聖ヨハネの日
聖ヨハネの日(せいヨハネのひ)は、キリスト教の聖名祝日である。
概要
[編集]洗礼者ヨハネ(バプテスマのヨハネ)の誕生日とされる6月24日で、正教会、カトリック[1]、聖公会、ルーテル教会それぞれの祭日となっている[2]。
イエス・キリストの半年前に生まれたとされるため[3]、クリスマスの半年前の6月24日に誕生日が定められた[4]。
キリスト教で、誕生日が聖名祝日となっているのは、イエス・キリスト、聖母マリア、そしてこの洗礼者ヨハネの3名だけである。イエスに先駆けた洗礼者ヨハネは、聖人の中でも特別な存在である[2]。ヨルダン川で人々に洗礼を施し、イエスにも洗礼を施したため、正教会では「前駆授洗者」(前駆授洗イオアン)と呼ばれる[4]。
大天使ガブリエルから、母エリサベツが受胎告知をされたように、聖霊によって生まれ、無原罪であったことがおもな理由とされる[2]。
夏至祭との関連
[編集]キリスト教受容前のヨーロッパは、夏至の時期に祝祭が行われていた。そのMidsummer Day と、聖ヨハネの誕生日とが結びついたこの日は、夏のクリスマスとも呼ばれる。太陽が夏至で頂点に達した後、冬至に向けて日が短くなるため、この祭には、太陽に力を与えるたき火が付き物であり、また、その火によって今後を占ったり,火の周りを踊ったりして、健康と幸福を祈る[2]。
このたき火のことをボーンファイアー(bonfire)という。その名がしめすように、かつては動物の骨(ボーン)を焼いた。また、「聖ヨハネの火」とも呼ばれる。他にも、この日は、聖ヨハネが陸上と水中それぞれで7人、計14人の生贄を求めるとされるため、水に入ってはいけないといわれる[5]。
季節の区切りの日でもあるため、イギリスでは、四季支払日となっている。 スウェーデン、フィンランドでは移動祝日。イタリアのフィレンツェ、ジェノヴァ、トリノの各都市、エストニア、ラトビア、カナダのケベック州では法定休日となっている。イギリスのコーンウォール州ペンザンスは、ヨハネを守護聖人としているため、この日に一番近い金曜日から、10日間にわたる祭が始まる。フィレンツェでは、この日は古式フットボールが行われ、ブラジルではフェスタ・ジュニーナと呼ばれる収穫祭の日である。[4] ロシアのサンクトペテルブルクでは赤い帆祭りが行われる。聖ヨハネ祭の前夜には、魔女や精霊が現れるという言い伝えがあるが,その夜を舞台にしたシェークスピアの『真夏の夜の夢』も、やはりこのような伝説を背景としている[2]。
脚注
[編集]- ^ 日本のカトリック教会での訳語は「洗礼者聖ヨハネの誕生」(2023年6月現在)。
- ^ a b c d e 聖ヨハネ祭とMidsummer Day ミラハウス歳時記
- ^ ルカによる福音書1:35
- ^ a b c 八木谷涼子 『キリスト教歳時記 知っておきたい教会の文化』 平凡社新書、2003年、164-168頁。
- ^ 谷口幸男 『図説 ヨーロッパの祭り』 河出書房新社、1998年、87頁。