天文電報中央局
天文電報中央局[1](てんもんでんぽうちゅうおうきょく、英: Central Bureau for Astronomical Telegrams, CBAT) は、一時的な天文イベント(突発現象)に関する情報を取り扱う非営利組織の情報センター[2]。主に、突発現象に関する情報の発信と、各種天体の名称や固有名の発表を含む様々な国際天文学連合のニ���ースの発信を担当している。
概要
編集新たに発見された彗星、衛星、新星、超新星、およびその他の突発天体に関する情報を収集して配信する[2]。1922年から「国際天文学連合回報[3] (International Astronomical Union Circulars, IAUCs) 」を、通常は郵便で、緊急時には電報で不定期に配信している[2]。IAUCの電報での配信は1992年に終えたが、その歴史的経緯から現在でも電報 (Telegrams) という表現は変わっていない[4]。2002年からはCentral Bureau Electronic Telegrams (CBETs) が電子メールで配信されている[2]。
主な資金は、事務局が提供する様々なサービスへの加入で賄われているが、寄付も奨励されている[2]。2008年から2010年にかけてはアメリカ国立科学財団からの支援も受けていた[2]。1998年から2010年にかけては、スミソニアン天体物理観測所 (SAO) 内の小惑星センターの協力を受け、タムキン財団 (Tamkin Foundation) から提供されたコンピューターで運営された[5]。2010年からはハーバード大学地球惑星物理学教室 (EPS/Harvard) の新しいコンピューターで運営されている[2]。
沿革
編集1882年の大彗星の発見を受けて[2]、新発見天体の情報を発信するためにドイツのキールで設立された[4]。第一次世界大戦の後、1920年から1922年まではベルギーのユックルに置かれ、1920年2月7日の第1号から31号までのIAUCが発信された[4]。IAUの第6委員会(天文電報、Astronomical Telegrams)が1922年に設立されるとその監督下に置かれることとなり、コペンハーゲン大学のコペンハーゲン天文台の中央事務局がCBATの中央事務局とされることとなった[4]。天文台長のエリス・ストレームグレンは、IAUCの通巻号数を1号に巻き戻し、郵送の利便性から葉書サイズへと改めた[4]。1965年1月1日に、中央事務局はコペンハーゲン天文台からハーバード大学構内へと移動し[4]、ハーバード・スミソニアン天体物理学センター (CfA) (特にSAO)によって運営された[2]。2010年にEPS/Harvardに運営が移管された[2]。1922年から2015年にかけて、IAUの第6委員会(天文電報、Astronomical Telegrams)の監督下にあった[4]が、2015年に第6委員会が解散したことによってIAUの監督や補助から外れ、EPSが独自に運営している[6]。
出典
編集- ^ “天文電報中央局”. 天文学辞典. 日本天文学会 (2018年7月3日). 2019年12月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g h i j “Central Bureau for Astronomical Telegrams”. 天文電報中央局. 2019年12月8日閲覧。
- ^ “IAUC/CBET/MPECの読み方”. 国立天文台. 2019年12月8日閲覧。
- ^ a b c d e f g “History of the Central Bureau for Astronomical Telegrams”. 天文電報中央局. 2019年12月8日閲覧。
- ^ “CBAT and the Tamkin Foundation”. 天文電報中央局. 2019年12月8日閲覧。
- ^ Yamaoka, H.; Green, D. W. E.; Samus, N. N. et al. (2016). “Division B Commission 6: Astronomical Telegrams”. Proceedings of the International Astronomical Union 11 (T29A): 90-98. Bibcode: 2016IAUTA..29...90Y. doi:10.1017/S1743921316000661. ISSN 1743-9213.