セレナ、パトロール、セントラ[注釈 1]に設定されている。
2017年11月24日に、日産がニスモのラインナップを充実させると共に、新たなるスポーティサブブランドとして「AUTECH(オーテック)」をラインナップとして展開することを発表した[4]。これにより今後は、ピュアスポーツ志向のニスモ、プレミアムスポーティー志向のオーテックの二本立てで展開していくことになる。
-
GT-R NISMO
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フェアレディZNISMO
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リーフNISMO
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ノートオーラNISMO
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ジュークNISMO RS
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ノートe-POWER NISMO
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マーチNISMO S
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セレナNISMO
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パトロールNISMO
過去のロードカー
編集- S-tune
- 各車種向けライトチューンの総称。設定車種も多岐に渡り、マーチからエルグランドまで幅広くカバーしている。
- R-tune
- タービン交換・ヘッドチューンも含む本格的な改造の総称。S-tuneに比べ対象車種が限定されている。
- Z-tune
- 車両の総合バランスを確保しつつ、「ロードゴーイングカーとして世界トップクラスの速さと耐久性」を目標に行われる、大掛かりな改造の総称。S-tune/R-tuneに比べ対象車種が更に限定されている(スカイラインR34 GT-Rのみ用意されていた)。
コンプリートカー
編集- NISMO 180R
- 1996年に発表されたB14型サニーをベースとしたコンプリートカーで、同車のJTCC参戦記念モデルとして企画された。車名は最高出力である180 PSに由来。
- 専用の青いヘッドカバーを持つSR20DE型エンジンを、180 PSまでファインチューニングして搭載。足回りにはニスモ製強化サスペンションと15インチのアルミホイールを装着し、エクステリアにはニスモ製エアロパーツを装着している。
- 未発売に終わったが、走行可能なプロトタイプが1台のみ存在する。また、搭載されていたエンジンとトランスミッションはさらなる改良を受け、同年発売のB14型ルキノクーペおよびN15型パルサーセリエをベースとしたAUTECH VERSION(開発・販売はオーテックジャパン)に搭載された。
- NISMO 270R
- S14型シルビア(前期型K's)をベースとした市販コンプリートカーの第1弾で、ニスモ創立10周年記念モデルとして企画された。車名は最高出力である270 PSに由来。車両開発にはレーシングドライバーの木下隆之が関与していた。ボディカラーはスーパーブラック (#KH3)のみ。限定30台で発売されたが、実際には32台を生産した。
- ノーマルで最高出力220 PSを発生するSR20DET型エンジンを、270 PSまでチューニングして搭載。足回りにはニスモ製強化サスペンションと16インチアルミホイールを装着し、エクステリアにはニスモ製エアロパーツを装着。リアサイドのストロボタイプの車名入りストライプが特徴である。
- NISMO GT-R LM
- 1995年、日産がR33型スカイラインGT-Rでル・マン24時間レースへ��戦するために製作したロードゴーイングカーである。当時、ル・マン24時間耐久レースの規定によって必ずベース車両を1台以上登録しなければならなかったため、ホモロゲーション取得用の1台のみ製造され、イギリスで登録された。「同一車種の中に4ドアが存在する車両はエントリー不可」という規定をクリアするために独立車種として製作されたという経緯を持ち、歴代GT-Rとしては初めてスカイラインを名乗らないGT-Rとなった。
- RB26DETT型エンジンをベースに、排気量を2.6 Lから2.8 Lまで拡大し、排気系などの変更で最高出力は約300 PSを発揮する。四輪駆動システムは撤去され、後輪駆動(FR)に変更されている。サスペンションはマルチリンク式からダブルウィッシュボーン式に変更された。
- エクステリアはル・マン出場車と同様のフルエアロを装着し、前後のトレッド幅とホイールハウスも大幅に拡大されている。ボディカラーは暗い半光沢のシルバー(カラーコード不明)。テールライトなどの灯火類はイギリス国内の法規定に準拠したものを装着している。
- 以前はプリンス&スカイラインミュウジアムやニスモのイベント等で展示されていたが、現在は日産の座間記念車庫に保管されている。
- NISMO 400R
- R33型スカイラインGT-Rをベースとした市販コンプリートカーの第2弾。車名は最高出力である400 PSに由来。限定99台で発売されたが、実際には55台の生産に留まった。2ドアベースの個体のほかに、4ドアのGT-Rオーテックバージョン40thアニバーサリー(BCNR33改)をベースとした個体がごく少数存在する。
- RB26DETT型エンジンをベースに、日産工機(REINIK)製ストロークアップクランクを組み込んで排気量を2.6 Lから2.8 Lまでアップし、N1仕様のメタル製大型タービン装着やインタークーラーの大型化、メタルヘッドガスケット装着、専用ECUへの変更といったチューニングを施した専用エンジン「RB-X GT2」を搭載。オイルクーラーを水冷式から空冷式に変更して冷却性能をアップするなど、エンジン本体から補機類に至るまで大きく手が加えられている。公称スペックは最高出力400 PS / 6,800 rpm、最大トルク47.8 kg·m / 4,400 rpm(ただし、実測449 PSの個体も存在していた)。
- 足回りはフロントのホイールオフセット変更、ビルシュタイン社製サスペンション装着、強化ブッシュの採用、ホイールを9JJ・17インチから10JJ・18インチ(タイヤサイズは275/35R18)に変更するなど、エンジンパワーの大幅アップに耐えられるよう強化されている。ブレーキパッドはニスモ製強化タイプを装着。その他、カーボン製プロペラシャフトとツインプレートクラッチを装着している。
- エクステリアではニスモ製エアロパーツと、専用のGTカータイプ(エアダクト付き)ボンネットを装着。また、円形のオーバーフェンダーを装着し、全幅は片側で50 mmずつ拡大されている。また、エンブレムには専用の400Rオーナメントが使用されている。
- インテリアでは専用の400Rロゴ入り320 km/hスケールメーターを装着。シート���ニスモのネーム刺繍付GT-Rタイプモノフォルムシートが装着され、それに合わせてリアシートや内装の生地も変更されている。
- なお、日産で初めてディスチャージヘッドランプを装着した車両であり、400Rに装着されたパーツの一部は、後に通常のR33型スカイラインGT-Rにも流用された。
- NISMO R34GT-R Z-tune
- R34型スカイラインGT-R(Vスペック)をベースとした市販コンプリートカー。ニスモ創立20周年を記念したアニバーサリーモデルである。限定20台で発売され、実際には19台が生産、販売された。
- ニスモが厳選した程度の良い中古車を使用し、ボディをフルストリップ化した上で各所を補強するという、レース用車両と同様の製作工程を熟練工によるハンドメイドで行っていたスペシャルモデルである。購入後、1年間もしくは走行距離1万kmの保証が付いていた。
- また、オーナーが持ち込んだ車両によるコンプリートカーの製作も行っていた。ただし、ボディカラーはベース車両のままでハードコートも施工されない。また、ミッドナイトパープル色の受付は行われなかった。
- RB26DETT型エンジンをベースに、排気量を2.6 Lから2.8 Lまで拡大。GTタイプのエンジンブロック、クランクシャフト、コンロッドと専用のカムシャフト、ピストン、インテークコレクター、IHI社製ボールベアリング式ターボチャージャー、ECU等が装着され、各部を研磨・バランス取りしたパーツで組まれた専用エンジン「RB26DETT改 Z2[5]」を搭載している。公称スペックは最高出力368 kW (500 PS) 、最大トルク540 Nm (55 kg·m) 以上。マフラーはチタン製を装着し、空冷式ツインオイルクーラーやアルミ製大型ラジエーター、大型インタークーラーを装着することで、冷却性能もアップされている。
- ボディはドア開口部をスポット溶接増しし、一部パネルをドライカーボン(CFRP)製接着貼り込みにより補強。また、CFRP製のフロントバンパー、フロントブリスターフェンダー(全幅を片側15 mm拡大)、アウトレット付きボンネット等のエアロダイナミクスパーツを装着し、軽量・高剛性化が図られている。
- 足回りにはSACHS社製の専用車高調整式サスペンションを装着。ブレーキは前後ブレンボ社製の専用強化品が採用され、フロントにモノブロック6ピストンキャリパーと同社製 φ365 mmの2ピースベンチレーテッドディスク、リアに4ピストンキャリパーとKIRYU社製 φ355 mmの1ピースベンチレーテッドディスクの組み合わせで装着されている。タイヤはブリヂストン製ポテンザシリーズの265/35R18を採用。組み合わされるホイールはRAYS社と共同開発した軽量鍛造アルミホイール「LM GT4 GT500モデル」の専用サイズ(18インチ9.5J・オフセット+5)である。
- その他の装着パーツは、CFRP製プロペラシャフトとデフオイルクーラー、SUPERCOPPERMIXツインプレートクラッチ、CFRP製ニスモエアロパーツ、リアの円形オーバーフェンダー、LEDタイプのリアコンビネーションランプ、専用エンブレムとプレート。なお、デフオイルクーラー装着のためリアアンダーディフューザーは装着されない。
- ボディは専用カラー(シルバー#KY0)に全塗装されている。本皮とアルカンターラとのコンビネーションタイプレザーシート、専用ドア/サイドトリム、320 km/hフルスケールのホワイトメーター、データロガー&ラップタイム計測機能等付マルチファンクションディスプレイ (MFD) 、SRSエアバッグ付き3本スポークステアリングを装着。オーナーの希望でブラックメーターを装着した固体も存在した。
- NISMO MARCH S-tune COMPLETE
- K12型マーチ(12C)をベースとした市販コンプリートカー。ワンメイクレース「マーチカップ」の出場車両をイメージして企画された。CR12DE型エンジンに専用キャタライザーとエギゾーストシステムを装着し、点火時期、混合比、吸気カム角度等をプレミアムガソリン仕様にリセッティングしたECUを搭載。低中速域のトルクと高回転域のパワー感をアップさせている。スペックは最大出力66 kW (90 PS) /5,600 rpm・最大トルク121 Nm (12.3 kg·m) /3,200 rpm。ニスモ製S-tuneサスペンションを装着。15インチアルミホイール(ニスモMM-8)に185/55R15 81Vサイズのブリヂストン社製ポテンザGIIIをタイヤ銘柄指定で装着していた。 ニスモ製フロントアンダースポイラー、サイドデフレクター、ルーフスポイラー、ブラックフロントグリル、スモークタイプフロントウインカー、スモークタイプリアコンビネーションランプを装着。また、専用エンブレムも装着していた。 専用220 km/hフルスケールコンビメーターを装着。限定ではなく、ニスモエキスパートショップ及び同スポーツショップでの取扱車両だった。
- NISMO FAIRLADY Z S-tune GT
- Z33型フェアレディZをベースとした市販コンプリートカー。2004年、全日本GT選手権(JGTC)のGT500クラスに参戦するにあたり、レースカーの戦闘力を高めるためにベース車両のボディ形状をロングノーズ、ロングテール化したホモロゲート用期間限定販売車「Type E」に、サイドスカート、リアウイング等のニスモ製パーツを組み込んだモデル(型式:UA-Z33)。GT500クラス出場車両をイメージして企画された。
- VQ35DE型エンジンをベースに、専用カムシャフト、バルブスプリング、コンロッドボルト、エンECM等を組み込んだ専用エンジン「VQ35DE S1仕様」を搭載。スペックは最大出力221 kW (300 PS) /6,400 rpm・最大トルク363 Nm (37.0 kg·m) /4,400 rpm。排気系も見直され、スポーツキャタライザーとロングテール車専用のヴェルディナマフラーを採用。ニスモ製S-tuneサスペンションを装着。また、ブレーキにブレンボ社製アルミ対向型キャリパーと355 mmの大径ディスクローターを組み合わせ、S-tuneブレーキパッドと合わせて制動力をアップしていた。19インチの鍛造アルミホイール(RAYS製LM GT4)にブリヂストン製ポテンザS-03 Pole Positionをタイヤ銘柄指定で装着していた。ベース車の専用ロングノーズ、ロングテール、サイドフィニッシャーに加えて、ニスモ製サイドスカートと角度調整式リアウイングを装着。アルカンターラ生地の専用バケットタイプスポーツシート、300 km/hフルスケールコンビメーター、アルミ製キッキングプレート、ロゴ入りアルミプレート付きフロアマットなどを装着。台数限定ではなく、ニスモエキスパートショップ及び同スポーツショップでの期間限定受注車両だった。
- GT-R NISMO CLUBSPORTS Package
- 2008年に日産との共同開発で、GT-RとGT-R スペックVの中間を補完するグレードとして発売された。専用のサスペンション、タイヤ、ホイール、カーボンバケットシート、チタンエキゾーストシステム、リアディフューザーが用意される。
- FAIRLADY Z Version nismo
- Z34型フェアレディZをベースとした市販コンプリートカー。VQ37VHR型エンジンのECUを現車合わせを行ったうえで専用に書き換え、最高出力355PSを発生する。車体には空力を徹底的に調査した専用のオリジナルフルエアロを装着し、ホイールもnismo専用のものに交換されている。足回りにもチューニングが施されており、専用サスペンションや強化スタビライザー、ヤマハ製強化ステアリングダンパーなどが装��されている。純正状態でも固い足回りだったのに対し、さらにスパルタンな仕様となったため「サーキット専用マシン」などと評された。当時はライバルの欧米製スポーツカーが軒並みATへ移行していた時期と重なり、nismoでも7速AT車限定レースなどを企画していた。2013年からは日産が介入してnismo統一ブランドとして発売しており、Version nismoは生産を終了している。
- NISMO FAIRLADY Z Z-tune
- 2003年、レースゲーム「グランツーリスモシリーズ」とのコラボレーションにより、「至高のチューニングカー」をコンセプトとして生み出された架空の車両。外観の変更点はS-tune仕様のエアロとボンネットダクトに留まるが、各部の軽量化、エンジンチューンにより、最高出力は400 ps、車両重量は1250 kgとなった。
製品・サービス
編集NISMOブランドを冠した自動車部品・自動車関連アクセサリー・グッズを発売している他、エンジンやミッション・足回りのチューニング作業や、エンジンのコンディションを新車状態に近づけるセッティング作業などのサービスメニューの提供、製造廃止により供給されなくなっていた旧型車の純正部品の復刻生産を柱とする「NISMOヘリテージパーツ」[注釈 2]の販売を行う。
NISMOフェスティバル
編集脚注
編集注釈
編集出典
編集- ^ a b c ニッサン・モータースポーツインターナショナル株式会社 第37期決算公告
- ^ 日産自動車、特装・モータースポーツの新会社を設立 - 日産自動車 2021年12月17日(2021年12月17日閲覧)
- ^ F1のウイリアムズとニスモが技術提携を発表! 協力して日産車ベースの高性能モデル開発へ! - autoblog日本版・2013年6月28日
- ^ 『日産自動車、日本国内の「NISMO」ロードカーラインナップの拡充と、新たなスポーティーサブブランド「AUTECH」の投入を発表』(プレスリリース)日産自動車、2017年11月24日 。2017年11月27日閲覧。
- ^ RB26DETT改Z-tuneには、大きく分けて開発初期のテスト用「Z1」と市販車用「Z2」の2つの仕様が存在する。「Z2」は製作された20機全てにシリアルナンバーが割り振られており、ニスモが将来的なデータの管理を約束している。
関連項目
編集その他
編集スーパー戦隊シリーズの『炎神戦隊ゴーオンジャー』では、ゴーオンレッドが加入前に所属していたレーシングチームのテスト走行シーンに、XANAVIモチュールNISMO-Zが本山哲とともに登場した。
外部リンク
編集- 公式ウェブサイト
- NISMO (@NISMO_JP) - X(旧Twitter)