日経優秀製品・サービス賞、アシックスなど35点表彰
日本経済新聞社は3日、2024年の「日経優秀製品・サービス賞」の表彰式を東京都内のホテルで開いた。審査委員会が選んだ最優秀賞15点を含む35点を表彰した。グローバル市場への展開を見据えたものや地域企業が保有する技術を応用した製品・サービスが受賞した。

表彰式で小宮山宏審査委員長(三菱総合研究所理事長)が受賞した製品・サービスについて「宇宙航空研究開発機構と三菱重工業の大型ロケット『H3ロケット』といったグローバル市場に挑戦する製品や日本航空(JAL)とヤマトホールディングスの物流網『貨物専用機運航』など人手不足に対応するものが目立った」と話した。
「地域発の技術も多く見受けられた」とした上で、シナノケンシの宇宙向け部品「小型人工衛星用リアクションホイール ARW-3m」など具体事例をあげた。

受賞企業・団体の代表あいさつで、最優秀賞にコンバイン「アグリロボコンバイン DRH1200A」が選ばれたクボタの北尾裕一社長は「無人運転は安全性の確保が重要となる。人工知能(AI)の搭載などこれまでにないチャレンジだった」と述べた。
クボタは無人で自動走行するコンバインを世界で初めて実用化した。農家は人手不足が深刻だ。北尾社長は「自動化とデータを組み合わせることで、農作業の省人化と効率化を進めたい」と強調した。

リサイクルできるシューズ「NIMBUS MIRAI」が同じく最優秀賞に選ばれたアシックスの広田康人会長兼最高経営責任者(CEO)は「開発には3年半かかった」と明かした。
靴は衣服類などと比べて構造が複雑で、パーツや使用材料も多様なため再利用が進んでいなかった。世界でも先駆ける取り組みに、広田CEOは「シューズはリサイクルできないという概念を打破できた」とした。

最優秀賞に外科手術支援AIシステム「EUREKA α」が選ばれたアナウトの小林直代表は外科医出身だ。手術の経験からアナウトを創業したと振り返り、「患者にこれまで以上に安心安全を届けたいとの思いで開発した」と話した。内視鏡の映像をリアルタイムで解析し、切除対象となる組織の位置を表示する。小林代表は「日本の手術はクオリティーが高い。医療の領域で日本がリーダーシップをとれることを実現したい」と意気込みを語った。

