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[[Image:Condom on Obelisk, Buenos Aires.jpg|right|thumb|200px|世界エイズデーの啓発キャンペーンの一環として、{{仮リンク|ブエノスアイレスのオベリスク|en|Obelisco de Buenos Aires}}に67メートルの巨大「[[コンドーム]]」が模された。<br>(2005年12月9日、[[アルゼンチン]]・[[ブエノスアイレス]])]]
'''性教育'''(せいきょういく、[[英語]]:Sex education)は、[[生殖器|性器]]・[[生殖]]・[[性行為|性交]]・[[人間]]の他の[[性科学|性行動]]についての[[教育]]全般を意味する言葉。性教育は、
日本の
なお、[[2018年]]1月に改訂された[[国際連合教育科学文化機関|ユネスコ]]の『国際セクシュアリティ教育ガイダンス<ref>{{Cite web|url=http://www.unaids.org/sites/default/files/media_asset/ITGSE_en.pdf|title=International technical guidanceon sexuality education|accessdate=2019-3-1|publisher=UNESCO|year=2018|format=PDF}}</ref><ref>{{Cite book|author=ユネスコ|title=国際セクシュアリティ教育ガイダンス|date=2017-6-15|year=|accessdate=2019-3-1|publisher=明石書店|author2=浅井春夫|author3=艮香織|author4=田代美江子|author5=渡辺大輔|author6=|author7=|author8=|author9=|isbn=9784750344751}}</ref>』では、性教育の開始は5歳からで、ヨーロッパの性教育スタンダードでは0歳からとなっている<ref name=":212">{{Cite web|url=https://diamond.jp/articles/-/159339|title=2018.2.12 日本の性教育は時代遅れ、ユネスコは小学生に性交のリスク教育推奨|accessdate=2019-2-14|publisher=株式会社ダイヤモンド社|author=末吉陽子|website=ダイヤモンドオンライン}}</ref><ref>{{Cite web|url=https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/pilcon-sexed-changeorg?utm_term=.ookZLR4p4Q|title=「AVが性の教科書」の現状をどう変えるのか。望まぬ妊娠、中絶をした女性の願い|accessdate=2019-3-1|publisher=BuzzFeed Japan株式会社|author=伊吹早織|date=2018-4-25|website=BuzzFeed News}}</ref>。
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なお、人工妊娠は毎年低減しているものの、平成30年度件数は 161,741件であり、「20歳未満」について各歳でみると、「19歳」が 5,916 件と最も多く、次いで「18歳」が 3,434件となっている。一方で30代は60,368件、40代以上も15,909件となっている<ref>{{Cite web|url=https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/18/|title=平成30年度衛生行政報告例の概況 母体保護関係|accessdate=2020-05-10|website=厚生労働省|date=2019-10-31}}</ref>。出産に関する統計はほとんどが15歳からだが、15歳未満の妊娠も年間約400件ほどある<ref>{{cite web|url=https://allabout.co.jp/gm/gc/479647/|title=小中学生の妊娠は年間約400件…産科はどう対応するか|publisher=All about|aouthor=清水ほなみ|accessdate=2020-08-02}}</ref>。平成29年度の出産数と中絶数の比率で出した中絶選択率は、全体では15%だが20歳未満で59%にも上る。また12歳未満の強制性交等の性犯罪は約1000人が被害者となっている<ref>{{Cite web|url=http://www.jaog.or.jp/wp/wp-content/uploads/2019/06/132_20190612.pdf|title=性教育の新たなスタートに向けて|accessdate=2020-05-10|autheor=安達知子|website=日本産婦人科医会|date=2019-6-12}}</ref>。社会福祉法人恩賜財団母子愛育会の平成26年度調査によると、[[児童相談所一時保護所]]入所者の虐待は性的虐待年齢が13.03歳となっている<ref>{{cite web|url=http://www.boshiaiikukai.jp/img/hokoku-jido-26.pdf|title=一時保護所における支援のあり方に関する研究|publisher=社会福祉法人恩賜財団母子愛育会|accessdate=2020-07-10}}</ref>。
2020年3月から5月にかけて、[[2019新型コロナウイルス|新型コロナウイルス]]感染症拡大予防のためにとられた全国での一斉休校において、学校や部活も無くなり自宅にいる中高校生が性行為の機会を持ち望まない妊娠に至ったり、妊娠の不安を感じて[[こうのとりのゆりかご]]を設置する熊本市の慈恵病院の妊娠相談窓口に、過去最多の中高生からの相談が寄せられている<ref>{{Cite news|url=https://mainichi.jp/articles/20200511/k00/00m/040/232000c |title=中高生の妊娠相談過去最多 新型コロナによる休校影響か 熊本・慈恵病院|accessdate=2020-05-17|website=毎日新聞|date=2020-5-11}}</ref>。生活苦から援助交際と言われる年上男性との性行為の結果、妊娠に至った高校生もおり、親に打ち明けるにも「小さないのちのドア」などの支援者の援助を得て乗り切るケースもある<ref>{{cite web|url=https://jisin.jp/domestic/1874026/|title=コロナ生活苦、援交し妊娠した高校生も 助産師語る悲惨な現状|web cite=女性自身|date=2020-07-06|accessdate=2020-08-28}}</ref>。コロナ禍の最中に性虐待が判明した少女には、10歳での母の恋人からの性暴力の妊娠や12歳での父からの性強要による事件も含まれ、日本は他国に比較し性虐待の顕在化がされていない可能性が高い一方で自分の体を守り大切にする性教育が不足しているため自らを責めたり我慢をする少女もいる<ref>{{cite web|url=https://news.ameba.jp/entry/20200616-260/|title=コロナ禍で家庭内の性暴力が増加…少女を性的虐待から守るには?|publisher=日刊spa!|date=2020-06-16|accessdate=2020-06-26}}</ref>。性暴力を受けたときに相談できるワンストップ支援センターの大阪支部では、2010年度~18年度に来所し、受診につながった者のうち19歳以下の子どもは1285人で6割を占めている。また17、18年度、家族からの性暴力を訴えた子どもは161人となり、実父からが36%、実兄・義兄からが18%を占め、そのほか母の恋人・祖父・いとこが加害者の事例もある<ref>{{cite news|url=https://www.asahi.com/articles/ASN7B62S1N7BUTIL032.html?iref=pc_extlink|title=全都道府県にワンストップセンター整備|author=山田佳奈、林幹益|publisher=朝日新聞|date=2020年7月10日|accessdate=2020-07-13}}</ref>。加害者は知人や親族など身近な人からのことが多い。実父に小学生時代から性虐待を受けていた女性は「家族がばらばらになる」とその被害を長期間打ち明けられなかったが、父親は避妊しない性行為すら虐待だと認識していないことが裁判で明らかにされている<ref>{{cite web|url=https://friday.kodansha.co.jp/article/133323|title=娘に性的虐待繰り返した「鬼畜父」の呆れた言い分|publisher=FLYDAYdegital|date=2020-09-10 |accessdate=2020-10-14}}</ref>。過去にも刑法200条に規定されていた尊属殺人の規定は、自己または配偶者の直系尊属を殺した者は死刑または無期懲役に処する旨、普通殺人よりも重罰規定が定められていたが、昭和48年4月4日最高裁判所大法廷にて憲法一四条一項に違反するとされ、1995年に刑法が改正(平成7年法律第91号)された際に傷害罪等他の尊属加重刑罰と共に削除された。本事件は、1968年(昭和43年)に実父
2020年コロナ禍において、若い女性の自殺者が増えており30代以下の女性の8月の自殺者数は193人と前年8月に比べ74%も増加しとくに10代では去年の倍となっている<ref>{{cite web|url=https://www.asahi.com/articles/ASNB272P6NB2UBQU004.html|title=10代女性の自殺、8月は去年の約4倍
この調査では、中絶した女性の死亡原因の過半数が自殺であることも判明した。若すぎる妊娠や、望まない妊娠は自殺のリスクを高め、出産後0日の嬰児殺害にもつながっている。胎児を中絶する経験は女性に大きな罪悪感を生み出す<ref>{{cite web|url=https://news.yahoo.co.jp/articles/ad5c21af0b8081103052c21e9536cd2d02a62a90|title=望まない妊娠…経験者が語る「中絶を決意した人に伝えたいこと」|publisher=FLYDAYdegital|date=2020-09-01 |accessdate=2020-10-14}}</ref><ref>{{cite web|url=https://friday.kodansha.co.jp/article/69928|title=『透明なゆりかご』著者が語る中期中絶を選んだ妊婦たちの孤独|publisher=FLYDAYdegital|date=2019-10-13 |accessdate=2020-10-14}}</ref>。海外では後述の緊急避妊薬でその妊娠の多くが容易に回避できる状況にあるが、日本国内では実現しておらず結果として女性が望まない妊娠・出産の負担を負うことになり日本国内の女性に対し憲法に定める[[法の下の平等]]や[[生存権]]が中絶に関わる主な精神的影響のリスト保証されていないものとなっている。<ref>{{cite web|url=https://news.yahoo.co.jp/articles/ad5c21af0b8081103052c21e9536cd2d02a62a90|title=望まない妊娠…経験者が語る「中絶を決意した人に伝えたいこと」|publisher=FLYDAYdegital|date=2020-09-01 |accessdate=2020-10-14}}</ref><br>
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高校生など学生で妊娠に至った場合、学校は退学処分になり将来の夢が阻まれるほか、2017年には東京都台東区で女子高校生が妊娠が分かり親からの叱責などを恐れ交際相手に[[嘱託殺人]]させた事件<ref>{{cite web|url=https://bunshun.jp/articles/-/8913|title=女子高生が妊娠発覚で「死んじゃいたい」 男はバンダナで彼女の両手を縛った……|publisher=文春オンライン|date=2018-09-18|accessdate=2020-0802}}</ref>や千葉市では2018年に交際相手(16)が出産した新生児の遺体を自宅に隠した少年(17)の事件<ref>{{cite web|url=https://www.chibanippo.co.jp/news/national/493906|title=新生児遺体隠した疑い 出産した16歳と少年逮捕 千葉北署|publisher=千葉日報|date=2018年4月26日|accessdate=2020-08-02}}</ref>、2017年には静岡市で女子大生(20)が乳児遺体遺棄で逮捕される事件<ref>{{cite news|url=https://www.sankei.com/affairs/news/170818/afr1708180006-n1.html|title=乳児遺体を遺棄した疑い 女子大生逮捕、静岡|publisher=産経ニュース|date=20118-08-18|accessdate2020-08-02}}</ref>が起こっている。厚生労働省の虐待死の統計では、その被害者は半数以上が0歳であり、児童虐待死が最も多いのは「0歳0ヶ月0日」となっている<ref>{{cite web|url=http://bigissue-online.jp/archives/1018623517.html|title=児童虐待死が最も多いのは「0歳0ヶ月0日」。産まれてすぐ殺される新生児と、追い詰められる母親|publisher=the big issue|date=2016-10-26|accessdate=2020-08-02}}</ref><ref>{{cite web|url=https://allabout.co.jp/gm/gc/481840/|title=虐待死5割以上が0歳児、望まぬ妊娠で中絶を選べない母親の選択肢|publisher=All about|author=竹内正人|accessdate=2020-08-02}}</ref><ref>{{cite web|url=https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000533867.pdf|title=子ども虐待による死亡事例等の検証結果等について(第15次報告)の概要|publisher=厚生労働省|date=2019-08-01|accessdate=2020-08-02}}</ref>。
しかしながら日本は妊娠を回避する緊急妊娠ピル(アフターピル)「[[ノルレボ]]錠」が医師の診断なしには処方されずかつ約15000円と高価であるため、「'''意図しない妊娠のリスクを抱えた全ての女性は、緊急避妊薬(アフターピル)にアクセスする権利がある」とする世界保健機関の勧告に逆行している'''<ref>{{Cite web |url=https://style.nikkei.com/article/DGXKZO50604600U9A001C1TCC000/ |title=緊急避妊薬、入手の壁なお高く ネット処方解禁でも |publisher=日経電子版ヘルスUP |date=2019-10-7 |accessdate=2020-5-2}}</ref>ところであり、この妊娠回避機会の喪失も影響している。なお2019年にジェネリック薬「レボノルゲストレル錠」が適用となり約9000円で処方可能となった<ref>{{Cite web |url=https://nagoya-yamahara-lc.jp/column/p247/ |title=アフターピルが安くなります |publisher=レディースクリニック山原|date=2019-3-21 |accessdate=2020-6-11}}</ref>。[[厚生労働省]]の[[処方箋医薬品]]から要指導・[[一般用医薬品]]への転用に関する評価検討会議でも、経口妊娠中絶薬の市販化について審議されたが、アメリカなどの緊急避妊ピルを常時使用している環境と比較して、参考人として招聘された国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院副理事長 矢野哲と公益社団法人日本産婦人科医会常務理事 宮崎亮一郎より性教育の不十分さや薬剤師の知識不足による誤解などを懸念することが述べられ、[[日本産科婦人科学会]]も反対理由として表明している<ref>{{Cite web |url=https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000176856.html|title=2017年7月26日 第2回医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議 |accessdate=2020-05-02|publisher=厚生労働省}}</ref>ことが不許可の背景となっている。これに対しドラッグストアの業界団体や一部薬剤師らが反発し、一部の産婦人科医からも、緊急避妊薬は早ければ早いほど効果があることを述べ、休日で病院が開いていない際に女性を守る視点が欠けているとの意見もあった。薬剤師からは「医師と薬剤師の関係性」について対等ではないパターナリズムの���脈があると指摘する声もある<ref>{{Cite web |url=https://blogos.com/article/490633/|title=緊急避妊薬の規制緩和について(全国の薬剤師の先生方、そして市民の皆さまへ)|author=高橋秀和 |accessdate=2020-10-14|publisher=BLOGOS}}</ref>。とは言え、検討会議の場で薬剤師会もまた緊急避妊薬のOTC化について現状制度ではスイッチ後、原則3年で第1類医薬品になるとして反対している<ref>{{cite web|url=https://diamond.jp/articles/-/145947|title=緊急避妊薬の薬局での販売に日本薬剤師会はなぜ慎重姿勢か|publisher=DIAMOND
厚生労働省の医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議では、委員16名中女性は3名であり<ref>{{cite web|url=https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000647007.pdf|title=「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」構成員|publisher=厚生労働省|accessdate=2020-10-08}}</ref>、審議の場では検討会委員12人のうち女性はただ1人だけであった<ref>{{cite web|url=https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/20200731-00190980/|title=緊急避妊薬を手に入りづらくするのは、「若い女性への性教育が足りないから」!!!|publisher=yahoo news|author=小川たまか|accessdate=2020-10-08}}</ref>。セルフメディケーションのスイッチOTC化の承認状況一覧では女性固有の問題である膣カンジダ症の承認に25年以上かかる一方、発毛剤では6年という短期間で承認されている<ref>{{cite web|url=https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kisei/meeting/wg/iryou/20200213/200213iryou01.pdf|title=内閣府 規制改革推進会議医療・介護ワーキング・グループ ヒアリング医療用医薬品から一般用医薬品への転用(スイッチOTC化)の促進|date=2020-02-13|accessdate=2020-10-08}}</ref><ref>{{cite web|url=https://diamond-rm.net/market/33576/3/|title=日本OTC医薬品協会
アメリカでは2013年より年齢制限などなく誰でも処方箋なしで「プランB」と呼ばれる緊急避妊の購入が可能となった<ref>{{cite news|title=U.S. Drops Bid to Limit Sales of Morning-After Pill|url=https://www.nytimes.com/2013/06/11/us/in-reversal-obama-to-end-effort-to-restrict-morning-after-pill.html?emc=na&_r=0|newspaper=NY Times|accessdate=11 June 2013}}</ref>。しかしジャーナル紙の調査では、アメリカ食品医薬品局FDAの決定にも関わらず、10代の若者の覆面調査では薬局で容易に緊急避妊薬を入手できたのは
Emergency Contraception|publisher=APP
National Institutes of Health|date=2005 Mar 29|accessdate=2020-10-18}}</ref>。<br>WHOによると懸念される子宮外妊娠は、以前は緊急避妊薬使用に対する禁忌と考えられていたが、55,666人の女性事例のうち5件子宮外妊娠しか報告されていないので、ECは安全であると考えることができるとされている<ref>{{cite web|url=https://extranet.who.int/rhl/topics/fertility-regulation/contraception/interventions-emergency-contraception|title=Interventions for emergency contraception|publisher=WHO|date=2012-11-01|accessdate=2020-10-17}}</ref>。
2019年米国産科婦人科学会(ACOG)は避妊に関する声明を改め、腟リングや避妊パッチを含めた全ての避妊薬を市販薬(OTC)として、処方箋なしで販売すべきだとの見解を「Obstetrics & Gynecology」10月号に発表している。またDMPA(デポ型酢酸メドロキシプロゲステロン)注射薬についても、年齢制限なく処方箋なしで販売すべきだとし、女性が避妊薬にアクセスするのを阻む障壁を取り除くべきだと主張している<ref>{{cite web|url=https://mainichi.jp/premier/health/articles/20191011/med/00m/070/002000d|title=「避妊薬はすべて市販薬にすべきだ」と米産婦人科学会|publisher=毎日新聞|date=2019-10-15|accessdate=2020-07-31}}</ref>のと対比的な状況となっている。<br>なお産婦人科医の人工妊娠中絶の件数減った場合、クリニック収入が減る可能を医師が懸念する可能性を指摘する意見もあり<ref>{{Cite web |url=https://president.jp/articles/-/29212?page=4 |title=ピルを出したがらない産婦人科医の屁理屈 "人工妊娠中絶"の収入減を懸念か | author=山本佳奈 |accessdate=2020-05-02 | newspaper = PRESIDENT Online | publisher = [[プレジデント社]]}}</ref>、中絶が「罪人に対する処罰」であり産婦人科医の「いい金づる」とも表現されている<ref>{{cite web |url=https://www.ohtabooks.com/qjkettle/news/2018/08/03074223.html|title=「世界一遅れた中絶手術」 なぜ日本の医療は女性に優しくないのか? | accessdate=2020-05-05|publisher=太田出版ケトルニュース}}</ref>。また、中絶胎児は万能細胞としてアメリカではパーキンソン病患者に胎児から取った神経細胞を移植する研究が進められ、中国でも脊髄損傷患者などに実際の治療が始まっている<ref>{{cite web|url=http://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20050409|title=NHKスペシャル中絶胎児利用の衝撃|publisher=NHK|date=2005年4月9日|accessdate=2020-08-01}}</ref>が、現状では女性から摘出した中絶胎児は産婦人科が処分しているが他の用途の転用可能性もある。日本やポーランド、アイルランド等のミフェプリストンが未認可の国々では、掻爬術あるいは吸引処置が選択されるが、子宮穿孔や出血などの合併症のリスクが高く安全性において「薬物による中絶」に大きく劣る。ミフェプリストンが開発される以前は、妊娠初期であっても吸引術や掻破術がファーストチョイスとして選択されていたが、ミフェプリストンが認可された国々ではリスクの問題のためにファーストチョイスとされない。また、子宮内膜が薄くなる子宮内膜菲薄化、子宮に穴が開いてしまう子宮穿孔や術後に[[アッシャーマン症候群]]を起こすことがあり、[[不妊症]]となるケースがあるのも欠点となっている。海外では30年以上前から使用され、安全な中絶・流産の方法としてWHOの必須医薬品にも指定されている経口中絶薬(ミフェプリストン、ミソプロストール)は日本では中絶や流産に対しての適応は許可されていない<ref>{{cite web|url=https://woman.excite.co.jp/article/beauty/rid_Wome_2568/pid_2.html|title=ビューティ情報『目を背けてはいけない 日本の中絶問題
中高生の妊娠には、[[避妊]]の正しい知識不足による失敗がある。月経中は妊娠しないという誤認があったり、膣外射精や炭酸飲料で膣を洗う対策は避妊ですらないということが伝わっていない場合がある<ref>{{cite web|url=https://www.nhk.or.jp/kenko/atc_749.html|title=避妊に失敗してしまう間違った対策方法とは?|publisher=NHK|date=2018年7月23日|accessdate=2020-08-01}}</ref>。[[精子]]は射精時の[[精液]]だけでなく、前段階で分泌される[[カウパー腺]]液中にも僅かに存在する場合があるため確率の高い避妊法とは言えず通常は避妊法としてカウントされない(PIは4-19程度)。また知識があったとしても、一般的な避妊方法に使用されるコンビニエンスストアでも購入できるコンドームによる避妊方法も万全ではなく、避妊失敗率は2%であり正しい使用方法でない場合を含めると18%とされ、一方でピルは0.3%とされる<ref>{{cite web|url=https://medley.life/diseases/topics/57b6586f3ee3ba32008b4569/details/manner/condom/|title=避妊|publisher=MEDLEY|accessdate=2020-08-01}}</ref>。コンドームは「性感染症予防」、避妊のためにはより効果の高い方法を「併用する」ことが常識となっている<ref>{{cite web|url=https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65430?page=2|title=女性の健康世界会議で大衝撃!23歳が「日本ヤバイ」と痛感した理由|author=福田和子|publisher=現代ビジネス|date=2019-06-23|accessdate=2020-08-03}}</ref>。しかし口で性器に触れるオーラルセックスでは、双方の性器を保護しないと性感染症が防げない問題もある。<br>妊娠の不安については、市販されている99%の精度<ref>{{Cite web |url=https://www.arax.co.jp/checkone/ |title=チェックインワンについて |publisher=株式会社アラクス |accessdate=2020-6-11}}</ref>と言われる[[妊娠検査薬]]の存在への無知などがあり、様々な性にまつわる理解が不十分な状態が招いた問題となっている。なお中絶可能週数は22週までで、中絶の同意書には配偶者の同意者が必要である。未婚者の場合でもパートナーの合意を求める病院があり男性も交際相手の女性の中絶同意書に署名する責任がある。しかしこの制度は性暴行の加害者にも同意を求めなくては手術を行うことができない現状に繋がっているため弁護士から批判を浴びている<ref>{{cite web|url=https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/20200705-00186652/|title=性暴力による妊娠中絶、なぜ「加害者の同意」が必要? 厚生省は通達で「いやしくも便乗して…」|publisher=yahoo news|author=小川たまか|date=2020-07-05|accessdate=2020-07-11}}</ref>。一方コロナ禍での若年層の妊娠不安増加を背景として緊急経口避妊薬の市販化への議論が高まったが、日本産婦人科医会の前田津紀夫副会長は「日本では若い女性に対する性教育、避妊も含めてちゃんと教育してあげられる場があまりにも少ない」「“じゃあ次も使えばいいや”という安易な考えに流れてしまうことを心配している」と2020年7月にNHKでコメントし、物議を醸しだした<ref>{{cite web|url=https://biz-journal.jp/2020/07/post_171066.html|title=産婦人科医会副会長、NHKで緊急避妊薬めぐり「安易な考えに流れてしまう」発言が物議|publisher=Business Journal |date=2020-7-29|accessdate=2020-03-31}}</ref>。片や国内で認可されているノルレボは、売上ベースで年間11万個の販売に対し、日本国内の人工中絶は年間におよそ16万8千件(平成28年度・厚生労働省)で、1日にすると国内の中絶数は460件という結果から、緊急避妊薬にリーチできない人が多数であることを懸念し、性交後120時間(丸5日間)以内の服用で効果がある「ella(エラ)」というアフターピルを処方する医師もいる<ref>{{cite web|url=https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59092?page=2|title=「アフターピルが市販されると女性の性が乱れる」という大嘘|author=及川夕子|publisher=現代ビジネス|date=2018-12-23|accessdate=2020-08-03}}</ref>。
2020年10月、政府が性交直後の服用で妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」について、医師の処方箋がなくても2021年より薬局で購入できるようにする方針を固めたと報道された<ref>{{cite web|url=https://www.chunichi.co.jp/article/133477|title=緊急避妊薬、薬局で購入可能に
世界で承認されている、子宮内避妊システムの小さいものの利用、腕に入れるインプラント、皮膚に貼るシールの利用を含め'''「産む・産まない」の選択を女性自身が決める「リプロダクティブ・ヘルスアンドライツ」'''の権利が尊重される必要がある<ref>{{Cite web |url=https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65043?page=6 |title=荻上チキsession体も心も痛い…「時代遅れの中絶手術」で傷つく日本の女性たちの叫び| date=2019-06-06|accessdate=2020-05-05|publisher=現代ビジネス}}</ref>。
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=== 性教育を巡る論争と学習指導要領の変更 ===
{{See also|七生養護学校事件}}[[2002年|2002年(平成14年)]]、[[東京都議会|東京都議会議員]]で[[自由民主党 (日本)|自民党]]の[[古賀俊昭]]、[[自由民主党 (日本)|自民党]]の田代博嗣、[[民主党 (日本 1998-2016)|民主党]]の[[土屋敬之]]ら3名の議員が、[[東京都立七生特別支援学校|七生養護学校]]を始めとした学校を「行きすぎた性教育」と問題にし、[[産経新聞]]などのメディアで「過激な性教育」「まるでアダルトショップのよう」と扱われるなど、保護者や寮の職員から学校側に苦情や懸念が相次ぎ、社会的な批判が起きた<ref name=":22">{{Cite web|url=http://kokokara.org/saiban0.html|title=こころとからだの学習裁判|accessdate=2019-2-14|publisher=「こころとからだの学習」裁判を支援する全国連絡会|website=「こころとからだの学習裁判」支援}}</ref><ref>[http://www.anti-freelove.net/data/nanao-mondai.htm これでいいのか?性教育-教室はアダルトショップ-]</ref>。その後、[[東京都立七生特別支援学校|七生養護学校]]は授業内容の全面変更・禁止、授業は事前に副校長の許可と当日の監視のもとで実施するよう指導され、
この処分について時の[[教育長]]・[[横山洋吉]]は「都立七生養護学校では、虚偽の学級編制あるいは勤務時間の不正な調整、それから勤務時間内の校内[[飲酒]]などの服務規律違反、その他、学習指導要領を踏まえない性教育など、不適切な学校運営の実態が明らかになったことから、教職員とともに、管理監督責任を果たさなかった校長への処分等を行ったものでございます」と都議会で説明している<ref name="togikai">{{cite web|url=http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/yotoku/2004/d6214412.htm|title=アーカイブされたコピー|accessdate=2007年5月11日|archiveurl=https://web.archive.org/web/20080310024449/http://www.gikai.metro.tokyo.jp/gijiroku/yotoku/2004/d6214412.htm|archivedate=2008年3月10日|deadlinkdate=2017年10月}}</ref>。
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== 日本の性教育の内容 ==
[[体育]]・保健体育の授業で小学校4年生で「体の発育・発達」、同5年生で「心の発達及び不安、悩みへの対処」<ref>[http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/tai.htm 小学校学習指導要綱体育]</ref>、
小学校では体や心の変化を中心に取り上げ、自分と他の人では発育・発達が異なり、[[いじめ]]などの対人トラブルを起こしやすいことから、発育・発達の個人差を肯定的に受け止めること特に取り上げる。また、発育・発達を促すための[[食事]]・[[スポーツ|運動]]・休養・睡眠なども取��上げる。中学校では体や心の変化に加えて生殖も取り上げられるが、受精・妊娠までをは取り上げても妊娠の経過は取り上げられない。
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