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わし座ロー星

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
わし座67番星から転送)
わし座ρ星
ρ Aquilae
星座 いるか座[1]
見かけの等級 (mv) 4.94[2]
位置
元期:J2000.0
赤経 (RA, α)  20h 14m 16.6190578195s[3]
赤緯 (Dec, δ) +15° 11′ 51.374752540″[3]
視線速度 (Rv) -23.0 km/s[3]
固有運動 (μ) 赤経: 55.03 ミリ秒/[3]
赤緯: 58.14 ミリ秒/年[3]
年周視差 (π) 20.8464 ± 0.2151ミリ秒[3]
(誤差1%)
距離 156 ± 2 光年[注 1]
(48 ± 0.5 パーセク[注 1]
絶対等級 (MV) 1.5[注 2]
わし座ρ星の位置(丸印)
物理的性質
半径 1.92 R[4]
質量 2.1 M[5]
表面重力 12 G[6][注 3]
自転速度 180 km/s[7]
スペクトル分類 A2 V[2]
光度 21.6 L[5]
表面温度 8,790 K[7]
色指数 (B-V) 0.072[2]
色指数 (V-I) 0.09[2]
金属量[Fe/H] -0.48 ± 0.10[6]
年齢 1.2[8] 又は 3.5[5] ×108
他のカタログでの名称
わし座67番星, BD+14 4227, FK5 1526, HD 192425, HIP 99742, HR 7724, SAO 105878[3]
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わし座ρ星(わしざローせい、ρ Aquilae、ρ Aql)は、いるか座恒星である[1][9]見かけの等級は4.94で、肉眼で見ることができる[2]

バイエル符号を持ち、しかもわし座の右翼として星座線で結ばれることがある恒星であるにもかかわらず、後述の通り固有運動によりわし座の領域から外れているか座の領域に入った。

位置

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ガイア衛星が測定したわし座ρ星の年周視差は、20.8464ミリ秒で、これは太陽からの距離が156光年であることに相当する。わし座ρ星は、固有運動も比較的大きく、1あたり0.055秒東へ移動している[3]。この運動によって、わし座ρ星は1992年中頃に、わし座の領域からいるか座の領域へ、越境すると計算された[9]。一方、アメリカ天文学者ケイラーは、1999年に境界線を越えた、としている[10]国際天文学連合が、現代の88星座の境界線を決定して以来、バイエル名を持つ肉眼等級の恒星が、天文学的な事実として所属する星座を替えたのは、これが初めてのことである[9][注 4]

名称

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中国では、わし座ρ星は左の軍旗を意味する左旗拼音: Zuǒ Qí)という星官を、や座α星や座β星英語版や座δ星英語版や座ζ星英語版や座γ星や座13番星英語版や座11番星や座14番星英語版と共に形成する[12]。わし座ρ星自身は、左旗九拼音: Zuǒ Qí jiǔ)つまり左旗の9番星と呼ばれる[13]

特徴

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大きさの比較
太陽 わし座ρ星
太陽 Exoplanet

わし座ρ星は、スペクトル型がA2 VのA型主系列星である[2]半径質量は太陽の倍程度、光度太陽の20倍程度と推定される[4][5]自転速度は速く、1回転するのに14時間程しかかからない[10]。年齢は、推定方法によってばらつきがあるが、1億2000万年程度とするものと、4億年程度とするものとに分かれる[8][5][7]。わし座ρ星には、分光連星ではないかという疑問が持たれていたが、連星かどうか詳しく調べた結果では、伴星は見つかっていない[1][10][14]

わし座ρ星には、顕著な赤外超過がみられ、星周領域には残骸円盤英語版が存在すると考えられる。円盤を構成するの温度は、黒体放射を仮定すると暖かい塵で200K程度、冷たい塵では60K程度である。塵の総質量は、暖かい塵が月質量の1000分の1程度、冷たい塵が月質量の数割程度と見積もられる[8]

脚注

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注釈

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  1. ^ a b パーセクは1 ÷ 年周視差(秒)より計算、光年は1÷年周視差(秒)×3.2615638より計算
  2. ^ 視等級 + 5 + 5×log(年周視差(秒))より計算。小数第1位まで表記
  3. ^ 出典での表記は、
  4. ^ わし座ρ星の次に、星座の境界線を超えて現在所属する星座の隣の星座へ移る、バイエル名を持つ恒星は、ちょうこくぐ座γ星で、西暦2400年頃にはと座の領域に入ると予想される[11]

出典

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  1. ^ a b c Hirshfeld, Alan; Sinnott, Roger W.; Ochsenbein, François (1991), Sky Catalogue 2000.0 (2 ed.), Cambridge, MA: Sky Publishing Corporation, pp. 562, ISBN 0-933346-63-8 
  2. ^ a b c d e f ESA (1997), The HIPPARCOS and TYCHO catalogues. Astrometric and photometric star catalogues derived from the ESA HIPPARCOS Space Astrometry Mission, ESA SP Series, 1200, Noordwijk, Netherlands: ESA Publications Division, Bibcode1997ESASP1200.....E, ISBN 9290923997 
  3. ^ a b c d e f g h rho Aql -- High proper-motion Star”. SIMBAD. CDS. 2019年3月29日閲覧。
  4. ^ a b Ballering, Nicholas P.; Rieke, George H.; Gáspár, András (2014-09), “Probing the Terrestrial Regions of Planetary Systems: Warm Debris Disks with Emission Features”, Astrophysical Journal 793 (1): 57, Bibcode2014ApJ...793...57B, doi:10.1088/0004-637X/793/1/57 
  5. ^ a b c d e Lazzoni, C.; et al. (2018-03), “Dynamical models to explain observations with SPHERE in planetary systems with double debris belts”, Astronomy & Astrophysics 611: A43, Bibcode2018A&A...611A..43L, doi:10.1051/0004-6361/201731426 
  6. ^ a b Wu, Yue; et al. (2011-01), “Coudé-feed stellar spectral library - atmospheric parameters”, Astronomy & Astrophysics 525: A71, Bibcode2011A&A...525A..71W, doi:10.1051/0004-6361/201015014 
  7. ^ a b c Zorec, J.; Royer, F. (2012-01), “Rotational velocities of A-type stars. IV. Evolution of rotational velocities”, Astronomy & Astrophysics 537: A120, Bibcode2012A&A...537A.120Z, doi:10.1051/0004-6361/201117691 
  8. ^ a b c Morales, F. Y.; et al. (2016-11), “Herschel-resolved Outer Belts of Two-belt Debris Disks—Evidence of Icy Grains”, Astrophysical Journal 831 (1): 97, Bibcode2016ApJ...831...97M, doi:10.3847/0004-637X/831/1/97 
  9. ^ a b c Sinnot, Roger W. (1992-01), “Rho Aquilae Jumps Ship for Delphinus”, Sky & Telescope 84 (1): pp. 83-84, Bibcode1992S&T....83Q..84. 
  10. ^ a b c Kaler, Jim (2009年7月10日). “RHO AQL (Rho Aquilae)”. 2019年3月29日閲覧。
  11. ^ Moore, Patrick (2013-06-29). The Observer’s Year: 366 Nights of the Universe. Springer Science & Business Media. p. 234. ISBN 9781447136132. https://books.google.co.jp/books?id=p87TBwAAQBAJ&pg=PA132&redir_esc=y#v=onepage&q&f=false 
  12. ^ 陳, 久金 (2005) (中国語), 中國星座神話, 台灣書房出版有限公司, ISBN 978-986-7332-25-7 
  13. ^ 中國古代的星象系統 (64): 牛宿天區” (中国語). AEEA 天文教育資訊網. 國立自然科學博物館 (2006年7月3日). 2019年3月29日閲覧。
  14. ^ De Rosa, R. J.; et al. (2014-01), “The VAST Survey - III. The multiplicity of A-type stars within 75 pc”, Monthly Notices of the Royal Astronomical Society 437 (2): 1216-1240, Bibcode2014MNRAS.437.1216D, doi:10.1093/mnras/stt1932 

関連項目

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外部リンク

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座標: 星図 20h 14m 16.6190578195s, +15° 11′ 51.374752540″