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動物兵器

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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動物兵器どうぶつへいき)とは、軍事目的に動物を使用する兵器のこと。または兵器と同様の役割を動物に担わせること。

古来から人間戦争において様々な動物を、その特性を活かして使用してきた。を騎乗用、あるいは戦車として利用したのが最も代表的な例であり、インドカルタゴの将軍ハンニバルを使用したことも有名である。このように人間と一体となって戦う以外にも、輸送、通信手段、索敵、あるいは動物単体で攻撃をしかけるなどの様々な用途で動物は使用されてきた。
これらの動物を単に軍用動物とみるか、兵器としてみるかは個人の主観に委ねられる。
特に、動物単体で攻撃をしかけるものをアニマルウェポンと呼称することがある。これはSFの世界と思われがちだが、実際に使用例がある。

馬は草食性で家畜化が比較的容易であり、多目的に利用されてきた。軍事においては、その機動性などから重宝され、銜(はみ)、鐙(あぶみ)、鞍(くら)、蹄鉄などの発明により乗馬技術が進歩し、騎兵としての地位を確立した。現代の戦場では兵器の機械化が進んでその役割を終えたが、儀典の場で活躍している。(詳しくは人間によるウマ利用の歴史騎兵を参照)

インドではインドゾウ、地中海世界ではアフリカゾウが調教され戦場に投入された。家畜化、機動力においては圧倒的に馬に劣るが、その巨体による突進は訓練が不十分な敵を瓦解させる十分であった。しかし、その巨体ゆえに搭乗者もろとも標的になり易く、火器に弱いなど、戦場での弱点に対応しきれず、使用していた国、地域の没落とともに戦場から姿を消すこととなった。(詳しくは戦象を参照)

の利用とは伝書鳩による通信手段である。現代のような無線技術を駆使した通信技術のない時代では、帰巣本能に優れた鳩が最速の通信手段であった。無論、現代で鳩が主要な任務をこなすことはない。

ファイル:Dog mine.jpg
訓練中の地雷犬

イヌは古代から人間社会と密接に関わっており、特に学習能力が高く嗅覚に優れていることから索敵、行方不明者、地雷などの捜索に使用される。その用途は軍民を問わず活躍しており、軍事においては現代でも軍用犬として現役である。

  • 地雷犬
地雷犬とは旧ソ連が対独戦において、ナチスドイツ軍の戦闘車両を破壊するために、信管を取り付けた爆薬を背負わせたイヌである。稼動させたドイツ軍の車両の下に餌を置き、条件反射でそれを覚えたイヌを飢えさせた状態で戦場に投入し、イヌ自らが地雷となるものであったが、敵軍だけでなく自軍にも被害が出て、運用が困難であった。

駱駝

乾燥地帯や山岳地帯、寒冷地など特殊な地理的条件では、輸送に牛馬を用いるよりもラクダを用いた方が有効である場合がある。これはラクダが数日間水分の補給を耐えることができる、積載量が多いといった利点があるからである。日中戦争時、日本陸軍もフタコブラクダを一部地域で使用していた。

イルカ

イルカの高い学習能力を利用して機雷探知などを行い、水中での活用を行うものである。なお、カトリーナの襲来によってテロリストに毒矢を射掛けるよう訓練していたアメリカ軍のイルカが逃げ出したとの報道があり話題となったが真相は不明。

特殊な例

  • ウシ

は馬と同じく、農耕や物資の輸送に使われてきた歴史を持つ。しかし、倶利伽羅峠の戦いにおいて、源義仲は角に松明を括り付けて数百頭の牛を夜間に平家の軍勢に放ったという稀な攻撃例もある。

  • コウモリ

第二次世界大戦時、アメリカ軍は日本を空襲するためにコウモリの使用を検討した。小型のナパーム弾を括り付けたコウモリを夜明け前の狙って日本上空で放ち、日光を避けるため木造の多い日本の家屋の屋根裏にとまったところで爆発させるという計画であった。しかし運用に危険が伴うこともあり、実戦配備されることはなかった。

関連項目