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'''OCEAN SPIRAL'''（オーシャンスパイラル）は、[[清水建設]]によって[[2014年]]に構想された[[深海未来都市構想]]である。
'''OCEAN SPIRAL'''（オーシャンスパイラル）は、[[清水建設]]によって[[2014年]]に構想された深海未来都市構想である。


==概要==
==概要==
OCEAN SPIRALは、海面からおよそ1,000メートルの深さまで続く、[[螺旋状]]の[[都市構造]]を特徴とする設計です。この都市は、上部の海面部分と下部の深海部分に分かれ、それぞれに異なる機能を持たせることが計画されています。都市全体は[[自給自足]]型で、海洋エネルギーや[[資源]]の利用を最大限に活用することが提案されています。
海面からおよその深さまで[[螺旋状]]の構造を、海面深海にること[[]]エネルギーを最大限に活用とす。


構造体は、海面近くに位置する人間が居住するための直径500mの球体「ブルー・ガーデン」、水深3000m程の場所に位置し海底資源の開発を行うリング状構造物「アース・ファクトリー」、ブルー・ガーデンとアース・ファクトリーを繋ぎ、人・水・資源の輸送などに使用する螺旋状構造物「インフラ・スパイラル」の3層で構成される計画である<ref name="kosou">[https://www.shimz.co.jp/topics/dream/content01/ 深海未来都市構想 OCEAN SPIRAL] 清水建設公式サイト、2024年12月30日閲覧。</ref><ref name="emira">[https://emira-t.jp/city/92/ 技術的には2030年には実現可能!? 驚愕の深海都市構想に迫る] EMIRA、2017年1月31日</ref>。構造物は浮き上がらないように無数のアンカーボルトで海底に固定され、建設のしやすい[[深海平原]]や{{仮リンク|コンチネンタルライズ|en|Continental rise}}を想定立地としている<ref name="emira" />。
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==構造==
OCEAN SPIRALは、以下のような構造が想定されています。


2014年に構想された時点では、建設費3兆��・建設期間5年で2030年～50年には実現可能であり、2030年までに必要な技術を確立することを目指して産学連携プロジェクトや企業連携プロジェクトによる技術革新に取り組むとしていたが<ref name="news141224">[https://www.shimztechnonews.com/hotTopics/news/2014/t141224.html 深海が秘める無限大の可能性で地球を再生] テクノアイ、2014年12月24日閲覧。</ref><ref>[https://mainichi.jp/articles/20141118/mog/00m/020/011000c ５０００人規模の構想を発表　建設費３兆円で２０３０年にも実現可　清水建設] 毎日新聞、2014年11月18日</ref>、[[2024年]]現在建設に向けての動きは見られていない。
*海面部分
生活空間: [[居住エリア]]や[[商業施設]]、[[公共施設]]が含まれます。これらはエコシステムに基づいた設計となり、[[再生可能エネルギー]]（[[太陽光]]、[[風力]]、[[波力]]など）を活用して、エネルギー供給を[[自給自足]]で賄うことが計画されています。


⚫
==構造==
エネルギー供給施設: [[波力発電]]や温度差発電などの海洋エネルギーを活用して、都市全体のエネルギーを賄う予定です。また、海水を淡水化して飲料水として供給するシステムも設けられます。
=== ブルー・ガーデン ===
主に人が活動するエリアとして使用される、海面に浮かぶ直径500mの球体。OCEAN SPIRALのベースキャンプとなる。内部中央の75層のタワー構造物には、ホテルや[[商業施設|商業]]・[[コンベンション・センター|コンベンション]]、住居、研究・実験施設などが入り、最大5000人を収容可能である<ref name="news141224" />。また、ここを拠点として深海の観光ツアーや深海体験型教育、高酸素濃度の深海健康法など、深海という環境を利用した新しいライフスタイルの提供も計画に組み込まれている<ref name="kosou" />。


=== インフラ・スパイラル ===
*深海部分
直径600mの円弧を描く、全長15kmにわたる螺旋状構造物。内部は中空になっており、人・電気・水・酸素や海底の鉱物資源・生物資源などを供給・運搬する。また、[[海洋温度差発電|海水温度差発電]]施設や、[[海洋深層水]]を利用した魚介類の養殖施設、海水淡水化設備、深海モニタリング施設、深海探査船の補給基地なども組み込む計画である<ref name="news141224" />。単純なタワー型ではなくスパイラル構造を採用したのは、輸送量の最大化のためであるとされている<ref name="emira" />。
資源採掘施設: 海底に眠る鉱物資源やエネルギー源（[[メタンハイドレート]]、[[レアアース]]など）の採掘を行うための施設が設置されます。深海における資源採掘は、高度な技術と安全性を求められます。


=== アース・ファクトリー ===
海洋研究施設: 深海での科学的研究や環境モニタリングを行うための施設も予定されています。これにより、海洋の生態系や[[気候変動]]などの研究が進むことが期待されています。
外径1500mのリング状の構造物で、資源開発工場としての役割を担う。工場内では、[[メタン菌|海底メタン生成菌]]を利用して、地上で排出された[[二酸化炭素]]を[[メタンガス]]に転換したり、[[レアメタル]]や[[レアアース]]などの資源を持続的に開発する<ref name="news141224" />。


==深海のポテンシャル==
==持続可能な社会の実現==
清水建設は、深海という場所をターゲットとした理由について、「食糧」「エネルギー」「水」「CO2」「資源」という、人類が直面する5つの課題を解決するポテンシャルがあるためである、としている<ref name="kosou" /><ref name="news141224" />。


;食糧
OCEAN SPIRALは、環境負荷の低減と資源循環型の都市モデルを提案し、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの利用を重視しています。都市内では、エネルギー供給や食料生産の効率化、また廃棄物のリサイクルを行い、循環型経済の構築を目指しています。
:冷たく栄養分が豊かな大量の深層水を利用して、養殖池の温度と栄養分を自由に調整することができるようになり、沖合養殖漁業の拡充が可能になる。


;エネルギー
==技術的課題==
:太陽により暖められた海洋表面の水と深海（約1000m）の冷たい水の温度差を利用し、熱機関を動かして発電する（[[海洋温度差発電]]）ことで、エネルギーの自給自足を達成する。
OCEAN SPIRALを実現するためには、いくつかの技術的な課題を克服する必要があります：


;水
深海建設技術：[[深海環境]]は過酷であり、海底に耐久性のある施設を建設するためには特殊な建材や技術が必要です。[[圧力]]や温度差、海水による浸食などに耐えるための高度な技術が求められます。
:深海の水圧と清浄性を活用した[[逆浸透膜]]式淡水化処理によって、海水の淡水化を行い、水の自給自足を達成する。


;CO2
[[海洋エネルギー]]の利用： [[波力発電]]や温度差発電（海洋熱エネルギー）の技術を実用化し、安定的にエネルギーを供給するためのシステムが整備されることが必要です。
:海底微生物を用いることで、CO2からメタンを製造し、CO2を「削減」から「利用」することが可能になる。


;資源
資源採掘技術： 深海での[[鉱物資源]]や[[メタンハイドレート]]の採掘には、深海における特殊な機器と技術が必要です。海底の安定性を確保しつつ、安全に採掘を行うための技術開発が重要です。
:資源の宝庫とも言える[[熱水噴出孔]]を人工的に作り、鉱物資源を「採る」だけでなく「育てる」ことができる持続可能な鉱物資源開発を行う。


==影響と展望==
====
本プロジェクトを指揮するプロジェクトリーダーによれば、エネルギーや資源の部分はまだ研究が必要であるが、建設するための技術自体は一定の実現性が見えてきているという<ref name="emira" />。構造物の材料となる[[コンクリート]]は厚さを増せば深海の水圧にも耐えられ、鉄筋の代用となる樹脂筋も鉄や空気のない水中では錆びないため、雨・風・紫外線がなく寒暖差も少ない深海はむしろ建築物にとって理想的な環境であるともいえる、とも述べている<ref name="emira" />。


== 脚注 ==
OCEAN SPIRALは、海洋資源の持続可能な利用を追求し、人口増加や環境問題に対応するための新たな都市モデルとして注目されています。実現すれば、海洋開発における技術革新や新産業の創出が期待され、未来の都市生活の可能性を広げる重要な試みとされています。
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==外部リンク==
==外部リンク==
*{{Wayback|url=https://www.shimz.co.jp/topics/dream/content01/|title=深海未来都市構想 OCEAN SPIRAL}}
*https://www.shimz.co.jp/topics/dream/content01/深海未来都市構想 OCEAN SPIRAL
*[https://emira-t.jp/city/92/ 技術的には2030年には実現可能!? 驚愕の深海都市構想に迫る]

[[Category:海洋工学]]
[[Category:清水建設]]

2024年12月30日 (月) 08:26時点における最新版

OCEAN SPIRAL
概要
現状 構想
用途 複合用途
高さ
屋上 1000m
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OCEAN SPIRAL（オーシャンスパイラル）は、清水建設によって2014年に構想された深海未来都市構想である。

概要

[編集]

海面からおよそ3000～4000mの深さまで螺旋状の構造体を延ばし、大気・海面・深海・海底を垂直に統合することで、深海（水深200m以下の領域）の資源やエネルギーを最大限に活用しようとする構想である。

構造体は、海面近くに位置する人間が居住するための直径500mの球体「ブルー・ガーデン」、水深3000m程の場所に位置し海底資源の開発を行うリング状構造物「アース・ファクトリー」、ブルー・ガーデンとアース・ファクトリーを繋ぎ、人・水・資源の輸送などに使用する螺旋状構造物「インフラ・スパイラル」の3層で構成される計画である[1][2]。構造物は浮き上がらないように無数のアンカーボルトで海底に固定され、建設のしやすい深海平原やコンチネンタルライズ（英語版）を想定立地としている[2]。

2014年に構想された時点では、建設費3兆円・建設期間5年で2030年～50年には実現可能であり、2030年までに必要な技術を確立することを目指して産学連携プロジェクトや企業連携プロジェクトによる技術革新に取り組むとしていたが[3][4]、2024年現在建設に向けての動きは見られていない。

構造

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ブルー・ガーデン

[編集]

主に人が活動するエリアとして使用される、海面に浮かぶ直径500mの球体。OCEAN SPIRALのベースキャンプとなる。内部中央の75層のタワー構造物には、ホテルや商業・コンベンション、住居、研究・実験施設などが入り、最大5000人を収容可能である[3]。また、ここを拠点として深海の観光ツアーや深海体験型教育、高酸素濃度の深海健康法など、深海という環境を利用した新しいライフスタイルの提供も計画に組み込まれている[1]。

インフラ・スパイラル

[編集]

直径600mの円弧を描く、全長15kmにわたる螺旋状構造物。内部は中空になっており、人・電気・水・酸素や海底の鉱物資源・生物資源などを供給・運搬する。また、海水温度差発電施設や、海洋深層水を利用した魚介類の養殖施設、海水淡水化設備、深海モニタリング施設、深海探査船の補給基地なども組み込む計画である[3]。単純なタワー型ではなくスパイラル構造を採用したのは、輸送量の最大化のためであるとされている[2]。

アース・ファクトリー

[編集]

外径1500mのリング状の構造物で、資源開発工場としての役割を担う。工場内では、海底メタン生成菌を利用して、地上で排出された二酸化炭素をメタンガスに転換したり、レアメタルやレアアースなどの資源を持続的に開発する[3]。

深海のポテンシャル

[編集]

清水建設は、深海という場所をターゲットとした理由について、「食糧」「エネルギー」「水」「CO2」「資源」という、人類が直面する5つの課題を解決するポテンシャルがあるためである、としている[1][3]。

食糧
冷たく栄養分が豊かな大量の深層水を利用して、養殖池の温度と栄養分を自由に調整することができるようになり、沖合養殖漁業の拡充が可能になる。
エネルギー
太陽により暖められた海洋表面の水と深海（約1000m）の冷たい水の温度差を利用し、熱機関を動かして発電する（海洋温度差発電）ことで、エネルギーの自給自足を達成する。
水
深海の水圧と清浄性を活用した逆浸透膜式淡水化処理によって、海水の淡水化を行い、水の自給自足を達成する。
CO2
海底微生物を用いることで、CO2からメタンを製造し、CO2を「削減」から「利用」することが可能になる。
資源
資源の宝庫とも言える熱水噴出孔を人工的に作り、鉱物資源を「採る」だけでなく「育てる」ことができる持続可能な鉱物資源開発を行う。

課題

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本プロジェクトを指揮するプロジェクトリーダーによれば、エネルギーや資源の部分はまだ研究が必要であるが、建設するための技術自体は一定の実現性が見えてきているという[2]。構造物の材料となるコンクリートは厚さを増せば深海の水圧にも耐えられ、鉄筋の代用となる樹脂筋も鉄や空気のない水中では錆びないため、雨・風・紫外線がなく寒暖差も少ない深海はむしろ建築物にとって理想的な環境であるともいえる、とも述べている[2]。

脚注

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  1. ^ a b c 深海未来都市構想 OCEAN SPIRAL 清水建設公式サイト、2024年12月30日閲覧。
  2. ^ a b c d e 技術的には2030年には実現可能!? 驚愕の深海都市構想に迫る EMIRA、2017年1月31日
  3. ^ a b c d e 深海が秘める無限大の可能性で地球を再生 テクノアイ、2014年12月24日閲覧。
  4. ^ ５０００人規模の構想を発表　建設費３兆円で２０３０年にも実現可　清水建設 毎日新聞、2014年11月18日

外部リンク

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