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清水建設社長「建設24年問題、短工期は受注難しく」

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(更新)
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建設業界では4月から時間外労働の上限規制が適用される。人手はさらに不足し、人件費が高騰することは避けられない。建設資材の価格も上昇するなかで、コスト転嫁や工期の見直しを進めることができるのか。清水建設の井上和幸社長に聞いた。

――時間外労働を年720時間以内に収める必要があります。

「残業時間はまだ多い。時間外労働を減らすために工事現場では(一般企業の週休2日に相当する)4週8閉所の運用を増やしていく。すでに約7割の職場・現場で導入した」

「ローテーションを組んで、10人が働く現場ではそのうち3人を遅い出勤にするといった工夫も重ねている。派遣社員を多く雇い、現場1人あたりの負荷を減らしている」

――4週8閉所を導入すると工期の延長は避けられません。

「今後は、4週8閉所を前提とした余裕のある工期でない限りは工事の受注を断念せ��るを得ない。業界全体で見ると、特に設備系の工事会社で施工管理を担当する人材が不足している。仕事を断る事例も出ている」

「現在は低採算の工事や、工期がタイトな案件を無理に受注するような環境には置かれていない。半導体工場や、データセンターなどの工事の受注が堅調なためだ」

――4月からの時間外労働の上限規制の適用は資材を運ぶドライバーも対象になります。人件費、物流費とも上昇します。価格転嫁は進みますか。

「生コンクリートや建設資材の運搬費用も上昇する。トラック輸送を効率化するために、一度中継基地に荷物を集約し(トラックの積載率を上げて)現場に運ぶ手法もあるが、中継基地を設けるにはコストがかかる」

「建設業界では職人のなり手が少なく、高齢化も進んでいる。人手不足を抜本的に解決するには、賃金を上げ、職場環境をよくして職人になりたいと思う人を増やしていくしかない。下請けの建設会社などが賃金を上げることによって生じる建設コストの上昇を、発注者に受け入れてもらうよう交渉を進めていく」

――都心では大型の再開発事業が各地で進んでいます。建設コスト上昇の影響は大きそうです。

「超高層ビルの建設は長期間かかるため、大型の再開発では資材価格などが急激に上昇すると、収支が合わなくなる。国や自治体が補助金を増やしているケースもあるが、事業の見直しが必要になってくるものも出てくるだろう」

いのうえ・かずゆき 1981年(昭56年)早大院修了、清水建設入社。名古屋支店長などを経て2015年取締役専務執行役員、16年から現職。東京都出身。67歳

生産性向上へ 業界横断の連携必要に

人件費や資材が高騰する中、その他のコストを抑えようと、工事現場ではIT(情報技術)の活用や、生産性を上げるための最新鋭の機械の導入が進む。ただ、それだけではコスト削減に限界がある。

「工事の企画段階から効率的に安くてよいものを作れるか考えなければならない」。井上社長は生産プロセス全体を変革する重要性を説く。建物が完成するまでには不動産会社や建設会社、設計会社など複数の企業が関わるのが一般的だ。設計会社と建設会社間のデータの連携など、業界を超えた取り組みが必要になってくる。(橋本剛志)

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