イネ目イネ科の植物で、木のように茎(稈)が木質化するものの総称
タケから転送)

(タケ)は、広義には、イネ目イネ科タケ亜科に属する植物のうち、木本(木)のように(稈)が木質化する種の総称。

タケ
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: イネ目 Poales
: イネ科 Poaceae
亜科 : タケ亜科 Bambusoideae
: タケ連(広義) Bambuseae
学名
Bambuseae Kunth ex Dumort.
和名
タケ
  • タケ連(狭義) Bambuseae
  • Arundinarieae

本項では便宜上、狭義のタケを「タケ」、広義のタケを「タケ類」と表し、タケ類全体について述べる。ただし、「タケ類」はタケ亜科、あるいは狭義のタケの意味で使われることもあるので、注意を要する。漢字の「竹」は人文・産業的な文脈に限って用いる。竹は英語でbambooであるが、「バンブー」と「竹」は狭義の意味で区別されるので注意が必要である。

竹を食べるジャイアントパンダアデレード動物園オーストラリア

タケは気候が温暖で湿潤な地域に分布し、アジア温帯熱帯地域に多い。ササは寒冷地にも自生する。タケ、ササの分布は北は樺太から南はオーストラリアの北部、西はインド亜大陸からヒマラヤ地域、またはアフリカ中部にも及ぶ。北アフリカヨーロッパ北アメリカの大部分には見られない。

稈の丈は代表種であるマダケなどで20mを超える[1]。稈はとても強く大きくしなっても簡単には折れない[1]

通常は、地下茎を広げ、地下茎からタケノコが直接生えることでふえていく。これは、無性生殖の一種である栄養生殖である。次々とタケノコが生えることによって生息域を広げて竹林となるが、これらの竹はすべて遺伝子が同一のクローンである。このようにしてふえた(1本の)竹には寿命があるので、やがて竹林全体が花を咲かせて有性生殖を行い、子孫をつくったのちに一斉に枯死する。が咲くことは極めてまれで、花が咲くときは4月から5月にかけてである[1]。一部のタケ類は周期的に開花し一斉に枯れることが知られている。その周期は極めて長く、ハチク[2]、マダケの場合は約120年周期であると推定されている[3]。しかし、まだ周期が分かっていない種類も多い(日本におけるモウソウチクの例では、種をまいてから67年後に一斉に開花・枯死した例が2例(1912年→1979年・1930年→1997年)報告されている[4])。竹の種類によって開花周期に幅が見られるが、一般にはおおよそ60年から120年周期であると考えられている[5]

タケ類は成長力が旺盛で、ピークの時は1日で1メートル以上成長する。生長は極めて早く、マダケではタケノコから成竹になるまで30日という記録がある[6]竹林の近くにある民家の中に竹が侵入する(タケノコが生える)被害もある。放置された竹林で地滑りの発生が多いという研究��報告があり[7]、事例も複数報告されている。また放置竹林によって山地が覆われ、元々植生していた広葉樹針葉樹光合成が妨げられ、生物多様性が損なわれ、結果として森林の減少を招くという問題も起こっており、各地で対策が講じられている。2017年、林野庁によると、全国の竹林面積は2002年約15万6000ヘクタール、2017年約16万7000ヘクタールと増え、都道府県別竹林面積は、鹿児島県1万7927ヘクタール、大分県1万4042ヘクタール、福岡県1万3619ヘクタール、山口県1万2001ヘクタール、島根県1万1157ヘクタールなど。竹材の生産は1960年は年間約40万トン、2010年は3万トンを切った[8]

乾燥が十分なされたものは硬さと柔軟さを備えており、古来より様々な用途に使われてきた(詳細は「#利用」参照)。竹細工の材料、建材などのほか、繊維を利用して竹紙も作られている。竹酢液竹炭としても利用される。前述した放置竹林の問題においても、これらの素材としての活用を求め、様々な研究、試行錯誤が行われている。

タケの芽をと呼び、食用とする[1]。葉を食料として利用する動物もおり、ジャイアントパンダはこれを主食としている。

モウソウチクを除く種の多くは、限られた地域でしか生育しないことが多い。その理由は不明である。

分類

編集

草本(草)と木本(木)との区別上の位置づけ

編集

タケが草本か木本かは意見が分かれている。多くの草本類と同じく茎にあたる稈に年輪は見られないが、一方で木本類のように堅くなる性質がある[1]。また、通常の木本と異なり二次肥大成長はせず、開花後は枯死することが多い。分類上も、タケは単子葉植物であるイネ科植物で、イネ科をはじめとする単子葉植物は大半が草本として扱われている。このようにタケには草本の特徴が多く見られるため、タケを多年草の1種として扱う学説が多い。「木#学術的な定義を巡って」も参照。

タケ亜科内の位置づけ

編集

タケ類はイネ科タケ亜科に属する。熱帯性木本タケ類と温帯性木本タケ類の2つの系統を合わせてタケ連として扱うこともある。タケ亜科にはタケ連のほかに Olyreae 連が属するが、Olyreae 連は典型的な草本であり、タケ連のような木質の茎を作らない。

Sungkaew et al.(2009)[9]の分子系統学的解析によると、タケ連は単系統ではなく、熱帯性木本タケ類と温帯性木本タケ類の2つの系統に分かれる。熱帯性木本タケ類が Olyreae と姉妹群となり、温帯性木本タケ類はそれら全体と姉妹群である。彼らはこの結果から、温帯性木本タケ類を Arundinarieae 連に分割すべきとしている。

タケ亜科
狭義のタケ連
(熱帯性木本タケ類)

旧大陸熱帯・オーストラリアのタケ連  

新大陸熱帯のタケ連

Olyreae(草本タケ類)

Arundinarieae(温帯性木本タケ類)  

  : 日本に分布

タケ類の分類

編集

熱帯性木本タケ類と温帯性木本タケ類

編集

タケ類は熱帯性木本タケ類と温帯性木本タケ類の2つの系統に分かれ生育型が大きく異なる。このことから、分類学的には従来、タケ連Bambuseae)にまとめられていた。しかし、その後の研究によって単系統ではないことが判明し、分割が提案されている。

温帯性木本タケ類は地下茎で生育繁殖するが、熱帯性木本タケ類は分蘖(株分かれ)によって立ち状になる。

バンブーは、熱帯地方に産する地下茎が横に這わず株立ちになるもののことを指す場合がある。パルプ業界にはタケとバンブーの区別がある。

タケとササ

編集

タケは狭義にはササと区別され、稈が成長するとともにそれを包む葉鞘(竹皮)が早く脱落してしまうものをタケといい、枯れるまで稈に葉鞘が残るものをササという[1]

一般的には丈の低いものが笹竹の略とされる。しかし、オカメザサのように膝丈ほどのタケや、メダケのような背の高いササもある。名前に「○○ダケ」「〇〇チク」「〇○ザサ」とついていても実際のタケやササの判断とは異なる場合がある。

ちなみに、日本に見られるタケの多くは帰化植物と考えられ、一部種類には日本野生説もあるが、ほとんどは中国原産である。ササは日本産のものが多くあり、地方変異も数多い。

竹皮の着生
タケは生育後落下するが、ササは生育後も着生している。
葉の形態
タケは格子目があるが、ササにはそれがなく縦に伸びる平行脈である。
開花
タケは約120年周期、ササは40年から60年周期でどちらも開花後には枯死する。
分布
日本ではタケは青森県本州北端)から九州の広い範囲で見られるが、ほとんどは帰化植物と考えられる。ササは北海道や高山地帯にも自生する。

主な種

編集
 
竹林の小径 (嵯峨野にて撮影)
 
竹林 (林昌寺にて撮影)
 
竹林 (瑞泉寺にて撮影)
 
荒廃した竹林

タケ類の種は、世界で600種とも1,200種とも言われる。日本には150種、あるいは600種があるといわれる(いずれも学説によって異なる)[10]。 日本に生育するタケ類のうち、代表的なものを以下に挙げる。

病気とその利用

編集

竹笹類に寄生する菌類には、細菌類、藻菌類、古生菌類などの菌類がない点で、近縁のイネ科植物と異なる[10]。1961年頃の情報では、子嚢菌類が43科219属454種、 担子菌類が20科50属97種、不完全菌類が10科106属195種である[10]

2024年時点で日本植物病名データベース国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)に集められているマダケ類病名一覧では、30種以上の名前が挙げられている[11]

通常、罹患した植物は商品価値が下がるものであるが、特徴的な模様が出る場合は虎斑竹、彪紋竹、日向斑竹、涙斑竹、祖母斑竹、瓔珞斑竹、胡麻竹などと呼ばれ、正倉院に収蔵された御物や平安時代に書かれた延喜式にも斑竹の名があるように古来から価値が見いだされている[10]

利用される竹
  • 虎斑竹(虎竹) - 虎斑菌(1907年に日本人の植物学者川村清一によってMiyoshia属が新設されるが後にMiyoshiella属に改定)に感染することでトラの毛皮のような斑点ができた竹[10]。特徴的な虎模様をもつことから、利用される[12]
  • 湘妃竹中国語版 - 中国の斑がある竹、病原菌の影響と考えられているが病原菌の特定がされていない[10]
利用価値が下がる菌類・病気
  • 朱病菌 (Stereostratum corticioides、赤衣菌) - イギリスの探険船チャレンジャー号が神戸に寄港した際に採取して、1878年にイギリスの菌類学者Berkeleによって竹笹類で初めて報告がなされた病原菌である[10]。冬胞子堆ができる[13]
  • タケ類天狗巣病 - 麦角菌科の糸状菌の一種(Aciculosporium take)によって、枝に菌こぶができ、罹病枝が箒状・鳥の巣状になり、成長が衰え、最悪の場合は枯れる[14]。罹病竹や老齢竹を間引きして焼却処分することで対策される[15]

利用

編集

概説

編集

ある程度大きく育った竹から、を通さない硬い節で複数に仕切られた稈(かん)と呼ばれる茎などが得られる[16]。伐採後に乾燥させた竹の稈は強靭であり、細工が容易で、木材に乏しい弾力性に富んでいる。そのため、和弓釣竿など、ばね性の必要な製品の素材として古来広く利用されてきた。

竹竿は内部が空洞なので、としての性質を強く持つ。つまり、しなやかで強い素材である。しかもそれを構成するのが細長い繊維細胞であり、これも管である。したがって、特に引っ張りには強い。しかし、横からの力には管が壊れる形での破壊が起こりやすい。また、荷重を支えるのには向かない。状況に応じ、そのまま、また、割って細い板状にして使用される。横からつぶしたものはロープのようにも使用される。さらに細い棒状にしたものは竹ひごと呼ばれる。木とは異なり竹を割り竹にするときは穂先から根元方向に割るとほぼ均等に割れる(俗に木元、竹うらという)[17]

伐採したままの竹を青竹(実際には緑色)と呼ぶ。火で焙ったり(乾式)、苛性ソーダで煮沸したり(湿式)して油抜きをした晒し竹、ある程度炭化させた炭化竹、伐採後に数カ月から数年間自然に枯らしたもの、家屋屋根裏で数十年間囲炉裏で燻された煤竹と、種々の素材が得られる。これらは弾力性、硬さ、耐久性などが異なり、利用目的によって使い分けられる。 青竹は容易に入手できるが、耐久性に問題があり、晒し竹や炭化竹に加工することでその問題点は改善する。煤竹は独特の色(煤竹色)をしており、硬く、耐久性に富むが、入手は困難である。

桿はほぼ円柱状で中空であり、軽量、丈夫でよくしなる。そのため釣り竿棒高跳の竿などの特殊な使用例がある。

伐採年齢は4年以上のものが強度、収縮率、比重などから良いとされている[17]。また、伐採時期については、夏から初秋にかけての地下茎の成長期に貯蔵栄養分が糖として利用されるため、2月から8月(にっぱちと俗にいう)に伐採すると害虫の影響などで耐久期間が短く長期保存に向かなくなるといわれている[17]

建材・内装材

編集
  • 竹小舞:和風建築の塗り壁の素地
  • 竹筋コンクリート:鉄が不足していた時期に鉄筋の代用として竹の骨組を配したコンクリート工法。
  • 床材
  • すだれ
  • 建築外部足場:日本ではあまり見ないが、中国、東南アジアでは、比較的高いビルの建築現場でも足場材として使われる。
  • 冬囲いの材料
  • 竹垣
  • 竹シーツ:小さく切った竹片に隙間を設けながらつづり合わせてシート状にしたもの。暑い時期に体を冷やしてくれる冷却寝具として使用されている。

パイプ・容器

編集
 
竹を粉砕しパルプ状にして作ったモールド容器(ヨネヤマ製)[18]

ある程度の長さに切り、途中の仕切りを突き抜けば、パイプができる。大きいものは直径10センチメートルくらいから細いものまである。また、これを縦に半分に切り、水を流すことにも用いられる。

竹を切らない、あるいは一つの節をそのままにした場合、密閉された容器となり、これを火中に投入すると派手な音を立てて破裂する。これが爆竹の由来である。

結束材・ロープ

編集
  • を締める箍(たが)。
  • 上総掘り:やぐらを組んで大きい車を仕掛け、これに割り竹を長くつないだものを巻いておき、その竹の先端に取り付けた掘鉄管で掘り抜く井戸の代表的な工法。人力のみで500メートル以上の掘削が可能であることから、開発途上国への技術指導が行われている。

工芸品・日用品

編集
 
竹製の籠
 
犬矢来京都市・先斗町)

手に入りやすく、削る・曲げるなどの加工がしやすい。繊維の方向がはっきりしており、それに沿った方向には細かく割りやすい。節の部分で割れが止まるため、同質で同じ長さの棒状のものを量産しやすい。細く薄く削れば、その厚さ次第で適度な弾力の先端を得られる。さらに、無加工の状態でも比較的腐食しにくく保存が容易である。

細工工芸によく使われ、大分県別府竹細工奈良県高山茶筌など各地の伝統工芸品の材料としても多く用いられる。子供のおもちゃなどにもよく利用される。工芸品としては、伐採前の自然な変化や伐採後の経年変化により表面に様々な模様の入ったものが珍重される[22]菌類による侵食を利用したものもある。

構造
文具
玩具
 
竹馬
 
バンブーダンス
 
筍(たけのこ)
 
穂先メンマ
  • 竹とんぼ
  • 竹馬: 新撰六帖題和歌に「たけむまをつゑにもけふはたのむかなわらはあそびをおもひいでつつ」がみえ、古くから子供用の玩具として竹を使用していたことがうかがえる。
  • 麻雀牌: 牌の背の部分に竹を使用したものがある。最近は「ガン牌」の防止や全自動卓の普及により、竹を使用したものはほとんどない。
  • くす玉(竹かごの上に紙や造花を貼り合わせる)
漁業用具
武具・スポーツ用品
その他

食材

編集
  • (たけのこ)
  • メンマ(麺麻)- シナチク(支那竹)とも呼ばれる。
  • 実の栄養価は小麦に匹敵するともいわれ、救荒食物として飢饉を救った逸話もあるが、むしろノネズミ(野鼠)の大発生による飢饉を招いた例が多い(開花を凶事とする根拠)。
  • チャノキの代わりに竹を使った葉が作られている[26]
  • クマザサは生薬や健康食品、茶葉、焼酎原料などに使われる。
  • タンザニアでは、竹藪に集まる鳥が異常な行動をすることから見つかったとされる竹の樹液がアルコール発酵したウランジ(ulanji)という竹酒がある[27][28]。また他の竹でも樹液が発酵する場合があるが、菌などの毒性があれば食用にすることはできない[29]

生薬

編集
  • ハチクまたはマダケの葉は、竹葉(ちくよう)という生薬で、解熱利尿の作用がある。
  • 葉をに漬けて香りを付けた竹葉青というリキュール中国にある。
  • ハチクまたはマダケの茎の外層を削り取った内層は竹茹(ちくじょ)という生薬で、解熱、鎮吐などの作用がある。
  • タンチク、 ハチクの茎を火で炙って流れた液汁は、竹癧(ちくれき)という生薬である。

繊維原料

編集

竹の内側にある薄紙と、竹を発酵させて得た繊維を漉いて作った紙を竹紙と呼ぶ。

中国四川省広西チワン族自治区などの一部製紙工場は竹を原料としたパルプを製造し、にまで加工している。

バイオ燃料

編集

他の植物と同様に、発酵させるとエタノールを得られ、バイオ燃料として利用できる。静岡大学では、超微粉末にする技術と、強力に糖化する微生物を探すなどで、糖化効率を従来の2%程度から75%に高めた。3年間でさらに効率を80%まで高め、1リットル当たり100円程度の生産コストを目指している。研究チームの試算では、国内には約9,300万トンの竹があり、年間330万トンまでなら採り続けても生態系への影響はない。これで燃料を作れば目標消費量の約10%を賄えるという。

また、エタノール化ではなく直接燃料にする場合は、カリウムと塩素の含有量が多く炉の傷みや有害ガスが発生しやすいために利用は限られていたが、近年では粉砕後に水に晒すことによりカリウムと塩素を抜いてからペレット化し、カリウム分が溶出した水も液肥として利用する技術なども開発されている[30]

除菌・消臭・防虫・土壌改良

編集

竹酢液は除菌・殺菌や消臭剤防虫剤として使われる。

粉末にした竹(竹粉)は土壌改良に使われる。堆肥などとともに農地にすき込むことで、土中に空気の層ができて農作物の根の張りが良くなるほか、竹粉に付着している乳酸菌病原菌雑草を抑える効果がある[31]

竹簡

編集

古代、の発明以前は中国および近隣の朝鮮・日本では、紙の代りに木簡および竹簡が広く使われた。しかし、日本では竹簡の使用例は少ない[32]

文化

編集

五百円硬貨の裏に竹が描かれている[33]

関連作品

編集
  • 竹取物語舌切り雀 - 作者不詳の日本の民話(おとぎ話)。
  • 美女と竹林 -(2008年8月22日発売、単行本、光文社)森見登美彦の虚実取り混ぜたエッセイ。知人の所有する竹林の管理を任された作者の苦闘を書く。
  • 一笑図 - 竹の下に犬を置く構図を画題とした絵のジャンル。笑いの字を分解すると竹の下に犬であるとして、11世紀の中国の画家である蘇軾が始めた[34]

習俗・慣習

編集
 
門松
 
竹林の七賢(レリーフ拓本)中国晋代に清談にふけったとされる七人の賢人
  • 青々としてまっすぐ伸びる様子から、(さかき)とともに清浄な植物のひとつとされている。
  • 地鎮祭などの神事において、不浄を防ぐために斎み清める場所の四隅に立てる葉付きの青竹を、斎竹(いみだけ)という。青竹には清浄な神域を示す注連縄を張り廻らせ、紙垂(しで)を垂らす[35]
  • 3本の竹を松で囲み、荒縄で結んだものを門松と呼び、正月に玄関や門前に立てる。
  • 竹は種類によるが、前述のように67年から120年に1度花を咲かせ、結実し枯れる。花が咲くと竹が枯れ、地下茎で繋がった1個体の竹は枯れる[36]。昔は、竹の花はめったに咲かない、咲くのは凶事、冷害凶作の兆候など、悪いことが起こる前兆のように言われていた[36]。竹は花が咲くと枯れるが、大抵は寒冷・乾燥など凶作になりそうな気候条件のときに竹の花が咲くといわれている[36]
  • 地震のときに竹藪へ逃げろ、という言い伝えは、つながった地下茎で地面が守られているという理由から来ている[6]
  • 竹の花[独自研究?]がつける実は野鼠の餌となる。非常に稀な出来事であるため、平時の食物連鎖ではあり得ない野鼠の大量発生を引き起こし、急増した野鼠が他の植物などを食害することが知られている。この現象はインドmautam''(bamboo death)[独自研究?]と呼ばれ、壊滅的な農業被害が発生している。このことから「竹の花は不吉の前兆」とする民間伝承が生まれた。[要出典]
  • 七夕 - 笹を飾る。
  • 、竹、3つをあわせて松竹梅(しょうちくばい)と呼び、縁起が良いものとされる。元は歳寒三友と呼ばれ中国画での画題が日本に伝わったもので、符牒としても使われる。他にも竹・を合わせた四君子などもある。
  • 竹の都 - 伊勢神宮に仕えた斎宮の古称、別称[37] - 「おもへただ竹の都はかすみつつしめの外なる御代のけしきを」。

ことわざ、慣用句など

編集
  • 竹を割ったよう
  • 破竹の勢い - 杜預による言葉。
  • 竹馬(ちくば)の友
  • 竹箆(しっぺ)返し
  • 木に竹を接ぐ
  • 松竹梅
  • 竹植うる日 - 陰暦5月13日。夏の季語で、江戸時代俳人松尾芭蕉は「降らずとも竹植うる日は蓑(みの)と笠(かさ)」と詠んだ。この日に竹を植えると枯れないという中国の俗信がある。竹酔日(ちくすいじつ)。
  • 竹に油を塗る - 1.若くて美しいこと 2.弁舌の達者なこと。
  • 竹の子の親まさり
  • 竹八月に木六月 - 伐採に適した時期、陰暦。
  • 竹屋の火事 - ポンポンと怒るようす。
  • 竹藪に矢を射るよう - 無益なことの譬え。
  • 名を竹帛(ちくはく)に垂る
  • 竹藪焼けた(たけやぶやけた)- 回文の一つ。

家紋

編集

竹紋(たけもん)は、竹を図案化した家紋である。笹紋も含む。

『大要抄』に記された車文の「篠の丸(ささのまる)」が所見とされる。勧修寺家とその一門、関係する武家を通じて分布した。

図案は、竹の幹、葉を描いたもの、それにを添えることがある。雀を添えたものは多数図案があるがまとめて「竹に雀」と呼ばれる。ほかにを図案化したものもある。

出典

編集
  1. ^ a b c d e f 岩槻秀明『散歩の樹木図鑑』新星出版社、2013年、247頁。 
  2. ^ 明治末期以来? 周期120年、各地でハチク咲く”. YOMIURI ONLINE (2017年6月4日). 2017年6月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2017年6月4日閲覧。
  3. ^ 小林慧人, 久本洋子, 福島慶太郎, 鈴木重雄, 河合洋人, 小林剛「タケ類開花の現況と開花記録の収集:市民参加型調査に向けて」『日本森林学会大会発表データベース』第134巻、日本森林学会、2023年5月、461頁、CRID 1390577740951954176doi:10.11519/jfsc.134.0_461 
  4. ^ 鈴木誠, 村川功雄, 塚越剛史「モウソウチクの開花枯損と回復状況」『日本森林学会大会発表データベース』第116回 日本森林学会大会、2005年、9頁、doi:10.11519/jfsc.116.0.9.0。「従来の育種技術とバイオテクノロジー等新技術との統合による新たな林木育種の展開」 
  5. ^ 大分県農林水産研究センタ−林業試験場
  6. ^ a b 辻井達一 2006, p. 223.
  7. ^ 日浦啓全, 有川崇, バハドゥール ドゥラドゥルガ「都市周辺山麓部の放置竹林の拡大にともなう土砂災害危険性」『日本地すべり学会誌』第41巻第4号、日本地すべり学会、2004年、323-334頁、doi:10.3313/jls.41.4_323 
  8. ^ “放置竹林、食べて環境保護 メンマに加工しSDGs貢献 福岡の団体:朝日新聞デジタル”. (2021年6月11日). https://www.asahi.com/articles/DA3S14936672.html 
  9. ^ Sungkaew, Sarawood; et al. (2009), “Non-monophyly of the woody bamboos (Bambuseae; Poaceae): a multi-gene region phylogenetic analysis of Bambusoideae s.s.”, Journal of Plant Research 122 (1), doi:10.1007/s10265-008-0192-6, http://www.springerlink.com/content/l66176827751xx86/ 
  10. ^ a b c d e f g 日野 巖 (1961). “日本における竹笹類寄生菌”. 日本植物病理学会報 26 (3): 87–89. doi:10.3186/jjphytopath.26.87. https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjphytopath1918/26/3/26_3_87/_article. 
  11. ^ Genebank, NARO. “農業生物資源ジーンバンク - 日本植物病名データベース - マダケ類 病名一覧”. www.gene.affrc.go.jp. 2024年9月22日閲覧。
  12. ^ 「虎斑竹」を世界へ サイト:四国人(経済産業省四国経済産業局)
  13. ^ 和泉, 恵介; 長尾, 智萌; 原田, 幸雄 (2006). “ササ・タケ類赤衣病菌 Stereostratum corticioides の生活環について.”. 日本菌学会大会講演要旨集 50: 74–74. doi:10.11556/msj7abst.50.0.74.0. https://www.jstage.jst.go.jp/article/msj7abst/50/0/50_0_74/_article/-char/ja/. 
  14. ^ タケ類天狗巣病をご存じですか? - 兵庫県立人と自然の博物館(ひとはく) ひとはくblog旧”. www.hitohaku.jp. 兵庫県立人と自然の博物館. 2024年9月22日閲覧。
  15. ^ 島根県:竹林の衰退現象とタケ類てんぐ巣病について2(速報)”. 島根県ホームページ www.pref.shimane.lg.jp. 2024年9月23日閲覧。
  16. ^ 竹の部位図国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 関西支所(2018年3月20日閲覧)
  17. ^ a b c 水防工法 Pocket Book”. 四国地方整備局 松山河川国道事務所. 2021年10月1日閲覧。
  18. ^ a b モールド容器とは?機能性やメリット・デメリット、おすすめ商品3選を紹介”. youki style magazine. 2022年10月10日閲覧。
  19. ^ カンボジアの竹おこわ アルコムワールド”. 2015年9月11日閲覧。
  20. ^ タイ カオラム(竹めし) - クリップ - NHK for School”. 2015年9月11日閲覧。
  21. ^ 羅宇(ラウ)とは - コトバンク”. 2015年9月11日閲覧。
  22. ^ 京都の銘竹竹平商店(2018年3月20日閲覧)
  23. ^ 落合敏監修 『食べ物と健康おもしろ雑学』 p.142 梧桐書院 1991年
  24. ^ プーさんが悲しまない、トイレットペーパーって?”. LINEヤフー株式会社 (2024年1月26日). 2024年4月12日閲覧。
  25. ^ 持続可能な代替材「竹」でできたトイレットペーパー。新しい暮らしの循環を生み出すビジネス”. 一般社団法人MASHING UP (2021年2月20日). 2024年4月12日閲覧。
  26. ^ 虎竹茶(2018年3月20日閲覧)
  27. ^ swhallgren, Author (2018年7月22日). “Ulanzi: The Miracle Drink of Tanzania” (英語). Teaching High School Biology in Tanzania: A Peace Corps Volunteer Experience. 2023年11月27日閲覧。
  28. ^ タンザニアにおけるタケ酒の商品開発と環境保全”. KAKEN. 2023年11月27日閲覧。
  29. ^ 香川大学農学部附属農場Facebook”. www.facebook.com. 2024年1月14日閲覧。
  30. ^ 放置竹林をバイオマス燃料に 日立、竹の燃料化技術日本経済新聞ニュースサイト(2017年3月9日)2018年3月20日閲覧
  31. ^ 【若者】油木高校広島)竹で土壌改良 放棄地を再生『日本農業新聞』2019年9月2日(14面)。
  32. ^ 馬場基「009 竹簡について」『奈良文化財研究所学報』第100冊、国立文化財機構 奈良文化財研究所、2021年3月、255-269頁、CRID 1050569302457035008hdl:11177/9472 
  33. ^ 通常貨幣一覧:財務省”. 2022年5月15日閲覧。
  34. ^ 一笑・一咲』 - コトバンク
  35. ^ いみ‐だけ[斎竹/忌(み)竹]」 (デジタル大辞泉小学館
  36. ^ a b c 辻井達一 2006, p. 222.
  37. ^ 斎宮とは?三重県明和町ホームページ(2018年3月20日閲覧)

参考文献

編集

関連項目

編集

外部リンク

編集