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「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」の版間の差分

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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(相違点なし)

2022年9月17日 (土) 23:55時点における版

ジャンヌ・ディールマン、ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地
Jeanne Dielman, 23, quai du Commerce, 1080 Bruxelles
監督 シャンタル・アケルマン
脚本 シャンタル・アケルマン
出演者 デルフィーヌ・セリッグ
撮影 バベット・マンゴルト
編集 パトリシア・カニーノ
製作会社 パラダイス・フィルムズ
ユニテ・トロワ
公開 フランスの旗 1975年5月14日カンヌ
上映時間 201分
製作国 ベルギーの旗 ベルギー
フランスの旗 フランス
言語 フランス語
製作費 $120,000
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ジャンヌ・ディールマン、ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地』は、シャンタル・アケルマン監督・脚本による1975年のベルギーフランス合作のドラマ映画[1]デルフィーヌ・セリッグ演じる女性主人公の3日間の生活が描かれている[2]

タイトルについて

タイトル内の固有名詞(姓)Dielman は、日本語では誤って「ディルマン」と表記されていることが多くあるが(日本の2022年の「シャンタル・アケルマン映画祭」での劇場公開時も誤った表記「ディルマン」がそのまま踏襲された)、フランス語圏の大部分では(監督自身も)「エ」は決して発音せず「ディルマン」または「ディルマン」のように発音する[3][4][5][6][7](より厳密には、Jeanneの語末 [an] と Dielmanの語末 [an] が両方とも鼻母音 [ɑ̃] ではなく、口むろ母音a+子音n で構成される [an] であることから、片仮名表記では「ジャーヌ・ディルマーヌ」が正確な発音に最も近い)。なお、タイトルにある「1080」はコメルス河畔通りが属する地区の郵便番号である。

フランス語の原題 Jeanne Dielman, 23, quai du Commerce, 1080 Bruxelles の発音は国際音声記号で表記すると [ʒan dilman vɛ̃ttʁwɑ ke dy kɔmɛʁs milkatʁ(ə)vɛ̃ bʁysɛl] である(なお、ウィキペディア英語版 Jeanne Dielman, 23 quai du Commerce, 1080 Bruxelles英語版に現状記載されている国際音声記号 ​[ʒan dilman vɛ̃ntʁwɑ ke dy kɔmeʁs milkatʁəvɛ̃ bʁysɛl] には誤りがある。①「23(vingt-trois)」には [n] の音は存在しないので、下線太字部分の [-nt-] は [-tt-] とするのが正しい。②「Commerce」の「e」は狭い [-e-](下線太字部)ではなく広い「e」なので、 [-ɛ-] とするのが正しい)。

あらすじ

未亡人のジャンヌ・ディールマン(デルフィーヌ・セリッグ)は、思春期の息子(ヤン・デコルテ)と共に、ブリュッセルのアパートメントで暮らしている。彼女は家事をこなし、隣人の赤ん坊の子守りをして、街へ買い物に出かける。息子が学校へ通っている午後に、彼女は自宅で売春する。しかし、規則正しかった彼女の生活は、少しずつ秩序を失っていく。3日目、彼女はベッド上の男性客を鋏で刺殺するのだった。

キャスト

製作

ベルギー政府から120,000ドルの助成金を受けて製作された[8]。スタッフの大半には女性が採用されている[9]。キャメラは低い位置に固定され、正面を向いて均整の取れた構図で撮影されており、クローズアップや切り返し、主観ショットは用いられていない[10]。撮影期間は5週間に及んだ[11]

監督のシャンタル・アケルマンは「私は、この作品をフェミニストの映画だと考えている。女性の毎日の身振りなどは、映像のヒエラルキーにおいて最も低い位置にあり、このような仕方で描かれたことはなかったからだ」と述べた[12]。また、「この作品は、私が子供の頃に見ていた母親の身振りに由来している。そのことが本作を精密なものにしている」と語った[9]

評価

Rotten Tomatoesでは、17件のレヴューで支持率は100%、平均値は9.1点だった[13]

『Indiewire』のアダム・クックは「身振りが言葉よりも雄弁であるという点において、これは最も純粋なアクション映画である」と述べた[14]。『The Village Voice』のB・ルビー・リッチは「フェミニストの文化理論が求めていた、言いようのない真実を伝えることのできる新しい言語は、本作によって創り出された」と指摘した[15]

英BBCが選んだ「外国語映画トップ100」(2018年10月30日発表)で、第14位にランキングされている。(英国のBBCが世界のトップ映画批評家209人にアンケートし、英語以外のいわゆる外国語映画としてのトップ100)

脚注

  1. ^ 第19回 カイエ・デュ・シネマ週間「シャンタル・アケルマン追悼特集」”. OUTSIDE IN TOKYO. 2016年2月6日閲覧。
  2. ^ Eder, Bruce. “Jeanne Dielman, 23 Quai du Commerce, 1080 Bruxelles - Review”. AllMovie. 2016年2月21日閲覧。
  3. ^ 英語を母語とする人物による「ディールマン」の発音例①(英語訛り有り)”. 2022年9月15日閲覧。
  4. ^ 英語を母語とする人物による「ディールマン」の発音例②(英語訛り有り)”. 2022年9月15日閲覧。
  5. ^ 英語を母語とする人物による「ディールマン」の発音例③(英語訛り有り)”. 2022年9月15日閲覧。
  6. ^ アケルマン監督による「ディールマン」の発音例①(英語でのインタヴュー。監督はフランス語訛り有り)”. 2022年9月15日閲覧。
  7. ^ アケルマン監督による「ディールマン」の発音例②(フランス語)”. 2022年9月15日閲覧。
  8. ^ Smith, Dinitia (1998年4月26日). “Film; Chantal Akerman And the Point Of Point of View”. The New York Times. 2016年2月21日閲覧。
  9. ^ a b Lim, Dennis (2009年1月18日). “Then as Now, the Terrors of the Routine”. The New York Times. 2016年2月21日閲覧。
  10. ^ Margulies, Ivone (2009年8月18日). “A Matter of Time: Jeanne Dielman, 23, quai du Commerce, 1080 Bruxelles”. Criterion. 2016年2月21日閲覧。
  11. ^ Parkinson, David (2009年4月6日). “Jeanne Dielman, 23 Quai du Commerce, 1080 Bruxelles Review”. Empire. 2016年2月21日閲覧。
  12. ^ Bergstrom, Janet (2015年10月15日). “Keeping a distance: Chantal Akerman’s Jeanne Dielman”. Sight & Sound. British Film Institute. 2016年2月21日閲覧。
  13. ^ Jeanne Dielman, 23 Quai du Commerce, 1080 Bruxelles”. Rotten Tomatoes. Flixster. 2015年11月19日閲覧。
  14. ^ Cook, Adam (2015年12月18日). “Watch: Chantal Akerman's 'Jeanne Dielman' Is a True Action Movie”. Indiewire. 2016年2月21日閲覧。
  15. ^ King, Danny (2015年10月6日). “Read J. Hoberman's 1983 Cover Story on Chantal Akerman's 'Jeanne Dielman'”. The Village Voice. 2016年2月21日閲覧。

外部リンク