四種混合ワクチン
表示
(DPT-IPVから転送)
4種混合ワクチン クアトロバック | |
成分一覧 | |
---|---|
ジフテリアワクチン | 不活化ワクチン |
百日咳ワクチン | 不活化ワクチン |
破傷風ワクチン | 不活化ワクチン |
ポリオワクチン | 不活化ワクチン |
臨床データ | |
法的規制 |
|
データベースID | |
ChemSpider | none |
四種混合ワクチンは、正式にはジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ混合ワクチンと呼ばれ、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオの4つの病原菌に��する混合ワクチン製剤である。日本では、2012年11月に導入された。DPT-IPVとも表記される。予防接種法に基づいて接種される定期予防接種(公費助成)に用いられる。
概要
[編集]従来の三種混合ワクチンにポリオワクチンを加えた製剤であるが、ポリオワクチン成分が経口生ワクチン(OPV)とは異なり、不活化ワクチンを用いたポリオワクチン(IPV)となっている。2012年8月以降に誕生した児、これまでに三種混合ワクチンやポリオワクチンを接種していない場合には、四種混合ワクチンを接種することとなった。
- ジフテリア(Diphtheria):トキソイド
- 百日咳(Pertussis):無細胞の百日せきワクチン(aP : acellular pertussis)。かつて用いられていた全菌体の百日咳ワクチン(wP : whole-cell pertussis)と区別するため、PではなくaPと表記する場合もある。
- 破傷風(Tetanus):トキソイド
- ポリオ(Polio):不活化ポリオワクチン(inactivated polio vaccine)
2024年4月より、従来単独接種であったHibワクチンを混合した五種混合ワクチンの定期接種が実施されている[1]。
接種時期・種類・回数
[編集]- 1期:生後3か月から接種可。3~8週間間隔で3回、3回目の接種から約1年後(6ヶ月後から可能)に1回の計4回接種。
- 2期:11歳から、二種混合(DT)ワクチンを1回接種。多くの自治体で小学校6年生での投与を推奨している。
- 2期は百日せき(DPTのP)を含まないワクチンを用いる。小学生高学年以上の年長者の百日せき患者が急増しているため、海外では多くの国が就学前と二種混合(DT)ワクチンの接種時期に三種混合(DPT)ワクチンの追加接種をするスケジュールに変更になっている。日本でも、現在使われている三種混合ワクチンを年長者に接種することも可能だが、任意接種(有償)[2]。
- 10歳以上で接種するとジフテリアトキソイドによる副反応が強く出ることが多いため、1/5量(0.1 mL)を投与。この量では破傷風の有効量が不足しているため、最大限の効果を得るためには別途破傷風トキソイド単体の接種か、Td (Tetanus, Diphteria) またはTdap(Tetanus, Diphteria, acellular Pertussis)を輸入して用いる必要がある。
- Tdapは従来の沈降精製百日せきジフテリア破傷風混合ワクチン(DTaP)に比較してジフテリア毒素抗原量および百日咳抗原量が減量されている[3]。
- アメリカ疾病予防管理センターは、11~12歳の時と、成人にも10年ごとにTdapの接種を推奨している[4]。
有効成分
[編集]百日せき菌防御抗原 | ジフテリアトキソイド | 破傷風トキソイド | 不活化ポリオウイルス | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
力価 | (Lf) | 力価 | (Lf) | 力価 | 1型 | 2型 | 3型 | |
テトラビック | 4単位以上 | 15以下 | 23.5単位以上 | 2.5以下 | 13.5単位以上 | 1.5 DU | 50 DU | 50 DU |
クアトロバック | 4単位以上 | 16.7以下 | 6.7以下 | 1.5 DU | 50 DU | 50 DU | ||
スクエアキッズ | 4単位以上 | 15以下 | 14単位以上 | 2.5以下 | 9単位以上 | 40 DU | 8 DU | 32 DU |
注)DU:D抗原単位
ただし不活化ポリオウイルスは、テトラビックとクアトロバックがSabin株、スクエアキッズが野生株(1 型:Mahoney 株、2型:MEF-1 株、3 型:Saukett 株)由来のソークワクチンで、Vero細胞で培養増殖させ、得られたウイルス浮遊液を濃縮、精製した後に不活化し、混合したもの。
その他添加物
[編集]緩衝・等張化・pH調節・アジュバント・安定・希釈剤として、
- 共通: リン酸水素ナトリウム水和物、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩酸、水酸化ナトリウム、塩化アルミニウム、ホルマリン(ホルムアルデヒドとして)、エデト酸ナトリウム水和物、M199培地
- テトラビックのみ:水酸化アルミニウムゲル
- クアトロバックのみ:ブドウ糖、L-リシン塩酸塩
関連項目
[編集]- 三種混合ワクチン
- 二種混合ワクチン
- ワクチン
- 大阪大学微生物病研究所 - テトラビック、セービン株(田辺三菱製薬販売)
- KMバイオロジクス - クアトロバック、セービン株(アステラス製薬販売)
- ジャパンワクチン - スクエアキッズ、ソークワクチン(第一三共株式会社販売、サノフィ株式会社販売提携)
脚注
[編集]- ^ 日本放送協会 (2024年2月5日). “Hib感染症を加えた「5種混合ワクチン」 4月から定期接種へ | NHK”. NHKニュース. 日本放送協会. 2024年5月25日閲覧。
- ^ Know VPD!. “四種混合(DPT-IPV)ワクチン・三種混合(DPT)ワクチン・二種混合(DT)ワクチン”. 2014年12月11日閲覧。
- ^ “海外の百日せき含有ワクチンの予防接種スケジュールと百日咳対策” (日本語). IASR(病原微生物検出情報 (国立感染症研究所) 38 (2017年2月号): 37-38 2019年6月1日閲覧。.
- ^ CDC. “ジフテリア、破傷風、および百日咳予防接種 知っておくべきこと”. 2014年12月11日閲覧。
外部リンク
[編集]- FORTH|海外渡航のためのワクチン - 厚生労働省検疫所