日本の経済
日本の経済(にほんのけいざい)は、第二次世界大戦により壊滅的な打撃を受けたが、急速な復興をとげ、現在では世界第2位の経済大国といわれている。
一般に天然資源に乏しいとされるが、セメント原料の石灰石、ガラスは豊富であり、かつては金・銀・銅、石炭を大量に産出していた。 歴史的には、戦国期に戦国大名らが金銀の増産に励んだため、世界の金銀の流通量のかなりの割合を日本産が占めたこともあった。ジパング伝説は、この頃の日本に由来するものと考えられている。 また、日本海沿岸では産油量は少ないが石油を産出する。最近では、日本近海に金銀、石油、メタンが大量にある事が確認されたがコストの問題で採掘できていない。
産業は加工貿易が盛んであり、石油・鉄鉱石などを輸入して自動車、電気製品、電子機器、化学製品を輸出するが、最近は韓国や台湾からの半製品輸入も増大している。 輸出品輸入品共に電子機器が最大である。
主な貿易相手国はアメリカ、東・東南アジア、EU、サウジアラビア、中国などである。貿易収支は黒字である。 近年は特に中国からの鉄鋼輸入量の急増が日本の貿易黒字を大幅に押し上げていたが、鉄鋼の原材料の不足で材料コストが高まり鉄鋼業の利益を圧迫している。
江戸時代、鎖国政策のため世界から隔絶されていたが、明治開国以降の、富国強兵、殖産興業政策によって飛躍的に近代化を遂げたが、世界恐慌や第二次世界大戦により壊滅的な打撃を受けた。第二次世界大戦敗戦後、製造業を軸に高度成長を果たした日本の経済規模は、19?0年代にGDP比で世界第2位となった。しかし20世紀末期以降、円高により生産拠点が海外に流出する「空洞化」が深刻化している。技術・知識集約産業への転換など、産業構造改革が必要と考えられている。 2004年政府は対策として法改正を行い、1円から起業可能に、また経営のサポート体制も構築したが、効果は未知数である。
株式取引量及び総額は既にバブル期を越える量と金額の取引があり、特に個人投資家による取引と投資、直接金融が活発化しているが、規制撤廃・金融開放の進んだアメリカやイギリスに比べると、未だ個人客は非常に少ない。これは株式投資を博打と同一視する国民性、またバブル崩壊に伴うトラウマなどが原因であると思われる。
情報産業
ITバブル崩壊後、一年程停滞したがその後直ぐに回復基調に乗った。 2003年現時点では、世界で最も安く最も性能の良い情報インフラが整備されている。 特にDSL技術やFTTHは日本が世界で最も進んでいる。
また発達した携帯電話産業とネットワークの繋がりにより、世界で最もユビキタスが進んでいると言われているが、一方、世界のITではユビキタスは既に時代遅れとの指摘もある。
コンテンツ産業
日本のコンテンツ市場規模は 10兆円である。 アニメ、漫画、映画などの輸出が増え、コンテンツ輸出総額だけで 1兆円を超える産業に育っている。 特にアニメのコンテンツ輸出が活発で、その流れで漫画の輸出額も増えている。
超微細技術産業・ナノテクノロジー
非常にナノテクノロジーが発達している。京都をはじめとする全国13地域で産学官連携による研究が推進されており、地域間の交流組織として「ナノ イニシアティブズ」がある。
医療・製薬産業
国民皆保険制度の徹底によって、世界的にも質の高い医療サービスが比較的均等に受けられる状況となっている。その反面、医療機関が気軽に利用可能で利用者数が多いため医療従事者(医師や看護師など)数は相対的に不足した状態が続いている。そのため医師資格者の増加が求められているが、日本医師会はそれに反対している。
また、法整備が医学の進歩に追従できていない面があること(臓器移植や不妊治療など)や、保険診療の枠組みの中だけでは先進的な医療を実現できない場合がある点などが指摘されている。また、従来は公表されることの少なかった医療事故が頻繁に報道されるようになり医療不信が広がりを見せている。医療分野にも規制緩和が叫ばれており、最近では医療への株式会社参入も認める議論が進んでいる。
製薬業は、特に開発力の面で欧米の製薬メーカーに後れをとっており、近年は国際的競争力をつけるべく合併が盛んに行われている。
遺伝子・バイオ産業
欧米に比べてバイオ産業は遅れている。その背後にはバイオ研究にオペレーション・リサーチを導入したアメリカの先進性があるとされる。日本は職人芸的な手作業に固執し、また牛乳瓶をビーカーがわりに使うという劣悪な研究環境も後塵を拝した理由と言われている。
しかし、食料関係のバイオ研究が進んでいる。稲に関しては世界で最も進んだバイオ技術を持っている。 人の胚のクローン生成を医療福祉目的に研究する事を世界でも賛否両論がある中、政府の科学会議で条件付きで承認した。
農業
平野部が少ないことから、農業はあまり盛んではない。小麦・大豆・とうもろこしなどはほとんど輸入に頼っている。 江戸時代以前からの飢饉、大正時代の米騒動など米の不足が社会不安に直結することから、国策として特に生産に力を入れられてきた。自給率も米だけはほぼ100%である。 しかし、戦後の生産技術向上により米が余るようになり、減反政策に転じた。 また、農産物自由化の流れにより、米も輸入されるようになった。 都市近郊では野菜栽培が行われている。 農家の多くはほかに仕事をもつ兼業農家である。近年、後継者不足が問題となっている。
最近では農業への株式会社参入も認める議論が進んでおり、将来的には労働集約から資本集約型農業への脱皮を余儀なくされている。
林業
林業は安い輸入材と後継者不足におされて、衰退している。
漁業
漁業は、近海を暖流と寒流が流れ、漁業資源が多いことから、昔から盛んであった。近年、後継者不足、安い輸入魚などの影響で漁獲高は減少している。かつては遠洋捕鯨が大規模に行われていたが、日本も加盟しているIWCにて商業捕鯨の禁止が決議されたため、現在では沿岸小型捕鯨(イルカ漁)と調査捕鯨以外は行っていない。
鉱業
鉱業については、鉱物資源の種類は多いが生産のコストがかさむため、あまり行われていない。わずかに石灰石、金、石炭、石油が産出される。
工業
工業は、教育や貿易商社と並んで日本で最強の産業部門であると言える。諸外国と比較して、政府の関与が比較的少ないことが特徴である。 一方で輸出部門の常として恒常的に低賃金であり、若年労働者の確保に困難をきたしている。
造船は韓国の設備増強などによりシェアを落としているが、依然として40%の世界シェアを有し世界第二位の造船大国である。造船のような労働集約的産業でほぼ100%の国内生産を維持しつつこのような高いシェアを維持していることは注目に値する。
なお、諸外国で実施されているような造船補助金は存在しない。逆に造船設備の総量規制が実施されていたが、これは最近撤廃されることに決まった。
自動車生産では、アメリカに第一位の座を譲った。その理由として、組織の硬直化、日本車の高級化による価格上昇、アメリカ車の品質向上による巻き返しなどが唱えられている。また三菱扶桑に見られるようなモラルの低下を挙げる声もある。
それに対し、日本側はデザインをアピールするブランド志向戦略を取り出している。 優れたコストパフォーマンス、燃費の効率、故障率の低さ(世界一:トヨタ(2002年TIME社調べ))は定評があり、 さらにデザインが加わった事でシェアを取り戻しつつある。
電気・電子機器の開発生産は世界トップレベルである。特に軍用・産業用技術の民生品への応用や、省電力化、小型軽量化には定評がある。従来はデザイン性や基礎技術の開発に難点が��ったが、最近では各社の努力により改善されつつある。しかしIT経済の成熟化、製品ライフサイクルの短期化、新興国との競争などから、利益率は低下している。
金融
バブル崩壊や旧大蔵省の不祥事なども関係し、官民両方のセクターで整理統合と合併が進展。 世界最大の資本を持つ東京三菱銀行の誕生など、業界には改革が連続して起きているが、りそな銀行の国有化や地銀大手の足利銀行の破綻が起こるなど、まだ十分とはいえない。2004年、みずほグループ(旧第一勧業・富士銀行)、東京三菱グループ、三井住友グループの三大グループに業界は再編されたが、さらにりそな銀行の買収など、未だ流動的である。
銀行の不良債権処理は大きく前進し、未曾有のゼロ金利政策や貸し渋りのおかげで銀行の体質は改善され、直接金融に傾きつつある大企業の代わりに、中小企業や個人向けの融資に力が入れられ始めている。このセクションは日本ではほとんど未開拓であったため、弱小行はここに活路を見出そうとしている。
貿易
国内の個人消費は他先進諸国と同じ様に既に頭打ち状態であり、現地生産と輸出を強めている。 近年は産業界からの強い圧力で、自由貿易協定も進むが、農業界には反発が起きている。 ちなみに日本の食料自給率は 45%と言う危機的な数値であり、国防派も農業界の擁護に回っている。 事態打開の為に日本政府は、農業界に助成金投入や株式会社参入と言う形で競争力を得ようと考えている。
観光
美しい自然に恵まれ、独特の文化をもち、法隆寺などの古い建物にも恵まれているななどの要素に加え、近年の日本ブームも加わって外国人の観光客が増加している。また、テーマパーク等の娯楽施設も充実しているため、こういった施設を目的にやってくる外国人もいる。
欧米の観光客は頭打ちになっていることから、東アジア地区からの観光客にターゲットが置かれている。欧米人が好む京都・奈良などの日本情緒は、同じような文化をもつ東アジア人には受けず、東京ディズニーランドやユニバーサルスタジオなどが、アメリカまで行かずに済む為に格好の遊び場である。また温泉なども、旅館などの独特のサービスが好感をもたれている。台湾や華南地方では降雪が乏しいことから、北海道や上越のスキーツアーも人気がある。
メディア産業
国産映画(邦画)は、銀幕と呼ばれる一大メディア産業であったが、昭和30年代のテレビ普及とともに、凋落傾向がつづき、現在でも一部の監督作品、分野を除いて世界的な普及には至っていない。
TVは、高度な技術や豊富な資金、アイデアを背景にアジアを中心に受け入れられたが、近年は陳腐化が進んだ。
アニメ(日本のアニメーションのこと)は、漫画、ゲームは、世界のアニメーション産業の6割のシェアを占めているほか、ストーリー、技術共に他国のそれを格段に凌いでいることから、世界から注目を浴びている。 しかし、低賃金・長時間労働・高リスクという構造的な問題から、下請け先を海外に見いだすなど、空洞化が懸念されている。
産業別就業者構成
- 第1次産業 - 5.0%
- 第2次産業 - 29.5%
- 第3次産業 - 64.3%