孝(こう)とは、儒教における伝統的な徳目の一つで、子供が自身の親を敬い支えるべしと説く道徳的概念である。身近な家庭の道徳的秩序の維持を国家社会運営の端緒と位置づける儒教の徳治においては、まず家庭で守られるべき徳として「悌」とともに長らく重視されてきた。「孝悌」と併用され、「孝悌は仁を為すの本」とも言及される。後述するように他の宗教にも親子関係のあり方を規定する類似のは存在するものの、他の社会規範に対する優越性や、崇敬すべき親の対象として祖霊を含み家父長制と一体化している点など、一般的な親子関係の道徳概念とは異なる特徴を持つことに注意を要する。