コンテンツにスキップ

カルパティア山脈

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

2023年4月8日 (土) 11:15; 115.125.29.26 (会話) による版 (日本語における別名を太文字へ変更)(日時は個人設定で未設定ならUTC

(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)

カルパティア山脈(カルパティアさんみゃく、またはカルパチア山脈(カルパチアさんみゃく))は、中央ヨーロッパ東ヨーロッパ山脈である。

カルパティア山脈はルーマニアの地表の約3分の1を占めている。
カルパティア山脈の衛星写真
カルパティア山脈の位置(カルパティア山脈内)
ゲルラホフスカ山
ゲルラホフスカ山
カルパティア山脈

概要

[編集]

主にスロバキアポーランドウクライナルーマニアと、周辺のチェコハンガリーセルビアにまたがっており、全長約1500km。スロバキアのブラチスラヴァ付近から北東に延び、東、南東へ向きを変えてルーマニア中部のトランシルヴァニアに達し、さらに西、北へと向きを変える。

最高峰はスロバキアの最高峰でもあるゲルラホフスカ山英語版(2,655m)[1]アルプス・ヒマラヤ造山帯に属する新山系だが、アルプス山脈ほど険しくはない。

豊富な生物多様性があり、一部は「カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林」としてユネスコ世界遺産に指定されているほか[2]、3カ所のユネスコの生物圏保護区[注釈 1]および多数のラムサール条約登録地がある[注釈 2]

岩塩天然ガス石油鉄鉱石貴金属などを産出する。第一次世界大戦のころオーストリア軍とドイツ軍が冬季にナポレオン張りに山越えを敢行し、ロシアに戦わずして80万の損害を出したことがある。

名称

[編集]

カルパティアの名の由来については諸説あり、よくわかっていない。古代スラヴ語で「山脈」を意味する語(Chorwat、Chrbat など)に由来するという説は、スラブ人がこの地域に移動する以前の文献にこの語が見える(2世紀のプトレマイオスの『ゲオグラフィア』)ために成立しない。各国語による呼称は、チェコ語・スロバキア語・ポーランド語で Karpatyウクライナ語: Карпати[注釈 3]ルーマニア語: Munţii Carpaţi英語: Carpathian Mountains または Carpathians など。

日本語では、ときにカルパート山脈ともいう。

カルパティア山脈
(スロヴァキア)
カルパティア山脈
(ポーランド)
カルパティア山脈
(ポーランド)
カルパティア山脈
(ルーマニア)
カルパティア山脈
(ウクライナ)

各部

[編集]
西カルパティア山脈ルーマニア語版
東カルパティア山脈ルーマニア語版
南カルパティア山脈
トランシルヴァニア山脈

以下の部分には、固有の名称がある。

なお、西カルパティア山脈、東カルパティア山脈という用語もあるが、山脈が長く屈曲しているため、

  • ルーマニア部分に着目し、トランシルヴァニア山脈より西が西カルパティア山脈、東が東カルパティア山脈(図)
  • 東西、北西‐南東に延びている部分に着目し、タトラ山脈とベスキディ山脈が西カルパティア山脈、ルーマニア部分が東カルパティア山脈

と、指す範囲は一定しない。

関連項目

[編集]

脚注

[編集]

注釈

[編集]
  1. ^ タトラ山脈[3]カルパティア生物圏保護区英語版[4]東カルパティア生物圏保護区英語版[5]
  2. ^ 例としては以下のものが挙げられる:
  3. ^ とくにウクライナ域内のものに関しては Українські Карпати 「ウクライナのカルパティア山脈」と呼ぶ。

出典

[編集]
  1. ^ Carpathian Mountains - ENCYCLOPEDIA BRITANNICA
  2. ^ Centre, UNESCO World Heritage. “Ancient and Primeval Beech Forests of the Carpathians and Other Regions of Europe” (英語). UNESCO World Heritage Centre. 2023年2月27日閲覧。
  3. ^ Tatra Transboundary Biosphere Reserve, Poland/Slovakia” (英語). UNESCO (2020年2月7日). 2023年2月27日閲覧。
  4. ^ Carpathian Biosphere Reserve, Ukraine” (英語). UNESCO (2020年2月19日). 2023年2月27日閲覧。
  5. ^ East Carpathians Transboundary Biosphere Reserve, Poland/Slovakia/Ukraine” (英語). UNESCO (2019年4月19日). 2023年2月27日閲覧。
  6. ^ Wetlands of Orava Basin | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2019年8月23日). 2023年2月27日閲覧。
  7. ^ Peat bogs in the Tatra National Park | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2018年5月9日). 2023年2月27日閲覧。
  8. ^ Glacial lakes in the Tatra National Park | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2018年5月9日). 2023年2月27日閲覧。
  9. ^ Prut River Headwaters | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2019年8月23日). 2023年2月27日閲覧。
  10. ^ Lake Synevyr | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2022年10月20日). 2023年2月27日閲覧。
  11. ^ Narcissi Valley | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2019年8月23日). 2023年2月27日閲覧。
  12. ^ Nadsiannia Raised Bog | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2019年8月23日). 2023年2月27日閲覧。
  13. ^ Ozirnyi-Brebeneskul | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2019年8月23日). 2023年2月27日閲覧。
  14. ^ Pohorilets River Headwaters | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2019年8月23日). 2023年2月27日閲覧。
  15. ^ Black Bog | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2019年8月23日). 2023年2月27日閲覧。
  16. ^ Romania-Friendship Cave | Ramsar Sites Information Service”. rsis.ramsar.org (2019年8月23日). 2023年2月27日閲覧。