コンテンツにスキップ

領収書

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。211.133.184.197 (会話) による 2009年1月31日 (土) 06:34個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (注意点)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

領収書(りょうしゅうしょ、:Receipt)とは、代金受取人が支払者に対して、何らかの対価として金銭を受け取ったことを証明するために発行する書類。レシートとも言う。

領収書とレシートは本来は同義だが、日本では、キャッシュレジスターで発行される宛名のないものをレシート、それ以外のものを領収書と区別する場合が多い。以下の記述における、「レシート」という語の使用は、この基準に従う。

領収書

日本における領収書

領収書に当たるもの

領収書とは、「領収書」という文言が入った書面のみを指すのではなく、取引明細書、��落明細書、領収、受領等の文言の入った書面でも金銭授受の証拠となりうる。また、これらの文言の入ったWEB上の取引画面、電子メールのプリントアウトも同様である。更に、取引明細、振込金受領書、預金通帳の振込みの記載は原則的に「金銭授受の証拠」になるので、あとは「物品ないし役務の授受の証拠」(納品書など)を発行すれば、領収書と同じ役割を果たすこととなる。

  • 身近なものでは、スーパーマーケットコンビニエンスストアなどで渡されるレシートも領収書の一つである。特に領収書の発行を請求すると、キャッシュレジスターを操作することで印刷された領収書を発行するか、又は手書きの用紙に書き込んで作成される。手書きの場合、改竄を防止するために漢数字でも特に大字(壱、弐、参…)が用いられることが多い。
  • 一般にはレシートでは領収書として使えないという認識がある。大半は買った品物の明細書という認識の人が多い。特に後述する通り、税法上の領収書としての要件を満たしていない場合もある。そのため、大抵はキャッシュレジスターから別途印刷された領収書を請求するケースが多い。最近のコンビニ等では、普通のレシートに『領収書』という一文を追記し、『領収書として使える』ということを周知させようとしているようではあるが、一般認識では浸透していない模様で、結局はレジスターから別途印刷した領収書を請求するケースがある。

また、レジスターから出すタイプの領収証を嫌がり、手書きの領収書を出す所もある。これは、パソコンが普及した為、パソコンで容易に領収書が偽造できる事(特に法人関係)、感熱紙を使用してる為、文字が消えたり、紙自体が黒くなったりするからである。

  • 交通機関の運賃の場合、鉄道駅旅行会社窓口や専用指定席券売機で発売される長距離乗車券類を除き、近距離用の金額選択式自動券売機では領収書を発行できる券売機は少ない。乗車カードプリペイドカード)の購入の場合、領収書を発行できる券売機が多い。もし領収書が必要ならきっぷを持って窓口で領収書を作るよう請求すると作ってくれる。ただし名古屋鉄道駅集中管理システム対応の駅の場合、駅員がいないために発行が出来ない。そのために領収書が必要な場合は「下車駅で発行(有人駅の場合)」「接続駅等で発行(同左)」「郵送」等で対処している。いずれにしても、近年普及が著しいタッチパネル式の券売機では領収書が発行できる。
  • 乗車時や降車時に運賃を支払う一般の路線バスも、領収書発行機能は持っていない。高速路線バスについては、バス会社や旅行会社窓口で購入して領収書を請求すれば、恐らく発行できると思われる。コンビニで支払った場合はコンビニが発行する。ネット上のクレジットカード払いでは恐らく発行されない。(クレジットカードの請求明細書で代用)
  • 空港などの航空会社のカウンターで航空券を購入すれば、領収書をもらえるが、チケットレスサービスでコンビニで支払った場合は、レジからの控え証(利用後も手元に残る)を領収書の代わりにする場合がある。ネット上のクレジットカード払いでもカウンターに申し出るか、自動チェックイン機で発行が可能。
  • 日本のタクシーではほとんどの場合、領収書(プリンタから打ち出されるレシート形式)が渡される。

支払い手段による領収書の違い

銀行振込等による支払いの場合

銀行振込などの場合は、取引明細書、引落明細書は、金銭授受の証拠としては認められうるが、その金銭が何の対価であるかの記載が無いため、正規の領収書として認められない場合がある。従って、銀行振込で決済した場合において、別途領収書の発行を求めることがあるが、これは正当な要求である。ただし、金銭授受の証明は既になされているため、役務ないし物品授受の書類(納品書など)を別途発行することにより、これに代えてもよい。また、役務ないし物品授受の書類が別途発行されている場合において、さらに領収書発行を求めるのは、不当請求になる。

税務署、国税庁では銀行振込等では振込明細や引落明細が領収書相当[1]となるとの見解を示しているが、更に領収書発行の求めに応じる場合には領収書備考欄等に振込での入金と判るように振込日時、取扱金融機関名、実際の振込名義人等詳細に記載することを要望している。
この場合の領収書額面は実際に受取人が受領した金額、つまり振込手数料を除いた額面となる。
振込手数料分の領収書発行の求めは送金窓口となった金融機関ということになるが、既に利用明細書が発行されているので、通常、領収書という名目での再発行はされない。

クレジットカード支払による場合

クレジットカードによって決済した場合は、支払人(カード利用者)はクレジットカード会社に対して金銭を支払うのでクレジットカード会社発行の利用明細書が領収書相当となる。従って物品やサービス提供者(販売元)は領収書を発行する立場にはなく控え(取引明細)を発行するのみとなる。

交付義務

全ての取引について発行が強制されている訳ではないが、民法第486条は「弁済をした者は、弁済を受領した者に対して受取証書の交付を請求することができる。」と規定し、また、債権者が受取証書を発行しないときは、債務者は同時履行の抗弁権を行使して弁済を拒むことができるものと解されている。

弁済を受領した者は、ひとたび受取証書を発行すれば再度の発行義務を免れるが、任意で再発行することは妨げられない。ただし、再発行する場合は、その旨を明記した領収書(受取証書)を発行すべきである。

また、領収書を請求するケースで多いものは、一部量販店のように各フロア、あるいはコーナーごとの精算になっている場合、とりあえずレシートを受け取り、複数のレシートを最終的に1枚の領収書にまとめる場合もある。

税法上の扱い

日本における経理処理では、鉄道路線バスといった公共交通機関運賃などの例外を除き、受取証書で証明ができないと、税法経費として認められない。また、年月日、相手先、内容、対価の明記が必要である。税法上の経費とする場合では、会計処理の関係から、一定の金額以上では別途手書きの領収書を請求することが多い。

金額が3万円以上[2]の領収書には原則として収入印紙を貼り、消印をすることで印紙税を納税しなければならない。

但し、3万円以上の領収書であっても、営業に関しない領収書は、課税文書とはならない(印紙税法別表第1 番号17 非課税物件)。例えば、中古車屋に、業者ではない一般個人が中古車を売った場合は、売った者が個人であっても領収書発行を求められる(店が用意した領収書に必要事項の記入を求められる)が、印紙を貼る必要は原則として無い。ネットオークションの売買の場合は、個人がやっている場合においても、条件によっては業者扱いされる事もある。また、印紙税法第5条に基づき、宗教法人財団法人などの公益法人が発行する領収書には収入印紙を貼らない。

印紙を貼る義務は、領収書の発行側にある。収入印紙を貼らなかった場合、あるいは不足していた場合は、不足した分の3倍の金額の過怠税が課せられる。また、収入印紙の貼付義務を免脱するために受領金額が3万円未満となるように分割して発行した場合などに、追徴課税されることもある。なお、印紙が貼付されていない領収書であっても、領収書としての有効性には変わりはない。クレジットカードによる決済時に発行されるカード利用控えは領収書ではないので印紙税は掛からない。

領収書の蒐集趣味

切符切手駅弁包み紙など印刷された紙片を集める蒐集家のうち、1円以上の買い物をすれば必ず入手できる領収書に着目し、ありとあらゆる領収書を集める蒐集家も現れた。この場合、領収書を略して「書」と呼ぶことがある。コクヨヒサゴなど文具メーカー製の既製品よりは発行者オリジナルのロゴが好まれ、例えば不二家ではマスコットキャラクターであるペコちゃんの絵が入っているかないかで蒐集価値が大きく異なるという。また、領収書の一つであるレシートの収集家もいる。店のロゴが印刷される物が多くを占める為蒐集価値がある。特に旅行等で地元に進出していないチェーン展開する店は勿論、その土地にしかないローカルな店の物を実際に買い蒐集する人も少なくない。

注意点

  • 宛名を 上様 を断る所(特に旅行会社多い)があるが、間違いである。あくまでも会社側の経理等の業務上の都合のゴリ押しであり、客に���全く関係無い。個人情報のからみや誤字脱字も絡むので、上様で書く人は多い。
  • 客の立場としては、通帳や振込金受領書などと付き合わせる必要がある取引明細書(納品書、請求書等を含む)より、その必要の無い領収書のほうが便利であるのは言うまでもない。

しかし、逆に言えば、きちんと付き合わせることの出来るのが、原本の取引明細書と言える。
金額が3万円未満で、印紙貼付の義務が無い場合においては、店側としては納品書等ではなく領収書を発行しても特に不利益がある訳ではないとする意見もあるが、現金での取引が非常に稀でしかも、税務調査対象となりやすいWEBショップなどの営業形態の場合、領収書の発行履歴から現金売り上げ隠しと見られることを懸念することがある。
現金売り上げが皆無で本来発行しなくても良い領収書を発行していることで痛くもない腹を探られたくないという訳だ。

  • このような現金受け取り以外の領収書の発行については、納品書など物品ないし役務の授受となる書類を別途発行していないかどうか、検証した上で発行する必要がある。

それでも領収書発行を求められ発行する場合は、具体的な品目はもちろん、取扱日、決済方法、実際の決済名義人など詳細を備考欄などに記入し金銭の流れを明らかにすることが求められる。

  • 銀行振込、カード決済、電子マネーと多種多様な決済方法がある現代において書き換えという作業を経て発行される領収書よりも、機械的に記帳される取引明細書等の方が信用ある証書ということができる。

ただし日本社会においては、偽造が簡単にできる印鑑のほうが、筆跡鑑定によってより確実性に勝る直筆署名(サイン)よりも重要視されるなど、他にも不合理な商慣習はいくらでも存在する。-->

脚注

  1. ^ ここで言う領収書相当とは、国税庁、税務署の監査で支払いの証書と認められる書面をいう。
  2. ^ 金額について、税抜金額を記載している、あるいは消費税額が明確に明示されている場合以外の場合では、税込金額で判断される。

関連項目

  • 返抄 - 古代・中世における領収書。
  • 配当金領収証 - 領収証という名前がついているが、株主が配当金を受け取るための引き換え証である。
  • 軍用手票 - 通貨のように流通しているが法的な実態は領収書である。
  • 『領収書'99』(歌:Le・シート、作詞:高田文夫・塩沢彰光、作曲:茅蔵人)
  • 医療費の内容の分かる領収証 - 2006年の診療報酬改定で導入された、診療報酬区分毎の点数等が記載された領収書。

外部リンク