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{{混同|龍泉寺}}
{{日本の寺院
|名称 = 瀧泉寺
|画像 = [[ファイル:Meguro-fudou-hondou.jpg|270px]]<br />大本堂
|所在地 = 東京都目黒区下目黒3-20-26|
| 緯度度 = 35|緯度分 = 37|緯度秒 = 43
| 経度度 = 139|経度分 = 42|経度秒 = 29
|地図 = Tokyo city
|山号 = 泰叡山{{Sfnp|江戸名所図会|1927|p=101}}
|宗派 = [[天台宗]]{{Sfnp|江戸名所図会|1927|p=101}}
|本尊 = [[不動明王]]{{Sfnp|江戸名所図会|1927|p=101}}
|創建年 = 伝・808年（大同3年）{{Sfnp|江戸名所図会|1927|p=101}}
|開基 = 伝・[[円仁]]{{efn|『江戸名所図会』では開山{{Sfnp|江戸名所図会|1927|p=101}}。}}
|開山 = 
|中興 = 慈海{{Sfnp|江戸名所図会|1927|p=101}}
|正式名 = 泰叡山瀧泉寺{{Sfnp|江戸名所図会|1927|p=101}}
|別称 = 目黒不動尊{{Sfnp|江戸名所図会|1927|p=101}}
|札所等 = [[五色不動|江戸五色不動]]<br />[[江戸三十三観音札所]] 第33番<br />[[関東三十六不動霊場|関東三十六不動]] 第18番<br />[[元祖山手七福神]]（[[寿老人]]）
|文化財 = 青木昆陽墓（国の[[史跡]]）ほか
}}
'''瀧泉寺'''（りゅうせんじ）は、[[東京都]][[目黒区]][[下目黒]]に所在する[[天台宗]]の[[寺院]]。[[山号]]は'''泰叡山'''（たいえいざん）。[[不動明王]]像を[[本尊]]とすることから、古くより「'''目黒不動尊'''（めぐろ ふどうそん）」「'''目黒不動'''」「'''お不動さん'''{{Sfn|ULM 20210201}}」などと[[通称]]されている。

江戸三大不動の一つ。[[五色不動|江戸五色不動]]の一つ。[[江戸三十三観音札所]]第33番札所。[[関東三十六不動霊場|関東三十六不動]]第18番。一帯の地域名「[[目黒]]」は当寺に由来するとの説がある。[[サツマイモ]]の栽培を広めた[[青木昆陽]]の墓があることでも知られる。

== 歴史 ==
寺伝では、[[大同 (日本)|大同]]3年（[[808年]]）、15歳の[[円仁]]が[[下野国]]から[[比叡山]]の[[最澄]]の元に赴く際この地で霊夢を見た。青黒い顔をし、右手に降魔の剣を提げ、左手に縛の縄を持つ恐ろしい形相の神人が枕上に現れて『我この地に迹を垂れ魔を伏し国を鎮めんと思ふなり。来つて我を渇仰せん者には諸々の願ひを成就させん。』と告げられたという。夢から覚めた円仁がその姿を彫刻したのが、本尊の目黒[[不動明王]]になる。
堂宇建立を決意した円仁が法具の獨鈷を投じたところ、そこに泉が湧出した。その泉は「獨鈷の瀧」と名付けられ、この泉に因んで「瀧泉寺」とした。

東国には円仁開基の伝承をもつ寺院が多く、当寺の草創縁起もどこまで史実を伝えるものか不明である。その後[[貞観 (日本)|貞観]]2年（[[860年]]）、[[清和天皇]]より「泰叡」の勅額を下賜され、山号を「泰叡山」とした。

[[元和 (日本)|元和]]1年（[[1615年]]）、[[本堂]]が[[火災]]で焼失した。[[寛永]]7年（[[1630年]]）、[[寛永寺]]の子院・[[護国院 (台東区)|護国院]]の[[末寺]]となり、[[天海]]大僧正の弟子・生順大僧正が兼務するようになった時、[[徳川家光]]の庇護を受けて、寛永11年（[[1634年]]）、53棟におよぶ[[伽藍]]が復興し、「'''目黒御殿'''（めぐろ ごてん）」と称されるほど華麗を極めた。

徳川家光がなぜ瀧泉寺を篤く庇護したか、その原因となる話が伝わっている。家光が目黒で鷹狩りをした際、愛鷹が行方不明になってしまった。そのとき、目黒不動尊御宝前に祈願したところ、忽ち鷹が本堂前の「鷹居の松」に飛び帰ってきたという。この霊験を目の当りにした家光は、瀧泉寺を篤く尊信したという。

[[文化 (元号)|文化]]9年（[[1812年]]）、「江戸の三富」と呼ばれた「[[富くじ]]」が行われた（他は、[[湯島天満宮]]と[[谷中感応寺]]。）。富くじ興行は[[天保]]13年（[[1842年]]）[[天保の改革]]により中止となった。寺名の由来となった、境内の[[独鈷]]の滝（とっこのたき）を浴びると病気が治癒するとの信仰があった。[[江戸時代]]には一般庶民の[[行楽]]地として親しまれ、『[[江戸名所図会]]』にも描かれている{{Sfnp|江戸名所図会|1927|pp=106-107}}。周辺一帯は景色を眺めながら諸寺に参詣できる一大観光地であったこともあり、当寺の門前はいくつもの店で賑わった{{Sfn|ULM 20210201}}。現在の[[下目黒]]と[[上大崎]]にまたがる[[行人坂]]から当寺の門前までは、料理屋や土産物屋がぎっしりと並んでいた{{Sfn|ULM 20210201}}。[[落語]]の[[目黒のさんま]]は、この近辺にあった参詣者の休息のための[[茶屋]]（爺が茶屋）が舞台とされる。江戸時代には大いに栄え、[[門前町]]が発達した。門前町の名物として、当時目黒の名産品であった[[タケノコ|筍]]（江戸時代後期に[[薩摩藩]]より移植したものが商品作物として普及した）を使った筍飯/たけのこ飯（たけのこめし）と棒状に伸ばした白玉飴（練飴の一種）を[[包丁]]でトントン切っていく「目黒飴」が人気であった。また、細い[[竹]]にしんこ餅を付けた「餅花（もちばな）」というものや、[[粟餅]]などもあったという。『江戸名所図会』にはこの目黒飴屋の風景が載っていて、図会に載っている絵では従業員が10人近くみられる大店であったことがうかがえる{{Sfnp|川田|1990|p=140}}{{Sfnp|江戸名所図会|1927|pp=104-105}}。

=== 年表 ===
{{節スタブ|date=2021年2月2日}}

* [[1923年]]（[[大正]]12年）
** 3月11日 - 目黒不動前駅（現・[[不動前駅]]）の開業{{Sfn|ULM 20210201}}。
** 10月 - 目黒不動前駅が「不動前駅」へと改称{{Sfn|ULM 20210201}}。その意図は、地元での通称「お不動さん」に合わせて最寄り駅であることをアピールするためであった{{Sfn|ULM 20210201}}。
* [[1978年]]（[[昭和]]53年）[[5月18日]] - 本堂と供養堂が全焼。不動明王像は運び出されて無事<ref>目黒不動の本堂全焼 不動明王逃げて無事『朝日新聞』1978年（昭和53年）5月19日朝刊、13版、23面</ref>。

== 境内 ==
{{節スタブ|date=2021年2月2日|title=※百科事典は現代だけを扱うものではありません。※境内を案内するものではありません。ガイド視点での記述になっていませんか。}}
[[ファイル:目黒不動.jpg|thumb|250px|仁王門]]
境内は台地と平地の境目に位置し、仁王門などの建つ平地と、大本堂の建つ高台の2段に造成されている。仁王門をくぐると正面に大本堂へ至る急な石段がある。石段下の左方には独鈷の滝（とっこのたき）、前不動堂、勢至堂などがあり、右方には書院、地蔵堂、観音堂、阿弥陀堂などがある。

; {{Anchors|仁王門}}仁王門
: 三間一戸の朱塗りの楼門で、1962年（昭和37年）再建の[[鉄筋コンクリート造]]である。'''■右列に画像あり'''。
: この仁王門の前に[[平井権八]]・小紫の「[[比翼塚]]」がある。

; {{Anchors|野村宗十郎銅像}}野村宗十郎銅像
: 仁王門を入って左手にある。野村宗十郎(1857-1925) は、築地活版製造所の社長で、日本に明朝体活字を普及させた人物である。

; {{Anchors|独鈷の滝}}独鈷の滝
: 本堂へと登る石段下の左手に池があり、2体の龍の口から水が吐き出されている。伝承では、円仁が寺地を定めようとして[[独鈷]]（とっこ、古代[[インド]]の武器に由来する仏具の一種）を投げたところ、その落下した地から霊泉が涌き出し、今日まで枯れることはないという（ただし、天保年間の時点で、１年ほど枯れたことがあったという。）{{sfn|江戸名所図会|1927|page=108}}。

; {{Anchors|前不動堂}}前不動堂
: 独鈷の滝の左方にある宝形造朱塗りの小堂。江戸時代中期の建築で、東京都の有形文化財に指定されている。

; {{Anchors|勢至堂}}勢至堂
: 前不動堂のさらに左方にある宝形造の小堂。江戸時代中期の建築で、目黒区の有形文化財に指定されている。付近には甘藷先生（青木昆陽）碑、[[北一輝]]碑、[[本居長世]]碑などがある。

; {{Anchors|大本堂}}大本堂
: 急な石段を登った先の一段高い土地に建つ。'''■右列に画像あり'''（テンプレート画像）。入母屋造に千鳥破風をもつ大規模な仏堂で、昭和56年（1981年）再建の鉄筋コンクリート造建築。傾斜地に建っており、[[室生寺]]金堂や[[石山寺]]本堂のような[[懸造]]（かけづくり）風のつくりになっている。天井には日本画家、[[川端龍子]]の「波涛龍図」が描かれている。

; {{Anchors|大日如来像}}大日如来像
: 大本堂の背後にある露座の銅製仏像。膝前で印を結ぶ胎蔵界大日如来像で、天和3年（1683年）の作。

; {{Anchors|青木昆陽墓}}青木昆陽墓
{{See also|青木昆陽#青木昆陽墓}}
: 本堂裏手の道を右方へ進んだ先の飛地境内の墓地内に立つ。'''■右列に画像あり'''。[[青木昆陽]] (1698-1769) は江戸時代中期の[[儒学者]]で、[[サツマイモ]]（甘藷）の[[栽培]]を普及させた人物として知られる。墓は簡素な墓石に「甘藷先生墓」と刻まれたもので、昆陽が生前に立てさせたものという。国の[[史跡]]に指定されている。

; 目黒不動尊バス停留所
: [[東急バス]]・[[東急バス目黒営業所#不動線|渋72系統]]の停留所が境内にあり、境内をバスが通行する。毎月28日および正月3ヶ日は縁日が開催されるため、曜日にかかわらず特別ダイヤで境内の通行および下車ができなくなる。そのため毎月28日および正月3ヶ日は原則として「渋谷駅東口 - 林試の森入口」「不動尊門前 - 五反田駅」の分離運転となり<ref name=":1">{{Cite web|和書|title=【毎月２８日は縁日ダイヤで運転いたします】 おしらせ詳細 {{!}} 東急バス|url=https://web.archive.org/web/20211228105115/https://transfer.navitime.biz/tokyubus/pc/info/InfoDetail?infoId=371|website=web.archive.org|date=2021-12-28|accessdate=2021-12-28}}</ref><ref name=":2">{{Cite web|和書|title=年末年始期間の休日ダイヤでの運行及び一部系統の臨時ダイヤ実施のお知らせ {{!}} お知らせ {{!}} 東急バス|url=https://web.archive.org/web/20211221112647/https://www.tokyubus.co.jp/news/002502.html|website=web.archive.org|date=2021-12-21|accessdate=2021-12-28}}</ref>、林試の森入口 - 不動尊門前の間は徒歩連絡となる<ref name=":1" /><ref name=":2" />。この間を徒歩連絡で利用する乗客には、林試の森入口または不動尊門前にて降車する際に[[のりかえ券|乗継券]]が配布される。

== 寺宝 ==
* 不動明王像 - [[本尊]]。
** 天国宝剣（あまくにのほうけん） - 本尊である不動明王像が所持する降魔の剣。
* その他は、文化財と重複する。

== 文化財 ==
[[ファイル:Grave of Konyo AOKI.jpg|thumb|180px|青木昆陽墓]]
=== 国指定 ===
* 青木昆陽墓 - [[史跡]]。

=== 地方自治体指定 ===
* 龍泉寺前不動堂 - 東京都指定[[有形文化財]]。
* 瀧泉寺勢至堂 - 目黒区指定有形文化財。
* 銅造大日如来坐像 - 目黒区指定有形文化財。
* 銅造役の行者倚像 - 目黒区指定有形文化財。
* 木造弁才天及び十五童子像 - 目黒区指定有形文化財。

== 行事 ==
[[毎月8日]]、[[毎月18日|18日]]、[[毎月28日|28日]]が[[縁日]]とされ、28日が[[露天商]]が出て最も賑やかな縁日となる。

== 交通アクセス ==
* [[不動前駅]]（[[東急目黒線]]）から徒歩8分。
* [[目黒駅]]（[[山手線]]・東急目黒線・[[東京メトロ南北線]]・[[都営地下鉄三田線]]）から徒歩13分。
* [[渋谷駅]]・[[恵比寿駅]]・[[五反田駅]]から[[東急バス]]・[[東急バス目黒営業所#不動線|渋72系統]]で目黒不動尊下車。

== ゆかりある著名人 ==
* [[青木昆陽]] - 上述。
* [[西郷隆盛]] - 当寺に参詣し、主君・[[島津斉彬]]の健康快癒を願ったといわれる。
* [[平井権八]] - 仁王門前に権八・小紫の「[[比翼塚]]」がある。
* [[本居長世]] - 近隣に居住していた。境内に歌碑がある。
* [[北一輝]] - 境内に顕彰碑が、瀧泉寺墓地（下目黒五丁目37）に墓がある。
* [[大川周明]] - 北一輝顕彰碑の碑文を執筆した。瀧泉寺墓地の北一輝の向いに墓がある。

== 脚注 ==
{{脚注ヘルプ}}
=== 注釈 ===
{{notelist}}
=== 出典 ===
{{reflist|3}}

== 参考文献 ==
; 書籍、ムック
<!--※編著者が個人-->
* <!--かわだorかわた-->{{Cite book |和書 |author=川田寿 |date=1990-09-01 |title=江戸名所図会を読む |publisher=[[東京堂出版]] |series=江戸名所図会を読む |ref={{SfnRef|川田|1990}} }}{{ISBN2|4-490-20167-2}}、{{ISBN2|978-4-490-20167-3}}、{{oclc|606444727}}。
* <!--さいとう-->{{Cite book |和書 |author=斎藤幸雄（斎藤長秋）ほか |date=1927 |title=[[江戸名所図会]] |volume=2 |publisher=有朋堂書店 |series=有朋堂文庫 |id={{NDLJP|1174144/55}} |chapter=巻之三 天璣之部 目黒不動堂/目黒飴 |pages=101, 104-109 |ref={{SfnRef|江戸名所図会|1927}}}}
<!--※編著者が法人-->
<!--; 雑誌、パンフレット等-->
; その他
* {{Cite news |和書 |author=県庁坂のぼる（フリーライター）|date=2021-02-02 |title=目黒不動尊周辺が約25年間だけ「花街」として栄えたワケ |url=https://urbanlife.tokyo/post/49529/ |publisher=株式会社[[メトロアドエージェンシー]] |newspaper=アーバン ライフ メトロ (URBAN LIFE METRO) |accessdate=2021-02-02 |ref={{SfnRef|ULM 20210201}} }}

== 関連文献 ==
* <!--へ：平凡社-->{{Cite book |和書 |editor= |date=（※刊行年月日不記載）|title=日本歴史地名大系 東京都の地名 |edition=（※版名不記載）|publisher=[[平凡社]] |series=[[日本歴史地名大系]] |ref={{SfnRef||}} }}※ISBN、OCLCなど、特定不可。{{出典無効|date=2021年2月2日|title=※基本情報の不備。※また、出典に使っていない資料は「参考文献」節に記載できません。書誌データを整え、出典箇所を表示したうえで「参考文献」節へ移動させて下さい。}}

{{commonscat|Ryūsen-ji (Meguro)}}

== 外部リンク ==
* {{Official website|https://megurofudo.jp}}

{{Buddhism-stub}}
{{DEFAULTSORT:りゆうせんし}}
[[Category:天台宗の寺院]]
[[Category:目黒区の寺]]
[[Category:東京都にある国指定の史跡]]
[[Category:東京都指定有形文化財]]
[[Category:東京都内の区市町村指定有形文化財]]
[[Category:不動明王を本尊とする寺]]
[[Category:関東三十六不動霊場]]
[[Category:江戸三十三観音札所]]
[[Category:青木昆陽]]
[[Category:808年]]

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