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'''松岡 勇記'''（まつおか ゆうき、[[天保]]5年[[12月12日 (旧暦)|12月12日]]（[[1835年]][[1月10日]]） - [[明治]]29年（[[1896年]]）[[4月3日]]<ref name="hagi">田中助一『萩市医師会略史』山口県医師会萩支部、1943年、p.99-100。</ref>）は、日本の[[医師]]。

== 経歴==
士族松岡丹下の次男として[[江戸]]の[[芝 (東京都港区)|芝]]（後の[[西久保 (東京都港区)|明舟町]]）に生まれ、[[嘉永]]4年（[[1851年]]）[[周防国|周防]]平生出身の[[長州藩]]藩医・松岡良哉の養子となる。良哉は[[吉田松陰]]と親しく、その診察治療も行っていた。

嘉永7年（[[1854年]]）、[[咸宜園]]に入門する。この縁で[[長三洲]]との親交もあった。

[[安政]]3年（[[1856年]]）、[[適塾]]に入門し[[長与専斎]]の知己を得、[[福沢諭吉]]と親友となる。『[[福翁自伝]]』には適塾時代の思い出が語られ松岡も何度か登場するが、特に有名なものは福沢たち悪友一党が[[手塚良庵]]を遊女の贋手紙で騙した一件で、女文字の手紙を偽造した張本人が松岡である。また、夏の夕方に涼しい物干し台で一献傾けるつもりの一党が、婢女たちがそこで夕涼みしており遠慮していたところ、松岡が自分に任せろと云い放った。挨拶をしながら全裸で物干し台に入り込んで仰向けに横たわり、女性陣は閉口して逃げ出した。その後楽しく酒宴を開いたという。

適塾の後は更に[[長崎]]へ遊学し[[ヨハネス・ポンペ・ファン・メーデルフォールト|ポンぺ]]と[[松本良順]]に学ぶ。ここで長州に戻り、[[明倫館]]医学館好生堂の舎長となった。[[慶応]]3年6月（[[1867年]]7月）、藩命で[[青木周蔵]]らと共に医学修行・海外留学準備のため、長崎西浜町[[薩摩藩]]屋敷に寄宿し旧知の長与専斎に指導を受ける。既に[[長州征討]]以降の時世であり、薩摩藩士名義で活動していたものの、再び[[長崎養生所|精得館]]に出入りできたかは不明である<ref>森川潤『青木周蔵 渡独前の修学歴』[[広島修道大学]]学術選書、2018年{{要ページ番号|date=2024年6月}}</ref>。

[[明治]]5年（[[1872年]]）、[[栃木県]]県立栃木病院に招聘され院長となり、医学校設立の提言を行った（栃木医学校は明治11年開校、16年廃校）<ref>[http://jsmh.umin.jp/journal/58-2/58-2_143.pdf 日野原正『栃木（縣）医学校の推移』第113回日本医史学会総会シンポジウム143、2012年]</ref>。明治7年（[[1874年]]）、陸軍軍医（[[正七位]]）に任ぜられ、明治9年（[[1876年]]）、[[東京鎮台]][[歩兵第2連隊]]第2大隊付医官。明治11年（[[1878年]]）、[[茨城県]]県立病院を院長として開院、翌年には県立医学校が設立され校長を兼任した（茨城医学校は明治19年廃校）<ref>[http://jsmh.umin.jp/journal/29-2/180-181.pdf 西川填八『明治時代の公立医学校廃止の顛末（その二）』日本医史学雑誌第29巻第2号、1983年]</ref>。その後、東京愛宕下田村町（後の[[西新橋]]）で開業し[[井上馨]]の主治医となる。一時、[[本田増次郎]]を薬局生とした。明治17年（[[1884年]]）、中央衛生会で准判任の御用掛に任命。明治18年（[[1885年]]）、[[三県一局時代|根室県]]に派遣され、明治20年代前半の[[市立根室病院|官立根室病院]]院長を務めた。

晩年は[[萩市|萩]]に帰還し、萩医師会会頭となった。明治26年（[[1893年]]）6月、萩名産の[[夏ミカン]]を福沢に贈っている。福沢からの返礼の手紙が、[[マーマレード]]の日本での賞味の実態と、日本人が自製した実例の文献上での最初期のものとして知られる<ref>[[福沢諭吉]]「書簡集666番 明治26年7月2日付松岡勇記宛書簡」『続福沢全集第6巻 書簡集』[[岩波書店]]、1933年</ref>。明治29年（1896年）4月3日、急性肺炎のため死去<ref name="hagi"/>。

神代郁之進を養嗣子としたが、後に離籍した。女子のうち、三女カネは[[近藤会次郎]]に嫁す。

==参考資料==
{{Reflist}}

{{Japanese-history-stub}}
{{DEFAULTSORT:まつおか ゆうき}}
[[Category:19世紀日本の医師]]
[[Category:日本の陸軍軍医]]
[[Category:適塾の人物]]
[[Category:咸宜園の塾生]]
[[Category:幕末長州藩の人物]]
[[Category:武蔵国の人物]]
[[Category:東京都区部出身の人物]]
[[Category:1835年生]]
[[Category:1896年没]]

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