Wikipedia:多重アカウント
この文書はウィキペディア日本語版のガイドラインです。多くの利用者が基本的に同意しており、従うことが推奨されますが、方針ではありません。必要に応じて編集することは可能ですが、大きな変更を加える場合は、先にノートページで提案してください。 |
この文書の要旨: 多重アカウントを多数派工作や、欺瞞、ブロック回避に使ってはいけません。友人に多重アカウントを作って支持するよう求めてもなりません。 |
利用者の行動について |
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合意形成 |
多重アカウント(英:multiple accounts)とは、複数のアカウントを用いて投稿しているウィキペディアンが使う、2つ目以降のアカウント名のことです。特に、不正な目的で使用される多重アカウントは、ルール違反の意味も込めて、「ソックパペット」(英:sock puppet。「くつした人形」の意)とも呼ばれています。この日本語版の方針で「ソックパペット」と表記した場合は、「不正に利用される多重アカウント」を指しています。
多重アカウントは妥当な目的で使われることもある一方、投票で複数票を投じるために使われたり、一つの意見が幅広く支持されているかのように装うために使われたりと、人をだます目的で使われることがあります。多重アカウントとおぼしき アカウントを発見することは可能です。新しく登録されたアカウントのユーザーがウィキペディアのルールにやけに精通していたり、登録後何個目かの投稿ですぐに削除依頼をしたり、投票していたりといったアカウントは、多重アカウントである可能性があります。
多重アカウントの使用は、一般に、望ましいことではありません。ジミー・ウェールズは「多重アカウントを禁ずるルールは特には無いが、一般には、よほど必要が無い限り感心できないものだと考えられている」と言っています。
多重アカウントが望ましくないとされるのは、多重投票やルール規制逃れなどの不正な使用を防止するためです。多重アカウントの使用を全面禁止すべきだと考える人もいれば、適切な使用なら問題ないと考える人もいます。
多重アカウントにも正当な使用方法はあります。しかし禁止されている行為を行ってはいけません。例えば、1つのアカウントで主張した意見をもう1つのアカウントで支持してはいけません。これがソックパペットと呼ばれる不正な使用法の一例です。
多重アカウントを取得して使用する場合は、それぞれの利用者ページをリンクで結ぶことが奨励されています。こうすれば、どのアカウントが誰の多重アカウントかを簡単に確認することが出来ます。
ボットの使用者が、編集を自動化するにあたって独立したアカウントを作ることは構いません。ボットのアカウントはソックパペットとは見なされません。アカウントを別にすることは最近更新したページにおいて、ボットによる編集をフィルタリングするのに役立ちます。
多重アカウントの使用が禁止されている行為
投票
ウィキペディアには「1人1票」の原則があります。この原則は、すべての投票(個人の意見が投票同様にカウントされる議論も含む)に適用されます。 ソックパペットが、ウィキペディアでの一切の投票(意見調査、削除依頼、管理者信任投票などを含む)に参加することは認められません。 多重投票、すなわち投票におけるソックパペットの使用が確認されれば、それらのアカウント全てが永久(または無期限)ブロックされることがあります。
偽装となりすまし
多重投票以外にも、ソックパペットで他のウィキペディアンを欺いたり、支持がたくさんあるように見せかけたり(自作自演行為)してはなりません。 多重アカウントの使用が正当でありえたとしても、この手の振る舞いは、破壊的で不必要なものです。
特に、悪意をもって他のウィキペディアンに成りすましたアカウントは永久ブロックされます。
規制逃れ
ウィキペディアのルールは1つのアカウントごとではなく、利用者1人ごとに適用されます。
同様に、第2アカウントでルールを破った時、その罰則はメインアカウントにも適用されます。
有期限か無期限かを問わず、投稿ブロック中のユーザーがブロックを回避するためにソックパペットを利用することは許されません(「ブロック逃れ」の生まれ変わり)。別アカウントで不正に編集すると、ブロック期間は再度振り出しに戻ります。
問題視される性質
ウィキペディアンの中には、多重アカウントは本質的に問題であると考えている人も、ケースバイケースで判断すべきだと考えている人もいます。ウィキペディアを編集するという権利を取り上げられた利用者(例えばブロックされるなど)は、編集権が復活しない限り、その元の名でも、それ以外の名でも戻ってくるべきではありません。
2つ以上のアカウントを使う利用者は、管理者に対して全てのアカウントを通知すべきだ、という提案もあります。しかし、管理者が他の利用者に比べて意思決定や管理について特別の役割を持っているわけでない以上、この提案は無駄なものです。管理者に対してではなくウィキペディア全体に対して宣言すべきだという意見もあります。
ウィキペディアの創始者ジミー・ウェールズは、これに対して以下のような見解を述べています。
- 「多重アカウントであることを表明すべきかどうかに対して明確な方針は現在のところないけれど、特別の事情がない限りこういったことを要求するのは賢明なことではありませんね」
- 「表面的に合意形成がなされているように見せかけるとか、2回以上投票しようとするとか、査読から隠れようとするとか、そういった形でのトラブルを起こす方法として使われる時に限っては、複数のアカウント取得が問題であるといえるかもしれないね」
反対に、多重アカウントを非難するのは、特に多重アカウントだから議論に信憑性がない、と非難するのはスマートではない、と考える人々もいます。確かに、こういった非難が礼儀正しい議論に水を差すものであるならば、こういった行為は慎むべきです。
投票からの排除
ソックパペットは、いかなるウィキペディアにおける選挙、非公式及び公式の投票も許されません。削除依頼のような、投票に類似した議論にも参加できません。名前を「賛成」「反対」欄に書くことも許されません。このような行為はウィキペディアの通常の機能を混乱させる上、下記に示す妥当な使用の上でも必要のないものです。
あるユーザーがソックパペットである疑いが強く、特にブロックされたユーザーのソックパペット(「生まれかわり」と呼ばれます)であると思われる場合、そのユーザーは疑問点が解決されるまで、同じように投票を禁じられます。もしあなたがこういった事態に陥ったら、あなたが実際にはソックパペットではないことを示す方法はいくつもあります。そして、あなたの投票について話し合えることを我々は喜ぶでしょう。身のあかしを立てるよい方法の一つは、利用者ページにあなた自身のことを書いてみることでしょう。
もし考えられない事態が起こって、プライバシーの問題と、個人的事情が効果的に複合して、自分がソックパペットでない、という身のあかしを立てられないときには、ウィキペディア内の投票を必要としない活動に参加し続けることをおすすめします。投票を控えていると、そのうち自然とウィキペディアの方針に対して賛否が言えるようになっているはずです。
妥当な利用法
多重アカウントには妥当な利用法もあります。例えば、新規参加者に対してコミュニティがどのような対応をす��か、ウィキペディアを試してみたい、と著名なユーザーが考えたときなどです。とくに、ジミー・ウェールズが編集をするときは複数のアカウントを使うべきだとの主張もあります。
多重アカウントは、何らかの理由で自らのこれまでの投稿記録を隔離したいときにも用いられます。例えば、ウィキペディアのある分野に対して多大な貢献をしたアカウントというのは、あるユーザーがその分野の発展のためだけに登録した多重アカウントなのかもしれません。
多重アカウントはときには会話ページでの対立を避けるために用いられることがあります。政治や人種上の対立が編集上の問題であるとき、議論に参加している人の属性が分かると、かえって感情的な対立が生まれることがあります。またある議論に参加して個人的な体験を語る人は、自分のメインのアカウントにその話を結び付けられたくないと思うかもしれません。
多重アカウントは身元を隠すことにも役立ちます。特定の複数の分野についてそれなりの数の編集を行ったユーザは、その関心の拡がりから簡単に誰だか同定することが出来るかもしれません。たとえばあるユーザーが特定の地方にのみ住んでいるビーバーについてだけ投稿したとします。そのユーザーが、ビーバーのいる地方についても重要な投稿を行っていたとすれば、そのユーザーがその地方に住んでいることは容易に突き止められるでしょう。一方ビーバーの記事とその地方に関する記事が違うハンドルから投稿されていれば、二つを結びつけることは難しくなり、投稿者の身元も分かりにくくなります。
筆者が匿名であることは、とりわけ文筆業を職業にする人たちに役立ちます。オンラインの投稿はときに独占契約と矛盾することがあります。他にも、無料で投稿するということは、ライターを職業にしている人たちにとってその職業的価値を下げる危険性があります。たとえば新聞社はオープンコンテンツの投稿者であることが広く知られているライターと有償の契約を結ぶことを躊躇するかもしれません。
Role accounts(役割による共有アカウント)がかつてフランス語版で用いられたことがありました。日本語版では現在のところそのようなアカウントの使用について公式の規定はありません。