ISO 668
ISO 668 - Series 1 freight containers — Classification, dimensions and ratings とは、インターモーダル輸送貨物コンテナを分類し、サイズと重量を規定するISO国際規格である[1]。1967年に導入され、コンテナの内寸および外寸、開口ドアの最小サイズ(備える場合は)を規定している。2005年の改訂版では、コンテナ総重量、構造における重量バランス構造も規定している[2]。
Series 1 freight containers — Classification, dimensions and ratings | |
主な海上コンテナの全長比較図 | |
最新版 |
7 668:2020 |
---|---|
プレビュー版 |
Sixth edition 2013-08-01 |
組織 | 国際標準化機構 |
委員会 | Technical Committee ISO/TC 104: Freight containers, Subcommittee SC 1: General purpose containers |
略称 | ISO 668:2020 |
現行のバージョンは、2020年に定義された第7版であり、これはバージョンEが統合された。
バリエーション
編集「ハイ・キューブ」とは、「背高」を意味する。
ISO名 | 一般名 | 外寸 | 内寸最小幅 | 最大総重量 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
長さ | 高さ | 幅 | 長さ | 高さ | 幅 | |||
1EEE | 45フィート ハイ・キューブ |
13.716 m / 45 ft 0 in | 2.896 m / 9 ft 6 in | 2.438 m / 8 ft 0 in | 13.542 m (44 ft 5.15 in) | コンテナ公称 外寸高から マイナス 241 mm |
2.330 m (7 ft 7.73 in) | 30480 kg / 67200 lb |
1EE | 45フィート 標準 | 2.591 m / 8 ft 6 in | ||||||
1AAA | 40フィート ハイ・キューブ |
12.192 m / 40 ft 0 in | 2.896 m / 9 ft 6 in | 2.438 m / 8 ft 0 in | 11.998 m (39 ft 4.375 in) | 2.330 m (7 ft 7.73 in) | 30480 kg / 67200 lb | |
1AA | 40フィート 標準 | 2.591 m / 8 ft 6 in | ||||||
1A | 40フィート | 2.438 m / 8 ft 0 in | ||||||
1BBB | 30フィート ハイ・キューブ |
9.125 m / 29 ft 11.25 in | 2.896 m / 9 ft 6 in | 8.931 m (29 ft 3.6 in) | 30480 kg / 67200 lb | |||
1BB | 30フィート 標準 | 2.591 m / 8 ft 6 in | ||||||
1B | 30フィート | 2.438 m / 8 ft 0 in | ||||||
1CCC | 20フィート ハイ・キューブ |
6.058 m / 19 ft 10.5 in | 2.896 m / 9 ft 6 in | 5.867 m (19 ft 3 in) | ||||
1CC | 20フィート 標準 | 2.591 m / 8 ft 6 in | ||||||
1C | 20フィート | 2.438 m / 8 ft 0 in | ||||||
1D | 10フィート | 2.991 m / 9 ft 9.75 in | 2.438 m / 8 ft 0 in | 2.802 m (9 ft 2.3 in) | 10160 kg / 22400 lb | |||
1E | 6½フィート | 1.968 m / 6 ft 5.5 in | 2.438 m / 8 ft 0 in | 2.438 m / 8 ft 0 in | 2.330 m (7 ft 7.73 in) | 7110 kg / 15700 lb | ||
1F | 5フィート | 1.460 m / 4 ft 9.5 in | 2.438 m / 8 ft 0 in | 5080 kg / 11200 lb |
- 1EEおよび1EEE規格は、2005年の改定により登場した45ftコンテナである。
- 1Eおよび1F規格は、現行版のISOには含まれていないが、過去版規格に基づき現在も生産されている。
歴史
編集ISOコンテナの標準規格を将来にわたって円滑に進める専門の組織として、1961年6月にヘルシンキで開催されたISO理事会にて「国際標準化機構貨物コンテナ専門委員会(ISO / TC104[注 2])」が設立されている。このISO / TC104組織により、同年9月に初めて第1回ISO / TC104総会がニューヨークで開催され、後の各種規格制定の下準備として各国間での調整と議論が始まった[3]。
これらの議論の末に最初に登場した規格は、1964年7月にハンブルクで開かれた第3回総会によって、現在の国際海上貨物用コンテナの基礎となる数値が決定された後、1968年に「ISO 668」の初代規制値として確立する。国際海上貨物用コンテナでは、複数の長さがあるが主に長さが20 ft (6,058 mm)、40 ft (12,192 mm) の2種類が用いられており、コンテナの取扱量を示す単位TEUは、20 ftコンテナ1個分を1TEUとしている。なお、制定当時のコンテナ横幅及び高さでは、この2種類を含む全ての長さのタイプで、横幅8 ft (2,438 mm)、高さ8 ftと正方形となっていた。[4]
その後の世界的な物流事情の変化に伴う「重量の軽い貨物をもう少し積み込めるようにしたい」との要望により、少し背高となる8 ft 6 in (2,591 mm)タイプのコンテナを、新たにISO 668の基準値へ盛り込む要望が出てきた。しかし、既にコンテナを陸送するための専用のシャーシーは、世界で共通して円滑に輸送できるとの趣旨で、日本を含む地上高が低く抑えられている国々でも、コンテナを積載した状態での地上高が3.8 mと決定されていた。これを元に最初のコンテナの高さが8 ftと決定されていたこと、当時のコンテナ積載用のシャーシはトラクターとの連結部分と、最後尾部位までが一直線状体の水平シャーシとなっていたので、既に限界までに低床化されていた。これらの現状での規制値内で、牽引するトラクター本体のさらなる低車高化は構造的に無理があり、また牽引トラクターと40 ftコンテナを合わせた全長は、当時の世界共通的に通用する最長値が現代のように長大ではなかった。
このために、20 ftタイプのシャーシでは連結部位より後側の全体を少し下げて、8 ft 6 in型を輸送することは可能であったが、40 ftのコンテナ用シャーシーでは、連結部位の構造上の理由と前記のように連結時での最長値の制限により、さらにトレーラーシャーシ全長を均等に低床にすることが出来ない状態となっていた。そこで考案されたのが、元々コンテナの底部位(いわゆる、コンテナの床下)には、保管時で地面に置いた時に雨天時の床下の水はけ事情等を考慮する必要があり、タンクコンテナなどの一部を除くほとんどのコンテナにはフォークポケットの有無には関係なく、十数センチ程の空間がコンテナの構造上、存在している。この床下空間を利用して、シャーシーの連結部分とはめ合う6インチ (153 mm)の深さの『グースネックトンネル』と呼ばれるくぼみを、積み込み口とは反対側の床下に設けることで、連結部位より後のほとんどの部位となるシャーシー床面全体を6インチ分下げることができた。道路運送上の要請から40 inコンテナにはグースネックトンネルと呼ばれるくぼみが設けられている。
これらの経緯をへて、1969年10月にニューヨークで開かれた第6回総会にて、まずは40 ftタイプに新しく高さ8 ft 6 inタイプが、ISOコンテナに認定された。その後、遅れる事5年後の1974年10月に東京で開催された第8回総会にて、30 ftタイプに新しく、高さ8 ft 6 inタイプが【区分 1BB】コンテナとして、更に20 ftタイプに新しく、高さ8 ft 6 inタイプが【区分 1CC】コンテナとして、それぞれISOコンテナに認定された。続く1976年5月にワシントンで開かれた第9回総会にて、旧シーランド社が独自規格として使用し続けていた35 ftタイプは、コンテナ船のセル構造や20または、40 ftコンテナとの積み併せや、保管時に組み合わせの悪さから発生する無駄なスペース等の汎用性がない事などを理由として、申請されていたISO規格への承認を認めなかった。またこの件とは別に、ヨーロッパでのUIC (国際鉄道連合)からの申請されていた、20 ftタイプの中で【区分 1C】及び【区分 1CC】タイプに対して、コンテナ本体を含む最大総重量を24 tまで認めることとなった。[5]
これらの各種規制緩和やある意味、苦肉の策で編み出した8 ft 6 inタイプのコンテナを積載しても、改善前と変わらぬ世界共通の地上高が3.8 mを維持する事となり、40 ftコンテナはグースネックトンネルを備えた8 ft 6 inタイプ[注 3]と、また40 ftコンテナ積載用のシャーシーは6インチ段差のあるタイプーへと全世界へ一気に広り[注 4]、近代のコンテナの土台となる各種の規格が完成した。
- ウィキメディア・コモンズには、海上コンテナの細部特徴に関するメディアがあります。
注釈
編集- ^ 画像では現代規格の最高値の、9 ft 6 in (ハイ・キューブ)を積載しているが、この状態で日本国内を走行する(日韓の取り決めにより、画像の韓国ナンバー付きでも輸送は可能である。)ためには、海上コンテナ輸送の特例認可としての上限地上高である4.1 mを超えるために、特殊車両通行許可を輸送の都度取らないと違法となる。この規制により、私有地となるコンテナヤード内での移動用に使用するか、撮影された山口県/下関岬之町CT埠頭から出航している釜関フェリーへ積載しての、韓国内の輸送などに限られる。ただし、現在の標準である8 ft 6 inの国内輸送は、ハイキューブコンテナ扱いとして合法となる。
- ^ TC104とは、ISOの規格の中で104番目に設立された技術専門委員会を指す。この組織には、数十カ国の国々が正式メンバーまたは、オブザーバーとして参加している。なお、日本からは日本工業標準調査会が正式メンバーとして参加し、その傘下で日本船主協会が国内審議団体となっている。
- ^ ただし、諸般の事情により一部の20 ftタイプでもグースネックトンネルを備える事例があり、この場合は専用のタイプコードが割り当てられていた。
- ^ ただし、地上高規制の数値に余裕のある国々ではこの限りではなく、従来からの段差のない全長が均一に一直線状のシャーシも使われ続けていた。
出典
編集- ^ “ISO 668:2013 - Series 1 freight containers -- Classification, dimensions and ratings”. www.iso.org. 2005年9月閲覧。
- ^ ISO 668:1995 Series 1 freight containers — Classification, dimensions and ratings — AMENDMENT 1, (2005-09-15) 2005年9月閲覧。
- ^ 『コンテナ物流の理論と実���』 平成22年1月28日、成山堂書店初版発行 (ISBN 978-4-425-92711-1) p.19
- ^ 『コンテナ物流の理論と実際』 平成22年1月28日、成山堂書店初版発行 (ISBN 978-4-425-92711-1) p.20
- ^ 『コンテナ物流の理論と実際』 平成22年1月28日、成山堂書店初版発行 (ISBN 978-4-425-92711-1) p.21
- 14:00-17:00. “ISO 668:2020” (英語). ISO. 2020年7月8日閲覧。
関連項目
編集- ISO 1496-1
- ISO 6346 - コンテナへのコード付与
- JIS Z1610 - 部分的な互換性がある
外部リンク
編集- ISO 668:1995(E) 標準 — introduced by amendments 1 and 2
- ISO 668:2013(E) — (pdf; archived)
- ISO Technical committee TC104: Freight containers