電子工学における負性抵抗(英: negative resistance, NR)とはある種の電気回路や素子が持つ特性で、端子間に加わる電圧が増加すると流れる電流が減少することを言う。通常の抵抗器において印加電圧が増えるとオームの法則により電流も比例して増えていき、抵抗値が正となるのとは対照的な振る舞いである。正の抵抗に電流が流れると電力を消費するが、負の抵抗は電力を発生する。負性抵抗は特定の条件下で電気信号の電力を増加させて増幅機能を担うことができる。 負性抵抗素子は非線形であり、通常の電気回路で見られる正の「オーミックな」抵抗より動作が複雑になる。ほとんどの正抵抗とは異なり、負性抵抗素子の抵抗値は印加される電圧や電流によって変化し、限られた電圧・電流範囲でしか負の抵抗を持たない。すなわち、任意の電流範囲にわたって一定の負性抵抗を持つという意味で正の抵抗器に対応する「負性抵抗器」は存在しない。

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  • 電子工学における負性抵抗(英: negative resistance, NR)とはある種の電気回路や素子が持つ特性で、端子間に加わる電圧が増加すると流れる電流が減少することを言う。通常の抵抗器において印加電圧が増えるとオームの法則により電流も比例して増えていき、抵抗値が正となるのとは対照的な振る舞いである。正の抵抗に電流が流れると電力を消費するが、負の抵抗は電力を発生する。負性抵抗は特定の条件下で電気信号の電力を増加させて増幅機能を担うことができる。 負性抵抗は限られた数の非線形電子素子でしか見られない。非線形素子では抵抗の定義が2種類ある。「静的抵抗」は電圧 の電流 に対する比 をいい、「微分抵抗」は電圧変化とそれによって生じた電流変化の比 をいう。負性抵抗という言葉は負性微分抵抗、すなわち を意味する。一般に負性微分抵抗は増幅機能を持つ2端子素子であり、端子に与えられた直流電力を交流出力電力に変換することで同じ端子に印加された交流信号を増幅することができる。電子発振器や増幅器の構成部品に用いられ、特にマイクロ波領域での利用が多い。マイクロ波領域のエネルギーは負性微分抵抗素子によって生み出されるのがほとんどである。負性抵抗素子はヒステリシス や双安定性を示すことがあり、スイッチングやメモリ回路にも利用される。負性微分抵抗を持つ素子の例にはトンネルダイオード、ガンダイオード、ネオン管などのガス放電管、蛍光灯がある。そのほかトランジスタもしくは正帰還を施したオペアンプのような増幅素子を含む回路にも負性微分抵抗を持たせることが可能であり、発振器やアクティブフィルタに利用されている。 負性抵抗素子は非線形であり、通常の電気回路で見られる正の「オーミックな」抵抗より動作が複雑になる。ほとんどの正抵抗とは異なり、負性抵抗素子の抵抗値は印加される電圧や電流によって変化し、限られた電圧・電流範囲でしか負の抵抗を持たない。すなわち、任意の電流範囲にわたって一定の負性抵抗を持つという意味で正の抵抗器に対応する「負性抵抗器」は存在しない。 (ja)
  • 電子工学における負性抵抗(英: negative resistance, NR)とはある種の電気回路や素子が持つ特性で、端子間に加わる電圧が増加すると流れる電流が減少することを言う。通常の抵抗器において印加電圧が増えるとオームの法則により電流も比例して増えていき、抵抗値が正となるのとは対照的な振る��いである。正の抵抗に電流が流れると電力を消費するが、負の抵抗は電力を発生する。負性抵抗は特定の条件下で電気信号の電力を増加させて増幅機能を担うことができる。 負性抵抗は限られた数の非線形電子素子でしか見られない。非線形素子では抵抗の定義が2種類ある。「静的抵抗」は電圧 の電流 に対する比 をいい、「微分抵抗」は電圧変化とそれによって生じた電流変化の比 をいう。負性抵抗という言葉は負性微分抵抗、すなわち を意味する。一般に負性微分抵抗は増幅機能を持つ2端子素子であり、端子に与えられた直流電力を交流出力電力に変換することで同じ端子に印加された交流信号を増幅することができる。電子発振器や増幅器の構成部品に用いられ、特にマイクロ波領域での利用が多い。マイクロ波領域のエネルギーは負性微分抵抗素子によって生み出されるのがほとんどである。負性抵抗素子はヒステリシス や双安定性を示すことがあり、スイッチングやメモリ回路にも利用される。負性微分抵抗を持つ素子の例にはトンネルダイオード、ガンダイオード、ネオン管などのガス放電管、蛍光灯がある。そのほかトランジスタもしくは正帰還を施したオペアンプのような増幅素子を含む回路にも負性微分抵抗を持たせることが可能であり、発振器やアクティブフィルタに利用されている。 負性抵抗素子は非線形であり、通常の電気回路で見られる正の「オーミックな」抵抗より動作が複雑になる。ほとんどの正抵抗とは異なり、負性抵抗素子の抵抗値は印加される電圧や電流によって変化し、限られた電圧・電流範囲でしか負の抵抗を持たない。すなわち、任意の電流範囲にわたって一定の負性抵抗を持つという意味で正の抵抗器に対応する「負性抵抗器」は存在しない。 (ja)
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  • 図3: 電源の I–V 曲線。第2象限(赤)において電流は正電極から流れ出すため、電気エネルギーは素子から回路に向けて与えられる。たとえば点Pは かつ であり、したがって である。 (ja)
  • 図4: 「能動抵抗」 とも呼ばれる負性線形抵抗(赤)の I–V 曲線。能動素子であるため静的抵抗は負となり、微分抵抗も同じく負である。 : (ja)
  • 二つのトンネルダイオード反射増幅器をカスケード接続した、8-12 GHzで動作するマイクロ波増幅器。 (ja)
  • 負性インピーダンス変換器(左)と I–V 曲線(右)。曲線の赤い領域で負性微分抵抗を持ち、灰色の領域で電力を発生できる。 (ja)
  • になる。点Pにおいては かつ であるため となる。 (ja)
  • 電圧制御型(N型)の負荷線と安定領域。 (ja)
  • 図1: 「オーミック」な線形抵抗の I–V 曲線。電気回路で通常みられる種類の抵抗である。電流は電圧に比例し、そのため静的抵抗と微分抵抗はどちらも正で値は等しい。 (ja)
  • 図2: 一部(赤)で負性微分抵抗を持つ I–V 曲線。点Pにおける微分抵抗 は接線の勾配の逆数 (ja)
  • 外部回路に接続した負性微分抵抗の交流等価回路。負性抵抗は入力に依存する交流電流源のように機能する。出力は となる。出力電流と電圧は逆位相であるため、正の交流電圧 に対して 交流電流の瞬時値 は端子から外に向けて流れる。これが負荷 を通る交流電源電流 に加算されることで出力電力が増加する。 (ja)
  • 電流制御型(S型)の負荷線と安定領域。 (ja)
  • ガンダイオード発振器の回路図。 (ja)
  • 交流等価回路。 (ja)
  • 反射増幅器の交流等価回路。 (ja)
  • 電圧制御型(N型)。 (ja)
  • 電流制御型(S型)。 (ja)
  • バイアスした負性微分抵抗に交流電圧をかける様子。電流変化と電圧変化は逆符号(図では色で区別される)であるため、交流電力消費 は負となり、素子は交流電力を生成する。 (ja)
  • (ja)
  • 図3: 電源の I–V 曲線。第2象限(赤)において電流は正電極から流れ出すため、電気エネルギーは素子から回路に向けて与えられる。たとえば点Pは かつ であり、したがって である。 (ja)
  • 図4: 「能動抵抗」 とも呼ばれる負性線形抵抗(赤)の I–V 曲線。能動素子であるため静的抵抗は負となり、微分抵抗も同じく負である。 : (ja)
  • 二つのトンネルダイオード反射増幅器をカスケード接続した、8-12 GHzで動作するマイクロ波増幅器。 (ja)
  • 負性インピーダンス変換器(左)と I–V 曲線(右)。曲線の赤い領域で負性微分抵抗を持ち、灰色の領域で電力を発生できる。 (ja)
  • になる。点Pにおいては かつ であるため となる。 (ja)
  • 電圧制御型(N型)の負荷線と安定領域。 (ja)
  • 図1: 「オーミック」な線形抵抗の I–V 曲線。電気回路で通常みられる種類の抵抗である。電流は電圧に比例し、そのため静的抵抗と微分抵抗はどちらも正で値は等しい。 (ja)
  • 図2: 一部(赤)で負性微分抵抗を持つ I–V 曲線。点Pにおける微分抵抗 は接線の勾配の逆数 (ja)
  • 外部回路に接続した負性微分抵抗の交流等価回路。負性抵抗は入力に依存する交流電流源のように機能する。出力は となる。出力電流と電圧は逆位相であるため、正の交流電��� に対して 交流電流の瞬時値 は端子から外に向けて流れる。これが負荷 を通る交流電源電流 に加算されることで出力電力が増加する。 (ja)
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  • バイアスした負性微分抵抗に交流電圧をかける様子。電流変化と電圧変化は逆符号(図では色で区別される)であるため、交流電力消費 は負となり、素子は交流電力を生成する。 (ja)
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  • は負となり、入力電圧が増えると電流は減少する。回路の動作点はダイオードの特性曲線(黒)と抵抗器の負荷線(青)の交点である。入力電圧のわずかな増加 (緑)によって負荷線が右にシフトすると、ダイオードを通る電流が大きく減少し、それによってダイオード両端の電圧 が大きく増加する。 (ja)
  • フィードバック増幅器で発生する能動負性抵抗の典型的な I–V 曲線。左図はN型、中図はS型に当たる。それぞれ負性抵抗領域(赤部分)を持っており、電力(灰色)を発生させる。ポートに十分な大きさの電圧か電流(向きは問わない)を加えると素子は非線形領域に入り、増幅器の飽和によって微分抵抗は正となる(曲線が黒い領域)。電力を発生させられる上限の印加電圧 を超えると性的抵抗は正となり、素子は電力を消費し始める。負性抵抗はループゲイン に依存する(図右) (ja)
  • トンネルダイオード増幅回路。 であるため二つの直列抵抗の和 (ja)
  • 正の静的抵抗は電力を熱に変換し、周囲を温める(左図)。しかし負の静的抵抗は逆の動作を行うことができない。右図のように環境から受け取った熱を電気エネルギーに変換すると熱力学第二法則に違反する。したがって負の静的抵抗は別に何らかのエネルギー源を必要とする。 (ja)
  • は負となり、入力電圧が増えると電流は減少する。回路の動作点はダイオードの特性曲線(黒)と抵抗器の負荷線(青)の交点である。入力電圧のわずかな増加 (緑)によって負荷線が右にシフトすると、ダイオードを通る電流が大きく減少し、それによってダイオード両端の電圧 が大きく増加する。 (ja)
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  • 負性微分抵抗 (ja)
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  • Gunn diode oscillator AC circuit.svg (ja)
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  • Negative resistance amplification.svg (ja)
  • Negative resistance stability regions CCNR.svg (ja)
  • Negative resistance stability regions VCNR.svg (ja)
  • Negative resistance vs loop gain.svg (ja)
  • Negative static resistance definition.svg (ja)
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  • Tunnel diode amplifier graph.svg (ja)
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  • 電子工学における負性抵抗(英: negative resistance, NR)とはある種の電気回路や素子が持つ特性で、端子間に加わる電圧が増加すると流れる電流が減少することを言う。通常の抵抗器において印加電圧が増えるとオームの法則により電流も比例して増えていき、抵抗値が正となるのとは対照的な振る舞いである。正の抵抗に電流が流れると電力を消費するが、負の抵抗は電力を発生する。負性抵抗は特定の条件下で電気信号の電力を増加させて増幅機能を担うことができる。 負性抵抗素子は非線形であり、通常の電気回路で見られる正の「オーミックな」抵抗より動作が複雑になる。ほとんどの正抵抗とは異なり、負性抵抗素子の抵抗値は印加される電圧や電流によって変化し、限られた電圧・電流範囲でしか負の抵抗を持たない。すなわち、任意の電流範囲にわたって一定の負性抵抗を持つという意味で正の抵抗器に対応する「負性抵抗器」は存在しない。 (ja)
  • 電子工学における負性抵抗(英: negative resistance, NR)とはある種の電気回路や素子が持つ特性で、端子間に加わる電圧が増加すると流れる電流が減少することを言う。通常の抵抗器において印加電圧が増えるとオームの法則により電流も比例して増えていき、抵抗値が正となるのとは対照的な振る舞いである。正の抵抗に電流が流れると電力を消費するが、負の抵抗は電力を発生する。負性抵抗は特定の条件下で電気信号の電力を増加させて増幅機能を担うことができる。 負性抵抗素子は非線形であり、通常の電気回路で見られる正の「オーミックな」抵抗より動作が複雑になる。ほとんどの正抵抗とは異なり、負性抵抗素子の抵抗値は印加される電圧や電流によって変化し、限られた電圧・電流範囲でしか負の抵抗を持たない。すなわち、任意の電流範囲にわたって一定の負性抵抗を持つという意味で正の抵抗器に対応する「負性抵抗器」は存在しない。 (ja)
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  • 負性抵抗 (ja)
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