常石造船
種類 | 株式会社 |
---|---|
略称 | つねぞう |
本社所在地 |
日本 〒720-0393 広島県福山市沼隈町常石1083 |
設立 | 2011年(平成23年)1月4日 |
業種 | 輸送用機器 |
法人番号 | 8240001037704 |
事業内容 | 船舶の建造・修繕 |
代表者 | 代表取締役社長 奥村 幸生 |
資本金 | 1億円 |
売上高 |
1083億9900万円 (2023年12月期)[1] |
営業利益 |
33億9400万円 (2023年12月期)[1] |
経常利益 |
51億4100万円 (2023年12月期)[1] |
純利益 |
44億2700万円 (2023年12月期)[1] |
純資産 |
388億2700万円 (2023年12月期)[1] |
総資産 |
1851億5000万円 (2023年12月期)[1] |
従業員数 | 821人(2022年12月31日時点) |
決算期 | 12月 |
外部リンク | http://www.tsuneishi.co.jp/ |
常石造船株式会社(つねいしぞうせん、英語: Tsuneishi Shipbuilding Co., Ltd.)は、広島県福山市に拠点を置く日本の大手造船メーカー。通称「つねぞう」。
概要
[編集]現在の会社は法人格としては2代目で、初代は現会社の持ち株会社であるツネイシホールディングスにあたる。同社が2007年(平成19年)1月にグループ10社を吸収合併して「常石造船株式会社」から「ツネイシホールディングス株式会社」に改称、造船事業部門を担当する社内カンパニーが「ツネイシホールディングス 常石造船カンパニー」となった後、2011年(平成23年)1月にツネイシホールディングスの事業部門を新設分割した際、造船事業部門を「常石造船株式会社」として分割した[2][3]。
バラ積み貨物船を主力とする国内有数の造船メーカーであり、常石工場(広島県福山市)を製造拠点としている。また、フィリピン、中国に造船所を持ち、海外展開も進めている。新造船竣工量(艦艇を除く)を基準にした2005年の国内順位は5位[4]。
同社のバラ積み船はTESS(Tsuneishi Economical Standard Ship)シリーズとして販売されている。
パナマックス型バルカー(kamsarmax)では世界シェアNo.1、ハンディマックス型バルカー(TESS58)では世界シェアNo.2を誇る[5]。
沿革
[編集]- 1903年(明治36年) - 創業者神原勝太郎が石炭輸送のため中古船を購入し海運業を興す(現・神原汽船株式会社)[6][7]
- 1917年(大正6年)7月 - 海運のコストダウンとして船の製造・修理を自前で手掛けるため塩浜造船所を創業[7]。
- 1942年(昭和17年)- 太平洋戦争勃発による輸送需要の高まりから、国の要請により、藤井造船所,西浜造船所と合併し、常石造船株式会社として法人化、設立[7]。木造船の竣工と修理を手掛ける[8][6]。常石の名は所在地の地名に由来する[7]。
- 1958年(昭和33年)- 初の鋼船「美小丸」竣工[8]
- 1973年(昭和48年)- 常石造船事件(労災における損害賠償責任を認めた東京高裁判決)[9][10][11]
- 1976年(昭和51年)- 波止浜造船株式会社と業務提携
- 1992年(平成4年)- 日本鋼管株式会社(現ジャパン マリンユナイテッド)と業務提携
- 1994年(平成6年)- TSUNEISHI HEAVY INDUSTRIES (CEBU) INC.をフィリピンに設立
- 1998年(平成10年)- 代表取締役社長に神原勝成(創業者の曾孫、2代目社長神原真人長男)[12]。
- 1999年(平成11年)- ISO 9001の認証取得
- 2000年(平成12年)- 波止浜造船株式会社と合併、多度津工場とする。
- 2003年(平成15年)- 常石(舟山)船業発展有限公司、常石(舟山)大型船体有限公司を中国に設立
- 2006年(平成18年)- 東京大学で「マリタイム・イノベーション(常石造船)寄付講座」開始[13]。
- 2007年(平成19年)
- グループ10社と合併、ツネイシホールディングス株式会社が発足。同社の社内カンパニーの一つとなる。
- 常石集団(舟山)船業発展有限公司と常石集団(舟山)大型船体有限公司を統合し、常石集団(舟山)造船有限公司に改組。
- 2008年(平成20年) - パラグアイに海外子会社ASTILLERO TSUNEISHI PARAGUAY S.A.を設立[14]。
- 2011年(平成23年)1月4日 - ツネイシホールディングスの造船事業部門を新設分割により、常石造船株式会社として再発足[2][3]。代表取締役社長に川本隆夫が就任[15]。
- 2013年(平成25年)
- 7月 - 大島造船所、新来島どっく、サノヤス造船(現・新来島サノヤス造船)と共同出資して、マリタイムイノベーションジャパンを設立[16]。
- 国内2カ所目の製造拠点であった多度津工場の譲渡を発表。それを目的として完全子会社の多度津造船株式会社を設立。
- 2014年(平成26年)12月 - 多度津造船株式会社を今治造船に譲渡した。
- 2015年(平成27年)1月 - 代表取締役会長に川本隆夫、代表取締役社長に河野健二が就任[17]。カムサマックスバルカー200隻目を竣工。
- 2017年(平成29年)
- 7月 - 常石造船創業100周年。
- 9月 - クルーズ客船「guntû(ガンツウ)」竣工。
- 2018年(平成30年)
- 4月 - 2,800TEU型コンテナ運搬船1番船を竣工。
- 5月 - 三井E&S造船の商船事業分野と業務提携。
- 2020年(令和2年)1月 - TESSシリーズが500隻竣工を達成
- 2021年(令和3年)4月23日 - 三井E&Sホールディングスから艦艇事業等譲渡後の三井E&S造船株式会社株式の49%を譲り受けることで合意[18]。
- 2022年(令和4年)4月1日 ‐ 神田造船所の全株式を取得の上、神田造船所の修繕事業のみを存続する形で神田ドック株式会社を設立。
- 2022年(令和4年)10月3日 ‐ 三井E&Sホールディングスから三井E&S造船の株式17%を追加取得し、連結子会社化した[19]。
事業所及び建造設備
[編集]国内及び海外の関連会社も含め、記述する。
自社
[編集]- 常石工場 : 広島県福山市沼隈町常石1083番地
- 船台、ドック
- No.1 船台 : L 250.0 × W 41.5 m
- 建造ドック : L 275.0 × W 48.0 × 9.00 m
- 修繕部門
- No.1 ドック : L 250.0 × W 49.5 × D 8.05 m
- No.10 ドック : L 160.0 × W 35.6 × D 6.25 m
- No.11 ドック : L 150.0 × W 31.7 × D 6.25 m
- No.12 ドック : L 330.0 × W 54.5 × D 7.75 m
- 船台、ドック
関連会社(海外)
[編集]- Tsuneishi Heavy Industries (Cebu) Inc. : フィリピン共和国セブ島
- 第1船台 : 52,000 DWT、L 200.0 × W 34.0 m
- 第2船台 : 100,000 DWT、L 250.0 × W 41.0 m
- 建造ドック:L 450.0 × W 60.0 × D 11.50 m
- 浮きドック : 5,000 ton、L 128.0 × W 23.3 m
- 浮きドック : 8,500 ton、L 139.5 × W 24.5 m
製品
[編集]標準船 TESSシリーズ
[編集]主力製品であるバラ積み貨物船の標準船シリーズの呼称。Tsuneishi Economical Standard Shipの略。低コスト、低燃費、高い汎用性を追求し、ノルウェーの海運会社ウグランド社の技術支援によって開発された。
第1番船は、1984年3月に竣工。40,000 DWTの「TESS 40」からスタート。バリエーションを増やし、2006年11月までに198隻が就航した。
2012年1月6日には、TESSシリーズのハンディマックスサイズで300隻目となる「TESS 58」型バラ積み貨物船を中国舟山工場で建造し、パナマの海運会社に引き渡した[20]。
- TESS 40 : 40,000 DWT
- TESS 45 : 45,000 DWT
- TESS 52 : 52,000 DWT
- TESS 58 : 58,500 DWT
- TESS 76 : 76,000 DWT
- EURO TESS : 52,000 DWT、76,000 DWT
KAMSARMAX シリーズ
[編集]ギニアのカムサ港 (Port Kamsar) に入港でき、積載量が多いバラ積み貨物船として、2002年に開発された。「KAMSARMAX(カムサマックス)」はツネイシホールディングスの登録商標(第4777201号)となっている[21]。
- KAMSARMAX : 82,300 DWT
参考文献
[編集]- 『常石グループ報 つねいし』No.286、神原汽船株式会社内『つねいし』編集室、2006年
脚注
[編集]- ^ a b c d e f 常石造船株式会社 第13期決算公告
- ^ a b “グループ報「つねいし」No.334” (PDF). ツネイシホールディングス (2011年1月1日). 2011年12月17日閲覧。
- ^ a b “ツネイシホールディングスの分社化について〜ツネイシホールディングスを持ち株会社へ7事業会社を分社〜”. ツネイシホールディングス (2010年12月7日). 2011年12月17日閲覧。
- ^ 2006年7月24日 日経産業新聞
- ^ “ABOUT US”. 常石造船 新卒採用|TSUNEISHI SHIPBUILDING Co.,Ltd.. 2020年5月20日閲覧。
- ^ a b 企業情報 沿革常石造船株式会社
- ^ a b c d 寺院経営における企業スポンサーの役割に関する一考察─神勝寺と常石グループの事例から小野瀬拡・山口浩、駒澤大学、Journal of Global Media Studies Vol. 26、2020年
- ^ a b 副島信, 「常石造船株式会社(事業所紹介)」『Techno marine 日本造船学会誌』 880巻 2004年 p.492-495, 日本船舶海洋工学会, doi:10.14856/technom.880.0_492。
- ^ 常石造船事件労働法ナビ
- ^ 05146事件名:損害賠償請求控訴/同附帯控訴事件労働基準判例検索全情報、公益社団法人全国労働基準関係団体連合会
- ^ 内藤恵「労働契約における使用者の安全配慮義務 : 労働者の身体的・精神的過労、ストレス等による労災事案を中心として」『法學研究 : 法律・政治・社会』第81巻第12号、慶應義塾大学法学研究会、2008年12月、413-455頁、ISSN 0389-0538、NAID 120005653104。
- ^ 『地方の名門企業: 週刊東洋経済eビジネス新書No.242』週刊東洋経済編集部、東洋経済新報社、「宮澤家を長年支援 瀬戸内の重鎮 ツネイシHD」の章
- ^ 常石造船が東京大学大学院で寄附講座をこの秋から開設 〜船舶のライフサイクルの価値向上が重点テーマ〜常石造船プレスリリース、2006年7月28日
- ^ 常石造船が南米パラグアイの“日本パラグアイ学院”の学生を迎え、常石グループ施設の見学ツアーを実施常石造船プレスリリース、2019年7月26日
- ^ 役員人事についてのお知らせ常石造船プレスリリース、2010年12月27日
- ^ “中堅造船4社、船舶研究開発で新会社”. (2013年7月5日) 2013年10月7日閲覧。
- ^ 役員人事についてのお知らせツネイシホールディングス株式会社、2014年11月17日
- ^ “三井 E&S 造船株式会社(商船事業)と常石造船株式会社との資本提携に関するお知らせ”. 三井 E&S ホールディングス (2021年4月23日). 2021年8月2日閲覧。
- ^ 常石造船 三井E&S造船株式会社を株式の一部譲り受けにより連結子会社化
- ^ “常石の主力貨物船が祝300隻”. 中国新聞 (2012年1月7日). 2012年1月9日閲覧。
- ^ “KAMSARMAX (カムサマックス) の紹介”. 西部造船会 メールマガジン第14号 (2004年8月31日). 2012年1月9日閲覧。