プレデター (映画)
プレデター | |
---|---|
Predator | |
監督 | ジョン・マクティアナン |
脚本 |
ジム・トーマス ジョン・トーマス |
製作 |
ローレンス・ゴードン ジョエル・シルバー ジョン・デイヴィス |
出演者 |
アーノルド・シュワルツェネッガー カール・ウェザース エルピディア・カリーロ ビル・デューク ジェシー・ベンチュラ ケヴィン・ピーター・ホール |
音楽 | アラン・シルヴェストリ |
撮影 | ドナルド・マカルパイン |
編集 |
マーク・ヘルフリッチ ジョン・F・リンク |
製作会社 |
ローレンス・ゴードン・プロダクションズ シルバー・ピクチャーズ デイヴィス・エンターテインメント |
配給 | 20世紀フォックス |
公開 |
1987年6月12日 1987年6月28日 |
上映時間 | 107分 |
製作国 | アメリカ合衆国 |
言語 | 英語 |
製作費 | $15,000,000 |
興行収入 | $98,267,558 |
配給収入 | 7億3000万円[1] |
次作 | プレデター2 |
『プレデター』(Predator)は、1987年のアメリカ合衆国のSFアクション映画。ジョン・マクティアナンが監督を務め、アーノルド・シュワルツェネッガーやカール・ウェザース、ジェシー・ベンチュラ、ケヴィン・ピーター・ホールが出演した。配給は20世紀フォックス。
概要
屈強な軍人 "ダッチ"(アーノルド・シュワルツェネッガー)率いる特殊部隊が、中央アメリカの架空の国バル・ベルデ[2]でゲリラたちの手から捕虜を救出する任務に就いた後、正体不明の高度な技術を持つ地球外生命体・プレデターに狙われるという物語である。脚本は、1985年に『ハンター』という題名で、ジム・トーマスとジョン・トーマスの兄弟によって書かれた。撮影は1986年4月に開始され、スタン・ウィンストンによってクリーチャーが考案された。
製作費は1500万ドル。アメリカでは1987年6月12日に公開され、9800万ドルを超える興行収入を得た。初公開時の批評家の反応は賛否両論で、ストーリーには批判が挙がったが、数年後には批評家の態度はおおむね好評になった。『プレデター2』(1990年)と『プレデターズ』(2010年)という2つの続編に加え、『エイリアンVSプレデター』(2004年)と『AVP2 エイリアンズVS.プレデター』(2007年)というクロスオーバー作品も製作されている。
本作でリック・ホーキンスを演じたシェーン・ブラックは、2014年6月にフレッド・デッカーがスクリプトを書き、共同で『プレデター』の4作目に当たる本作のリブート的な続編『ザ・プレデター』(2018年9月公開予定)を制作すると20世紀フォックスに発表した[3]。ロバート・ロドリゲス監督が制作した『プレデターズ』とは、別の話の続編となる見通しであるという。
「predator」は動物学用語で、「捕食動物」や「天敵」を意味する。この名称は、あくまで視聴者・制作者の用いるメタ視点での呼び名であり、本作に登場するクリーチャーの作中設定の種族名ではない。
あらすじ
とある異星人の宇宙船が地球の大気圏に突入し、ポッドを放出した。それからしばらくして、アラン・"ダッチ"・シェイファー少佐はゲリラ部隊によって捕獲された政府の要人とその側近を救出するため、エリート・チームを率いて中央アメリカの架空の国バル・ベルデに到着する。このチームはマック・エリオットとブレイン・クーパー、ビリー・ソール、ホルヘ・"ポンチョ"・ラミレス、リック・ホーキンスたちで構成されている。ダッチの元戦友で、現在はCIAで働いているジョージ・ディロンも仲間として加わる。チームはヘリコプターでジャングルに降下し、任務を開始する。
ダッチらは墜落したヘリの残骸を発見した後、皮膚をはがされて木に逆さ吊りにされた、特殊部隊隊員たちの死体に出くわす。ゲリラの陣取った村を襲撃して女性兵士のアンナを除く全員を殺害し、非武装の彼女を捕虜にしたダッチらが村を漁っていると、とある機密資料が見つかる。それについてディロンを問い詰めると、彼は要人の正体が自身の部下であり、その死を承知のうえでゲリラ襲撃のために部隊を編成したこと、隊員たちの死体の正体は前もって派遣されていたCIAエージェントであることを告白する。ディロンの変わりように激怒かつ呆れながらもダッチらは脱出ポイントへ向かい始めるが、彼らの動向はサーモグラフィーを使う未知の異星人から監視されていた。
脱出ポイントへの道中、脱走を試みたアンナをホーキンスが追跡して捕えるが、その直後に彼は光学迷彩で透明化した異星人に惨殺され、死体を持ち去られる。アンナは自分も殺害されると恐怖するが、異星人はなぜか彼女を攻撃せずに移動する。その後、プラズマキャノンでブレインも殺害され、彼の死体に駆け寄ったマックは前方に怪しく輝く2つの目を目撃し、絶叫しながら銃を乱射する。皆も発砲するが、異星人には軽傷を与えただけに終わり、見失った。しかし、傷をつけられる相手なら殺すこともできるだろうと恐れを捨てたダッチらは、多数のワナを仕掛けて待ち伏せる。その合間、アンナは「人間を狩り、その頭蓋骨でトロフィーを作る悪魔」の言い伝えを物語る。異星人はいったんワナにかかるがプラズマキャノンを使って脱出したうえ、混乱の中で作動した他のワナによってポンチョが重傷を負う。逆上したマックとディロンは異星人を追跡し、2人とも殺害される。このままでは皆殺しにされると判断したビリーはダッチらの脱出の時間を稼ぐために単独で異星人に挑むが、身体能力も圧倒的だった異星人に殺害される。異星人はダッチたちに追いつき、プラズマキャノンでポンチョも殺害する。異星人が非武装者や弱者を相手にしないことを見抜いたダッチは、アンナだけを脱出ポイントまで先に走らせる。その後、異星人から逃げる途中で滝つぼに落ちるも運良く生き延びたダッチは岸に上がると、一息ついて冷たい泥の中に突っ伏すが、その直後に異星人も滝つぼに飛び込む。
ダッチは、光学迷彩が解けた異星人の不気味な姿に息を殺したうえにレーザーの照準を合わせられ、死を覚悟する。だが、異星人はダッチの近くにいた小動物を撃ち、彼の姿を見失ったまま立ち去る。異星人の光学迷彩が水に濡れることで解け、生物の発する赤外線を探知する能力が泥に遮られることを悟ったダッチは体中に泥を塗り、サバイバルナイフで木を削って弓矢や投げ槍などさまざまな武器を作ると、人が1人通れるくらい狭いくぼ地にカウンターウエイトを利用したワナを仕掛け、異星人との最終決戦に備える。日没後、準備を整えたダッチは異星人を引きつけるため、雄叫びをあげて火を燃やす。
グレネードを装着した弓矢や投げ槍の炸裂でさらに負傷して光学迷彩装置を破壊された異星人は、主な装備を捨てて素顔をさらして一対一の対決を挑み、身体能力でダッチを圧倒する。彼はワナのある場所まで異星人を誘い込み、カウンターウエイトを落として致命傷を負わせる。瀕死の異星人はダッチの問いかけに鸚鵡返しで答えると、手首の装置を起動する。大声で笑い始めた異星人からダッチは自爆のカウントダウンを悟り、走り出す。それからまもなく、森林が丸ごと吹き飛ぶほどの大爆発が起きる。
アンナを乗せた救出ヘリの乗員が大爆発の煙が晴れてから見たものは、奇跡的に難を逃れたダッチの姿だった。
キャスト
- アラン・"ダッチ"・シェイファー少佐
- 演 - アーノルド・シュワルツェネッガー
- 部隊指揮官。元グリーン・ベレーの隊員で、ディロンとは元戦友。屈強な体格と優れた身体能力はもちろん、過去に数々の困難な作戦を成功させ、百戦錬磨の優秀な指揮官として内外から絶大な信頼を得ているが、その一方で「自分たちはレスキュー部隊であり殺し屋ではない」というポリシーを持ち、暗殺などの作戦は引き受けない。ただし、作戦遂行時には手段を問わず、相手を壊滅させることも厭わない。葉巻愛好家で、戦場でも吸っている。
- 早くからプレデターの存在を察知し、これに勝利しなければ全滅は免れないことを悟る。プレデターとの戦闘の中で相手の決定的な弱点を発見、ほぼ全ての近代的な武装を失いながらも策を巡らせ、弓矢や槍などの原始的な武器や罠を用い、死闘の末に勝利した。
- 『プレデター2』『プレデターズ』では、名は出ないものの、プレデターと遭遇した特殊部隊の唯一の生還者として語られているが、『プレデター2』のメイキング映像中では「(一作目劇中の)9週間後に(命を)失った」と述べられている。
- 弟がおり、コミックおよび小説で刊行された『プレデター: コンクリート・ジャングル』に主人公として登場している。ニューヨーク市警察の刑事という設定である。続編の『プレデター: コールドウォー』及び『プレデター: ダークリバー』にも登場する。
- ジョージ・ディロン
- 演 - カール・ウェザース
- ダッチの元戦友。現在は軍を退役し、CIA職員を務めている。部下の搭乗機がバル・ベルデのジャングルに墜落したため、機密書類の漏洩を防ぐべく、グリーンベレーのホッパーやダッチとその部隊を現地へ派遣し、書類確保のために自分も随行する。兵士としても優秀だが、現役時代に比べて若干衰えがある描写がされている。
- 物語の後半でマックとともにプレデターを追跡するが、逆に待ち伏せされプレデターのプラズマキャノンによって右腕を撃ち落とされる。なお応戦を試みるが、腹部をリストブレイドで貫かれ断末魔の絶叫をあげながら絶命した。
- アンナ・ゴンザルベス
- 演 - エルピディア・カリロ
- ゲリラに所属する女性兵士。事件に関する重要な証人としてダッチの部隊に捕囚され、随行することになる。当初はスペイン語しか話せないふりをしていたが、実は英語でも普通に会話できる。現地の先住民の末裔で、ダッチらに古くから部族に伝わる「蒸し暑い夏に現れ、人間の頭蓋骨をトロフィーにする悪魔」の伝説を教えた。ポンチョが殺害された際に彼の銃で応戦しようとするが、プレデターが「武器を持たない者を殺さない」ことを見抜いたダッチに阻止される。ダッチと共に生還を果たす。
- マック・エリオット
- 演 - ビル・デューク
- 黒人の軍曹。ベトナム戦争ではブレインと同じ小隊に属し、共に過酷な戦場を潜り抜けてきたため、彼とは「兄弟」と呼び合うほど仲が良い。ディロンに対して好意的ではなく、行軍中に足を踏み外した彼を激しく恫喝した。安全剃刀を所持している。プレデターを最初に目視し、射撃で傷を負わせる。プレデターに殺されたブレインの復讐を誓い、ディロンとともに追跡するが、光学迷彩で接近してきたプレデターに気づけず、プラズマキャノンで頭部を撃ち抜かれ死亡した。
- ブレイン・クーパー
- 演 - ジェシー・ベンチュラ
- かつてベトナム戦争でマックと同じ小隊に属し、その小隊が2人を残して全滅するという激戦から生還した屈強な兵士。噛みたばこを常用し、ぼろぼろのスローチ・ハットを被っている。ディロンのことを快く思っておらず、行軍のヘリコプター内で彼の靴に唾を吐き、挑発した。7.62mmミニガンを携行してホーキンスの死体の捜索中、プレデターのプラズマキャノンで撃ち殺される。
- ビリー・ソール
- 演 - ソニー・ランダム
- ネイティブアメリカン・スー族の末裔。鋭い第六感を持ち、プレデターの存在を最初に察知した人物。ダッチらが退避する時間を稼ぐため、丸木橋の上でマチェテのみでプレデターを迎え撃つが、目前に現れたプレデターにあえなく殺され、頭蓋骨をトロフィーにされる。
- ホルヘ・"ポンチョ"・ラミレス
- 演 - リチャード・チャベス
- チカーノで、スペイン語に堪能。終盤、負傷してダッチに担がれて退却する途中でプレデターのプラズマキャノンで頭を撃たれ、死亡する。
- リック・ホーキンス
- 演 - シェーン・ブラック
- 通信兵。大きなワイヤー眼鏡がトレードマーク。猥談の要素を含んだジョークとコミックが好き。ゲリラの拠点から回収ポイントに向かう途中、逃走を図ったアンナを追跡した際にプレデターの襲撃を受けて最初に惨殺され、内臓を引きずり出されて樹上に逆さ吊りにされた。
- ジム・ホッパー
- グリーンベレーで、ダッチの古い友人。ダッチらに先立って派遣されたが、プレデターにより殺される。その死体は皮を剥ぎ取られ、木に吊るされていた。ダッチの弁では優秀な兵士であり、ホッパーに対してゲリラが待ち伏せを仕掛けたとしても回避、あるいは突破することが可能だという。
- ホーマー・フィリップス少将
- 演 - R・G・アームストロング
- ダッチの部隊を派遣させた後、ヘリコプターで彼を救出した少将。コミックと小説『Predator: Concrete Jungle』と『Predator: Cold War』と『Predator: Dark River』の3作品にも登場する。
- パイロット
- 演 - ケヴィン・ピーター・ホール
- フィリップス少将の指示でダッチを救出した、ヘリコプターのパイロット。映画では無名だったが、コミック『Predator: Dark River』ではマーサーという名前が設定されている。
- プレデター
- 演 - ケヴィン・ピーター・ホール、ピーター・カレン(声)[4]
- 外宇宙からやってきた異星生物種族。人類を遥かに凌駕する身体能力と技術力、高い知能を持ち、「強い生命体を狩ること」を生き甲斐とする好戦的な種族。しかし反面、強くない・武器を持っていない生命体は歯牙にもかけずに見逃す。光学迷彩とプラズマ兵器を用い、赤外線を探知する。
- ロシア人顧問
- 演 - スヴェン=オーレ・トールセン
- バル・ベルデのゲリラ部隊を支援するため、ソ連から送られた無名のロシア人の顧問。ゲリラ陣地の小屋で捕虜の人質を銃殺した後、捕虜を救出しに来たダッチたちのグレネードランチャーの攻撃で死亡する。
日本語吹替版
※()内は日本語吹替完声版での追加録音時の代役
役名 | 俳優 | 日本語吹替版 | |
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フジテレビ版 | テレビ朝日版 | ||
ダッチ | アーノルド・シュワルツェネッガー | 屋良有作 | 玄田哲章 |
ディロン | カール・ウェザース | 内海賢二 (楠大典) |
菅生隆之 |
アンナ | エルピディア・カリーロ | 勝生真沙子 | 塩田朋子 |
マック | ビル・デューク | 麦人 | |
ブレイン | ジェシー・ベンチュラ | 銀河万丈 | 青野武 (浦山迅) |
ビリー | ソニー・ランダム | 飯塚昭三 | 大友龍三郎 |
ポンチョ | リチャード・チャベス | 山口健 (桐本琢也) |
大塚芳忠 |
ホーキンス | シェーン・ブラック | 江原正士 | 神谷和夫 |
フィリップス少将 | R・G・アームストロング | 渡部猛 | 加藤精三 |
プレデター | ケヴィン・ピーター・ホール (スーツアクター) |
笹岡繁蔵※ | 大友龍三郎※ |
ピーター・カレン (声) | |||
パイロット | ケヴィン・ピーター・ホール | 藤田昇 | 幹本雄之 |
ジャック・ヴェルボワ | 斉藤茂 | 田中正彦 | |
ブレイザー・ワン | 幹本雄之 | ||
ゲリラ | ウィリアム・H・バートン・ジュニア | 原語流用 | |
ヘンリー・キンジ | |||
日本語版制作スタッフ | |||
演出 | 左近允洋 | 蕨南勝之 | |
完声版演出 | 三好慶一郎 | ||
翻訳 | 宇津木道子 | 平田勝茂 | |
完声版翻訳 | 平田勝茂 | ||
効果 | PAG | 関根正治 | |
調整 | 飯塚秀保 | 栗林秀年 | |
完声版録音・調整 | オムニバス・ジャパン | ||
プロデューサー | 小笠原恵美子 | 松田佐栄子 | |
制作担当 | 小川眞紀子 倉持ゆり子 | ||
完声版制作担当 | 飯塚義豪 大矢隆太 | ||
スタジオ | グロービジョン | スタジオ・ザウルス(録音) ムービーテレビジョン(編集) | |
配給 | 東映(20世紀フォックス映画) | ||
制作 | グロービジョン | ムービーテレビジョン | |
完声版制作 | 東北新社 | ||
初回放送 | 1989年4月22日(土) 21:02-22:54 『ゴールデン洋画劇場』 |
1993年8月22日(日) 21:02-22:54 『日曜洋画劇場』 追加録音版:2001年8月12日(日) 21:02-22:54 『日曜洋画劇場』 | |
解説 | 高島忠夫 | 淀川長治 |
- テレ朝版は2001年8月12日の放送時にダッチ、ディロン、ポンチョ、マック、ビリーの一部セリフが追加録音された。「吹替の帝王」には2001年の追加録音時の改訂版台本を縮刷したものが封入された。このバージョンの吹き替えでは、1度マックがダッチを「少佐」ではなく「大佐」と呼んでしまっている。この部分は2001年の追加録音時には修正されず、「吹替の帝王」に収録されている「日本語吹替完声版」にて修正された。
- ※2013年12月20日発売の「吹替の帝王」版Blu-ray Discに収録された「日本語吹替完声版」では、両バージョンともプレデターの声は一部を除き、原音に戻されている。
- 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンの「吹替の帝王」シリーズ第3弾として、フジ版・テレ朝版双方の吹き替えに、テレビ放送ではカットされたシーンの吹き替え音声を追加録音した「日本語吹替完声版」を収録したBlu-ray Discが2013年12月20日に発売された。プレデター3DのBDにもテレ朝版の「完声版」が収録された(フジテレビ版は未収録)。ただし、これらの「完声版」は先述したプレデターの声をはじめ、声優による吹替だった叫び声などが、ほぼ全て原音に差し替えられたものとなっている。しかし、テレ朝版はイマジカBSで放送された際に吹替の帝王版の音源をベースに叫び声などを声優による吹替に差し戻したものが放送された。その音源は後にBS日テレでも再放送された。
- 2018年8月17日発売のUltra HD Blu-ray、2018年12月5日発売の「吹替の帝王」シリーズ第15弾「製作30周年記念ニューマスター/日本語吹替完声版」では、上述のプレデターの声などを声優による吹替に差し戻した、フジテレビ版・テレビ朝日版双方の完声版が収録された。
- フジ版ではブレインが使用した銃が銃の名称で呼称されることがなかったが、「吹替の帝王」の追加録音部分で宇津木ではなく平田が訳した部分ではテレ朝版と同じく「チェーンガン」とマックに呼称されている。
製作
企画
『ロッキー4/炎の友情』公開後の数ヶ月間、ハリウッドではあるジョークが出回っていた。それはロッキー・バルボアの闘う相手はもう地球上にはおらず、次の対戦相手は異星人になるだろう、というものである。脚本家のジムとジョン・トーマスはこのジョークを真に受け、それを基に脚本を執筆した。トーマス兄弟の書いた最初の脚本の題名は『ハンター』(Hunter)だった[5]。1985年に20世紀フォックスにこの脚本が選ばれ、製作のジョエル・シルバーに引き渡された。シルバーは『コマンドー』での経験から、予算をこのSFアクション映画に回すことを選択した。彼は元上司のローレンス・ゴードンを共同製作にし、ジョン・マクティアナンを監督に雇った。ニュージーランドのジェフ・マーフィーも監督の候補に挙がっていた[6]。
スタン・ウィンストンによって考案された初期のモンスターのデザインと、完成版とではかなり違いがある。当初はジャン=クロード・ヴァン・ダムがクリーチャーを演じる予定だったが、彼は初期版のスーツを用いたテスト撮影をした後、「スーツは動きにくく暑すぎる」と主張した[7]。加えてプレデターがシナリオの都合上クロマキーとなるシーンが多い事、得意のマーシャルアーツをシェイファー役のシュワルツェネッガーとの対戦で披露するつもりだったが、その場面もない事を不満としてヴァン・ダムは降板[8]。最終的にケヴィン・ピーター・ホールが演じ、敏捷かつタフな生命体として描かれることになるが、ヴァン・ダムがスタジオを去った直後は、企画が行き詰っていた。マクティアナンはシュワルツネッガーからスタン・ウィンストンを紹介され彼と相談する。そしてフォックス・スタジオに向かう飛行機でモンスターのスケッチをしていたウィンストンは『エイリアン2』の監督ジェームズ・キャメロンと一緒になる。キャメロンは節足動物の下顎を参考にすることを提案した[9]。これが後にプレデターを象徴する特徴となる。
配役
シルバーとゴードンは最初に、主演でアーノルド・シュワルツェネッガーに出演依頼をする。エリート特殊部隊に真実味を持たせるため、シルバーとゴードン、共同製作のジョン・デイヴィスは巨体の俳優を探す。『ロッキー』でアポロ・クリードを演じたカール・ウェザースがディロン役の候補に挙がる。元プロレスラーで特殊部隊に所属していたジェシー・ベンチュラはその体格からブレイン役に選ばれる。そして人種のバランスのため、ネイティヴ・アメリカンのソニー・ランダムとリチャード・チャベス、『コマンドー』でシュワルツェネッガーと共演した、アフリカ系アメリカ人ビル・デュークが起用される。ジョエル・シルバーの大ヒット作『リーサル・ウェポン』の脚本を書いたシェーン・ブラックも出演し、さらに若手だったマクティアナンの手助けをした[5]。出演者は軍事訓練を受け撮影した。
当初のプレデター役だったジャン=クロード・ヴァン・ダムの時は��武道を活かした忍者風の怪物のアイデアが出ていた[5]。しかしシュワルツェネッガーやウェザース、ベンチュラといった肉体で知られる俳優が多く出演するためさらに脅威的な登場が必要だった。加えて、ヴァン・ダムが上記のスーツの不満を申し出たため、この案は没となった。その後ヴァン・ダムは降板し、ケヴィン・ピーター・ホールが選ばれる[5]。ホールは 218cm の身長があり、ちょうど『ハリーとヘンダスン一家』のビッグフット役を終えたところだった[10]。そしてプレデターの声はピーター・カレンに依頼される。カレンは1976年の『キングコング』で喉を痛めたため初めは消極的だったが、マスクを外したプレデターを見て引き受けた。彼はプレデターのデザインがカブトガニを連想させると述べている[4]。
音楽
音楽は、1985年に『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で成功を収めたアラン・シルヴェストリが担当した。『プレデター』は彼がはじめて担当する大作アクションだった。彼はアクションとサスペンスを強調した音楽の他に、リトル・リチャードの歌「ロング・トール・サリー」を使用した。この歌はジャングルへ向かうヘリコプターのシーンで流れている。他にも、ブービートラップを脱出したプレデターを追うマックが、歌詞の一部を口にしている。シルヴェストリは続編も担当し、『エイリアン』と『プレデター』シリーズで2作品を担当した、唯一の作曲家となった。
出典
- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)460頁
- ^ ハリウッド映画で中南米の国家として複数の作品で使用されており、他には『コマンドー』や『ダイ・ハード2』などがある。
- ^ UPDATED! Shane Black and Fred Dekker working on new Predator film
- ^ a b “Prime Directive: An Exclusive Interview with Peter Cullen”. The Digital Fix (2006年8月18日). 2010年8月7日閲覧。
- ^ a b c d Haufrect, Ian T (2001年). “If It Bleeds, We Can Kill It”. 20th Century Fox
- ^ “Roy Murphy: Geoff Murphy interview”. Murphyroy.com. 2011年7月19日閲覧。
- ^ 初期のモンスターのデザインは、大きな黄色い目に犬のような頭を持つ不恰好な生き物だった
- ^ “公開時幻となったプレデターに出てくる赤いクリーチャーの秘密”. gigazine. 2015年5月23日閲覧。
- ^ “映画『ザ・プレデター』公式 on Twitter”. Twitter. 2018年8月9日閲覧。
- ^ “Predator”. Rotten Tomatoes. 2008年1月30日閲覧。